2010年06月04日

「マイヤーリング」原作「うたかたの恋」 クロード・アネ:著

 いよいよ“午前十時の映画祭”、大阪にオードリーがやってきます!TOHOシネマズなんばにて、2010/06/12(土)~2010/06/18(金)「ローマの休日」、2010/06/19(土)~2010/06/25(金)「昼下りの情事」です。ぜひぜひご覧になってください!

「マイヤーリング」原作「うたかたの恋」 クロード・アネ:著 これは、オードリー主演&メル・ファーラープロデュースで「暗くなるまで待って」の後に製作されるはずだったのに、カトリーヌ・ドヌーヴ主演になった「うたかたの恋」の原作です。
 オードリーとメルの離婚の原因になったとも言われています。

 というか、オードリー、実際に主演してますよね!
 「昼下りの情事」の後、まだオードリーが若さ溢れる時期である1957年に、アメリカNBCテレビでメルと二人で主演しています。

 作者はクロード・アネ。なんと!「昼下りの情事」の原作と同じです。翻訳も同じ岡田真吉。
 過去に3種類ほど発売されてますが、現在は絶版。

 僕の持っているこの画像は、ドヌーヴ主演映画が公開された1969年に発売された、角川文庫版。オードリーの画像ではないので、写真をちっさくしました。

 内容はオーストリア=ハンガリー帝国の皇太子ルドルフ(30才)と男爵令嬢マリイ・ヴェッツェラ(16才)の有名な心中事件です。

 このマイヤーリング事件は実話なんですが、この原作ではかなりロマンティックに描かれています。
 読み終わって、“ほ~、こんな内容やったんやー!”と思いましたが、詳しく調べてみると、いろいろと出てくるんですね。

 実際にはルドルフはいろんな娼婦と関係があって性病だったとか、実際に好きだったのは別の女性だったとか、死の前の晩はその別の女性と居たとか、二人は暗殺されたとか、色々説があるようです。
 でもこの本では、一般の人が信じている純粋な恋愛の面のみを描いています。

 ま、何度も映画化されるからには、そんなドロドロしたところは描けませんよね。(^^;
 でも、16才だったというマリイは、“恋に恋して”だったんじゃないかなーと思いますよね。

 さて、オードリーが出演したテレビバージョンですが、2010年現在ではマボロシ化しています。全世界でいまだビデオ化もDVD化もなされていません。

 監督は1936年に同じ原作から戦前に「うたかたの戀」を映画化しているアナトール・リトヴァク。
 1957年2月24日20:00~21:30 NBCテレビでカラー放映されました。
 (「マイヤーリング」の特集の載ったアメリカのLIFE誌は2007年04月26日の記事で)

 豪華な衣装(オードリー作品で何度も衣装デザインしているドロシー・ジーキンズ)と豪華なセットで、テレビとしては破格の制作費をかけて作られたそうです。

 さて、このオードリー版「マイヤーリング」、各種伝記ではヨーロッパでは劇場公開された国がある、と書かれています。
 僕も昔はそう信じていましたが、最近ではそれは都市伝説ではないか、と思っています。

 というのも、劇場公開されたなら、ポスターというものが存在したはずなのですが、どの国のポスターでも「マイヤーリング」のものを見たことがありません。

 さて、このブログに来ていただいている方のおかげで、「マイヤーリング」のごく一部の映像を見ることができましたし、権利元も判明しました。

 実は昨年、僕自身がこの「マイヤーリング」がDVD化出来ないかと動きました。(^^;
 権利元とも交渉していただいたのですが、そこでわかったことは、現存するのはカラーではなく、モノクロフィルムである、ということ。

 これは当時出たばかりのVTRが非常に高価で、当時の一般的なテレビの録画技術である、キネスコープ(と言ってもこれも高価)で保存されたため。当時はモノクロしかなかったそうです。

 そういうことも合わせて、“ヨーロッパで劇場公開された”というのはガセじゃないかと思われます。だって、テレビをカラー保存する技術がないですからね~。

 さて、権利元は日本でのオードリーの人気を知っているようで、権利金が非常に高額。DVD化に当たっての制作費を含めると、とてもとても個人では手が出せるような金額では無くなることがわかったので、残念ながら断念しました。
 芦屋に住んでいるような方なら、個人でもお出しになることが出来るんでしょうけれども…。(^^;

 もし出せたら、世界初DVD化で、「エクスラン・ヴァリーエ」と共に幻のオードリーとなっている、若いオードリー主演の作品を見るチャンスだったのですが…。

 本当に、どこかで出して欲しいですよね、オードリーの「マイヤーリング」。見たい気持ちがうたかたで終わらないように願いたいですよね。

オススメ度:★(マリイはオードリーで読めますが、ルドルフのメルというのはちょっと…。69年映画版のドヌーヴやオマー・シャリフは違うと思います。)





