2007年06月21日

「ロビンとマリアン」ノヴェライズ ジェームズ・ゴールドマン著

 今日は1975年夏休み期間にたった36日で撮影された「ロビンとマリアン」(オードリー46才)です。

 これは「ロビンとマリアン」の脚本家、ジェームズ・ゴールドマンが書いた、「ロビンとマリアン」のノヴェライズ本です。発売元は東宝。オードリーの画像はいきなり裏焼き。

 だからこの本を中学の時に取り寄せて買ったとき、表紙を見てかなりオードリーの顔に違和感を覚えたものです。

 ある番組で、誰かがオードリーの顔を美人の条件で、ほぼ完璧に左右対称!なんて紹介してたことがありますが、“そんなんウソやん!”って思ってました。
 オードリー自身もそれをわかってたからこそ、「パリの恋人」以降のポートレートでは必ずと言っていいほど左側から撮らせてたんですよね。

 えーと、脱線しましたが、これノヴェライズと言っても、完全な小説ではなく、

ロビン「~~~~。」
マリアン「~~~。」

って書き方になっているので、小説と戯曲の間のようになっています。

 もちろん、小説部分も豊富な画像とともに価値があるのですが、この本で一番面白かったのが、序章にある“皆さんが知りたくても訊けなかった映画脚本のすべて”と言う部分。

 「ご質問は?」という魅力的な書き出しで、「ロビンとマリアン」が映画になるまでの過程を書き出してくれてます。

 もちろん、著者が書いているように、「オードリー・ヘップバーンは本当はどんな人なんですか?」って質問をしても、それは答えることができないでしょう。
 でも、ここではオードリーがどのようにして「ロビンとマリアン」に出演することになったのか、っていういきさつが書かれており、それがとても興味深いのです。

 たとえば、このゴールドマンははじめっからオードリーがマリアンを演じることを夢見ていたけれども、当時のオードリーは引退中。
 あるときゴールドマンの友人がオードリーを見かけて、「オードリーはやっぱり綺麗だな!」
って言ったので、当時監督の予定だったジョン・フランケンハイマーに相談したところ、「オードリーに台本を送ろう!」と言って実行したこと。
 返事が無いので、何ヶ月も経ってからフランケンハイマーがオードリーのエージェントに電話を入れると、「あの方はもう台本をお読みになりません。」とそっけなく言われたこと。
 その実オードリーは脚本を読んでいて、マリアン役の依頼が来るのをなんと2年もずっと待っていたこと!

 この2年というのがいったいいつからいつまでなのかがわかりませんが、とうとうオードリーがしびれを切らして自分から動いたのか、74年の「ロードショー」には、“オードリーが「ロビンとマリアン」でマリアンを演じたがっている”という記事が出ています。

 ということは、最初にゴールドマンの友人がオードリーを見た時って、「ヴァリーエ」の後の72年頃のオードリーだったのかな?

 他の役者に関しても決まるまでにいろいろありますし、この作品の話を聞きつけたリチャード・レスターがどうしても自分が監督をしたい!と言った事など、パンフレットにも載っていない、詳しい裏話を知ることが出来て、これだけでも価値は十分!とても読み応えのある内容になってます。

オススメ度:★★★
  


Posted by みつお at 15:00Comments(0)ロビンとマリアン原作本

2007年06月19日

「いつも2人で」フレデリック・ラファエル 脚本のドイツ語版?

 今日は1966年4~8・9月まで撮影された(オードリー36~37才)「いつも2人で」です。
 撮影中に37才の誕生日を迎えたオードリーのために、スタッフが用意したケーキと写っているオードリーの画像が残っていたりします。

 これ、「いつも2人で」のドイツ語版の「なにか」です。

 フレデリック・ラファエルの名前もあるし、最初は原作かとも思ったんですが、中の書き方が小説じゃないんですよね。
 たしか原作は「愛情の限界」っていう小説だったはずなので、ここでの

ジョアンナ:~~~!
マーク:~~~~。

ってな戯曲的な書き方は絶対に原作じゃあないんです。だから、最終脚本をそのまま出版したのか、それとも映画のとおりに本にしたのか、その辺はわかんないんですよね。ドイツ語もわかんないし。(^^;;;
 出版も公開時の1967年ではなく、1968年になってます。

 で、ここではおそらく映画のシーンだと思われる番号がついてるんですけど、普通だったら1,2,3って順番に数字が増えていくだけなのが、なんてったって「いつも2人で」ですから!

