2007年06月11日

「緑の館」ウィリアム・ヘンリ・ハドスン著

 今日は1958年(オードリー29才)撮影の「緑の館」です。

 これは「緑の館」の原作本です。ここで紹介しているのは新潮文庫版。
 ただし、これは原作が傑作なので、戦前から何社からも出版されています。子供向けの本も過去に何種か出版されています。

 現存する物では岩波文庫の物が手に入れ易いですが、正直オススメできません。
 というのも、岩波文庫版は“You”という部分を“あんた”と訳してあるからです。これは致命的な欠陥!!
 これではリーマの妖精性が出ません。いくらアマゾンと言っても、女ターザンじゃあないんですから…。

 アベルのことを“あんた”呼ばわりする俗っぽいリーマでは、オードリーをイメージするのは到底無理。

 こちらで紹介の新潮文庫版はとても上手に訳されています。初版が1958年ですから、映画の「緑の館」に合わせての出版。あとがきでもオードリー・ヘプバーン主演の映画が公開されるので、年少者のために多少読みやすくしてあるとのこと。
 アベルのこともちゃんと“あなた”と呼んでくれるので、ずっとオードリー=リーマで読み進められます。

 ところが、これはこれで大きな難点が!年少者のために手加減したため、はじめと終わりがカットされた抄訳版になってしまってるんです!
 だから主人公は始めの方、ずっと名無しの権兵衛さんだし、最後にリーマのお骨拾いのシーンもなし。

 では、古本でどういうのがあるのでしょうか。戦前のものは、正直今と仮名遣いが違うし、漢字も旧漢字や正漢字ばかりで、めっちゃ読みづらいと思うので、止めたほうがいいでしょう。
 角川文庫には映画の公開に合わせた出版の物があるし、1997年にはちくま文庫というところから発売されてます。
 読んでもいないのにオススメするのはどうかと思いますが、角川文庫やちくま文庫のを買うのがいいんじゃないでしょうか。(^^;;;
 “あなた”と訳されていれば文句なし!です。

 内容はですね~、すんごくいいですよ!映画ではメルの監督が拙くて描ききれていない部分もしっかり書かれていますし、さすがに傑作と言われるだけのことはあります。新潮文庫版のは中学時代、本当に何度も何度も読みました。
 
 かなり感情移入して読んでしまい、結末でリーマが死んでしまうのがイヤで、ラスト近くでは違う結末を頭の中で考えていました。(^^;;;

 それに原作は映画のように原住民に悪いヤツが一人いる、という設定ではなく、本気でみんなリーマを魔女だと思って殺すんです。
 それで怒りに駆られたアベルは他の部族をたきつけて、一度はお世話になった部族を皆殺しにしてしまうんですよね。

 映画ではたいした役柄でもないんですが、原作で僕の好きなキャラクターにクラクラ婆さん、というかわいいおばあちゃんがいるんですが、皆殺しにされたあと、そのクラクラ婆さんの亡き骸が転がっているシーンは、かわいそうでかわいそうで…。

 リーマもクラクラ婆さんも死んでしまう悲しい結末…。別のラストを考えたくなるのはしかたないですよね。(^^;

オススメ度:★★★★★(映画「緑の館」の補完の役目を果たします。これを読んで映画を見れば、頭の中で描き足りない部分を追加できるので、映画がより良く観れます。)




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本書のタイトルをみて、クラシック映画ファンならオードリー・ヘップバーン、アンソニー・パーキンスの「緑の館」という映画を思い起こすでしょう。
実のところ、私は映画化されてい...
緑の館 W・H・ハドソン【くろにゃんこの読書日記】at 2007年06月13日 08:51
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