2024年04月29日

リバイバル35周年! 89年「昼下りの情事」リバイバル チラシ

リバイバル35周年! 89年「昼下りの情事」リバイバル チラシ さて今日は1989年4月29日に「昼下りの情事」がリバイバルしてから35年になります。

 ということで今日は「昼下りの情事」の1989年版リバイバルチラシの紹介。

 この「昼下りの情事」リバイバルは、まさに待望の!だったんですよね。

 何と言っても、当時は「昼下りの情事」が全く見れない状況だったから。

 「昼下りの情事」は1957年に初公開。57年の第5位に入るほどの大ヒットで、1965年にもリバイバル。
 72年頃には、映画雑誌の「スクリーン」でリバイバルの希望を募る3作品(だったかな?)の候補にも入っていました。

 ところが、同時に候補だったのが「ウエスト・サイド物語」だったかで負けてしまい、その話は立ち消えに…。
 65年リバイバルのフィルムは権利の都合上1972年で切れるので、各地の名画座で最後に上映されて終了。劇場での公開が途絶えます。

 テレビも1970年、73年と放映された後、1975年を最後に、一切放映されなくなります。

 さあ、ここから「昼下りの情事」を見るのが極めて困難になります。
 当時はまだ配信どころか、個人向けの映画のビデオも販売されてなかった時代。

 どうしても見たければ、16mmフィルム(普通の映画は35mm)の貸し出しをしている会社にフィルムと機材と場所と技師を借りて上映しなければいけなかったんですよね。
 僕も資料を取り寄せて「いつも2人で」などが個人上映できないかと検討しましたが、当時の10万円以上もかかることがわかって断念。

 しかも中にはちょっと安いけど日本語字幕がない、というフィルムまでありました(「昼下りの情事」もそんな1本)。そんなの上映できませんよね?

 僕みたいに70年代後半にファンになった人間からすると、「昼下りの情事」はまぼろし化してしまっていたんですよね。
 70年代は暴力とリアリズムの映画がメイン。当時はロマンティックなオードリー映画ではもう稼げないと思われてた時代。

 75年から84年の10年間で映画館に来たオードリー映画は、新作の「ロビンとマリアン」と「華麗なる相続人」以外では、「マイ・フェア・レディ」と「ローマの休日」しか上映されませんでした。

 本当にファンからしたら、テレビで放映するのを待つしかない、という受け身の状態。75年から84年はオードリーの暗黒時代だったんですよね。
 映画雑誌でも「ロビンとマリアン」以降はほとんどオードリーを取り上げなくなってしまいましたし、まさにオードリーファン受難の時代。

 それが84年に日本ヘラルドによるリバイバルが始まって、85年の「噂の二人」を皮切りに、「麗しのサブリナ」「ローマの休日」、86年「ティファニーで朝食を」「パリの恋人」「マイ・フェア・レディ」、87年「シャレード」「暗くなるまで待って」「戦争と平和」、88年「パリで一緒に」「緑の館」と信じられない勢いでオードリー作品のリバイバルがやってきます。

 もう決して劇場で見ることはできないだろうと思われていた「噂の二人」「パリで一緒に」まで!
(「緑の館」もですが、結局「緑の館」は関東や関西では公開されず、僕は見れませんでした)

 もうもうファンからしたらうれしい悲鳴ですよね。1年に3本のペースで次々リバイバル!
 当時のリバイバルでもオードリー作品は群を抜いてお客さんを集められたようなので、これ以外にもオードリー特集があって、同じ作品も何度も何度も劇場にやってくるんです!

 そしてオードリーの大ブームが起こり、世は派手派手のバブル時代なのに、なぜか清純派のオードリーが同居しているという不思議。

 となると、まだリバイバルされてない作品が気になってくるわけですよね。
 僕にとっては筆頭は「いつも2人で」でしたが、世間的には「昼下りの情事」だっただろうと。

 「昼下りの情事」、今でこそオードリー作品では2番手、3番手のイメージがありますが、60年代〜80年代はオードリー作品でもトップクラスの代表作。
 当時「スクリーン」などの雑誌で、オードリー特集で代表作5本を選ぶ際に絶対に入ってくる4作品というのがありまして、それが「ローマの休日」「昼下りの情事」「ティファニーで朝食を」「マイ・フェア・レディ」(順不同)。

 後の1本はその時々で「暗くなるまで待って」だったり「シャレード」だったり「戦争と平和」だったりしてましたが、「昼下りの情事」は外せない作品だったんです。
 もちろん「麗しのサブリナ」よりもずっと上の扱い。

