2007年11月13日

写真集オードリー フォト&エッセイ ボブ・ウィロビー吉村英夫

 石川のユナイテッド・シネマ金沢で「ローマの休日」上映中!(16日まで)

写真集オードリー フォト&エッセイ ボブ・ウィロビー吉村英夫 僕にとっての大愚作三部作、「ローマの休日 ワイラーとヘプバーン」「麗しのオードリー」「誰も書かなかったオードリー」で、“もう吉村英夫氏の書くオードリー関連の本は見たくない!”と思っていたらまた出たのがこの写真集。

 東京書籍刊「オードリー フォト&エッセイ」
 ボブ・ウィロビー:著 吉村英夫:監訳

 この監訳者の名前を見てザワッとしたのですが、翻訳ならあんまり気にしなくてもいいのかな?と。
 ところが手に入れると案の定というか予想以上の吉村氏の大暴走にびっくり!てか、大憤慨!

 今までの著作ではなんとか我慢してきた僕でもちょっとこれは許せなくって、出版社に抗議の電話をしてしまいました!というくらいの本です。

 icon01まず画像ですが、これはケチのつけようもありません。
 以前朝日新聞社から出たボブ・ウィロビーの写真集は出来がよかったですよね。そこで “このカメラマンはカラーは撮ってないんだろうか?”っていう疑問が起こったんですが、ここではカラー画像も収録されていて、以前の写真集よりもさらに満足させていただきました!(^-^

 日本で「緑の館」ポスターになった写真も、「パリで一緒に」の頃の美しすぎる湖のほとり写真もボブさんやったんやー!ってわかったし、「いつも2人で」の初めて見るカラー画像には感激!

写真集オードリー フォト&エッセイ ボブ・ウィロビー吉村英夫 しかも、「マイ・フェア・レディ」のポートレートまで付録でついているという豪華版!(右の画像→)
 これ、もしかして売っているこの本それぞれで入っている写真が違うかも!と思って知り合いにも尋ねましたが、みんなこの「マイ・フェア・レディ」でした。

 一部以前のモノクロ写真集とダブっているものもあるし、画質はイマイチ?な気もするにせよ、もうもう僕でも大満足の写真ばかりなのでした。(^-^


 icon05ところが、そんな気分も文章を読んだら吹っ飛びました!
 (≧≦

 なっ、なんじゃこれ~~~っ!!!

 本には著者はボブ・ウィロビー氏ひとりであるように書いてるんですが、なんとも図々しいことに吉村英夫氏が“日本版”と称して自分の文章をボブ氏の文章の間に紛れ込ませているんです!

 吉村氏の文章ってのは、大っキライな僕には腫れた親指のように一目瞭然なんですが、一般的にはボブ氏の文章との見分けはつかないと思います。
 わかりやすーいのは、この写真集では関係の無い「尼僧物語」なんかを持ち出してほめる部分と、「緑の館」と「パリで一緒に」をけなすところ。あと、伝記的な事を書いてる部分は吉村氏の挿入部分。

 「パリで一緒に」なんて、朝日新聞社の方で書いていたボブ氏の好意的な言葉が、ここでは吉村氏の改悪のせいで、すっかり“ボブ氏が”失敗だと思っていたかのようにすりかわってしまってます。

 先にボブ氏の許可は取ってあるようですが、どの作品のことも決してけなさないボブ氏が楽しく撮影して、“愉快な想い出”「緑の館」、“ユーモアに満ち溢れた作品”「パリで一緒に」と最初の写真集で書いていたのを失敗作だとこき下ろす、最終こんな文章にされてしまったことを、ボブ氏は知らないようです(東京書籍さんにも問い合わせました)。

 著者であり撮影者でもあるボブ氏の考えなんか踏みにじるような、こんな文章を書いて平気で挿入できる吉村氏の考えが普通人には全く理解不能!
 “監訳”って自分の好き勝手に内容を変えていいってことなのか??

 しかもここはボブ氏の文章、ここは吉村氏の文章、って一般にわかるようになってるわけでもなく、ボブ氏がこんなヒドイ文章を全部書いたかのようなごちゃまぜ状態の文章に耐え切れなくって、出版元の東京書籍に抗議電話!

 その東京書籍さんが言うには、翻訳はオードリー評論で有名な方何人か候補があったとのこと。ところがボブ・ウィロビー展の開催まで時間がなく、空いていた吉村氏にまわったそう。

 で、この吉村氏の文章を見分けがつかないようにボブ氏の文章に混ぜ込んでいるのは、ボブ氏が“誰が文章を書き足そうとも、著者は私一人の名前にしておくこと!”という条件があったそう。
 うーん、そのせいでかえってボブ氏のイメージを落とすことになろうとは…。

 画像の品質がイマイチの件は、原書ではもっとヒドかったそうです。それを日本版ではここまでに良くしたそう。その際に表紙を本来の「パリで一緒に」の画像から、日本受けする「ローマの休日」(というか、「ローマの休日」撮影後の宣伝写真)に変更したということです。

