2015年04月19日

ミニチュア版「パリの恋人」1957年初公開時ポスター Bタイプ

 ミニチュア版ポスターの第2弾は1957年9月に初公開された「パリの恋人」です。

 こないだの「昼下りの情事」のポスターと同じく、レトロ感満載のデザインですね。
 内容はこちらの「パリの恋人」の方がPOPな感じです。エッフェル塔も踊ってますしね。

 でもちょっとバックの色が重いですよね。「パリの恋人」のイメージはこんな重い色ではなくて、ピンクとかパステル系のカラーですよね。
 当時ってまだそういう淡い色ってのは主流じゃなくって、くっきりはっきりお堅い色が多用されてますよね。

 1950年代はまだ戦前・戦中の時代のデザイナーさんなのかなーと思います。デザインも色使いもその流れみたいだし。
 デザインが大きく変わるのは1960年に入ってからですね。
 
 「パリの恋人」というタイトルのロゴも古めかしいです。
 でも今このロゴデザインがDVDやブルーレイでも使われてますよね。
 個人的には1966年リバイバル時のロゴの方が躍動的で、「パリの恋人」には合ってると思います。

 ただ、「パリで一緒に」もこんな感じのロゴなので、元々混同されやすい「パリの恋人」と「パリで一緒に」だから余計にややこしいかもしれませんね。

 さて「パリの恋人」の初公開時の興行成績ですが、1957年のベスト10には入っていません。
 オードリー作品では日本で初めてベスト10に入らなかった作品ですけど、「おしゃれ泥棒」公開後のオードリー全作品の成績では「パリの恋人」も1億円を超えてますので、充分大ヒットと呼べる成績だったようです。
 
 1957年12月号の「映画の友」では

 “「パリの恋人」が予想にたがわず、「昼下りの情事」に肉薄する第一週のすべり出しを見せた。もっともストォリイのあまさという点では「昼下り」の線までゆけるかどうかも疑問であるにせよ、やっぱりオードリイの秋ということははっきりいえるだろう。”

 と書かれています。

 ここで述べられている “ストーリーの甘さ” ですけど、これはきっと僕が以前もうひとつのブログ “おしゃれ泥棒、オードリー・ヘップバーン!” で “「パリの恋人」の謎” として書いたようなことだと思われます。
 たしかに筋自体はゆる〜いんですよね。
 そしてこちらに来ていただいているまるさんがおっしゃったように、

 “もっともお話がどーでもよくて、
 演じているキャラが一番好きではない作品ではありますが…”

 というのがピッタリ当てはまってるんですよね。
 実際に側にいたら、オードリーの演じたキャラクターの中では一番扱いに困ると思います。ちょっと遠慮したいタイプ(笑)。

 で、そういうところだけを見てしまうとこの作品に対する評価は辛くなる。

 僕なんか最初に見た中学生(だったかな?高校生かも…)の時にはブチブチカットのあるテレビの90分枠での放送だし、オードリーの吹替は池田昌子さんじゃないし、突然街中で歌い出すミュージカルに耐性もないしで、“これはオードリー作品の最低作品や!”って思ってしまったんですね。

 もし今のようなネット時代だったら、きっと偉そうに “「パリの恋人」は愚作でした!” なんて書き込んでしまってたんだろうなーと思います。
 そんなことしてたら自分で中坊な自分を殴り倒してやりますけどね(笑)。

 今って何でも書ける時代だから、映画評論家気取りで自分が見た作品の評価を書き込む人って本当に多いですよね。
 でも僕はそれって違うんじゃないの?って思ってます。

 確かに映画を見た感想ってのは千差万別、十人十色でいいと思うんですよね。
 性別、年齢、生活環境なんかで本当に受け取る側の気持ちって違うと思うし。

 でも、自分に合わないから “駄作です。” って決めつけるのはやっぱり違うと思います。
 “自分には合いませんでしたが…。” っていうのが本当じゃないかと。

 でも決めつけて悦に入ってる人がネットにはやたら多いです。
 褒めるならまだしも、けなすのはきっと気分の悪い人もいると思いますよ。自分も気をつけなきゃ。

 オードリー作品なら「パリの恋人」とか「いつも2人で」にそういうのが多いですね。
 勝手な失敗作認定やら駄作認定とかされてると、本当にガッカリします。
 むしろこの2作は海外ではオードリーの代表作扱いですよ。
 正直、実はそういう勝手な失敗作認定の人には密かに失礼なことを思ってます。

