2017年01月22日

オードリーのおすすめ伝記本まとめランキング



 みなさま、遅くなりましたが明けましておめでとうございます。

 ブログ開設から10周年という事で、11月12月に頑張って記事をアップしていたのですが、そしたらどっと反動が来てしまいました。
 それと、写真集のオススメランキングのまとめを書こうとしているのですが、文章が長くなりそうなので、簡潔にするのに苦労しています。

 というわけで、一足お先にオードリーの伝記本のオススメランキングをやってしまいましょう!

 オードリーに興味を持った時に、オードリーの生涯は…と気になってくるかと思うのですが、オードリーにはいろんな伝記が出ています。
 それでどれを読んでいいか迷う方がいらっしゃると思うので、伝記本をまとめて紹介します。

 ちなみにオードリー自身は自分の伝記、すなわち自伝を書きませんでした。
 なぜなら人との関わりでどうしても他人の事まで書かなければいけないから。

 それって他の人のプライバシーの侵害だったりもしますよね?
 なのでオードリーは自伝を書く事を固辞しつづけたということです。オードリーらしいですね。

 後にオードリーの共演者や監督が自伝を書いて、平気でオードリーの個人的な事まで載せている人達が居ますが、そういうことがオードリーはイヤだったんでしょうね。

 なお、伝記はあくまでもオードリーと直接関係のない他の人が書いていたり、オードリーと同じ時代を歩んでいない人が書いてたりしますので、どの伝記も完璧ではなく、嘘や間違いが混じっています。100%盲目的に信用はしてはダメですよ。

 自分で調べずに、他の人の伝記を写して書いていっただろう、オードリーの本名が戦時中の偽名だったエッダだとか、オードリーの息子のショーンが1月生まれだとかの間違いがたくさんの伝記で平然と載せられています。デマの塊の本もあります。
 そういうのは要注意です。

 なお、息子2人の伝記は写真集を兼ねているんですが、今回は写真集の部分は考慮しないこととします。
 また、70年代までの日本の伝記風の本は、あくまで当時わかる範囲での想像のオードリーなので、全て外しています。

 それと、オードリーの伝記のような漫画本が5種類くらい出ていますが、1つも読んでいないので、どれが良いかはわかりません。
 以下の伝記本のどれを参考にしているかで、その漫画の質がわかるかと思います。


 さてその中でも一番オススメできるのは
 バリー・パリスの「オードリー・ヘップバーン上下巻」(単行本)、あるいは「オードリー・ヘップバーン物語上下巻」(文庫本)です!

 息子ショーンは7冊オードリーの伝記を読んで、あまりいい気がしなかったと言っているのですが、これは唯一一部を認めたもの。

 というのも、他の伝記に比べて本当にオードリーと親しかった人たちにインタビューを敢行しているからです。
 最後の伴侶ロバート・ウォルダーズ、最初の夫メル・ファーラー、親友コニー・ウォルド、同じく親友のドリス・ブリンナー、オードリーとは切っても切れないジヴァンシー、「麗しのサブリナ」「昼下りの情事」監督のビリー・ワイルダー&妻のオードリー・ワイルダーなど。

 必然的に内容の信頼度がかなりアップします。
 オードリーの本名もオードリー。一時期言われていた拒食症も否定されています。

 ただ、これにも間違いはあって、ショーンが1月生まれ、「麗しのサブリナ」がオードリーが舞台を見て権利を取って欲しいと言ったとか、「マイヤーリング」がヨーロッパで公開されたとか、「エクスラン・ヴァリーエ」の撮影日数など色々間違いは多く、主に女優の面での内容に不備が多いです。

 ただ、ユニセフの活動などは詳しく載っており、2冊分冊という大部な点を生かしてプライベート面で高得点を稼いでいます。

 女優:★★★
 プライベート:★★★★
 内容の正確性:★★★
 総合:★★★★




 第2位はチャルーズ・ハイアム「オードリー・ヘプバーン 映画に燃えた華麗な人生」。

 こちらは雑誌「スクリーン」の近代映画社が出版したものですが、主に女優としての内容に力点が置かれています。

 オードリーの出演作に関する評価や出演するまでの経緯、出演決定後のオードリーの取り組み方などは特に読み応えがあります。

 というのも、作者は映画会社の倉庫まで調べて当時のオードリーの様子を書き留めているものを調べ上げたから。
 「尼僧物語」の原作者と会った時の様子も、公開当時公表されていたものではなく、本当のオードリーの接し方がわかります。
 全体に女優オードリーとしての真摯な様子が窺える伝記になっています。

 ショーンの誕生日は曖昧になってますが、3月にはまだお腹にいる事になっていて、1月とは書いていません。
 「マイヤーリング」のヨーロッパ上映というデマも無し。ただし本名はエッダ扱い。
 また海外の評価なので、「昼下りの情事」や「噂の二人」などが低く見られているのがとても残念です。

 これは最初期に出たオードリーの伝記本なので自分の足で調べた事柄が多く、とても好感が持てます。
 女優オードリーについて知りたい場合は、こちらの方がオススメです。

 女優:★★★★
 プライベート:★★★
 内容の正確性:★★★★
 総合:★★★★




 第3位は息子ショーン・ファーラーによる「母、オードリーのこと」。

 これは完全にショーンと母オードリーとの繋がりがわかる本。
 ここで初めて僕ショーンは7月生まれだよとか、オードリーの本名はエッダじゃないよ、拒食症なんて嘘だよってのがわかります。

 直接個人のオードリーを知っていたというのは大きく、オードリーが共演者の事や作品の事をどういっていたのかがハッキリします。
 もちろんオードリーはどの人の事も悪く言わなかったんですけどね。オードリーをいじめていたというハンフリー・ボガードのことも。

 ただ、ショーンが生まれたのは1960年であり、ものごころついた頃にはもうオードリーは女優業をほぼ引退。
 なので個人的な事もごく一部だし、女優業に関してはあまり無い感じです。

 写真集も兼ねてるので、文章量自体は決して多くはありません。
 またショーンは必ずしもオードリーの女優時代には詳しくないので、1955年の写真を1949年と載せてたりと、間違いも目につきます(後にこの画像は別の写真集で1955年と訂正されています)。

 でもプライベートのオードリーは活き活きしており、オードリーが亡くなる前の時期が描かれている部分は涙無しでは読めません。

 女優:★
 プライベート:★★★★★
 内容の正確性:★★★★
 総合:★★★★

 以上3冊(3種類4冊)が、オードリーを知るには必携の伝記本になります。




 第4位は同じくオードリーの息子のルカ・ドッティが書いた「オードリー at Home」。

 今度は次男から見たオードリー。

 ただ、ルカはオードリーが40才の時の子供で、もう1975年撮影の「ロビンとマリアン」ですら記憶にあるかどうか。
 女優オードリーに関しては全然書いていません。

 また、ルカが幼少時代のオードリーもなんとなくぼんやりしています。オードリーは脇役って感じ。
 全体ではオードリーの伝記というよりも、ルカの自伝っぽい感じに仕上がっています。

