2021年12月05日
「ローマの休日」4Kデジタル・リマスター版ブルーレイ
はい、今日は「ローマの休日」のデジタル・リマスター版 ブルーレイ・コレクターズ・エディションを紹介します。
これ、去年の12月2日に出てたんですね!1年経っての紹介になってしまいました。
でも今回はこのブルーレイの出来が悪い、とかではなく、僕が買ってから1年放置していたということですね汗。
でもこれ、見てみてビックリ!
またまた本編最初のクレジットの部分が変わっています!
(←今回の4Kデジタル・リマスター版の脚本・原案のクレジット画面)
2003年のデジタル・ニューマスター版の時は原案がイアン・マクレラン・ハンターからダルトン・トランボに変更されていましたが、今回は脚本の部分でもダルトン・トランボが追加されて脚本はトランボとハンターとジョン・ダイトンの3人になっています!
さらに、その脚本と原案のクレジットが載る部分のバックのフィルムに出てくるトラックのタイミングが2003年のニューマスター版はオリジナルとは少し違う部分が使われている、と以前書いてましたが、なんと!今回はオリジナルと同じタイミングでトラックが登場します!おおおおっ!!
なんでしょうね?これは前回のニューマスターでタイミングが違うと散々言われたんでしょうか?それともトラックのタイミングが違うのが自社で気になって正確な部分のフィルムを倉庫から持ってきたのでしょうか?
まあどっちにしてもだんだんモニターも大画面になってきていますから、タイミングが違うのはかなりハッキリとバレますよね。
今回はオリジナルになるべく忠実に、とリマスターされたんでしょうね。
(←2003年デジタル・ニューマスター版)
それと、今回の映像特典はDVDの時とはガラッと入れ替えられています。同じなのはアメリカの予告編とフォトギャラリーだけ。
2003年版のDVDの特典で付いていた日本版の予告編や池田昌子さんのローマの名所めぐりや吹替の思い出などの日本版オリジナルの特典は一切無く、アメリカ版にあったはずの「ローマの休日」の思い出や修復とか、イーディス・ヘッドのことなどが省かれてしまってます。
なので特典が全く違うので、DVDも手放せなくなってしまっています。
今回の特典は最初の“レナード・マルティンが語る「ローマン・ホリデー」”とかはそんなでもなかったですけど、“オードリー・ヘプバーン:パラマウント時代”とかショーンとロバート・ウォルダーズの語る”オードリーの思い出”とかは見応えありました。
でもパラマウント映画は6本と紹介されていて、「華麗なる相続人」が入ってなかったのは、製作がパラマウントではないからでしょうか。
「パリで一緒に」の紹介は短いのですけど、きちんと“オードリーもこの映画を楽しんでくれていたようです。”と言われていて、嬉しくなりました。
(←オリジナル版)
“オードリーの思い出”の方ではロバート・ウォルダーズがインタビューに答えているのが不思議な感覚でした。
ウォルダーズは2018年に亡くなっていますから、それまでに撮っていた物を編集したのでしょうね。
他の特典映像でインタビューを受けている人と同じバックの模様でしたから、その人達と同時期に撮られたんでしょうね。
それと、“ゲートの内側:衣装”という映像もあったので、「ローマの休日」の衣装も紹介されるかも!?と期待しましたが、全くありませんでしたね。
「ローマの休日」の特典なんだから、「ローマの休日」の衣装を見せて欲しかったです。「私のスタイル」展の図録を見ると、パラマウントが「ローマの休日」でのオードリーの衣装を保管しているはずなのですが…。
それとやはり時代なのでしょうか。“ダルトン・トランボ:A級リストからブラックリストへ”という映像も収録されています。
まあ僕はこういう政治的な思想のことにはオードリーと同じく距離をおいていますので、何も述べません。
日本版だけの特典として、アウターケースとトレバー・ウィルズマーという人が書いた文章のある全12p(うち文章は7p)のブックレットが付いてます。
トレバー・ウィルズマーという人が何者なのかは全く書いてないので知りませんし、パラマウント公式見解でもないと思いますが、その文章が「ローマの休日」の今まで知らなかった裏話が載っていて面白かったです。
まず予算はイタリアにあるパラマウントの封鎖資金100万ドルで作らなければならないこと。
えー!ウィリアム・ワイラーになる前に監督する予定だったフランク・キャプラには150万ドルって言ってて、それでも少なかったそうなのに、100万ドルですか!それは絞り過ぎですね。ウィリアム・ワイラーみたいな一流監督なのに!
(まあ最終的にはいくらかかったのかは知りませんが)
なのでここではカラー撮影を断念せざるをえず、さらにスターが2人は使えない、という縛りができたことが書かれています。それでどうしてもアン王女は無名の女優を使うということになったみたいですね。
他の候補として、各国の推薦で最初はシュザンヌ・クルーティエとコレット・リベールという2人が有力で、そこへロンドンからオードリーが推されてきたことが書かれています。
どっちも全く知らない女優さんです。
テストは前半は男優と1シーン、女優と1シーンだったと書かれていて、ワイラーはカメラを回しっぱなしにしたまま話しかけるように言った、となってるんですが、この辺が信用度が低くなる所でしょうか。
日本では初公開時から、ベッドで寝ているシーンを撮って、カット!が掛かってからのオードリーの笑顔を見て決めたと伝わっており、実際初公開時からずっとその時の写真もいろんな本や雑誌で載せられてきたのですが、本国アメリカではその辺の資料が残ってないんでしょうかね。
この辺はオードリー人気に断絶のあったアメリカの事情が窺い知れますね。
きっと当時のベッドでのスクリーンテストのフィルムは残ってないのでしょうね。
最終選考はオードリーvsシュザンヌ・クルーティエだったそうです。
脚本はベン・ヘクト、ロバート・ワイラー、レスター・コーニッグという人たちが撮影前に完成することができず、クレジットされているジョン・ダイトンが撮影の合間にローマで書いたそうです。使用可能なロケ地のあまりの多さに、脚本は絶えず書き直しを迫られたため、ジョン・ダイトンは貴重な存在だったそうです。
それと最終脚本はイアン・マクレラン・ハンターが手掛けたと書かれており、そのためパラマウントも今回の4Kリマスターでは3人の名前を載せたんでしょうね。
あと、撮影のフランツ・プラナーが撮影半ばに病気でアンリ・アルカンに交代になったこと、群衆整理が不可能なのでワイラーが普段ほどテイクを撮れなかったこと、アメリカを離れ全員が撮影を楽しんでいたこと、大使館の舞踏会のため、43人もの貴族の女性がエキストラとして出演したこと、その貴族の女性たちは報酬の2400ドルを慈善事業に寄付したこと、アメリカでは期待したほどヒットしなかったけれども海外では驚くべき大ヒットだったことが書かれています。
こうして開ける前は、しばらく待っていればケースなしで安くなるやろに、何にも写真が無いスリープケースにお金払うのイヤやなーとか思っていたのですが、まあこうしてブックレットを読めたのが僕的にはとても良かったです。
本編の画質は、こうした昔の映画の高画質化にはつきものですが、どうしても粒子感が強くなっていますね。
なのでスペイン広場のシーンでは雲一つなく晴れているのに、曇り感が強いです。
元々モノクロなので、色が変!ってことはないんですけどねー。
オススメ度:★★(やがてケース無しのが1000円代で買えるようになるでしょうから、ケースとブックレットに価値を見出せるコレクター向き)