 昔の映画評論家の方って、自分の好みと作品の価値をきっちり分けて考えられてる人が多かったですね。
 だから映画評論家なんですよね。

 双葉十三郎氏なんかは、ホラーやSF映画がお好きだったみたいなんですよね。
 「ぼくの採点表」の文章を読むと、そういうのは本当に作品を楽しんでる。でも採点はと見ると☆☆★★の50点で評価低かったり。
 逆にビリー・ワイルダー監督の「地獄の英雄」なんて作品だと、“監督の失敗作” って書いてあるけど、採点は☆☆☆★★★で75点とか充分高い。

 「レベッカ」という作品を見た時は、その後発展していくヒッチコックの原型である渡米第一作を見るという心構えで行かず、ただもう大傑作を見れるのだと思い込んでいた自分が悪い、と書いておられます。

 自分が肝心な点を突けてないと思ったら、素直に認める。これがなかなか出来ない人が多いんではないでしょうか。
 ネットでは、自分がわからない・好きじゃない→だから駄作、って論調が実は多いんですよね。それって評価なの?

 それに映画って、芸術作品だけが偉いんじゃないですよね?
 娯楽作品であっても、人を大いに楽しませることが出来ている作品は充分価値があります。

 なので双葉さんは「突然炎のごとく」や「大いなる幻影」といった芸術作品も点数が高いけれども、「風と共に去りぬ」や「恐怖の報酬」っていう娯楽作品も点数が高い。さすがプロだなーって思います。
 今のネットでの “自称だけ映画評論家” みたいな人は、その辺をきっちり分けられてない人が多いようです。

 それに「パリの恋人」に関してはさらに別の価値があります。
 これもまるさんが的確に上記の文章から続けてくださってるんですよね。

 “…それを補って余りある魅力に溢れていますよね。”

 そうなんですよね!長年オードリーのファンを続けていると肌で感じ取ってくることがあります。
 オードリーって「ローマの休日」「噂の二人」「おしゃれ泥棒」のウィリアム・ワイラー監督でもなく、「麗しのサブリナ」「昼下りの情事」のビリー・ワイルダー監督でもなく、「パリの恋人」「シャレード」「いつも2人で」のスタンリー・ドーネン監督の作品で最も活き活きしている!ということをです。

 これは昔からみなさん気づいていたようで、あの淀川長治氏も「マイ・フェア・レディ」までの段階でオードリーのベスト作品を「ローマの休日」「麗しのサブリナ」「昼下りの情事」「ティファニーで朝食を」とドーネン監督作品以外を挙げながら、“私は結局ドーネン監督が一番オードリーのナイーブな物を掴むように思う。” と述べています。
 (後に淀川長治氏はオードリーの2大ベストを「ローマの休日」と「暗くなるまで待って」と述べている)

 他にもドーネン監督とオードリーの相性の良さは色んな人が書いています。

 “おしゃれ泥棒、オードリー・ヘップバーン!”の方でも書きましたが、他の監督の作品では、監督の決められた枠内で制御されてオードリーが演じてるんですけど、ドーネン監督の作品はその枠がググーンと拡がるというか、枠を超えてオードリーが自由になってる気がするんですよね。なのでオードリーがより輝く。

 それに、芸術作品…ではないし、娯楽作品としてはストーリーがユルい「パリの恋人」。
 日本では「昼下りの情事」の方がよりヒットしたし内容の評価も高いんですが、「パリの恋人」には第3の価値がありますね。

 それは何かというと “アート”。
 先ほどのような高尚な映画芸術、という意味ではなく、グラフィック・アートやファッションやフォトグラフという分野に及ぼした影響というのはもの凄いですね。
 1つ1つのシーンにまで行き届いたセンス。後世への影響という点ではオードリー作品で群を抜いています。

 「パリの恋人」を見て、その後ファッション・デザイナーやグラフィック・デザイナーやフォトグラファーを目指し、実際そうなった人も非常に多いらしいです。

 それに、50年代ファッション風の時のファッション・ショーのランウェイや、いくつかの映画のストーリーやタイトルバックで「パリの恋人」の影響があるのもありますね。
 さらには最近の海外でのGAPでのCMにも使われてました。日本でもクオリティ誌の編集室のドアのシーンのパロディのCMもありましたし、本物の編集室のドアのシーンを使ったCMもありました。

 とにかく、スタンリー・ドーネン監督のセンスはズバ抜けてますね。「パリの恋人」と「いつも2人で」はセンスの良さではオードリー映画の双璧だと思います。



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