 それと不仲になってしまった兄ショーンの画像が1枚も無い事が、裏事情が透けて見えて、読む人に内容とは全く関係なく暗い気持ちにさせてしまいます。

 また内容の正確性は最高得点ですが、元々内容自体が薄味なので、他の本と比べて際立っているという意味ではありません。

 それでも今となっては本当のオードリーを知る数少ない人間である事は間違いなく、これも本当の本物のオードリーとして貴重です。

 この本は、薄くなってしまいがちな文章部分を、オードリーのレシピやプライベートな多くの写真で、いい意味で補っています。
 オードリーのレシピからオードリーの本質がわかることも多くあります。パスタのことや、オードリーの料理に関する姿勢など。
 そういう三位一体で個人オードリーがわかる本。

 女優:なし
 プライベート:★★★★★
 内容の正確性:★★★★★
 総合:★★★★




 さて第5位ですが、ここからは上記4つまでと比べると大きく落ちます。
 イアン・ウッドワードの「オードリーの愛と真実」と
 アレグザンダー・ウォーカーの「リアル・ストーリー」がどっこいどっこい。

 イアン・ウッドワードの方は全てが薄味。
 全体にぼやーっとした感じで、とりたてて特長がありません。日本版の表紙もぼやーっとしてます。
 特に特記事項がある訳でもなく、大きな不手際も無く。

 あ、ただこれは最初期に出た伝記本なので、おそらくこれが諸悪の根源かもしれないのですが、オードリーの本名がエッダだとか、ショーンが1月生まれとかが書いてあります。

 また、原書はオードリーがまだ存命中の83年に最初の版が出たからか、当時の最新作「ニューヨークの恋人たち」をヨイショして大いに持ち上げているのも違和感があります。
 「ニューヨークの恋人たち」が「ロビンとマリアン」より上位に置かれる事はないやろ!って普通は誰しも思いますもんね。
 
 あと「尼僧物語」撮影中にオードリーが原作者と会った時の様子が、手に入りやすい公開当時の宣伝資料そのままで載せていて、倉庫まで調べたハイアムの伝記とは内容が違います。

 全体ではまあ読んでも読まなくてもどうってことない、という出来です。

 女優:★★
 プライベート:★★
 記事の正確性:★
 総合:★★




 逆にアレグザンダー・ウォーカーの「リアル・ストーリー」はかなり濃い感じがします。かなりこってりで胃にもたれる感じ。

 攻めてるなーと思います。
 でもそれの空回り感が凄い!

 オードリーの先祖に関してはかなり詳しく載っています。もしそれを知りたいならこの本です!
 もうこの本はこれだけのためにあると言っても過言ではないでしょう。
 でも読んでる人がオードリーの祖先の事をそんなに知りたいかと言うと、そんなことはない。

 そして肝心のオードリーの伝記部分は間違いがめっちゃ多い!
 ほぼ参考にならないくらい間違いだらけです。

 日本の「エクスラン・ヴァリーエ」の撮影の事などをちゃんと調べてないのは、遠い東方の異国のことだから100歩譲って見逃すとしても、「ローマの休日」とかの映画での描写が全然違うのはどういうこと!?映画も見ずに書いてるってことなの??

 また、この著者のオードリーに対しての愛情の無さというか醒めた目線が気になります。

 女優:★
 プライベート:★★
 内容の正確性:★
 総合;★




 次からはさらに質が落ちます。もう読んで欲しくないというレベル。
 ここからは読むと間違いが身に沁みちゃって、大変な事になるよ!というもの。
 まだ読んでないなら、絶対に読まない方がいいです。

 まずはベルトラン・メイエ=スタブレの「オードリー・ヘップバーン 妖精の秘密」。

 この本は、もう他の伝記の寄せ集めだけで構成されています。唯一独自の仕事は雑誌「ELLE」に関する短い部分。
 著者はこの事だけを書くために、残り全部を他の人の伝記から借りて1冊の本に仕上げたってわけ??金儲け目的で?

 しかもベースにした伝記は色々あれど、主に使用したのは最も悪名高いメイチックのもの!
 いやー、こりゃアカンでしょ!
 他にもアレグザンダー・ウォーカーのとか、間違いの多いものから間違いだけを選んで載せたような感じ。

 あれもデタラメ、これもデタラメ。
 アレグザンダー・ウォーカーが「ローマの休日」を見ずに適当に書いた部分がそのまんまだったり。

 このメイエ=スタブレもお金儲けのニオイがプンプンします。
 オードリーの映画なんてちゃんと見ていないの丸わかり。

 ダイアナ・メイチックのデタラメ本のデマ部分を元に書いた、このメイエ=スタブレの本のデマ部分をさらに参考文献にして、Wikipedia とかで堂々と載ってたりするんで本当にゾッとします。

 女優:なし
 プライベート:なし
 内容の正確性:なし
 総合:なし




 そして最悪の伝記はこれ!
 ダイアナ・メイチックの「オードリー・ヘプバーン」。
原題:「AUDREY HEPBURN AN INTIMATE PORTRAIT」。

 いやーこんなトンデモ本、出版したらアカンで!
 なのに未だにこの本を元にオードリーのことを書く人が後を絶たず…。

 これ、オードリーの死後の出版時はオードリー本人がすべてを語り尽くした!ってキャッチフレーズが付いてたんです。
 オードリーが著者と会って話したとか、電話で話したとか。

 なのでそれまで雑誌などでオードリーの事を書く時はチャールズ・ハイアムの本を基にしてたのが、一気にこっちに流れちゃったんですよね。
 チャールズ・ハイアムの本が絶版になったのはこの本のせいかもしれない。まさに悪貨は良貨を駆逐するという状態。

 でもバリー・パリスの伝記に書かれてたんですが、メイチックがオードリーと会ったとか電話で話してたとかって言う日は、オードリーが家にいなかったりとか、病気で臥せってたりしてた、ましてや記録を調べると、電話してた事実すら全然無いということが、息子ショーンやパートナーのロバート・ウォルダーズによって暴かれて裁判沙汰になったんですよね。

 というわけで、この本に独自で載っている事はほとんどウソとデマ。残りは他人の伝記の丸パクリ。
 もちろん著者はオードリーと話したりなんかしていません。

 昔の雑誌に載っていたオードリーのインタビューの一部分を、電話で聞いたと言って載せているものもあります。
 なので実際にオードリーが晩年に身内に喋っていた事と、全く逆のこともいっぱい!