 だから単純に数字が増えていかないんです。59,59a,59b,59c,59d…って感じでいくつもの派生した番号が割り振られてるんですよね。そのたびに過去に行ったり現在に戻ったりを繰り返してるんでしょうけど。これが「いつも2人で」らしくて面白いですよね。

 中には「いつも2人で」のモノクロ画像もあります。裏焼き画像がやたら多いんですけど、珍しい画像も多いので、良しとします。(^^


  


Posted by みつお at 15:00Comments(0)いつも2人で原作本

2007年06月13日

「ティファニーで朝食を」原作トルーマン・カポーティ著

 「ティファニーで朝食を」は1960年秋~初冬にかけて撮影された映画です(オードリー31才)。

 この原作はトルーマン・カポーティ著で、新潮文庫刊。

 原作はですね、オードリー、全然浮かばないんです。でもそう思っているところがまだまだこの作品に対する認識不足なのかもしれませんが…。やっぱマリリン・モンローの方がいいかも。

 でも、カポーティはオードリーが演じたので映画がイヤだったとかよく書かれてますけど、あれって本当なのかな?

 だってですね、2004年のオードリー展で、カポーティ本人からオードリーに宛てた手紙が公開されてたんで食い入るように見つめましたけど、カポーティってば、“私のホリー=オードリーへ”だったか“ホリーを演じてくれて嬉しかった!”みたいなことが書いてあって、なんや!全然言われてることとちゃうやん!って思ってました。

 演じる前はともかく、カポーティ自身もオードリーのホリーが、原作とは違うけれども別の意味で喜んでたみたい。

 この手紙は後にまるで宝箱のような写真集、「the audrey hepburn treasures(オードリー・ヘップバーン・トレジャーズ)」でも収録されていましたが、こんな手紙を書いているのに、少なくとも“イヤだった”なんてことはないでしょう。

 全然関係ないですけど、この本で僕が好きなのは、同時収録の「わが家は花ざかり」って小説。
 嫁姑の争いや、主人公オティリーのキャラクターが面白くって、子供心ながら強烈に印象に残ったのでした。

 そういえば、こないだこの表紙のジヴァンシーのブラックドレスが9800万円で落札されましたけど、なんだかオードリーが実際に着た物じゃなくって、3着同じものがあるうちの1つだそうですね。
 そんなのに9800万円も払うなら、本当にオードリーが着た、こないだ落札されたばかりのピンクドレスの2300万円の方が価値があると思うんですけど…。

オススメ度:う~ん、個人的には★。


  


2007年06月11日

「緑の館」ウィリアム・ヘンリ・ハドスン著

 今日は1958年(オードリー29才)撮影の「緑の館」です。

 これは「緑の館」の原作本です。ここで紹介しているのは新潮文庫版。
 ただし、これは原作が傑作なので、戦前から何社からも出版されています。子供向けの本も過去に何種か出版されています。

 現存する物では岩波文庫の物が手に入れ易いですが、正直オススメできません。
 というのも、岩波文庫版は“You”という部分を“あんた”と訳してあるからです。これは致命的な欠陥!!
 これではリーマの妖精性が出ません。いくらアマゾンと言っても、女ターザンじゃあないんですから…。

 アベルのことを“あんた”呼ばわりする俗っぽいリーマでは、オードリーをイメージするのは到底無理。

 こちらで紹介の新潮文庫版はとても上手に訳されています。初版が1958年ですから、映画の「緑の館」に合わせての出版。あとがきでもオードリー・ヘプバーン主演の映画が公開されるので、年少者のために多少読みやすくしてあるとのこと。
 アベルのこともちゃんと“あなた”と呼んでくれるので、ずっとオードリー=リーマで読み進められます。

