2009年03月05日

「尼僧物語」原作 キャスリン・ヒュウム:著 和田矩衛:訳

 今年の“スクリーン”の人気投票では、オードリーは第2位!でした。画像が今までの写真集で使っていたものだったんで、僕は買ってないんですが、欲しい方は本屋さんへGo!

 それと、「緑の館」のDVDが、イギリスではとうとう4月に発売されます!日本でももうすぐかな?
 アメリカではまだみたいですけど、ヨーロッパと日本先行では「華麗なる相続人」の例もありますし、期待して…いいのかな?(^^;

 ずいぶん長くご無沙汰してしまいまして、申し訳ありません。m(_ _;)m

 今日は「尼僧物語」の原作本の紹介です。出版は清和書院というところ。奥付を見ると、昭和34年1月10日第一刷発行になってます。明らかに映画の「尼僧物語」公開に合わせてますよね。定価は300円だそうです。表紙には油紙が巻いてあります。

 最近のオードリー関連本では「キャサリン・ヒューム」と表記されることが多い原作者ですけど、この本では「キャスリン・ヒュウム」になっています。翻訳者は和田矩衛という方。

 今回、このブログに載せるために始めから読み返してみましたが、以前感じたことと同じ、翻訳の点で、最初作品世界に入り込むことが難しかったです。

 というのも、普通はカトリックの尼僧に対しては、“シスター”と呼ぶのが普通だと思うのですが、この原作本では“姉”と訳されているので、なんかいちいちそこでひっかかるんですよね。
 たとえば“シスター・ルーク”は“ルーク姉”。これに馴染むのに、ちょっと時間がかかりました。(^^;
 訳者のあとがきで、“わが国の修道院では何々姉と言わずにシスタア何々と呼ぶが、読者の便宜のため一々訳語を付けてみました。”とあります。いや、あの、それ読者の便宜になってないから。(^^;

 内容的には、さすが原作ですね!映画では時間や予算の都合で描けなかったことが色々と出てきます。
 たとえば、精神病のサナトリウムでは、シスター・ルークが敬愛していた先輩シスターが殺害されるというエピソードがあります。

 また、映画でもリハーサルまで行われ、スチール撮影も済んでいた、コンゴでの増水で人が飲み込まれ、なすすべもないというエピソードも、ここでしっかりわかります。
 これって別に、ドラマティックだから、と言う理由だけで書かれているわけじゃないんですよね。実は、その増水の話を聞いた時に勝手に行ってしまい、シスター・オーレリーに譲らなかった、謙譲の心が欠けている、という指摘を受けて苦悩するシスター・ルークのお話というわけ。

 また、オードリーの戦争の記憶がよみがえるので、省いたといわれる戦争中のシーンですが、かなり本では詳しく描かれています。イギリスの飛行士をシスター・ルークがドイツ兵に嘘をついてかくまったり、スパイのためにゲシュタポの将校になっているイギリス人の話などが描かれます。

 原作では、修道院を出た直後のシスター・ルーク=ガブリエルの話が少しあるんですが、そこで気づかされるのは、尼僧のベールは、視野をかなり制限しているということ!広角レンズのように見える広がった世界に、ガブリエルが戸惑っているシーンがあります。

 それと、これはこの本でわかるオマケなんですけど、映画には出てこない人物で、ガブリエルの叔母がガブリエルのことを“ギャビィ”と呼ぶんですよね。あー、ガブリエルの愛称はやっぱりギャビーなんや、って思いましたね。
 「パリで一緒に」の脚本家ベンスンが劇中劇のヒロインを決めた時に、現実のガブリエルが“ギャビー!?”って驚きますけど、そんな驚くこととちゃうやん!とかってね。

