2017年12月17日

写真集 “AUDREY HEPBURN オードリー・ヘプバーン” クレヴィス刊

写真展 “オードリー・ヘプバーン 〜今よみがえる、永遠の妖精〜”

大丸京都店 <ファッション編120点のみ>(終了)
大丸心斎橋店 <映画編120点のみ>(終了)
松坂屋名古屋店 <240点の中から抜粋>(終了)
・日本橋三越本店 <240点が一挙に展示>
 期間:2018年1月10日(水)~1月22日(月)
 場所:新館7階催物会場
・大丸札幌店 <240点の中から抜粋>
 期間:2018年3月 ※開催日未定
 場所:7階ホール

 はい、今回は久々に純日本版の写真集 “AUDREY HEPBURN オードリー・ヘプバーン” の紹介。
 ちなみにこれは今日本を巡回中の写真展 “オードリー・ヘプバーン 〜今よみがえる、永遠の妖精〜” の図録に当たります。

 発行は写真展を主催している株式会社クレヴィス。
 展示会に沿った写真集だからか著者というものはなく、“編著:高山裕美子、編集:別府 笑” となっています。

 完全日本版の写真集としては2014年のスクリーン復刻のオンデマンド本以来、一般の本屋に並ぶものとしては2012年 “perfect style of Audrey” 以来という本当に久しぶりのもの!

 海外では毎年オードリーの写真集が出ているのに、ここんとこは全然日本版のものが出てなかったので写真展で見つけたときはめっちゃ嬉しかったですよ!
 …中身を見るまでは…。

 まあここに来て頂いている常連さんならバレてたと思いますが、出来が良いと僕はすぐに紹介するんですが、出来が悪いものはズルズルと紹介が遅れるんですよね。そして9月に手に入れたのにここまで紹介が延びたというのは、まあそういうことです…。

 最近、海外の写真集でも不出来なものには辛い点をつけてますから、日本製といえども不出来なものは不出来とハッキリ言います。

 僕はここに載せるためにこの写真集を京都の展示会で買いましたよ。でもね、この写真集の見本を展示会で見たときのガッカリ感はめっちゃ凄かった!

 2004年のショーンのオードリー展や韓国でのオードリー展でも思いましたが、こういう図録はオードリーに関して素人さんが画像を選択するのか、なぜか展示会で飾ってあったファン垂涎の本当に貴重な写真は載ってなくて、写りが良い(だからいろんな写真集に載っている平凡な)画像ばかり載っているという罠に陥りやすく、この写真集も “写真展の呪い” にどっぷりはまっています。

 写真展には飾ってあった1957年のテレビのインタビューを受ける前に緊張しているオードリーとかの超珍しいものはカットされていて、過去の “オードリーに魅せられて” とかボブ・ウィロビーの一連の写真集(これとかこれとかこれとかこれ)に載ってたものばかり…。
 かろうじて写真集に収録されて貴重なのは「噂の二人」のボブ・ウィロビーのものとか「尼僧物語」の一部とか…。

 写真集に載せる展示会の画像の選択は一体誰がやっているのか…。
 とにかく、この画像を選んだ人はもちろん “オードリーに魅せられて” とかボブ・ウィロビーの一連の写真集は見たこともないというオードリーのファンとしてはかなり浅い人だと思います。もしかしたらオードリーのファンですらないのかもしれない。

 一緒に京都の写真展にいらしてた寝ても覚めても。さんも訊いてみたところこの写真集はお買いになってなかったですし、僕の友人で名古屋に見に行かれたカリンさんも見本を見て “買わないことに決めました” とおっしゃってましたよ。

 この写真集は一体誰がターゲットなんですかね?この出来でコアなオードリーファンに買ってもらえるとでも?
 オードリーに詳しくない人が編纂して、全オードリーファンをターゲットにしようとしたのでしょうが、内容はライトなファン向け。
 そしてライトなファンが果たして写真集などというコアなものを買ってくれるのかどうか…。

 文章やキャプションもついているんですが、これがまたヒドイ。
 「昼下りの情事」を “昼下がりの情事”と“が”の送り仮名を入れてしまってる。
 題名は作品の“顔”ですよ。それをこんなないがしろにして…。

