2013年05月30日

「戦争と平和」64年リバイバルパンフ 裏青白版

 今日は、「戦争と平和」の64年リバイバル時のパンフレットを紹介。
 裏表紙は質の悪いパンフの代名詞、青白縦割り。

 これ、存在は知ってましたが、なかなか手に入らなかったもの。
 今まで同じ表紙で2回紹介してましたけど、それらとは中身がちょい違います。
 中身は印刷はブルー1色刷りで、総ページは表紙周りを入れて16p。

 64年リバイバルでの本命と思われる2種類の版黒1色の版も、“ナターシャという女性”というページは赤ちゃん帽のようなボンネットを被るオードリーでしたけど、この裏青白バージョンは、オープニングのオードリーが初登場するシーンのスチール。

 他のページも、同じ16pの黒一色版とは使用スチールが異なっており、オープニングシーンのオードリーみたいに、本命版の2色刷りのあるタイプでも使用してない画像があります。と言ってもあとはオードリーがいない戦争のシーンですけど…。

 裏青白物はだいたいどれも67~68年頃の製作なので、これもそうなのかな?と思います。

 印刷の質の悪いので評判の裏青白ですけど、墨1色版よりは画像はマシです。もともとは本命版のタイプを元版に印刷して質も劣化、ゴミも乗り放題の墨1色版ほどひどくなく、今回差し替えられた画像に関しては、鮮明で綺麗です。
 でも、やっぱり本命版を元版に使ったページは画像がボロボロになってますけど。(^^;;;

 さて、今でこそあんまりオードリー作品でも取り上げられない「戦争と平和」ですけど、製作当時は本当に力の入った超大作であったことが、昔の雑誌を読むとわかります。

 というか、僕がファンになった70年代後半では、まだまだオードリーの代表作の1つでした。少なくとも「麗しのサブリナ」や「パリの恋人」よりも一般認知度は高かったような…。

 この「戦争と平和」は後にソ連版が作られて、そのお金のかけ具合でも負けちゃうんですが、製作当時は「風と共に去りぬ」に負けないくらいの規模で映画化したんですよね。

 今まで、この原作の規模のデカさと、主人公のナターシャを演じられる女優がいない、ということで製作されなかった「戦争と平和」ですけど、少女と女性の境目を演じられるオードリー・ヘプバーンという新しいタイプの女優の出現によって初めて製作が可能になったんですよね。

 なので、オードリーが登場すると、ほぼ同時に4つの会社が「戦争と平和」製作に名乗りを上げ、その全部がオードリーをナターシャに!ということで動いたことが、各種文献からわかります。
 でもそう考えると、この作品もオードリーだからこそ演じられた作品の1つになりますね。

 結局ディノ・デ・ラウレンティスのパラマウントがオードリーを獲得しましたが、他3つはMGM、「風と共に去りぬ」のデイヴィッド・O・セルズニック、そして「80日間世界一周」のマイケル・トッド。
 マイケル・トッドは監督をフレッド・ジンネマンに決定していたこともジンネマン監督の自伝で述べられていました。

 重厚で良質な作品を作る巨匠ジンネマン監督の「戦争と平和」も見てみたかった気もしますが、主要3人の中のアンドレイにメル・ファーラーを決定したラウレンティスの作戦勝ち。当時新婚の奥さんであるオードリーはそちらに出るに決まってますもんね。

 今でこそ存在感の薄い「戦争と平和」ですけど、公開当時は決して評価が低かったわけではなく、むしろ長大な原作をよくぞここまでまとめ上げた!さすが大監督キング・ヴィダー!という声が多く、海外の賞もたくさんノミネート&受賞してますし、日本の「映画の友」という雑誌でも当時の難しい批評家のベストテンでも第8位、読者投票でも第7位です。

 ちょっと「スクリーン」と「キネマ旬報」での順位を記録したものがすぐ取り出せるところにないんですが、「スクリーン」でも「映画の友」と同じくらい、「キネマ旬報」でも20位台くらいには入ってたんじゃないでしょうか。
 それに伴い、「ローマの休日」「麗しのサブリナ」の後、1発屋的に急降下していたオードリー人気も復活しています。

 「映画の友」の人気投票の応募権利のある3月号って、おそらく1月末発売なんですけど、昔はロードショー形式だったので、まずは東京が56年12月に公開、地方は57年2月に入ってからだったので(詳しい日はSY京映横浜ピカデリー雄鶏社版の記事で)、投票時点で見れたのは東京のセントラル・シアターだけ、ということで投票してくれたのは東京近郊の人だけだったでしょうから、この順位は凄いですよね。

 公開時、日本でも本国アメリカでも大ヒット!アメリカの興行収入でベスト10に入ったオードリー作品は「戦争と平和」「尼僧物語」「シャレード」「マイ・フェア・レディ」だけなので、これは凄いことですよね。

 そして日本でのヒット度合いも凄くて、「おしゃれ泥棒」公開後の時点での配給収入(興行収入から映画館の取り分を引いた、配給会社の利益)3億8656万7千円。「マイ・フェア・レディ」「ローマの休日」に次ぐオードリー作品での第3位の記録を叩き出しています。

 さらにこれは同時点での全洋画公開作品での20位内に入ってるそうで、戦後公開の作品がここまでで2500本以上あるだろうという中での20位内は本当に凄い記録だったんですね!

 なので、1964年に「ローマの休日」の次にリバイバルに選ばれた作品になったんですよね。
 その高い興行価値を見込まれて、その後も1973年・1987年・1989年とリバイバルされ、オードリー作品でのリバイバル回数も「ローマの休日」「マイ・フェア・レディ」に次いで、「シャレード」と並ぶ全5回。
 こういう経緯を知っていると、リバイバル回数が多いのもよくわかるんですよね。日本公開の回数ではソ連版を圧倒しています。

 内容がロマンティック・コメディではない上に長いので、通して見るのには精神力が必要なんですが、何でもCGでやってしまう今と違って、人もセットも全部本物だし、当時の人になった気分で見るとまた新鮮な驚きがあるかもですね!(^-^

レア度:★★★★(この表紙の「戦争と平和」パンフレットでは一番入手の難しいもの)



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この記事へのコメント
雄鶏社から「戦争と平和」の特集号が出ていて、古書店で見つからないので、倉庫を大掃除して数冊、見つけてもらいました。
40年前のことですが、当時の出版社はどこもマニアの無理な要求に笑って対応してくれました。
Posted by むらさきいも at 2013年06月15日 09:38
おお、そうでしたね!
雄鶏社の映画物語「戦争と平和」!
むらさきいもさんが探してもらったっておっしゃってましたよね。(^-^

本当に昔は大きな会社でも
そういう対応をしてくれてたんですね。

今は「お客様センター」的な所に回されてしまって、
ちゃんと製作側に伝わっているのか伝わってないのか、
全然手ごたえがありませんね。
Posted by みつおみつお at 2013年06月16日 20:54
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