 ところが、これはこれで大きな難点が!年少者のために手加減したため、はじめと終わりがカットされた抄訳版になってしまってるんです!
 だから主人公は始めの方、ずっと名無しの権兵衛さんだし、最後にリーマのお骨拾いのシーンもなし。

 では、古本でどういうのがあるのでしょうか。戦前のものは、正直今と仮名遣いが違うし、漢字も旧漢字や正漢字ばかりで、めっちゃ読みづらいと思うので、止めたほうがいいでしょう。
 角川文庫には映画の公開に合わせた出版の物があるし、1997年にはちくま文庫というところから発売されてます。
 読んでもいないのにオススメするのはどうかと思いますが、角川文庫やちくま文庫のを買うのがいいんじゃないでしょうか。(^^;;;
 “あなた”と訳されていれば文句なし!です。

 内容はですね~、すんごくいいですよ!映画ではメルの監督が拙くて描ききれていない部分もしっかり書かれていますし、さすがに傑作と言われるだけのことはあります。新潮文庫版のは中学時代、本当に何度も何度も読みました。
 
 かなり感情移入して読んでしまい、結末でリーマが死んでしまうのがイヤで、ラスト近くでは違う結末を頭の中で考えていました。(^^;;;

 それに原作は映画のように原住民に悪いヤツが一人いる、という設定ではなく、本気でみんなリーマを魔女だと思って殺すんです。
 それで怒りに駆られたアベルは他の部族をたきつけて、一度はお世話になった部族を皆殺しにしてしまうんですよね。

 映画ではたいした役柄でもないんですが、原作で僕の好きなキャラクターにクラクラ婆さん、というかわいいおばあちゃんがいるんですが、皆殺しにされたあと、そのクラクラ婆さんの亡き骸が転がっているシーンは、かわいそうでかわいそうで…。

 リーマもクラクラ婆さんも死んでしまう悲しい結末…。別のラストを考えたくなるのはしかたないですよね。(^^;

オススメ度:★★★★★(映画「緑の館」の補完の役目を果たします。これを読んで映画を見れば、頭の中で描き足りない部分を追加できるので、映画がより良く観れます。)


  
タグ :緑の館


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2007年05月17日

「ローマの休日」ノヴェライズ版 百瀬しのぶ著

 あらら…画像薄くてごめんなさい。
 これは「ローマの休日」をノヴェライズ(小説化)した、百瀬しのぶさん著のソニー・マガジンズ発行の文庫、ヴィレッジ・ブックス収録の作品です。

 2001年12月発行ですが、いまだ現役のようなので、アマゾン他で入手は可能。

 で、内容は…これを読む意味があるのだろうか、というのが正直な感想。
 確かに「ローマの休日」の忠実な小説化で、脱線してる!っていう勝手な創作とかはないので、不快感はないのですが…。
 でも付け足すものも何もないので、わざわざ文章を読む意味が読者にあるのでしょうか?って疑問符が頭の中にいっぱい出てくるんです。
 「ローマの休日」ほどの作品になると、ファンが怒るような改変は出来ないだろうし。

 先に原作本というものがあると、映画では時間の都合や映画そのものの表現方法によってカットされた場面や心理描写があって、それが映画の補足ということで原作を読む際の大きな収穫になるのですけどねー。

 それでも「シャレード」のように脚本家自身によるノヴェライズなんかだと舞台や季節やエピソードの変更とかが出来てしまうんですけど、そうではないこの「ローマの休日」なんかはどうしても映画の内容を無視する著者の付け足しというものが出来ないために、結局何も足さず、なにも引かず、という結果で終わってしまってるんですよね。

 出来が悪いとかではないんですけど、オススメも出来ません。残念ですが…。

オススメ度:なし(申し訳ないですが、これを読む時間で映画を観るほうがいいかと。)

  


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2007年05月05日

こどもの日!「噂の二人」原作「子供の時間」リリアン・ヘルマン

本日5月5日と明日6日に兵庫県のゆめタウン氷上店2Fのポップアップホールにて「ローマの休日」が上映されます。前売りはないそうなので、ご覧になる方は直接行ってください。
上映時間10:30/13:00/15:30/18:00(6日は4回目なし)