 「尼僧物語」って、最近ではよく晩年のオードリーの活動と近いってことで取り上げられますけど、実は僕はそんな風にはあんまり思ってなくて、いちばん最初にそういう比較の文章を読んだ時、かなりビックリしたんですよね。
 「尼僧物語」は、やろうと思うのに、教えに行動の制限を受けることに苦悩する尼僧の話だし、オードリーは別に時間以外は制限なんて受けてないけど、現実の子供たちの状態を見て苦悩してるわけだし、いまいち一致する部分って少ないんじゃないのかな~?と。

 むしろオードリーとかぶるとすれば、修道院を出た、よって映画では描かれていない“その後のガブリエル”なんじゃないかなーと。
 ハイアムの伝記で、シスター・ルークのモデルになったマリー・ルイーズ・アベの話が出てきますけど、キャスリン・ヒュウムに“あなたは聖者だわ!”と言われた時にあとじさってるんですよね。
 だって、尼僧をやめないと出来なかったことをしてる自分に対して、“聖者”といわれたら、誰だってひきますよね。

 オードリーの行動も尼僧とは似て非なるもので、オードリーがやっていることは自分が有名で目立つのを利用して、その注目を世界の(生きることすら難しい)子供たちに向けさせること。そして自らその地へ赴いていって、じかに触れ、感じとり、世界に発信すること。
 これはこの原作を読むとよくわかるんですけど、個よりも全体を重んじる尼僧では決して出来ないことなんですよね。

 以前も「尼僧物語」の2枚組みサントラの時に書きましたけど、決して原作も映画も「尼僧“否定”物語」ではないので、そこのとこを履き違えないでくださいね。そこを間違えると「尼僧物語」はずいぶん小さなお話になる気がします。

オススメ度;★★★★




タグ :尼僧物語

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この記事へのコメント
原作もきちんと読んでらっしゃるとは素晴らしいですね。
この映画、子供の頃オードリィの作品群の中でも一番興味がなくて、
正直素通りしていたんですけれども、本当に観てよかったと思える作品です。
味わい深さという意味では、「いつも2人で」と双璧では。
映画は原作をよぉく生かした誠実な造りになっているようですね。

ハイアムの伝記でも、この作品に関わるエピソードが特に詳細でしたもんね。
読んでみたいです。よく手に入りましたね。

実は僕もオードリィの尼僧姿ってそれほどでもなかったんですが、
本編を見ると、スチールと違って自然な顔だし、
その表情の静かなる饒舌さ豊かさに見とれてしまいました。

ところで、「緑の館」とうとう出るんですねっ!
YOU TUBEでシネスコサイズの動画を見るんで、きっとちゃんとしたマスター
残ってるんだろうなぁと心待ちにしてました。
そうそう、フランスでは「昼下りの情事」のDVDが、
“アリアーヌ”の題で発売されてるようですよ。
Posted by まる at 2009年03月10日 22:45
ああ、そうですね!まるさんのおっしゃるように、
映画は原作をうまく消化して映像化していると思います。
ここに書きませんでしたけど、
オードリー=シスター・ルークで読めますし。

ただ、プロデューサーの立場なら、戦争の時期のシーンは
かなり映像にサスペンスが出るので、もっと描きたかったかなーと。
どうも静的なシーンばかりで、一般受けするかどうか心配だったでしょうし。
でもオードリーだから映像化出来た物だし、
そのオードリー嫌がってるなら撮れないし…ってんで、ジレンマだったかと(笑)。

で、僕もまるさんと同じように、スチールで見る限りでは、
やっぱり“変なオードリー!”って思ってました。(^^;
最初のタイトルバックでのオードリーは、髪型もちょっと変で、
オードリーにしては太ってるので、今でも違和感ありますけど。

「緑の館」は日本では出るんでしょうかねー?
まだどこからも予告はないみたいですけど…。
LDのときも、「緑の館」は出るのが遅くてやきもきしました。
でも英国版「緑の館」のジャケットは変!!ですよねー。
「華麗なる相続人」も全然でしたけど、このままだとヤだなー。
Posted by みつおみつお at 2009年03月12日 23:05
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