 ショーンは1月生まれだし、ありえないことに本名はエッダだとオードリーが言っていることになってるし、しかもオードリーは拒食症。
 オードリーは後年父と1回しか会ってないし、どんな作品も悪く言わないオードリーが、いろんな自分の作品をこき下ろしてる。
 全部ウソ!

 実際にはありもしないことを、劇的になるように著者の妄想でおもしろおかしく書いています。
 この本(とこれを基にしたメイエ=スタブレの本)だけに書いてある事は、全部ウソだと思った方がいいです。

 オードリーが死んだのをいい事に、“オードリー公認の” なんてうそっぱちのキャッチコピーをつけて金儲けを企んだ、もー本当にどうしようもない汚いクズ本。
 焚書が一番ふさわしいかと。

 これを読んでしまうと、オードリーのエピソードを思い出す時に、それは本当の事なのかメイチックの作り話なのかどうか、いちいち全てのオードリーの伝記本をひっくり返して確認しないといけなくなってしまいます。
 絶対に読まないでください!!!

 確認したい場合はアメリカのアマゾンの評価でも見に行ってください。ホンと酷評ばかりなんで。
 褒めているのは事情を知らない、にわかオードリーファンだけです。

 女優:マイナス。嘘だらけ
 プライベート:マイナス。嘘だらけ
 内容の正確性;マイナス。デマだらけ
 総合:マイナス1000点。ゴミ

 なお、日本に訳出されてないもので、ショーンの伝記以降に発売された Donald Spoto や Edward Z. Epstein の伝記本もありますが、Mengさんによるとどちらも出来が悪いとのこと。

  

Posted by みつお at 09:00Comments(4)伝記ヘップバーンまとめ

2016年07月14日

オードリーのレシピ本!「オードリー at Home」その2

 ロンドンでのオードリー展の図録である写真集「永遠のオードリーファッション」が7/25に発売されます!

 さて前回に引き続いて「オードリー at Home」についてその2です。
 今回はこの本の “伝記” の部分について。

 オードリーの公式な伝記はショーンの本だけで完結かと思っていましたが、こうしてルカの目から見たオードリーも見させてくれてとても嬉しいです。
 そして思うのは、ルカの父はあくまでもアンドレア・ドッティ氏で、メル・ファーラーは何の接点も無い人だということ。全く出てきません。

 この辺はショーンの本では父メル・ファーラーが出てくるのとは全く違うなあ〜と思います。
 オードリーが離婚後メル・ファーラーとは会わないようにしていたとのことなので、おそらくルカとメルはオードリーのお葬式以外では会ったことも無いのではないかと…。

 そして印象に残ったのは、ドッティ側のお祖母さん(オードリーの姑)の後の旦那で、ルカとは血がつながらないけれども仲の良かったお祖父さんが入院していたとき、お見舞いに行ったルカはその荒れ果てた病院と酷い待遇(お祖父さんと同室の人は亡くなっているのに誰にも気付かれなかった)を見て怒りを覚え、オードリーにその名前を1度だけ使うように頼んだということ。

 ちょっと話が逸れますが、日本で大震災が起こった時−それは阪神大震災でも東北大震災でも熊本地震でもそうなのですが−日本人は無秩序にならず、行列を作って配給を受けるのが当たり前なので、暴動や我れ先に物資を奪い合ったりが起こる海外からは驚嘆されていました。

 オードリーも日本人と同じで、自分の名声を特別待遇に利用するというのは潔しとせず、常に列には並ぶ、規則・法律・慣例は守る、としていたようです。
 ですがさすがにこの時ばかりはお願いしたそうで、それ以来お祖父さんの痛みは和らぎ、もっと良い場所へ移されたそうです。
 でもこれもルカには直接明かさず、ずっと後になってオードリー最後のパートナーであるロバート・ウォルダーズから聞いたそうです。

 日本といえば、短いですが(6ページ分)オードリーの初来日(83年)のことも書かれていました。

 その時は家族総出で来日したので、ルカも一緒に日本を回っていたのですが、オードリーもルカも日本に恋してしまい、家族でいつまでも語り継がれる旅になったと書いてあり、日本人としてはとても嬉しく思いました。

 でも今のように世界で日本食がブーム!ということもないので、当時は欧米人には抵抗があったであろう寿司や刺身にはオードリーは決して手をつけなかったと書かれていました。
 今だったらきっとオードリーも美味しいお寿司やお刺身を喜んで食べてくれただろうな〜と思います。

 ただ当時ルカは13才と幼く記憶がちょっとあやふやなのか、なんでもかんでも写真の場所が金閣寺になっていたらしく、訳者さんの手で修正が入っています。確かに明らかにオードリーのバックは京都御所や宇治の平等院鳳凰堂なのに “金閣寺!” とは日本人としては訳せませんよね。

 それにジバンシィと写っているショーの写真も1983年4月9日になってますけど、ジバンシィのショーは日本では4月13・14(以上東京)・16・17(以上大阪)日だったので、リハーサルで写したのでなければ、全然合わないんですけれども…。

 そうそう、写真では「緑の館」撮影中(1958年)以来25年ぶり2度目の着物を羽織るオードリーが見れます。
 もともとオードリーは日本のことを大好きで、そのために世界中で日本に向けてだけテレビCMに出演しています。しかも2度も!(「エクスラン・ヴァリーエ」と「銀座リザ」)
 実際に日本に来て、オードリーは日本をますます愛してくれて、その後機会のあった87年と90年にも来日をしています。

 「緑の館」と言えば、映画で共演するために一時期一緒に暮らして懐いていた鹿のイップ(ピピン)を手放す際のイップの様子とオードリーの心理が今までわからなかったので気になっていたんですが、それもこの本で明らかになりました。
 オードリーは野生の動物を飼い馴らしてしまった自分をやっぱり許せなかったのですね…。

 あと、おぼこくて幼くておとなしい…と思っていたルカにも反抗期があったということが意外でした。
 あまりにもあまりなので、オードリーがルカを叩く!と言って追いかけ回したこともあるとか(ルカは浴室に逃げた)。

 さらには、ルカのジャケットと住み込みの女性料理長の息子のバイクが突然なくなったので、売り払ってマリファナを吸っているのではないかとオードリーと料理長が心配したことがあったと書かれていました(実際にはごろつきに脅されて取られただけだった)。

 それとこれはルカの本なので、ドッティと暮らしていたローマのことも出てくるのですが、オードリーとローマは必ずしもうまくいっていたわけではないことも書かれていました。

 確かにお堅いオードリーと陽気なローマは実は僕の中でもあまり結びつかないのですよね。「ローマの休日」だけしか知らないとそれはわからないでしょうが、オードリーにはその性格からもむしろパリやスイスの方がずっとずっと向いている、と思います。