 東京書籍には他にもこの本の吉村氏の混ぜ込みに対する苦情があったそうで、担当者の方が言うには、“たしかにこの書き方は行き過ぎだと思われますので、再版する際には変えるようにします。”
とのことでしたが…。

 全国のボブ・ウィロビー展で凄く売れたそうで、再刷はあったそうですが、時間がなく結局文章はそのまま…。もう刷られることはないそうで、新品は現在入手できるだけで終わりだそうです。

 素晴らしい画像たちを、吉村氏の最悪の文章で汚された残念な写真集。
 完全に東京書籍さんの致命的な人選ミス!
 今後は二度とどの出版社でもオードリー本で吉村氏を使わないことを祈ります。

オススメ度: icon01画  像 ★★★★★(もったいない!)
        icon05文  章 なし!マイナス500点!(今回は文章量が少なかったのでまだマシ。)
        icon03トータル ★★★(ヒドイ文章さえなければもっと星は増えたのに…)




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この記事へのコメント
 はじめまして。
この出版社ですが、教科書の会社で同じ名前のがありましたよね。
同じ会社だとしたら人選の真相は、そこにあるのかも知れません。
それに担当者の言うことが真実ならば、なぜ再刷時に直されなかったのでしょうか。
あまりにも不自然です・・・・何か裏がありそうです。
なので私は空いてる人云々では無く、最初から決まっていた「仕組まれた人選」だと思います。
 それに、このての本の場合「翻訳」じゃなくて「監訳」とつくところが引っかかります。
これでは掲載されている写真や資料などが監訳者と関わりがあると誤解されてしまいます。
 アカ狩りだ、忘れてはならないとか、どんな思想を持っても自由ですが、それをヘプバーンに押し込めるな、と言いたい。
今後は教育ビジネスとは無縁の出版社でやって欲しいです。
Posted by 特命希望 at 2007年11月14日 02:21
特命希望さん、初めまして。

確かに東京書籍は教科書を出している会社です。
電話でお話させていただいた感じではとても親切な方で、
丁寧に教えてくださり、
僕の受けた感じでは人選に裏があったようには思えなかったんですが…。

洋書でのこの本は、書いてある文章がほとんど朝日新聞社の写真集と
同じ部分が多く、
それを避けるためにオードリーの文章を書ける
翻訳者を候補に考えていたそうです。

出版後、東京書籍さんの予想以上に売れたそうなので、
版を変えて刷る“再版”は間に合わずに、
前回の版をそのまま使う“再刷”になったみたいです。
これは残念でしたしもったいなかったですね。
もし本当に再版で文章が変わっていたら、僕なんかもう一度買ったのに(笑)。

翻訳と監訳の違いは本当に大きいですねー。
これはこの本でわかりました。
ましてや訳者の人選を間違うと、こんな結果になるんだ!
と悪い意味で認識させてもらいました。

確かに吉村氏の自分の創作&間違ったオードリーを
人に押し付ける文章は非常に感じが悪いですよね。
他の出版社もオードリーのことで吉村氏を使うのは
絶対にやめてもらいたいと思います。

逆に東京書籍さんに対しては、僕はいい印象を持ってるんですよ。
他社の発行しないオードリー関連の海外本を
わりと積極的に出版してくださるので、その点に関してはとてもありがたいと。

吉村氏を使わないけど、オードリーの本も出しません、
っていう出版社では、どうしようもないですからね(笑)。
一応強い抗議はしておきましたので、
今後東京書籍さんからオードリーの本が出るにしても、
吉村氏の登板は二度とないと思いますよ。(^^
Posted by みつおみつお at 2007年11月14日 17:07
 そうですか、印象が良いのでしたらこの意見は却下させてください。
しかし翻訳と監訳の違いは本当に大きいですよ。
この人物に限らず作者に異見する訳者なんて絶対にやめて欲しいです。
二度とこんなことが起こらないことを願います。
Posted by 特命希望改め「特命課配属希望」 at 2007年11月14日 19:55
特命希望改め「特命課配属希望」 さん、こんにちは。

別に却下されなくてもいいですよ。
考え方は人それぞれですから。(^-^

それと監訳というのはコワイですねー。

作者と意見が違う→自分の好き勝手に変える→読んだ人が信じる→
そのことを作者は知らない→作者は故人になってしまった→
将来古本で手に入れた人もこれを信じるかもしれない

という恐ろしい図式がこの本では出来上がっています。
僕も特命課配属希望さんと同じで、
今後二度と起こって欲しくないことだと思っています。
でも、他の出版社(たとえば講談社)が今後も吉村氏を
オードリー本で使うのでは…と思うと、ゾッとしますね。
Posted by みつおみつお at 2007年11月15日 03:24
この本が出たとき、そりゃぁ嬉しかったけど、
正直、こんなに綺麗なカラー写真がたくさんあるなら
最初っから出してくれよぉ~というのが正直な感想でした。
最初に出版されたボブのオードリィ写真集は画期的でしたよね。
センスのいいモノクロ印刷(少し特色インキはいっている)
どの画像もすごくよく撮れていて、どれも均等な扱い。
今回はどういう基準かはわからないけど、
たぶんたくさん載せたいからだろうけど、大きさも扱いもまちまちで、
僕だったらこっちを大きくフィーチャーするのになぁとも思いました。
例えば、「パリで一緒に」の青りんご色スーツの写真とか、
「緑の館」のアップ・ポート(すんごく綺麗!)とかね。
でも、この本のカラー写真には狂喜しましたよ。