リバイバル35周年! 89年「昼下りの情事」リバイバル チラシ そんなトップの代表作なのにテレビやビデオでも全く見れない「昼下りの情事」ですから、オードリーの大ブームに乗って、ものすごいリバイバルが熱望されていたわけですよ。

 でもこの「昼下りの情事」のリバイバルが遅れたのは、製作会社がアライド・アーティスツという、もうその頃は無くなっていたような小さな会社だったので、権利元が移っていたからだと思うのですよね。

 65年リバイバルや、72年にリバイバルしそうになった時は名前の似ているユナイト(ユナイテッド・アーティスツ)が配給・宣伝を出していたので、僕は権利はユナイトだと思っていたのですがね。

 そんな、どこが現在の権利元かわからないような「昼下りの情事」ですから、日本ヘラルドも権利を取るのが遅れたんでしょうね。
 その後も現在に至るまで「昼下りの情事」は権利元が転々としています。

 やっと権利が取れた日本ヘラルドは、「昼下りの情事」をそれまでのリバイバルとは違う扱いにします。
 それまでの80年代後半の日本ヘラルドのオードリー作品のリバイバルでは、単独のポスターが1種類でも作られたら良い方(B2は「マイ・フェア・レディ」「シャレード」くらい)。せっかく作ったそのポスターも素人が適当に作ったのが丸わかりだったり(「シャレード」)。

 チラシすらまともに1作品で、というのは「マイ・フェア・レディ」くらいじゃね?っていう程度だったのですが、この「昼下りの情事」はオードリー大ブームが起きてからのリバイバルなので、日本ヘラルドも本気を出して来ました!

 まずは新作映画や、大々的なリバイバルのみで製作されるプレスシートを製作。マスコミや映画関係者などの各方面にリバイバルを周知して行きます。

 さらにそれまではやる気のなかったポスターも、きちんとデザイン会社に発注したんだろうなーというのがわかる力の入れ具合のB2、さらには大きなサイズのB1も製作。それぞれでデザインも違っています。

 さらにさらに、これまでの80年代リバイバルでは安直に、過去のパンフレットを原稿に作った復刻版もやめ、新たに1から映画パンフレットを作っています。

 劇場でもそれまでのリバイバルは2週間〜3週間と公開期間を先に決めて上映していましたが、「昼下りの情事」は期間を設けず、ヒットする限り続ける、という新作と同じような上映方式になっています。
 本当に何から何まで別格の扱いでした。

 東京では4月29日からテアトル新宿、銀座文化、自由が丘武蔵野館で上映開始。
 テアトル新宿では6月9日まで、自由が丘武蔵野館では7月7日まで、銀座文化ではなんと7月27日までと、どの劇場も1か月以上のロングランとなっています。銀座文化に至っては3か月の超ロングラン!

 いかに「昼下りの情事」が熱望されていたか、大ヒットしたかがわかりますよね。

 僕の持っている「昼下りの情事」のチラシは梅田コマシルバーのもの。
 これは「昼下りの情事」が来る!ってわかった時点で前売り券を買って郵送してもらったもの。

 そのため封筒に入れる際にこのチラシには折り目ができていますが、それでもこれは僕が実際に見に行った証となっており、大事なチラシです。
 なにせファンになってからやっとやっとで見ることが出来た「昼下りの情事」ですからね!

 一緒に見に行った子と帰りに茶屋町の居酒屋で食べたんですが、鍬の先に料理を載せて渡してくれるスタイルだったんですが、それが僕のとこで落ちたんですよね。

 当時はバブルで、僕も金糸を使ったオシャレだけど結構派手な(当時は普通)お気に入りのベストとクリーム色のシャツ、それと茶色のパンツを着ていて、幸いなことに汁ものじゃなかったので見たところ大して汚れていなかったんですが、お店の人がえらく恐縮して謝ってくれました。
 見に行った時の服装まで覚えているのは、料理を落とされたおかげですね笑。

 チラシの裏には、「ローマの休日」「ティファニーで朝食を」に並ぶ代表作です、と解説で書かれています。
 さらにはオードリーの紹介欄では、上記以外の代表作として「麗しのサブリナ」「戦争と平和」「パリの恋人」「シャレード」「パリで一緒に」「マイ・フェア・レディ」が挙げられています。

 これって〜…日本ヘラルドがリバイバルした作品(まもなくする「戦争と平和」も含む)を載せていますよね?って感じですね。「噂の二人」だけ載ってませんけどね。「おしゃれ泥棒」とか「暗くなるまで待って」とかが載ってないのはおかしいですもんね(その後1991年に「おしゃれ泥棒」も「暗くなるまで待って」も日本ヘラルドで配給)。

