2019年05月29日
河出書房新社 文藝別冊「オードリー・ヘプバーン 妖精、そして女性として」
こないだここのコメント欄にオーストラリアのIPアドレスから、0.5ビットコイン(約40万円)を払え!さもなくば…っていうスパムコメが5つぐらい書かれてました。
まあ貧乏でどうせ払えないので、さっさと削除しましたが、調べると最近はこういう詐欺メールとかがめっちゃ多いみたいですね。皆さんもお気をつけください。
さて、これは出たばかりの河出書房新社 文藝別冊「オードリー・ヘプバーン 妖精、そして女性として」という特集号です。
特集号っていうカテゴリー自体に書くのが本当に久しぶり!2009年の「別冊宝島 オードリー・シネマスタイル」以来10年ぶり!
それまで全然こういうのは出てこなかった、というわけですね。
最近のオードリーものとしては、文章がとんでもないのが付いている翻訳物の「永遠のオードリーファッション」とか、キャプションがいい加減なクレヴィス社の写真集だとか、あまりに酷すぎて未だにここで紹介していない同じくクレヴィス社のオードリーの伝記「オードリー・ヘプバーン 彼女の素顔がここに」とか、☆マークを全然多くはあげられないものばかりだったので、これは久しぶりに良いものに当たった!という感じです。
この本は写真もあるのですが、基本は文章がメイン。紙質も写真むきではない上質紙系のもの。
おや、これってオードリーが亡くなった時に出た読売新聞社の「一読三嘆!ヘプバーンへのレクイエム」を思い出す…と思ったら、判型も同じサイズでした。
これ、出る前に不安だったので河出書房新社さんにどのような内容なのか、資料はどこから引いてくるのかを尋ねたら、編集者でありライターの佐野亨さんからわざわざお返事をいただきまして、1冊献本していただけることになりました!ので、発売日は5月28日ですけど、実は25日には到着していました。
なんと、佐野さんにはこちらのサイトも見ていただいてるとのことでビックリ!
でも献本をしていただいても、もしかしたらこき下ろすかもしれませんよ?と却って恐縮だったのですが、“いいですいいです。書いていただいて。”と言っていただいたので、一冊いただくことになりました。
先に全部を読んで思ったことを書くと、日本が海外と違うのはオードリーをずっと愛してきたということ。
欧米では正直60年代後期〜80年代まではほぼオードリーのことは忘れ去られていたに等しい扱いだった、というのがあります。
“海外では日本ほどオードリーの人気がない”と言われていたのもこの辺の話ですよね。
欧米でオードリーが復権したのは87年ごろのユニセフの活動が取り上げられてから。人格的に素晴らしい!ということで映画が後からついてきた。
でも日本はそうじゃありませんよね。「暗くなるまで待って」までももちろんのこと、オードリーが半引退状態だった70年代も「エクスラン・ヴァリーエ」があったし、世界中のどこよりもオードリーを大事にしていた。日本からのファンレターは途切れることなく届いてたことはルカも証言してますしね。
さすがに「華麗なる相続人」の後は日本でも人気が落ちて「ニューヨークの恋人たち」は未だに未公開のままだけど、82年には「銀座リザ」、83年にはオードリー初来日と途切れてたわけではなかった。そして85年の「噂の二人」から始まる日本ヘラルドのリバイバルでまたまた大ブームになった。
なのでオードリーの人気というのは日本では1954年以来ずっと地続きなんですよね。だからオードリーのことをどの時代でも持ってこれる。
欧米はそうじゃないからどうしても空白の部分があって、誰に聞いてもおそらくよくわからない。だから昔の雑誌などの資料に頼るか、87年以降のユニセフのことになるか。そして信頼性の低いものを含めた伝記に頼った借り物の言葉になってしまうんですよね。
海外のオードリーの伝記も最初期のものはともかく、最近のはみんな自分の足で調べたものじゃなくって、過去の伝記からの寄せ集めの物ばかり。なのでホント玉石混淆。
玉も石も見分ける力がなさそうな人が著したオードリー関連の物が本当に多いです。写真集も裏焼きばかりだしね。
日本でも最近ではそういう海外の伝記に頼らないといけない部分もあって、“こうです!”って言いきれていないのはこの本でも感じるんですが、日本だけが本当のオードリーを見分けられる力を唯一持っているんだろうなーと思います。
そういう意味でも、この本がこれだけオードリーに関する文章を揃えられたっていうのは日本だから、だと感じます。
(もっとも、日本でも最近のクレヴィス社の展示会やら本やらは海外並みに知らない人が作ったエセ臭がプンプンしますけどね)
まず写真は少ないです。でもチョイスはなかなか!「許されざる者」とかおんなじのばっかりしか最近は出てこない作品とかも珍しいのを使ってくださってるし(↓最後の写真)、ヴォーグやグラマーといった雑誌から載せているオードリーの写真は可愛くて珍しいものがあったりします!