同じカテゴリー(マイヤーリング)の記事
 「マイヤーリング」紹介 キネマ旬報2013年12月下旬号 (2024-01-30 18:00)
 「マイヤーリング」本編サンプルDVD (2022-11-13 20:00)
 「マイヤーリング」B1劇場ポスター ピンク版 (2020-01-04 11:30)
 BS12 トゥエルビにて「マイヤーリング」無料放送! (2017-10-17 09:00)
 「マイヤーリング」読売新聞広告 (2015-01-10 09:00)
 「マイヤーリング」B1(B全)劇場ポスター (2014-04-02 21:00)

この記事へのコメント
そうですかぁ~、「マイヤーリング」のカラー版もう観ることはできないんですね。
実放映時ってどんなんだったんでしょうかね。
生放送なわけでしょ?昔のTVドラマってすごい緊迫感っていうか、
プロ意識にあふれたもの(作りはちゃっちくとも)だったといいますよね。
ところでドヌーヴ版「うたかたの恋」
これってあのテレンス・ヤング監督なんですよね。
なんかいろんな意味で“違う”作品のような気がします。
僕はこの時期、オードリィ出演予定作で気になったのは、
J・レモン共演の「11月は恋の月」というコメディです。
結局、監督が決まらず企画が流れたそうだけど、
どんな作品になったのかな~って勝手な想像をめぐらせてました。
Posted by まる at 2010年06月08日 23:42
みつおさんこんばんは。

「マイヤーリング」の原板が存在しないと知ってショックです。
オードリーの伝記で「ヨーロッパでは劇場公開された」とあったので
てっきりフィルムで撮影されたものと思っていました。
あと生放送というのもピンとこなくて、これは放送時間にオードリー
がカメラの前に立って演技したということでしょうか?
そうだとしたら衣装替えとかセット移動とか凄く大変ですよね。

現存するのがモノクロフィルムのみというのは残念ですが、それでも
見たい気持ちにかわりはなく、いつか日の目をみて欲しいものです。
Posted by 時雄 at 2010年06月09日 22:46
>まるさん

そうですねー、今のところカラー版フィルムの存在が見つかっていません。
ただ、LIFE誌の宣伝でも、“LIVE”とは書いてあるんですが、
実際に残っている「マイヤーリング」を見ると、
完全なライブでもないように思うんですよね。
場面転換とか、明らかに舞台を撮影したようではなく、
きちんとセットも変えて、衣装も変えて…って感じで、
なんか撮り置きのフィルムを見ているようなんです。
オードリーの髪型も、カツラとはいえ、全く変わってますし、
そんな一瞬で次々早変わりみたいなことは
してないと思うんですよね。
なので、まだ世界のどこかにカラーフィルムが…って希望を捨ててはいません。

ドヌーヴの「うたかたの恋」は、
オーストリアの繊細な皇太子がオマー・シャリフってのでまず“?”。
どうみてもアラブ系の豪胆な顔ですよね。
「華麗なる相続人」での役のほうが向いてる気がします。
ドヌーヴも16才にはムリありすぎ!シワ多いし、めっちゃ妖艶だし。
監督も007や「暗くなるまで待って」のテレンス・ヤングってのは、
どうでしょうねー。
キャスト・スタッフの選択がとっても疑問な作品ですよね。

それと、ジャック・レモンとの共演ですか!
日本での人気から考えると、ちょっとJ・レモンではどうかなーとも
思うのですが、楽しい作品に仕上がったかもしれませんね!(^-^
監督が見つからなかった、ってのは脚本が弱かったのでしょうか?
そういえば、ポール・ニューマンと共演の話もありましたよね。
「いつも2人で」でしたっけ?
Posted by みつお at 2010年06月10日 11:52
>時雄さん

「マイヤーリング」の現存するのは、

http://www.producersshowcase.org/library/mayerling.html

こちらで見てみてください。
その場で演じた、というのとは違うように思います。
なので、カラーが残っている可能性もゼロではないと思います。
画質が異常に悪いのは、このキネスコープのせいです。
テレビは 30コマ/秒 で、フィルムは 24/秒 なので、
画質劣化がかなり起こるらしいです。
実際には今のアナログ放送くらいのクオリティはあったそうですよ。

カラーでのオードリー、見てみたかったですね。
ここで見る限りでは、オードリー、充分若く見えます。
なんてったって女学生を演じた「昼下りの情事」の後ですから、
まだまだ10代の少女は易々と演じられますよね。

でも、後々のことを考えて、テレビではなく、映画で残して欲しかったです…。
Posted by みつお at 2010年06月10日 12:01
今朝のめざましテレビでやっていましたね。マイヤーリングのシネスコープ盤が発見され、それをもとに映画化されるそうです。日本での公開は今年に冬だとか・・・いまからとても楽しみです。
Posted by lesly at 2013年09月25日 18:59
leslyさん、初めまして。

けさの放送をご覧になったんですね。(^^
実は、これに関してはまだちょっと伏せておかなければならない事情がありますので、
その時が来たら大々的にこのブログでも取り上げたいと思っています。

ちなみに、シネスコープ(ワイド版の一種)ではなく、
キネスコープ(保存の形態)です。

僕も楽しみにしています!!
Posted by みつおみつお at 2013年09月25日 20:39
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。