 このように89年に大ヒットした「昼下りの情事」は、上映後今度はビデオ化の権利争奪戦が起こるんですけど、その話はまた今年の終わり頃に。



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Posted by みつお at 18:00│Comments(2)昼下りの情事
この記事へのコメント
この本格リバイバルは待望でしたよね。
オードリィ全盛期16本主演作で最後に観ることのできた作品
まさに満を持して、待ちに待った鑑賞、しかも劇場でだなんて興奮しました。
往年の日本のファンにとっては、どうかすると「ローマの休日」をも超える代表作扱いの作品でしたよね。
僕の周囲にいる大人たちの間でもそうで、例えば高校の先生ではこれをイチ推しの名作としている方がいましたし、親や親せきの叔母さんにとってもヘップバーンといえばこの作品よ(特にプラットホームのシーン)と聞かされてきたので、長いこと伝説の作品となっていました。

 で初鑑賞の後の率直な感想はといえば・・・
・なんか画面がぼやけてない?
・シネスコサイズなの?構図が変な箇所あったけど・・・
・ちょっと長いかな、編集のせい?テンポゆるい
といったところで、ちょっと拍子抜けだったのも覚えています。
まぁ画質に関しては当時マスタープリントからの焼き付けがなく、リバイバル時に流行っていたシネスコサイズトリミング版しか入手できなかったと後から聞きました。
今となっては50年代オードリィのまぎれもない代表作のひとつだと思っていますが、当初はそうでもなかったというのもなんか懐かしいです。
もっとも他にも同様の印象のはありまして、小学生のときTVで初鑑賞の「ティファニーで朝食を」とか、20歳頃に学園祭自主上映で初鑑賞の「パリの恋人」なんかも、あれれ・・・とちょとズッコケたものです。
その一方で「シャレード」「おしゃれ泥棒」「暗くなるまで待って」なんかは、最初っからのめり込んではまりましたからねぇ
タイミングってありますよね(∀`*ゞ)エヘヘ
ちなみに衛星放送(今のBS)で初めて放映したときは、そのシネスコ版をスタンダード版にトリミングするという暴挙をNHKが行い大ヒンシュクを買った話もあります。(以前書いたと思いますが)
元の画面のなん分の一やねん!ってそりゃ思いますよね。
冒頭のナレーションのシーンで、シャバス氏の話しているユーモアが肝心の画面外になってしまったので通じなくなっていました(涙)
あと日本では「麗しのサブリナ」がこの作品の影に隠れてしまっていた感がああったのですが、アメリカでは全く逆というのも興味深いですね。
どうも May-December-Romance というのがあまり評価されにくいらしいです。
いずれにせよ、完全オリジナルのパンフやポスターも嬉しい、みんなが期待していたことが頷けるリバイバルでした。
Posted by まる at 2024年04月30日 23:02
おー!まるさんこんにちは!
まるさんのコメントをいただくと、つい嬉しくなってしまいます!

そして、まるさんとは同じ時代を共有できて、しかも初回「昼下りの情事」の感想や、「ティファニーで朝食を」や「パリの恋人」の感じ方までまるっきり同じで、ふふっと思わず笑ってしまいました。
「昼下りの情事」の本格リバイバルは嬉しかったですよね!!

「ティファニーで朝食を」と「パリの恋人」のまるさんの最初の印象を伺ったのって、僕には初めてじゃないですか?
まさかまるさんまで同じように思ってらしたとは!

「シャレード」「おしゃれ泥棒」「暗くなるまで待って」もうんうん!って思いながら読ませていただきましたよ。

まるさんと僕の違いは、オードリーのことを話せる大人が周りにいたかどうかの違いだけですね。
オードリーのことを話せる大人がいたなんて羨ましい〜!と思ってしまいました。

しかしBSでの「昼下りの情事」、さらにスタンダード化されていましたか!
撮影時のフィルムそのままでスタンダード放映したならともかく、シネスコサイズをさらにスタンダードとは!!
まあそれはそれで見てみたかった気もしますが、こうして今ちゃんとビスタサイズで見れるから言えることですよね。
もし期待して見てその画角なら、やっぱり怒ってしまいますよね。

そういえば、こないだ4Kで放映された「麗しのサブリナ」ですが、なんとビスタサイズでの放映でした!
それまでがスタンダードサイズだったので、これにはビックリ!
と言っても「麗しのサブリナ」はシネアルバムではビスタサイズになってるし、撮影フィルムは35mmだとしても、上映はどちらのつもりで撮影されたんでしょうね?
まあヴィスタヴィジョンが54年に出てるので、撮影が53年だった「麗しのサブリナ」はやっぱりスタンダードサイズで見るのが正しいのでしょうね。
Posted by みつおみつお at 2024年05月01日 17:04
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