 確かにパソコンなどで “ひるさがり” と打つと“昼下がり”と “が”入り変換されますけど、こんなのちょっとネットで調べればオードリーの作品に“が”の送り仮名はいらないとわかるじゃないですか!
 写真展でも写真集でも“昼下がりの情事” と書いていて、本当にこれがプロの仕事??と疑いたくなります。

 大阪開催前の京都で指摘したのに、大阪でも“が” が入ったまんまでしたし、きっと名古屋でも東京でも“昼下がりの情事” って恥ずかしい表記のままで展示されてるのでしょうね。こんなの本気でオードリーの仕事してるとは思えない。

 (※名古屋以降の展示会、およびこの写真集の2刷以降では「昼下りの情事」と、“が”無しの正しい表記に修正されたそうです)

 写真展でも感じましたが、キャプションではこんなの必要?って思うような書いた人の感想ばかりが載ってます。例えば…
 「ローマの休日」の写真で…“「ローマの休日」でアン王女がローマの宮殿で着ていたネグリジェ。映画の中でアン王女は「ネグリジェは嫌い。パジャマで寝てみたいわ」と不平をいう。”
 …これ、写真見たらわかるし、ストーリーなんか誰でも知ってる。

 オードリーが1953年12月7日に“LIFE”誌に載った画像なんかはもっとヒドイ。“細いウエストを強調した白のフェミニンなシャツ” とかって書いてる(←)。

  “オードリーに魅せられて” を持っていればわかりますが、その“LIFE”誌に書いてあったそうですが白と黒に見えるその時の洋服は実際はピンクのシャツに赤いパンツだったと明記されてるそうです。

 モノクロ写真だから白と黒と決めつけ。こんないい加減なキャプション、無い方がマシです。
 他のページでも白黒写真で黒く見えるから黒とかっていうキャプションもありますけど、僕にはそんな(悪い意味で)適当なキャプションなんかとても書けません。

 モノクロ写真を見てモノトーンとかっていう決めつけ、過去にも不出来の極みのような途中廃刊になった “週刊オードリー・ヘプバーン” でもありました。
 こういうのはカラー写真を見てこそ “白です!” って言えるんだと思うんですけどね。

 人物のモノクロ写真を撮る際は肌を綺麗に白くするために赤いカラーフィルターをかけるので、ピンクとかの色は白く飛ぶんですよね。赤いものは少し薄く写る。
 なので、ここで着ているオードリーの赤いパンツは真っ赤っかだったと思います。
 オードリーはピンクが好きだった、というのも忘れてはいけません。白っぽかったら、それはピンクかもしれないと疑わないと!

 この写真集には掲載されていませんけど、写真展でも「戦争と平和」の画像でどうでもいいようなキャプションがついてたので、“僕だったらここに写っている兄役のジェレミー・ブレットは「マイ・フェア・レディ」ではフレディとしてオードリーと再共演する” とかって書くのになーと思ってました。

 それと、表紙にもなっている太ももまで見える一連の写真はこの当時オードリーが実際に住んでいた部屋で撮られた、とかこれらの写真を見て母のエッラが激怒した、って方が個人の感想より見てる人は面白いと思うんだけどなーって思ってました。

 あと、有名な「ティファニーで朝食を」の本当のカラー写真までもがモノクロ展示してありましたし、この写真集にもモノクロで収録。こういうのは大キライなんで…(→)。

 あと、帯は最近のオードリーものには多い “ティファニー色”。
 これはこれで綺麗だけど、若いオードリーならピンクじゃないかなーとか。

 やっぱりこういう大規模な展示会などには監修として清藤秀人さんのような本当にオードリーがわかってる人が付かなきゃダメですね。
 画像の質自体は悪くない写真集ですが、色々と減点。
 オードリーの写真集を他にもお持ちの方は、中身を見てから買うかどうか決めてください。

オススメ度:★★(まあ写真展の図録としての記念品として)

 なお、この写真集には載らなかった写真展の画像のうち数点だけが別のもので救済されます。それはまた次に。


  


Posted by みつお at 21:00Comments(2)日本の写真集