 今日はこどもの日なので、「噂の二人」の原作、リリアン・ヘルマンの「子供の時間」をご紹介!
(なんでやねん!これって子供が大人の人生を狂わせる作品やんけ!普通はユニセフ関連のこと紹介するやろ!って聞こえてきそう…(汗))

 さて、原作と映画で大きく違うのは、マーサはティルフォード夫人の「間違いでした…」っていうのを聞かずに自殺してしまうんですよね。しかもピストルで。

 マーサが、メアリーの嘘がバレました、っていうのがわかってから自殺する方がいいやんか!って思います?
 でもマーサからしたら、メアリーの言ったことは真実だったわけで、自分の内にあるものを見てしまった以上、何も変わらない。
 だから“せめてお詫びを聞いてから”って思うのは、この作品を読んだり観たりした人が“マーサがなんとなく浄化された気がして”、そして“気分よく終わりたい。”っていう、マーサではなく自分が救われたいがための言い分ですよね。

 もうひとつは、そんなマーサの自殺後にやってきたティルフォード夫人に対するカレンの態度。
 ラストでは微笑みさえ交わすんです!

 映画ではティルフォード夫人に一瞥もくれないカレンですけど、原作のカレンは一通りの憤怒がおさまった後に、はたと気づきます。なにもかも失った私にはもう済んでしまったこと…でも「あなたに終わりはないのですね」「あなたのほうが傷は深かったみたいですね」と。

 融通が利かなくて、メアリーと一緒の側に立っていたティルフォード夫人が、すべてが明るみに出た今、実はカレンと同じ側に立っている!

 マーサの叔母のような性格なら、臭い物にはフタをして普通に生きていけるでしょうが(実際、マーサが死んだ後も自分を正当化する言い訳ばかり言っている!)、ティルフォード夫人の場合は一生安息の日は来ない、ということがカレンにもわかるんですよね。

 最初読んだ時は、“なんや!この拍子抜けの結末!”って思いましたが、こういうのもあるんだな、ってわかるくらいに自分も年をとったということでしょうか(笑)。

 それと、これは新水社というところから1980年9月に第1刷が発行されているんですが、あとがきで同時進行で別の訳者さんによる訳で演劇の舞台が進んで、8月に上演された、とあります。
 神戸か大阪でも1983年か1984年に上演され、その演劇版「噂の二人」のポスターが街中に貼られていました。それを見て、“オードリーの「噂の二人」も上映してくれたらいいのになー…。でもあの作品は暗いしヒットしてないから、リバイバルなんて絶対せーへんやろなー。”って考えていました。

 ところがそれから間もなくヘラルドによるリバイバルがやってきてびっくりしました!まさか劇場のスクリーンで「噂の二人」が見れるなんて思ってなかった僕は大感激!(怒涛の80年代後半のオードリー映画リバイバルの、1番最初の公開が「噂の二人」!)
 もしかしたらあの上演のおかげで映画を見たいっていう人が増えたんかな~、なんて思っていたのでした。

オススメ度:★★★


  
タグ :噂の二人


Posted by みつお at 00:00Comments(8)噂の二人原作本

2007年04月13日

第6位「おしゃれ泥棒」原作マイクル・シンクレア著 早川書房刊

 今日は15日と17日にシネマヴェーラ渋谷で上映の「おしゃれ泥棒」です!


 いきなり裏焼き画像の表紙ですけど(階段の向きが逆)、これは早川書房から出ていた「おしゃれ泥棒」の原作です。作者はマイクル・シンクレア。他にどんな作品があるのかは全く知りません(笑)。、翻訳は高橋泰邦さんって方。

 ストーリーは基本的には映画と一緒なんですけど、映画のほうが細かい所までひねってて「おしゃれ」。
 映画ではラストシーン、ニコルとシモンが見てる前でパパが南米のお客さんを受け入れるシーンがありますけど、原作ではニコルたちは既に行った後だったりするし…。これじゃその後の二人を暗示する最後の会話ができない。

 だいたい女主人公の名前が違います。映画はニコルですけど、原作ではリネット。
 どうもねー、リネットってアガサ・クリスティ原作の「ナイル殺人事件」で最初に殺されるキャラクターを思い出してしまいます。ミア・ファローが“リネット、リネット!”って叫んでる印象が強くて…。(^^;;;