 この本に書かれていることで、ローマは表面的にだけ人を迎え入れるそうで、よそ者には厳しく、あまりにも真面目で普通で平凡な主婦のオードリーは摩擦が避けられなかった、ということです。

 今までの伝記でもオードリーはじっと家で庭いじりなどをしてるのが好きだけれど、ローマ人はパーティーが大好き!みたいに書かれていましたし、やはり本質が違うのかなーと思います。

 それとオードリーの親友のコニー・ウォルドやドリス・ブリンナーのことはもちろん、ジュリー・アンドリュースも何度か出てきます。

 オードリーとジュリーは仲が良くて、オードリーのスイスにあるグシュタードの別荘で年末を過ごす時にはジュリー・アンドリュース(とその旦那のブレーク・エドワーズ監督)とよく行き来していたとか。

 ジュリーはルカにもとても親切だったそうですが、2人の “フェア・レディ” と普通の時間を過ごせたなんて、一般人からすると夢のようなお話ですよね。

 そういえばオードリーってスイスにはラ・ペジブル以外に、グシュタードにも別荘を持っていたんですね。
 今度スイスへ行く事があったら、その別荘にも行ってみないと!と思いました。

 さてルカの本で胸が痛むのはオードリーとアンドレアの離婚のこと、そしてオードリーの死について書かれている箇所です。

 ルカは8才くらいの時(ということは1978年)に父アンドレア・ドッティから “ママと私が別れるようなことがあったらどう思う?” と言われて泣き出しています。 

 この段階で夫婦としての二人はかなりダメになっていたのでしょう。
 ルカも父がオードリーとの結婚期間中におびただしい数の不貞を働いたと認めています。
 78年〜79年の冬に撮影の「華麗なる相続人」の共演者ベン・ギャザラとオードリーの恋愛もその後に起こっています。

 そして離婚を完全に決意したのが1980年の夏。モスクワ・オリンピックを見ている最中に告げられたルカは、その後五輪マークにトラウマを抱えるようになったとか…。正式には1982年に離婚しています。

 でもその後オードリーが会おうともしなかったというメル・ファーラーとは違い、アンドレア・ドッティとはお互いに気にかけていたようです。

 精神科医でもあったドッティが、離婚後10年して癌のオードリーのカルテを見た時気を失ってしまったとか…。もはや助からないことが医者であるドッティにはわかってしまったんですね。

 ルカはショーンに休息を取るように言われて映画館で過ごしていた時に、母オードリーの最期を知らせる電話を受けたと書いています。
 きっとオードリーがルカを守るために配慮してくれたのだと良い方に捉えようと書いていますが、母の最期に立ち会えなかったというのは、僕はとても悲しく残念に感じてしまいました。

 実際にはオードリーの死の部分は序章に書いてあって、決して読後が悲しくなるような構成にはなっていません。
 他にも序章にはルカにとっての母は映画用の白黒写真ではなく、家族のカラー写真の中にあることが書いてあります。

 伝記本というにはオードリーが感じていたことが書いてあるわけではなく、なんだかオードリーは脇役のようにも感じますが、これはあくまで息子ルカから見た母の思い出。

 確かにここで読めるオードリーは、決して最近イメージが固定化されそうなモノクロ画像の古いスターではなく、ルカの眼に映る、生きて動く本当のオードリーであることは間違いないです。

オススメ度:★★★★★(オードリーファンならぜひ読んでおきたい1冊!)


  


Posted by みつお at 18:00Comments(8)伝記

2016年07月07日

オードリーのレシピ本!「オードリー at Home」その1

 写真集「永遠のオードリーファッション」の発売日が延びています。もともと6/25くらいに発売の予定が、7/11に延び、さらに7/25に延期されています。

 さて、記事をお待たせしてすみませんでした。こちらは念願のオードリー・ヘプバーンのレシピ本「オードリー at Home(オードリーアットホーム)」の日本語版です。

 記事がとても長くなりそうなので、今回と次回、2回に分けて載せようと思います。

 昨年英語版は発売されていましたが、1年経ってようやく日本語版が出ました。

 著者はオードリーの次男であるルカ・ドッティ。
 なんかルカといえば昔のおぼこいイメージが僕の中で取れないので、ルカ・ドッティ氏と改まっては書けません。
 なんせ2004年の大規模な “timeless audrey” 展の来日時でもまだまだ若かったですしね。
 いつまでもかわいいルカ坊や、というイメージです。本当はもういいおじさんになってますけどね。

 ある日本の出版社に昨年 “オードリーのレシピ本があるんですけど、翻訳してくださいませんか?”と希望を述べた所、結構乗ってくださって権利獲得に動いていただいたのですが、先に日本の別の出版社が権利獲得でもう動いていたと返事を頂きました。

 なので日本語版が出るだろうと英版を買わずに我慢していたのですが、待って良かった!もうちょっとで痺れを切らして英語版を買う所でした。

 日本版の出版社はフォーインスクリーンプレイ事業部。
 現在までアマゾンで外国映画部門で何度もベストセラー1位になっています。

 まあ、あのオードリー・ヘプバーンのレシピ本となれば必ず売れますよね。
 これは権利獲得に素早く動いたフォーインさんの大勝利ですね。

 さて、こちらに来ていただいているまるさんから英語版の方のお話は伺ってたのですが、まずは “紙の質がとても悪い!” ということでした。
 これは気になったので、フォーインの担当さんに直接問い合わせてみました。

 かつて写真集「オードリーのローマ」でも、元のイタリア版&英語版がかなり酷い紙(ザラザラの上質紙)を使用していたのですが、日本版ではマットコートという良質な紙に変更されていたので、今回もどうかなーと思ったんです。

 そこで頂いたお返事は、コート紙(ツルツルの紙)ではないですが、やはり日本版では紙が高級な物に変更されているということ。

 実際に買ってみてわかりましたが、確かにコート紙ではないのが残念ですが、これならまだだいぶマシだろう、という紙に変更されています。
 さすが世界最高の日本の印刷業界ですよね!