で、海外版(フランス)も持っていますが、
そんなに画質違いますか?僕はこちらも結構綺麗だと思います。
それに表紙は、「パリで一緒に」を中心に、中のいろんなオードリィが使われていて、
どっちかというとフランス版のほうが好きですね。
それにプロの写真家が撮った写真は、独特の風合いがあるので、
全体的に印刷の質はこれでいいんじゃないかとも思います。

さらにこの後、講談社から文庫でボブの写真集が出て、
(版画家の山本容子さんの文章つき)
さらにまた見たことのない写真が載っていたりするので
(例えば「噂の二人」でのオードリィとシャーリィが監督を挟んでカメラ目線)
いったいあとどれくらい写真があるのか?
お蔵出しの基準はいったいどうなっているのか?
単に商売上手なのか?価値観の違いなのか?
ある意味不信感も抱いています。
ボブは他にも監督別撮影現場写真集も出していて、
そこにも「噂の二人」未収録画像が・・・
彼はどうもこういうシリアスで暗い内容の映画があまりお気に召さないので、
本当はもっとたくさんあるのに、なんかあまり表に出したがらないのかな。
傑作なんだからさぁ、
もう~、パァーといっちゃいましょうよぉ~・・・(なんて身勝手、へへ)

巷では失敗作扱いで、とかくオードリィの作品では無視されがちな2作品
「緑の館」「パリで一緒に」に関する写真をこれだけ豊富に残してくれた・・・
もうそのことには感謝は尽きません。
あとは「いつも2人で」のカラー写真もお願いしたいところ。
(それと、別の方になるかと思いますが、「尼僧物語」や「許されざる者」も
同様にたくさんあったらなぁと最近特に夢見ています)

そうそう、文貴があの方というのは、僕は全く忘れていました。
それに今回のこの本においては、文章の内容はほとんど印象にありません。

とにかく、この東京書籍の写真集はある意味決定版のひとつだと思い、
今でも大切に所有しています。
Posted by まる at 2007年11月21日 21:40
そうなんですよねー、
ボブさんの写真集、最初のは見たことない画像ばっかりだったし、
狂喜しましたよねー。
でもその後の雑誌や写真集で小出しにする戦術…
なんかボブさんも商売人だなーって思うようになりました。
しかも同じ画像を目にする機会が増えるにつれて
有り難味はどんどん薄れて…。(^^;

そんななか、この写真集はカラーが入ってて嬉しかったですよね!
湖のほとり画像や「緑の館」画像もボブさんのだとわかったら、
この人、どんだけカラー写真も持ってるんだろう…って思うようになりました。

ネットとかではたまに未収録の画像を見かけるんですが、
ぜひボブさんのカラー画像だけの写真集が欲しい!とは思いますよね。
埋もれてる中に、相当数いいのがあるようですし。
(特に「パリで一緒に」や湖のほとりシリーズで)
でももうお亡くなりになったようだし、今後はどうなるんでしょうかね?
もしオールカラーで出たら、コナン君に匹敵する
ボブさんの決定版になるような気もするんですけどね。
★5つの中でも上位の★5つ!みたいな。

画質の問題は、東京書籍さんの受け売りなので、
仏版は知らないんですよー。(^^;A
画質はそんなに違いませんでした?
それなら「パリで一緒に」表紙で行って欲しかったなー。
でも東京書籍さんは「ティファニーで朝食を」でも二の足を踏むようなので、
表紙が「パリで一緒に」だと全然ダメなんでしょうけどね。

でもこれだけ「緑の館」と「パリで一緒に」の画像が見れたと言うのは、
やっぱりボブさんさまさまですよね!(^-^
普通に宣伝写真だけの写真集だったら
「緑の館」と「パリで一緒に」に割かれるページ数は
絶対に少ないですもんね。(まるさんもご存知のように…)

「いつも2人で」はボブさん以外のスチール・カメラマンのカラー画像も
いっぱい見たい所ですね!
でも痛々しい画像が多いかな?(^^;

「尼僧物語」「許されざる者」に関しても、
絶対にスチールカメラマンは居たはずだと思うんですが、どうなってるんでしょうね?
ほとんど宣伝写真を見ませんもんね(特に「許されざる者」!)
そういえば最近では「シャレード」のものも見る機会がないですよね。

文章はまるさんクラスだとお気になさらないでしょうからいいんですけど、
詳しくない人と、ファンになりたての人にはキツイ内容だな~って思います。
「緑の館」と「パリで一緒に」を先入観バリバリで見てしまいそうだし、
そういう“刷り込み”がなされて、自分の目で観る機会を失いそうです。
なのでオススメ度がぐんぐん下がるんですよねー。
全く画像に見合わない文章です!(プンプン!)
Posted by みつおみつお at 2007年11月22日 11:37
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