2007年06月17日

「マイ・フェア・レディ」日記 セシル・ビートン キネマ旬報社

 今日はオードリーが34才の1963年に撮影された「マイ・フェア・レディ」です。

「マイ・フェア・レディ」日記 セシル・ビートン キネマ旬報社 これはキネマ旬報社から発行されている『「マイ・フェア・レディ」日記』 セシル・ビートン著 です。

 セシル・ビートンはご存知ですよね?「マイ・フェア・レディ」であのすんばらしい衣装を担当した人です。

 どうやら今もこの本は無事現役のようですね。(^-^

 これは最初はレーザーディスクで発売された(当時税込み18231円もした!)、“スペシャル・コレクション「マイ・フェア・レディ」”内の特典として付いたのが最初です。僕もその分を持っています。
 そしてその後一般に市販されました。

 実はLDの出る前にビデオでも同じ仕様の物が出たんですが、そちらは翻訳されてない、原書のままでした。そんなの読めったって、英語能力のない僕には無理だし、豚に真珠状態だったんですが、
LDでようやく読めた、というわけです。

 で、読んでの印象は“壮絶!”ってとこでしょうか。もちろんセシル・ビートンから見た「マイ・フェア・レディ」製作現場だし、もし監督のジョージ・キューカーやオードリー・ヘプバーンが書いた『「マイ・フェア・レディ」日記』というものがあれば、また別の見方が出来るんでしょうが、“誰それが悪い”ということを別にすれば、この本だけでも撮影当時の現場の雰囲気を感じ取るには十分です。

 で、最初は和やかに進んで行きそうだった「マイ・フェア・レディ」の現場は、撮影とともにどんどん険悪な雰囲気になっていくんですよね。まさに一触即発状態!

 最初はビートンと仲のよかったジョージ・キューカー監督とアシスタントは後半キレまくってるし、レックス・ハリスンはうんざりするくらい気分屋。
 それにおそらくビートン自身も相当無理言ったんでしょうね、ビートンの希望通りにするために、もの凄い数のエキストラと格闘するヘアデザイナーの苦悩もひしひしと伝わってきます。

 そんな中、ビートンのペンにあっても敬意を持って書かれているのがオードリー!
 現場がピリピリしているときでもオードリーだけは気配りを忘れずに、まじめに、そして冷静に撮影に臨んでいたのがよくわかります。

 それと、オードリーはやっぱり自分の容姿の欠点を気にしていたので、四角くて横に広い自分の顔には横に張ったヘアスタイルよりも、トップを高くする方がいい、と述べているのが印象に残ります。

 実際この本にも変身していくイライザ、ということで髪型と衣装を試している画像が載っているんですが、そこで横に張った髪型のオードリーは本当に変!
 照明の悪さも手伝って、「パリで一緒に」や「シャレード」直後のオードリーとは思えないほど老けて見える画像があります。「ロビンとマリアン」よりも老けてるし…。

 でもここにある衣装を全部着たい!ってエキストラ用の衣装を次々着けて嬉々として写真を撮っているオードリーはこれまたなんてキレイなことか!

 衣装を製作している人たちが、まだ特訓中のイライザの何気ない衣装をオードリーが着た途端になんともいえずエレガントになるので嘆声が上がる、ということも書いてます。

 それにアスコット競馬場での撮影日に、オードリーがあの有名な衣装で登場すると、200人のエキストラ達が固唾を呑んで見つめていたことも書かれていました(中にはアスコット競馬場の撮影用のオペラグラスで見つめる人も!)。
 そうでしょうねー。僕だってその場にいたら、あのアスコットの衣装のオードリーの美しさに目をみはるばかり!でしょうし。

 ホントに当時ビートンが日記をつけていたものがそのままなので、華やかだけじゃない、当時のリアルな感覚が伝わってきて、とても興味深い本です。
 そりゃオードリー、この雰囲気よりは「パリで一緒に」での方がはるかによかっただろうことは容易に推測がつきますです。

 表紙のオードリーが、印刷濃すぎてシワが目立ってます。このときのオードリー、こんなに老けてませんよー!みたいな。

オススメ度:★★★





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