 表紙は日本の本としては珍しくハードカバーそのままの装丁です。普通はカバーを巻いてさらに帯を付けて…というのが日本の本なんですが、こういうのも新鮮です。
 ただし、こういう装丁の本は傷みやすいので要注意です。

 表紙は画像の部分だけPPコーティングがなされており、そこだけツヤがあります。
 おそらくこの装丁は原書に揃えたんだろうと思われます。

 そしてもうひとつ重大なことをまるさんに伺ってたのですが、このルカの本には兄であるショーンの画像がただの1枚も載っていない!ということ。

 文章には兄のことがたまに出てくるのですが、なぜか一切その兄であるショーンの画像は無し。
 オードリーが1983年に初来日した際も家族で来日しており、ルカはどこに行くにもショーンと一緒だったはずですが、その来日時の家族での画像はなく、オードリー単独のものばかり。

 2004年に日本版が出たショーンによるオードリーの伝記本ではルカが載っていましたから、これはやっぱり…と思ってしまいます。
 昨年ですが、オードリーの遺産をめぐり、ショーンがルカを訴えたと報道されていましたしね。
 実際に自分の目でショーンが載っていないのを確認して、あの報道は本当だったのかなーとまた悲しくなってしまいました。

 さて内容ですが、これはオードリーのレシピ本でもあってそれが最大のウリだとは思うのですが、読んでみて思うのは、これはルカによるオードリーの伝記本だということ。さらには未発表画像を多く含む写真集でもあります。

 今回は上記の “装丁” や “紙質” などの本としての部分と、“写真集” の部分、そして “レシピ本” に関してを書いておきます。
 “伝記” としての部分はまた次回、ということで。

 これは写真集としてみると、やはり家族でないと持っていない貴重な写真が多く掲載されています。
 もちろん今までの写真集で載っていた物もありますが、多くは初収録です。

 最後の方のページの写真の出典を見ると、オードリーの大親友だったコニー・ウォルドやドリス・ブリンナー(男優ユル・ブリンナーの2度目の奥さん)の画像もありました。

 写真家ボブ・ウィロビー氏のものもありましたが、これはよく見る物で有り難み無し。

 他にはルカとは関係なさそうな20代のオードリーの画像もちらほら。これがちょっとこの本の中では浮き気味でした。

 写真家のセシル・ビートン(「マイ・フェア・レディ」の衣装デザイナーでもある)がオードリーが半ば引退状態だった1971年にドッティと撮った写真もあり、本当にビートンはオードリーが好きだったんだねーと思いました。

 ちなみにその時のオードリーは「エクスラン・ヴァリーエ」のCMでも使用したヴァレンティノ・ガラヴァーニの衣装を着ています。
 ローマに住んでいた時代、オードリーが愛用していたデザイナーですね。

 ひとつ、全く同じ画像が2回出てくるのが気になりました。
 章の始めでバックに薄くモノクロで載っている画像を、後でカラーで鮮明に載せるのはかまわないんですが、オードリーがジャック・ラッセル種のジェシーと写っている画像が同じくらいの小ささでどちらもカラーで載っていました。これは…間違えて2回載せたのかな?と思いました。(182と223ページ)

 さて、みんなが一番興味があるであろうレシピに関しては、75種類の料理(+奇跡のレシピ)が載っています。
 が、僕が買う前に思っていた “オードリーが作った料理のレシピ” というよりも、オードリーの家庭で食卓に上った料理、という認識の方が正しいのかもしれません。

 もちろんオードリー自身が作った料理もたくさんあるのですが、オードリーの家に家族同然で住み込みで働いてた女性のレシピや、親友のコニー・ウォルドやドリス・ブリンナーと交換したレシピも含まれています。

 意外なのはオードリーがカレーライスが大好きだったということ!なんとこの本にも2種類ものレシピが載っています。
 もちろん日本のカレーライスとは違い、お米は長粒品種だし、おそらくカレーも日本のようには粘り気はないもの。
 さらにはオードリーの母エラは、オードリー以上にカレーが大好きだった、というのは驚きでした。

 こういうのは身内が書く本だからこそ初めて明らかになる事実ですね。

 それと以前からよく語られていましたが、オードリーのチョコレートとパスタ好きは並じゃないですね(笑)。

 特にスパゲッティ・アル・ポモドーロ(シンプルなトマトソースのスパゲッティ)への愛は凄くて、自分でも作る他、レストランでも頼んでいたとか。

 家族旅行でも、オードリーは2つスーツケースを持って行ってたんですが、1つは衣類が入っている大きくて軽いもの。もう1つは小さいのに重く、ロバート・ウォルダーズがレンガでも入っているのかと訊いたほど。オードリーは微笑みながら “スパゲッティよ” と答えたそうです。
 表紙もこのパスタを取り分けるオードリーになっています。

 もう今では言われることも無くなりましたが、一時期オードリーが拒食症だったとかっていうデマがありましたが、実際は全然違いますね。
 パスタに関してはお皿に溢れんばかりの量をおかわりしていたそうです。

 オードリーの変わらない体型に関しては、やはり戦争中の極端な栄養失調のせいみたいですね。
 オードリーが舞台「ジジ」のためにアメリカに渡った時に太っていたという逸話ですが、アメリカ上陸直後の写真がリチャード・アヴェドンによって残されていますが、実際は一般人と比べると充分に細いです、残念ながら。

 さて、オードリーのレシピに関しては日本では馴染みのない食材もありますが、後ろにまとめて説明が載っていて、代用出来る物とかも書いています。

 中には僕なんかでも作れそうな物もちらほら。
 オードリー自身が簡単でかつ美味しい物を好んだこともあり、比較的実際に作りやすいのではないかと思います。

 (その2に続く)


  


Posted by みつお at 18:00Comments(2)伝記

2007年09月23日

涙涙の「AUDREY HEPBURN 母、オードリーのこと」

 いや~、やっとこの伝記にたどり着きました!原書での発売順に紹介すると、どうしてもこれが最後になってしまうもので…。

 これはオードリーの長男、ショーン・ヘップバーン・フェラー(この本での表記)が書いたオードリーの伝記、「AUDREY HEPBURN 母、オードリーのこと(AUDREY HEPBURN, AN ELEGANT SPIRIT)」です。
 日本版は竹書房から2004年5月に発売されました。

 オードリーが生涯で2度だけ出たCM(「エクスラン・ヴァリーエ」「銀座リザ」)の製作をして、個人的にも付き合いのあった加藤タキさんが監修をされているのも嬉しいですね。(^-^

 さて、息子ショーンは当然1960年代後半からのオードリーをもっとも時間的に長く知る人物で、素のオードリーを一番知っていると言えるでしょうね。

 これまでのすべての伝記がオードリーを外堀を埋めるように周りから攻めるしかなかったのに比べ、この伝記は本当のオードリーを中から教えてくれます。

 写真集と言ってもいいほどの貴重な画像も満載ですし、文章量自体はかなり少ないんじゃないかと思います。
 それに、私生活でのオードリーは100%知っていても、女優オードリーに関してはあまり完璧ではないショーンなので、写真についている年度は誤りが多いです。1954年ごろの画像が1949年になっていたり、「いつも2人で」の画像が1965年で「おしゃれ泥棒」の画像が1966年などなど。
 それでもここで知り得ることは、他の伝記を寄せ付けないほど!

 バリー・パリス以外の伝記でエッダというのがオードリーの本名であると語られてきましたが、ここで完全にオードリーこそが本名で、エッダは仮の名だったことが明かされます。
 オードリーの性格上、芸名を名乗るとは考えにくいなーと思ってきたファンのもやもやが、ここで一気に解消されるわけですね!