 あと美術館に忍び込んでからの場面がめっちゃ少ないんです。小説だから緊迫感を長く保てないのかもしれませんが、本当にちょろちょろ。
 物置に外から鍵をかけられることもなく、あまりにも順調に計画が進行します。

 それと、映画ではシモンはヴィーナスをタダでデイビス・リーランドにあげちゃうんですけど、映画「おしゃれ泥棒」のあらすじで“最後はヴィーナスを100万ドルで売りつけてめでたしめでたし!”なんて嘘っぱちを書いている記述がやたら多いのはなんでかなー?と思ってたんですけど、原作がそうなってるからなんですねー。
 それを元に20世紀フォックスが作ったあらすじにも売りつけたことになってて、パンフでも初版・リバイバル共売りつけたことになってます。
 映画をきっちり見てないか、見た後うろ覚えで参考にパンフなんかを見たら、こういう“売りつけた”表現になるのかなーって。
 「パリで一緒に」のウイリアム・ホールデンが3役などというデマ(実際は2役)と同じ現象ですね。

 それから、撮影されたのに編集でカットされた、ニコルがNATOで働く場面が原作にはあります。なんとニコル(リネット)はコンピューターオペレータだったんですね!
 当時だから多分コンピューターはめっちゃ巨大で、パンチングした紙をギギギ…ガチャン!って通すタイプ。今だったらパソコンで十分な仕事を、当時の300万ドル(そういう記述がある)もするコンピューターでやらせてたんだろうなーって。
 僕はめちゃめちゃ見てみたいけど、カットされてよかった場面かも。今見たら古臭いのが際立ちそうだし。(^^;A

 なんでデイビス・リーランドがニコルと唐突にマキシムで食事してるのか、って思う方もいらっしゃるかもしれないですけど、これ実は先に金持ちのリーランドがNATOに見学に来た、という口実でニコルに近づくからなんですよ~~。

 あと、映画だともうすっかり警官もいっぱい来てるのに、変装してるとはいえ、あの2人はどうやって美術館から逃げ出せたんだろう…って思うんですけど、原作ではなんとシモンがリネットを警察に連行するように見せかけて、エンジンのかかっているパトカーに乗って行ってしまいます。す、すごい大胆且つむちゃくちゃな方法ですね…。(^^;;;

オススメ度:★★★(細かい裏設定がわかるのでいいのですが、おしゃれ度は映画の方が上です。)


  


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2007年04月03日

「昼下りの情事」原作本 クロード・アネ著

 これ、見てのとおり「昼下りの情事」の原作です。1957年7月30日発行、ってなってますから、完全に「昼下りの情事」公開に合わせて出版されてますね。
 作者はクロード・アネ、訳者は岡田真吉、角川小説新書です。

 中身、「昼下りの情事」を思い浮かべて読もうとすると、ものすごい違和感があります。大筋も細かいところも大きく映画とは違います!
 主人公も全然オードリーのイメージじゃありません!!

 だいたい、「アリアーヌ ロシアの乙女」というのが原題らしく、アリアーヌの名前もアリアーヌ・ニコラエヴナ。お相手はフランク・フラナガンならぬコンスタンタン・ミシェル(コンスタンチンと間違えたのではなく、本当にタンタン。文中でもアリアーヌが“そんな名前有り得ない!”って言うシーンあるんです)。探偵のお父さんなんて出てきません。あの映画はビリー・ワイルダーとIAL・ダイアモンドによる完全な創作ですね。

 ここでのアリアーヌ、クソ生意気で、全然かわいげなんかありゃしねえ!こんな主人公に思い入れなんてできへんし!ってくらいヤなキャラ。
 唐突に最後になって映画と同じ汽車でのラストシーンになるので、やっとホッとできますけど、全編読み通すのはかなりしんどいです。

 映画と内容が違うので、映画で描かれてないエピソードや心理描写があるわけでもなく、全く別の作品として読まないと、期待を裏切られること間違いなし!の小説でした。

 なお、同じ作者の本で、もう一冊オードリー作品の原作があります。オードリーがテレビで演じた「うたかたの恋(マイヤーリング)」です。

オススメ度:なし。(この原作読む時間があるなら映画を観たほうがいいかと…)


