2007年05月28日

批評集「スクリーンの妖精 オードリー・ヘップバーン」

批評集「スクリーンの妖精 オードリー・ヘップバーン」 正直、これのために新しくカテゴリーを増やしました。これは写真集でもないし、伝記でもない。批評集、というのが正しいのかもしれません。

 今日の紹介は1997年にシンコー・ミュージックから出版された、「スクリーンの妖精 オードリー・ヘップバーン」です。

 これははじめの1/3弱はオードリーの人生のあゆみみたいな文章と画像で構成されていて、残りのメインはオードリー出演作品のアメリカでの新聞雑誌の批評集みたいになってます。

 こういう企画でまとめられた本は他にないし、写真集ではないので画質はよくないものの、載っている画像の貴重度は並の写真集を寄せ付けないすごさ!

 批評は、現在定評のある作品でも見どころを誤って批判している物もあるし、出来がよくないと言われる作品でもオードリーはほめられていたり、日本人にはついていけないアメリカン・ジョークがさむかったり…と大変楽しめます。

 日本ではなかなか批評などお目にかかれない「マイヤーリング(うたかたの恋)」「ニューヨークの恋人たち」「おしゃれ泥棒2」の批評も読めるのでいいですね~。

 画像も巻頭カラーの「オンディーヌ」や、本文での「ヴァリーエ」「マイヤーリング」「おしゃれ泥棒2」などのものが見れて嬉しい!
 (「ONE WILD OAT」の画像が「初恋」のものになってますけど)

 中でも、オードリーがエド・サリヴァンのテレビ・ショーに出た「1000日のアン」の画像はめちゃめちゃ貴重!ここで一緒に演じているのはなんと「マイ・フェア・レディ」のレックス・ハリスン!
 この画像のおかげで、レックス・ハリスンとは「マイ・フェア・レディ」が初めての共演じゃない、ってことがわかります。

 それに「モンテカルロへ行こう」がフランス語版と英語版が作られた、っていうのは知ってましたが、俳優さんも大きく違うし、実質別個の作品だ、っていうのをこの本がしっかり認識させてくれました。
 日本で発売されているのは以前からフランス語版ばっかりなので、ジュールス・マンシン、キャラ・ウィリアムスというちょっと名の知れた俳優さんが出ているという英語版も一度見てみたいです!

 というわけで、あんまり初心者向けの本ではないかもしれませんが、オードリーを深く知りたいなら大満足の1冊です!

オススメ度:★★★★(オードリー作品の批評を読む場合、最良のうちの1つ)




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この記事へのコメント
そう、コレ画像や印刷はよくないけど、
中味が異彩を放っていて充実していてお気に入りなんですよぉ。

本名が、当初アンドリーで、アンドリュー(男性名)と誤表記されるため、
オードリーに変えたって事実・・・この本で知ったような記憶があります。
確かにドイツ占領時代の国民身分証は、“Andrey K Ruston”
になっていましたもんね。
まぁ実質、オードリー・キャスリーン・(ヘプバーン=)ラストン
でいいのでしょうが。
あと、ジャンヌ・モローがオードリィのために映画を企画していたとか
他に載っていない事実も判明したりして貴重でした。

ただ、むこうの映画評ってなんかよくわかんないですね~。
褒めてんだか貶してんだか、しゃれっ気はあっても辛らつだったり・・・

ちなみにこの本のオリジナル(海外版)は、
画像のカラーが多く、日本版ではモノクロに差し替えられているようです。
このへんは“オードリースタイル”とおんなじですね。
Posted by まる at 2007年05月28日 00:13
これは私も衝撃でしたね~。
ありきたりの写真集に比べると、めくるたびに発見、発見でした。
確かに、初心者好みではなさそうだけど、ちょっと異色の一冊。

海外の映画評なんかも色々あって、当時の評論家たちの何ともいえない評価がまた面白かったり。

>まるさん
オリジナルはカラーが多いんですね~。
日本はどうもすぐにモノクロにしてしまう傾向にアリ、、、。
せっかくのいい写真も台無しの感ありますね。
Posted by カリン at 2007年05月28日 01:14
>まるさん
えっ!これも原書ではカラーが多かったんですか!
え~~~ショック~~~!!

それと、そう!あちらの批評の不明なこと!
翻訳がマズイとかってあるんでしょうか?
アメリカンジョークもすごいサムいのがあったりして
(「ハリウッドでばらばらに」とか)、
こんなんどこが面白いんやろ…みたいな。

>カリンさん
確かに、ここでの画像は珍しい物だらけでしたよね。
1番強烈なのはレックス・ハリスンと「1000日のアン」
なるものがあったこと!

画像は本当に珍しい物だらけでした。
初心者には微妙ですけど、長く楽しめる本ですよね。
Posted by みつお at 2007年05月28日 11:12
原書を確認できたので、ご報告。

>ハリウッドでばらばらに

やはり翻訳の問題でした。
PARIS WHEN IT SIZZLES(原題)というよりは、
HOLLYWOOD WHEN IT FIZZLESとしたほうがふさわしい・・・
という記述でした。
しゅうしゅういう(沸騰するほど暑い)パリではなく、
ぷしゅ~ん(ぽしゃる・・・失敗する)という音を出すハリウッド
英語では語呂合わせとしてはまってはいるし、
意味もなるほどなぁと納得です。
やっぱ翻訳って難しいですよね。

他に疑問だったのは、「シャレード」の海外評になった、
原語も同じ表現で、ケイリー(ドリアン)グラントというのは何なのでしょうか?
演技がくさいってこと?
Posted by まる at 2007年06月24日 23:41
まるさん、調べていただいてありがとうございます!
そうですかー、「ハリウッドでばらばらに」はそうでしたかー。
原語だったら、全然違和感ないですね!
というか韻を踏んでていい!です。
サムいアメリカン・ジョークでもなかったので、ホッとしました。(^-^

ケーリー・グラントの部分はなんだかわからないですねー。
ドリアン?甘いけど臭い?好き嫌いが分かれる?
ドリアン・グレイとは関係ないですよね?
Posted by みつお at 2007年06月26日 11:15
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