 またショーンの誕生月は1月ではなく、7月であることもわかります。確かにショーンがここで書いているように、いかに今までの伝記の信憑性が低かったかということですね。
 特にでたらめばかりのダイアナ・メイチックのは論外!

 中には、オードリーがどれだけ人の悪口を言わなかったかがわかる文章もあります。オードリーをいじめていたというハンフリー・ボガードのことでさえも、“フェアじゃない!”と怒っているショーンに、“あの方がそう思う理由があったのよ。”と逆にいさめるほど。

 他にも、今までの伝記ではつらい撮影現場だったように書かれてきた「パリで一緒に」の撮影中は、実はとても楽しかったとショーンに言っていたこと。
 これはそうだろうなーと思ってました!そうでないとあのどの作品よりも美しいオードリーは出せませんよね!

 後半、オードリーが病気になってからはかなり克明に経過が書かれているのですが、正直涙なくして読むことはできません。僕も滂沱と落涙する自分に気づいてびっくり!
 僕らが思っているよりも、もっと素晴らしい本当のオードリーにここで出会うことができます!

 ちなみに、「華麗なるパラマウント映画時代」などのオードリー本を出版した東京書籍さんもこの本を出版したいと思ったそうですが、気付いた時は既に竹書房さんが権利を取っていたそうです。

伝記としての価値:★★★★★(写真集としても★★★★★!オードリーファン必携の書!)

 なお、この本以降、日本ではオードリーの伝記が発売されていませんが、海外ではその後も発売されています。このショーンの本で明らかになった事実をもとに修正された、より真実に近いオードリーの伝記をぜひ読んでみたい!と思ってるんですけどねー。


  


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2007年09月11日

伝記「オードリー・ヘップバーン 妖精の秘密」スタブレ著

 *大丸京都店で「華麗なるハリウッド映画衣装展」開催中!17日まで

 日本では、アレグザンダー・ウォーカーの伝記から間髪を置かずに2003年1月末に発売されてびっくりしました。

 これはベルトラン・メイエ=スタブレという作者の「オードリー・ヘップバーン 妖精の秘密」という伝記です。

 当時、友人のカリンさんなどとも話し合いましたが、似たような伝記ばかりじゃなく、珍しい画像満載の写真集のほうが嬉しいよね!ってことで意見が一致しました。

 似たような…という印象は、この伝記がほとんど新情報はなく、今までのオードリーの伝記からの寄せ集めで作られているから。
 文章中にも、かなり“ハイヤムは”とか“メイチックは”とかってのが目に付きます。

 そう!原著は2000年発行で、バリー・パリスの伝記なども発売後であるにもかかわらず、まだ“オードリーがこう言った”というでっちあげメイチックの伝記から多くを借りていて、メイチックの伝記そのままの部分もあります。

 その上文章量は少なめで、今までの伝記をまとめて簡略化しました、という出来です。しかもかなり不出来。
 出来の良いバリー・パリスやチャールズ・ハイアム、せめてイアン・ウッドワードの伝記に負う部分が多いとよかったのですが、どちらかというとアレグザンダー・ウォーカーやダイアナ・メイチックという伝記からの借り物の方が多いです。

 ですから他の伝記を読んでいると、“これ、以前も読んだ!”って部分ばかりでがっかりするでしょうね。新しいことは、雑誌「ELLE」に関することくらいかな。それもごく少ないし。

 オードリーはエッダ扱いだし、ショーンは1月生まれ。「ローマの休日」で大使館に消える前のアン王女とジョーはタクシーに乗ってるし、「ヴァリーエ」は1日半の仕事で唯一のオードリー出演CM。
 過去の伝記の悪いところや間違いがすべて凝縮されてるやーん!って。

 また翻訳にもかなり難があり、文章につじつまが合わない部分が相当量あります。
 他の伝記で同じ文章があったので、そちらを思い出して読めば大丈夫だけれども…みたいな。

 到底オススメは出来ないレベルの伝記。ショーン、バリー・パリス、チャールズ・ハイアムの伝記を読んだほうがいいかな、と。(^^;

伝記としての価値:★


  
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2007年08月21日

「オードリー リアル・ストーリー」アレグザンダー・ウォーカー

 これは原著は1994年発行、その後2001年に新たな1章を追加された物を2003年1月に翻訳・発行した伝記です。著者はアレグザンダー・ウォーカー。

 通して読んで思うのは、今までのオードリーの伝記に比べて、ややオードリーを突き放して醒めた目で見ている、ということ。
 たとえ最初に載っている日本の読者へのメッセージで
“オードリーほど、その良心に感銘を受けた女優はいません”
と書かれていたにしても、です。

 これはフレッド・ジンネマン監督の自伝でわかりましたが、著者が映画評論家であること、それと20冊以上も映画スターの伝記を書いてきた人であることが原因じゃないかな?って思ってます。

 きっと何人もの伝記を書いていたら、あんまり誰も彼もに感情移入できない、ちょっと離れて冷静にその人を見ないといけないんだろうなーって思いますし。

 確かにユニセフ以降の文章は敬意をもって書かれているのですが、チャールズ・ハイアムイアン・ウッドワードの伝記に比べ、映画女優時代のオードリーにはちょっと冷たい。
 これは「昼下りの情事」や「マイ・フェア・レディ」の部分を読めば特にわかります。愛情を感じないんですよねー。

 オードリーが絶対に他人に喋りそうもない“モーリス・シュバリエと二度と共演したくなかったのだ”とか書いてあったりするし、それが映画版「ジジ」である「恋の手ほどき」出演辞退の原因にされてる…。

 また、「パリで一緒に」の出演を決める際、クワイン監督の「逢う時はいつも他人」を観てカメラマンのチャールズ・ラング・ジュニアの仕事に感銘を受けた、となってるんですが、チャールズ・ラング・ジュニアとオードリーは既に「麗しのサブリナ」で顔合わせ済み。
 「逢う時はいつも他人」は関係ないと思うんですけど…。

 なお、チャールズ・ラング・ジュニアは「パリで一緒に」で非常に綺麗にオードリーを撮り、フランツ・プラナーの後を継いでオードリーのお気に入りカメラマンになり、その後も「シャレード」「おしゃれ泥棒」「暗くなるまで待って」でオードリーと組んでいます。
 いずれもオードリーが美しく撮れているのはみなさんご存知のとおり。

 また、“本当にオードリーの映画観て書いてる?”って思いたくなるような記述も多々あり。
 たとえば、「ローマの休日」で、楽しい1日が終わって大使館に戻るアン王女は、ジョーとタクシーの後部座席に乗っていたそうです。(^^;

 全体にちょっと淀川長治さん風の勝手な思い込みが入った伝記のよう。

 特徴はオードリーの伝記の中ではオードリーの親戚のお話が幅を取っていること。ヘップバーンの姓の由来や、オードリーの父親の話が(継母の話も含めて)一番多く書き記されています。
 ただし、オードリーとは直接関係ないような気も…。

 オードリーの本名は相変わらず“エッダ”扱いだし、ショーンは1月生まれ。
 エクスラン「ヴァリーエ」の仕事は1日半で済んだそうで(実際は約20日)、最初で最後のCM出演扱い(実際は「銀座リザ」で1982年にもCM出演)。
 息子のショーンに、“推して知るべし”といわれても仕方ない出来、というところでしょうか。

 合間合間に挟まれる画像はたまに珍しいものもあります。
 表紙の晩年のオードリーが嬉しいですね!