  


Posted by みつお at 00:00Comments(0)昼下りの情事原作本

2007年02月23日

シドニィ・シェルダン「華麗なる血統」…「華麗なる相続人」原作

 mari-eさんのHP「~BENVENUTI~Che Capriccio!!」を新しくリンクしました!
 イタリアがお好きで、音楽がお好きで、演劇がお好きで、しかもすべてを自分でやってらっしゃるという、とても素敵な方です。僕のエッセイページにも以前よりリンクしてくださってます。(^-^

 1月31日に紹介していた「華麗なる相続人」のパンフですけど、結構「華麗なる相続人」で検索されてる方が多いなーって思ってたら、原作者のシドニィ・シェルダン(シェルドン)さんが1月30日にお亡くなりになってたんですね。全然知りませんでしたが、追悼みたいなもの凄いタイミングだったんですね。(^^;;;
 こちらでつつしんで御冥福をお祈りいたします。

 さて、こちらがハヤカワ文庫から出ていた「華麗なる相続人」の原作、「華麗なる血統」(BLOODLINE)です。訳者は大庭忠男さん。
 これは1979年に映画の公開に合わせて早川書房からハードカヴァーのが出まして、それが3年後に文庫になった時のものです。
 ハード・カヴァーのはオードリーの画像が表紙でしたけど、こちらはイラストになってて、ポーズはオードリーそのものなのに、顔がオードリーじゃなくなってますね。

 現在はこれは絶版になってます。というのもアカデミー出版がシドニィ・シェルダンの権利を買い取ってしまいまして、早川書房からはその後出すことが出来なくなったからです。今は「血族」という題名で読めるようですが…このアカデミー出版の超訳ってのがどーも僕的には“無し”なので、原作に忠実な早川のがあってよかった~~!と思ってます。

 でも映画とかがあったにもかかわらず、シドニィ・シェルダンって早川書房で出てたときはマイナーで、あんまり売れてなさそうでしたけど、アカデミー出版になってからは宣伝がお上手で、えらくメジャーになりましたからねー。新作を出すたびに電車の吊り広告で“これでもかっ!”って宣伝かましてましたもんね~。

 原作は結構読んでて面白いです!女主人公がオードリーをイメージ出来るかと言うと、それは全然ムリで、頭の中でオードリーには早々に立ち去ってもらわなければいけません。というか、こんな作品世界でオードリーに動いていただくのは申し訳ない!むしろ、最初にエリザベス役の候補だったジャクリーン・ビセットの方がしっくりきます。
 ジャクリーン・ビセットって誰?って方は「いつも2人で」を見てくださいね~。ジャッキーという役名で、女子大生仲間の美人として登場してます。

 でも本当に話の展開が速くて、もの凄い勢いで読めてしまいます。ただ、原作で理由は説明はされますけど、 やっぱりあのリボンの殺人は必然性を全く感じない。
 映画では省略された、夫に閉じ込められるロフ一族の女性の話…一番面白いけど、やっぱり省かれただけあって、本筋に全然関係ない。
 だから読み終わっての感想はものすごい散漫な印象。映画がああいう出来になったのも頷ける原作でした。ちょっと扇情的な軽い娯楽作品として読まないとダメですね。

 主人公エリザベス・ロフは原作では27才の設定だからロフ財閥の初代はおじいちゃんと言う設定なんですけど、映画ではオードリーが演じたため(エリザベスは年齢不詳に変更されたので)初代はお父さんになってる。
 映画でオードリーがエリザベスを演じると聞いたシドニィ・シェルダンは、“彼女ならピッタリだ!”って言ったそうなんですけど(どこが!)、オードリーが若い女性の役だから躊躇してるって聞くと、“大丈夫!”ってなんと原作に手を入れてペーパーバックになる時にエリザベスを37才に変えてしまったらしいですね。「血族」ではどういう設定になってるんでしょうか…。

