2008年04月30日

「ぼくの採点表」…双葉十三郎氏の素晴らしいシネマガイド!

 これは僕が全幅の信頼を置く、双葉十三郎氏の映画評の載った「僕の採点表」です。

 膨大な映画作品が日本公開年代別に収録されており、今回紹介するのは、オードリーに関係のある第1巻 1940・1950年代、第2巻 1960年代、第3巻 1970年代、第4巻1980年代、第5巻 1990年代の5冊。他には別巻の戦前編もあります。

 1巻から4巻まではトパーズ・プレス社というところの発行ですが、5巻は発行元が変わって、キネマ旬報社。

 「ぼくの採点表」は雑誌「スクリーン」に、2001年くらいまで続いていた連載です。内容は短い映画評で、各作品に双葉さんの採点なさった点数が付けられていました。

 双葉さんの批評は、自分の趣味や好き嫌いに左右されることのない、非常に公平かつ正しいもので、僕なんかは誰よりも双葉さんを信頼していますよねー。

 70~80年代、「ロードショー」はたくさんの人が自分の好みで評価していて、誰を信用していいのかわからない!という状況になっていました。それとは非常に対照的で、「スクリーン」の双葉さんの評価を見れば大丈夫!というものでした。

 これらはそれを全部まとめた本なのですが、めっちゃ分厚いです。平均700ページ!第1巻なんかは975ページまでノンブル(ページ数の表記)があります。まるで昔の電話帳か、百科事典といったボリューム!

 双葉さんにオードリー映画は何点付けられているのか…僕も小さい頃からとっても気になっていました。「スクリーン」にはリバイバルであっても、公開後何ヶ月かあとに、最後の方のページで点数が紹介されていましたので、ドキドキしながら古本の巻末でチェック入れてましたよ~。

 これらの解説を読むと、双葉さんが近代映画社の「スクリーン」に「ぼくの採点表」をスタートしたのは1952年1月号、あるいは2月号だそうです。でも点数方式の原型は1951年2月号にすでに出てくるそう。

 40年代の作品や、「ぼくの採点表」で取り上げられてない50~60年代初期のA級作品は別の雑誌に載った双葉さんの映画評から持ってきたものだそうです。

 ☆1つは20点、★1つが5点の目安、ということで映画の採点をしてらっしゃいます。

 ☆☆☆☆以上…ダンゼン優秀
 ☆☆☆★★★…上出来の部類
 ☆☆☆★★、 
 ☆☆☆★…見ておいていい作品
 ☆☆☆…まァ水準程度
 ☆☆★★★…水準以下だが多少の興味あり
 ☆☆★★以下…篤志家だけどうぞ

 ということです。ちなみに、双葉さんは完全無欠というのは有り得ないと思ってらっしゃるので、☆5つという100点はありません。最高点でも☆☆☆☆★★の90点。最低は★★の10点です。

 さて、気になるオードリー作品ですが、載っている双葉さんの採点を発表しましょう!

 「ローマの休日」…☆☆☆☆★
 「麗しのサブリナ」…☆☆☆☆
 「戦争と平和」…☆☆☆★★
 「パリの恋人」…☆☆☆☆
 「昼下りの情事」…☆☆☆☆
 「尼僧物語」…☆☆☆★★★
 「緑の館」…☆☆
(以上 第1巻 40・50年代)
 「許されざる者」…☆☆☆★★
 「ティファニーで朝食を」…☆☆☆★★★
 「噂の二人」…☆☆☆★★★
 「パリで一緒に」…☆☆☆★
 「シャレード」…☆☆☆☆
 「マイ・フェア・レディ」…☆☆☆☆
 「おしゃれ泥棒」…☆☆☆★★★
 「いつも2人で」…☆☆☆☆
 「暗くなるまで待って」…☆☆☆☆
(以上 第2巻 60年代)
 「ロビンとマリアン」…☆☆☆★★★
(以上 第3巻 70年代)
 「華麗なる相続人」…☆☆☆★
(以上 第4巻 80年代)
 「オールウェイズ」…☆☆☆
(以上 第5巻 90年代)

 本に載ってはいないので、双葉さんではなくスクリーン編集部の採点なのかもしれませんが、他に66年の初公開時に「スクリーン」本誌で、
 「初恋」…☆☆☆
 となっていました。

 あと、「戦争と平和」の点数なんですが、1973年リバイバル時の「スクリーン」本誌では☆☆☆★★★ということになっていました。
 「スクリーン」誌上で載った作品の採点は変えてない、ということなのですが、「世紀の女王」という作品で、本文と解説の点数が違ってたりもするので、「戦争と平和」は☆☆☆★★なのか☆☆☆★★★なのか、どっちなんでしょうねー。

 さて、こうしてみると、オードリー作品がどれだけ名作・傑作の含有率が高いかよくわかりますよね!
 「ローマの休日」の85点を筆頭に、80点7本、75点5本などです。

 散々な言い方をされることの多い「パリで一緒に」や「華麗なる相続人」ですら☆☆☆★なので、オードリー作品では上位ではなくても、実はそんなにヒドくないのがわかりますよねっ。
 「パリで一緒に」の批評では、“オードリーはいいムードで魅力があるが、クワインの演出がパッとせず”って、どこに原因があるのかも書いてくださってます(やっぱり監督のクワインかよっ!)。

 むしろ作品的には「オールウェイズ」の方が双葉さんの批評では下位に置かれていますねー。オードリーの遺作なので、あんまりヒドイことは書かれることのない「オールウェイズ」ですけど、本当は…(モゴモゴ)、みたいな。(^^;;

 「緑の館」はあまりの点の低さに目を疑いました!でも、第4巻の双葉さん本人の前書きで、80年代になって映画の質が全体に落ちてきたので、昔だったら低い点だったはずの物でも今はもっと高い点が付いている…とのことだったので、「緑の館」も今ならもう少し点が良くなるかも…なんて思ってます。(^^;A

 また、点数的には“見ておいていい作品の上”の「許されざる者」ですが、双葉さんは個人的にはお好きだったようで、1960年度のベスト10の第10位に入れてくださってます。

 残念だったのは、日本では劇場未公開で、ビデオだけの発売の作品も数多く評価されている1980年代で「ニューヨークの恋人たち」が入ってなかったこと!双葉さんならどう評価してくださったか…とても興味があったのでぜひぜひ読みたかったですねー。

 オードリーの伝記本に載っている作品の評価なんかより、はるかに適確で、これさえ押さえれば大丈夫!って自信をもってオススメできる双葉十三郎さんの批評。
 現在の映画雑誌では、ここまで信頼できる評論家の文章が皆無なのが残念!最近の「スクリーン」を読んでも、“双葉さんの採点があったらなー”って思うこともしばしば。

 読み物としても面白く、映画ガイドブックとしても完璧な「ぼくの採点表」。
 数は少ないものの、2000年代の「ぼくの採点表」もまとめられることを願っています。

オススメ度:★★★★★(←ちなみにこれは僕の満点。25点とちゃいますよーっ!映画好きの方に。)

 さあ!もうすぐオードリーの誕生日ですね!その日用の記事の腹案はあるのですが…あまりに大変なので、実を結ぶかどうかまだ不明、といったトコロです。(^^;;;






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