伝記としての価値:★


  

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2007年08月06日

集英社「オードリー・ヘップバーン」バリー・パリス著上下巻

 これは原書は1996年に発行、日本では1998年に集英社から発売された、バリー・パリス著の「オードリー・ヘップバーン」上下巻です。

 今のところ、オードリーの伝記で2冊分冊になっているのはこれだけです。相当なボリュームですよね。

 あと、この伝記の大きな特徴は、息子ショーンの伝記の中で“母の伝記を7冊読んだが、バリー・パリス著の一部を除いてあまりいい気がしなかった”と述べられていること。
 すなわち、一部は認めている、ということ。これは他の伝記には与えられなかった名誉ですね。

 というのも、他の伝記は今までオードリーとはあまり親しくない人からの話で構成されていたのですが、ここではオードリーとかなり親しい人たち…最後の伴侶ロバート・ウォルダーズ、メル・ファラー、親友コニー・ウォルド、同じく親友のドリス・ブリンナー、ジヴァンシー、ビリー&オードリー・ワイルダーなど、本当のオードリーをよく知る人たちの話で構成されているのが大きいと思われます。

 伝記にはつきものの画像集も、下巻のが特に貴重。晩年の地のオードリーがたくさん見れます。

 ショーンの誕生日はまだ1月になっていたり、日本のCM「ヴァリーエ」での撮影がたった2日だとか、まだまだ間違いは多いものの、初めてオードリーの伝記でオードリーの本名が“エッダ”ではなく“オードリー”で表記されているのも格段の進歩。

 また、“でっちあげ”のダイアナ・メイチックの伝記他で断定されていた拒食症の問題はここではやんわり否定されています。これもオードリーに近い人からインタビューを取ったおかげでしょう。

 晩年のユニセフでの活動も、1回目の旅エチオピアから、8回目の最後のソマリアまでかなり詳しく述べられています。ここまでユニセフに関して割いた伝記も初めて。

 息子のショーンから一部しか認められてないにしろ、かなり本当のオードリーに近づいたこの伝記は、やはり一度読んでおいたほうがいいと思います。
 ただ翻訳者(永井淳)にはやや難があり、「昼下りの情事」「いつも2人で」が“昼下がりの情事”“いつも二人で”の表記になっています。伝記を書くには、それなりに調べておいてほしいと思いました。

 こうして現在、オードリーの数々の伝記が出てきてわかったことは、伝記だからといって、必ずしもすべてが真実ではない!ということ。ダイアナ・メイチックのは論外として、他の伝記にも間違いはかなり紛れ込んでいるので、きちんと取捨選択する目は必要かと。

 ショーンの伝記、ハイアムの伝記、そしてこのパリスの伝記が今のところ、日本で翻訳されているオードリーの3大伝記だと思ってます。

 女優オードリーはハイアムの伝記で、人間オードリーはこのパリスの伝記で、それをさらに補完するのがショーンの伝記、って具合で。オードリーの人生のことを書くとき、どれか1つでも欠けたらダメ、この3冊は必読書なんじゃないかな~。

 なお、この伝記は後に「オードリー・ヘップバーン物語」として文庫でも発売されました。

伝記としてのオススメ度:★★★★



  


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2007年05月23日

嘘の塊!?…「オードリー・ヘプバーン」ダイアナ・メイチック著

 これは本当に最悪です!嘘で埋め尽くされているそうです!

 となると読む価値は全くありません!購入を考えている方は、息子ショーンなど、別の作者のオードリーの伝記をオススメします。

 普通、同じ人の伝記を書いた者同士、他の人を貶めるような文章は書かないと思うのですが、あまりにもメイチックの場合ひどすぎたのでしょう。バリー・パリスのオードリーの伝記の中で、この本のことでオードリーの家族が怒り、裁判沙汰になっていることが述べられています。

 帯に書かれてある“オードリー公認の評伝”、これがまるで嘘っぱちだったことが後で法廷で暴かれたそうです。

 作者がオードリーに会った、としている時期やオードリーが作者と電話をしていたという時期…オードリーはユニセフの仕事でその場にいなかったり、病気でとても話が出来る状態ではなかったそう。
 これはオードリーの最後の伴侶だったロバート・ウォルダーズがその当時の記録を調べて、完全に明らかにされています。

 そこで、あたかもオードリー本人が語ったかのようなような嘘を書いたメイチックに対してショーンが告訴。当然ショーンが勝訴し、ここに書かれていることは事実ではない、ということになったそうです。

 ということで、オードリーが話しているという部分はすべてメイチックの作り話。
 確かに読んでいる時からオードリーが喋りそうもないことがいっぱい書いてあるなーと思ってましたが…全部でたらめだったとはね~。

 日本の「小説オードリー・ヘプバーン」「オードリー・ヘップバーン物語」のように、フィクションであるとことわっているなら別ですが、“これが本当にオードリーが言った言葉!”“この本がオードリーの伝記では唯一の公認で最高の伝記!”と読者を騙してハクをつけようという著者に対して、怒りを禁じえません!

 本文にはオードリーが自分でエッダだったという意味の部分もありますし、エッダが本名でないとわかった今、こんなこと自分で話してるわけもない。これもウソ。
 一緒に作ってきたクルーの努力を考えて、決してどの作品のこともけなさないオードリーがいくつかの作品を「最低」だのと言っている…これも当然ウソ。
 「噂の二人」の時期にずっと男に追い回されていた…これも話を面白くするためにオードリーが大学生にオスカーを盗まれた話を大きくしたウソ。
 オードリーが摂食障害、これもおおげさに書いて煽っているウソ。

 嘘・嘘・嘘で塗り固められた勝手なでっちあげと、自分で調べずに他の人の書いたオードリーの伝記本からパクった部分を合わせて書き上げた、お金儲けのためのまさに最低最悪な本!!
 一生懸命翻訳した訳者さんには大変申し訳ないですが…絶版になってるのも致し方ないです。

 訳者さんにも実は少し不満があります。
 「初恋」がビデオだけの日本未公開だとか(実際は66年と93年の2回も公開されている!)、
「昼下りの情事」を「昼下がりの情事」と“が”入りで表記するなど(これはパソコンなどの変換による弊害)、ちょっとオードリーの伝記を翻訳するには下調べが足りないのでは?と思われます。
 でもあとがきで述べてくださっている「パリで一緒に」や「ロビンとマリアン」の評価は、非常に嬉しいので、この程度なら実害はないのですが。

 こういう伝記につきものの画像は、日本版では印刷物から印刷すると起きるモアレ現象が起こってます。中身も画像も質が悪く、取柄は全くありません。

伝記としての価値:なし、どころかマイナス!オススメできないのも当然ですよね?