 他に映画と原作で違うのは、多少の人物がカットされたり、っていうのはもちろんですけど、なんといっても警部の活躍が全然違いますねー。映画ではいてもいなくてもいいような役になってる。最後まで犯人がわかってないし、なんかモタモタモタモタ。
 でも原作ではまるで友人のようにコンピューターを駆使して犯人を割り出して大活躍!彼のおかげで犯人を仕留めることが出来るんです。

 歴史に残る傑作ではないですけど、バブル時代に流行った、ジェットコースタームービーみたいな感じで読めばいいと思います。ただしえっちぃからお子様は読んじゃダメだよ~~ん(笑)。

オススメ度:★★★★(寝不足覚悟でどうぞ)


  


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2007年01月29日

映画よりも傑作!?アラン・ルメイ著「許されざる者」

 こちらはオードリーの「許されざる者」の原作です。作者はアラン・ルメイ、訳者は「緑の館」も訳出してる蕗沢忠枝。新書サイズ、奥付は1960年7月20日発行になってて、発行元は新潮社。現在は絶版。

 「許されざる者」は原作を読んだオードリーが演じたがった、という記述をよく見るのですが、映画を観てもレイチェルのどこにそんなに惹かれたのかがわからない…。あんまり演じ甲斐があったようにも思えないし。設定がドラマティックな役だから?なんて思ってましたが…。

 この原作を読んで思ったのは、レイチェルの重要さが全然違うということ!他のキャラもかな~り映画と違います。長男ベンは出番は少ないながら、もっともっと家族のことを考えて慎重だし、次男キャッシュはめっちゃカッコいい!!(←おそらく映画と原作で性格が一番違うのがこのキャッシュ) 三男アンディもめっちゃ頼もしい。母マティルダはもっと優しい。
 隣のジョージアもザカリー家と共に戦う、そのお母さんのヘイガーのカイオワを憎む理由もきちんと説明される、ケルシーはもっと卑怯。そしてカイオワはもっともっと残忍。

 テキサスで生きていくことの難しさは、映画で描かれている様子の比ではないです。もし映画のように暮らしていたら、ザカリー家はおそらく1年ももたないうちに全滅間違いなし!

 たまに映画「許されざる者」は人種差別してる云々…っていう記述をみかけるんですけど、僕はむしろかなりネイティブアメリカンに対して配慮していると思います。だいたいザカリー家を差別するのは白人だし。少なくとも白人に対してと同じ扱いである、と僕は思ってます。

 原作も人種差別とかじゃなく、“カイオワ族とはこういうものである”って正確な当時のカイオワ族を淡々と述べてるだけなような気がするんです。
 頭の皮を剥ぐ、というのも当時現実にあったことだし、だからって作者はそれを否定も肯定もしてない、“そんなことがあった”というだけなんですよね。

 原作はそういったかなり残酷な描写があり、文章であってもそういうのが苦手な人にはオススメしません。
 ただ、読んでいると途中からは読むのを止められなくなります!それだけ惹き付ける力がすごい作品なんでしょう。
 友人のMさんが先に手に入れて、僕は貸してもらってたんですが、合言葉は“リンダは来ましたか?”(笑)。これ、「どうにもとまらない」とかけてあるんですけどね。(^^;;;
 あまりの面白さに、後に自分でも入手。

 そしてカイオワとの戦いは、ベンは留守中、キャッシュはジョージアを送っていった帰りに殺され、母マティルダは戦いではなく病気で死亡。結局家で戦っているのはアンディとレイチェルだけ。しかもアンディは映画のように途中で怪我をして戦線離脱…ということはレイチェルはたった一人で最後戦うんですよ!ベンが戻ってくるのは何もかも終わった後…。
 まさにレイチェルのための「許されざる者」なんです!オードリーがなぜ演じたがったのか、よ~くわかります。イメージもレイチェル=オードリーで読み進められます。キャッシュはもっとハンサム・マンが浮かんでくるけど(笑)。

 もしこの原作のままで映画になっていたらどうなっていたか…そんなことを考えながら読むととても感慨深いです。原作の読ませる力も凄い作品で、とても気に入ってます。(^^

オススメ度:★★★★★(めっちゃ面白いです!)

  


Posted by みつお at 00:00Comments(0)許されざる者原作本