そういえば、オードリーの伝記って、息子のショーンの本が出て以来、日本で出版されませんね。
海外ではショーンの本以降も活発に出版されているようなのですが…。


  
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2007年05月20日

「オードリー・ヘプバーン 映画に燃えた華麗な人生」ハイアム著

 今日は「スクリーン」の近代映画社が発行したチャールズ・ハイアム著の「オードリー・ヘプバーン 映画に燃えた華麗な人生」です。

 これは日本で最初に翻訳された本格的なオードリーの伝記で、僕も発売すぐに買って読みましたが、それまで日本で発売されて読んでいた「オードリー・ヘップバーン物語」「小説オードリー・ヘプバーン」とはまるで違う濃い内容にびっくりしたものです!僕は何度も何度も読み返しました。

 中身は1983年に執筆84年に出版された本だけに、まだユニセフの活動もなく、ロバート・ウォルダーズとの愛情も始まったばかり。もちろんオードリーはまだまだ元気です。

 でも同年発売だったイアン・ウッドワードの方の伝記ではなく、こちらの方を出版した近代映画社、さすがです!
 薄味のウッドワードの伝記に比べて、かなり突っ込んだ内容に仕上がってて読後の充実感はこちらが上。

 この本の特徴は、他の伝記より出演映画に関してかなり多くのページが割かれていることです。作られていく過程や、その評価などは伝記と切り離しても読む価値はあるんじゃないかと思います。
 中では、「いつも2人で」に関しての記述が秀抜です!

 たとえば「尼僧物語」は原作者と会ったときに、プレス向けでは「オードリーは緊張してなにも話せなかった」となってるんですが、実際には尼僧の習慣や所作に関して相当深く話し合ったらしいです。
 簡単にプレスで調べられる「話さなかった」ではなく、ワーナー保管の当時の資料を調べなければわからない「質問していた」と記述されていることからも、この本の姿勢がうかがえると思います。

 日本とは作品の評価が大きく違う物があったりするんですが、それはそれで“へ~っ、海外ではこんな風に観てるのか”って思って読めばそれでいいかと。
 ま、ある程度オードリーの作品を観てから読んだほうが、変な先入観無しに映画を楽しめるとは思います。で、この本で新しい見方を発見して再度観てみる、とかね。

 さて、ショーン執筆の伝記以前は間違っているのが多いオードリーの本名は、ここでは残念ながらエッダ扱い。
 ショーンの誕生日は明記されてないんですが、59年秋に懐妊、3月にはまだおなかにショーンがいることになってるので、合ってるように思えます。
 ただ、「撮影予定は初夏なのでそれまでショーンにかまけていられた」という記述もあるので、7月はもう初夏じゃないよな~って何がなんだか…。(^^;

 この本の出版以降、次のイアン・ウッドワードやダイアナ・メイチックの伝記が1993年に出るまで、オードリーのことを書くならこの本を読んでから書かなければいけない!という状態になり、オードリー評論にはこの本の影がかなり色濃く出ているという、日本で大きな影響を与えた本です。

 息子のショーンとしては気に入らない部分も多々あるかとは思いますが、オードリーの事に関して真摯な態度で執筆されているこの本は、最高点はつけられないものの決して悪くないと思ってます。

伝記としての価値:★★★★(“女優オードリー”の伝記として。)


  


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2007年05月14日

「オードリーの愛と真実」イアン・ウッドワード著

 …ちょっと写真テカッてて見にくいですけど。
 これはイアン・ウッドワード著の「オードリーの愛と真実」です。

 原書はもともと1984年に刊行されてベストセラーになったもので、オードリーの死後1993年に最後の2章が書き加えられて改訂されました。日本語版はこの改訂後のものが訳されて1993年年末に刊行されています。

 チャールズ・ハイヤム著のオードリーの伝記も1984年発行で、どちらが先に世に出たのかはわかりませんが、とりあえず先にこちらから紹介させてもらいます。

 この伝記は息子のショーンが後に否定する2重の間違いがそのまま書いてあります。これが諸悪の根源かもしれません。その間違いとは

 1.オードリーの本名をエッダとしたこと。(本名もオードリー)
 2.ショーンの誕生日を60年1月17日にしたこと。(実際は7月17日)

 これが後のオードリーの伝記でことごとく“正しいもの”として扱われるんですよね。だからこの本では戦時中名前を改名したことまで書いているのに、“その名前は今になるまで明かされていない”などと書いてあって、エッダがそれであるということには気づいてない。

 で、これ以降の伝記が転載ばっかりで、いかに自分で調べてないか、ということもわかるということですね。少なくともショーンの誕生日くらいは簡単にわかると思うのですが…。

 これでは息子のショーンがオードリーの伝記を7冊読んで、バリー・パリスの一部以外は“いい気がしなかった”と書かかれても文句が言えません。
 おそらくはこれら以外にも、誤記は相当数あるものと推察されます。

 ま、ただこの著者はオードリーにもの凄い敬意をはらって書いているのはわかります。 間違いがあっても、悪意ある捏造ではないのは確かです。
 でも同年発売のチャールズ・ハイアムの伝記と比べてどうも突っ込みが浅く、オードリーの表層をなぞっているだけのような気がするのは僕だけでしょうか?

 これはきっとオードリーが存命中にもかかわらず、オードリー本人に対するインタビューはなく、周りの人からの話だけで構成されているからなのでしょう。
 というのも、当時はまだオードリーがユニセフに関わる前の段階で、自分のことはいっさい語らない、というのを実行してたから無理だったのかもしれません。

 オードリー映画に関しては、最初に刊行されたのが1984年だったため、その段階の最後の作品である「ニューヨークの恋人たち」をけなすわけにもいかなかったのか、「ロビンとマリアン」に比べて、「ニューヨークの恋人たち」への評価がかなり甘いのが気になります。

 とまあ、いろいろ問題はあるにせよ、まだ海外ではオードリーの再評価がなされてない1984年当時に、これだけのものを書き上げた、ってことに対するポイントは高く、後味は悪くありません。

伝記としての価値:★★(最初の本格的な伝記の1つです)


  

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