ただ…写真についてる年度がめっちゃ間違い多いです。これは大幅減点。早速河出書房新社さんには伝えておきましたが、もし再版することがあれば訂正が入るそうです。
まず表紙。髪型もコートも「麗しのサブリナ」のものですが、1957年になってます。メイクも全然違いますよね。
総扉(2つ目の写真左)、1955年になってますけど、これは「ローマの休日」撮影後の1952年〜53年のポートレート。
表3(裏表紙のめくった前のページ)の晩年のポートレートが1990年になってますけど(写真未掲載です。スミマセン)、そのちょっと前、p173で同じ衣装(3つ目の写真)、同じポーズ、同じ椅子に座っているものが1992年になってます。どっちか違いますよね。
表4(裏表紙。4つ目の写真)も“「ティファニーで朝食を」撮影現場にて”ってなってますけど、これ明らかに「噂の二人」の髪型で、オードリーとシャーリー・マクレーンが洗い物とかしているシーンの衣装だし…。
本文でもかなりの間違いが…。まずアルバムのページの最初(5つ目の写真右)は明らかに「昼下りの情事」後(1957年)の髪型とメイクなのに1951年。
その横(5つ目の写真左)の歯の矯正をしていない若いオードリーが1953年。これは1950年か51年ですね。少なくとも「ローマの休日」よりは前です。
さらにめくって「昼下りの情事」(撮影なら1956年or公開なら57年)の衣装で橋の欄干にもたれるオードリー(6つ目の写真)が1953年。これ、p119にも全く同じ衣装と髪型で出てて(7つ目の写真)、そっちはちゃんと「昼下りの情事」になってるのにね。
p11の明らかに「ローマの休日」以前のイギリス時代のオードリーの画像(8つ目の写真)が1955年。なのに同じ衣装を着ているp19では「モンテカルロへ行こう」の1952年になってます(9つ目の写真)。だいたいこれが「モンテカルロへ行こう」なのかという問題もありますが、まあその時期の撮影ではありますよね。
フィルモグラフィーに入っても「若気のいたり」として載ってる画像は「素晴らしき遺産」のシガレットガールだし、その下の「素晴らしき遺産」に載ってる方は「初恋」のオードリー(10個目の写真)。
飛んで、後半のアルバムでも、p168の1968年、「暗くなるまで待って」のアカデミー賞授賞式でのオードリーが1975年になってます(←の写真右)。
このページは横の「ロビンとマリアン」用の宣伝写真が美しいですね!
これらのポートレートの画像に関しては、年の表記はない方が良かったかも…と思ってしまいます。
こういうのは言ってくださったらタダでもいいので校正するのにー!
まあこれらの画像はいろんな所からのレンタルなので、その元々の会社がこれらのいい加減な年度でレンタルしてるのかもしれませんけどね(なんせ権利元になってる海外の人がオードリーのことなんてよく知らないみたいですしね。というか、本当にそれらが権利者なのか、というおおもとのところも疑問。なんで「スクリーン」誌を持って写っている「スクリーン」用に撮った写真とかが海外の誰かが権利元でレンタルしてるわけ??ありえないでしょー!)。
でもこの本のウリはそれらの画像にあるのではなく、やっぱり文章の数々にありますよね。
まずは声のオードリー、池田昌子さん(→右の写真)の最新インタビュー!今年の4月に収録されているそうです。
軽く池田昌子さんの経歴から始まって、オードリーをアテる時の池田昌子さんの心情などが興味深いです。
何度もオードリーを吹き替えるにつれて、「私はとてもこんな風に演じられない!」と押しつぶされそうだったという池田昌子さんが意外でした。
オードリーの演技として、素直に自分の感情を出しているだけだと思うので、その演じているオードリーよりもどんどん池田昌子さんの方が年齢が上になっていったであろうのに、それでもプレッシャーだったのかー!みたいな。
それに、池田昌子さんのもう一つの代表作「銀河鉄道999」のメーテルもプロデューサーに「メーテルはオードリーですね」と言われたとか。
ナレーションなどでも「オードリーのようなしゃべり方で」とお願いされることもあるのだとか。でもそれはどうすればいいかわからない、とおっしゃってます。でも「マイヤーリング」の予告編だとか、10年ほど前?だったかな、オードリーを使った化粧品の映画館での宣伝でも池田昌子さんがナレーションでしたから、明らかにそれはオードリーを求められたでしょうねー、って思いました。
最後に特に印象深いオードリー作品は?という質問がありますが、ここでの池田昌子さんの答えが“やはり最初に吹き替えた「許されざる者」が映画自体もとても好きな作品でしたし、印象に残っています。”というのが嬉しい!
「許されざる者」なんて、おそらく1回しか吹き替えをしてないと思うんですけど、それでも挙げてくださるんですね。
それ以外には定番の「ローマの休日」、それと何度も涙で先を進められなかった逸話のある「噂の二人」を挙げてらっしゃいますが、“どれか好きな作品を1本選んで欲しいと言われても難しい”とおっしゃってます。
こういう質問でもったいないのは、僕が質問するなら(オードリー本人にも)、“どの作品が好きですか?”ではなく、“それぞれの作品の思い出を教えてください。”になるだろうなーと。
きっと各作品で思い出があるだろうし、その時の池田昌子さん(あるいはオードリー)の心情が聞けたら嬉しいなあ〜と思うのですよね。
オードリーもそうですけど、「ローマの休日」みたいに“ローマです!”ってきっぱり言い切るんっじゃなくって、“それぞれどの作品にもいいところが…”っていうのは最初のアン王女みたいに“言わされてる”という形じゃなく、自分の意思で言ってますよね。
だから“どの作品が?”ではなく、“各作品で”って質問にしたいんです。今では全然放送されない「いつも2人で」とかの思い出を聞いて見たいんですよね。
でも本当に池田昌子さんの「緑の館」「初恋」「マイヤーリング」「ニューヨークの恋人たち」「おしゃれ泥棒2」は急いで欲しい!
SEがなくて、別の音楽を使用してしまった「暗くなるまで待って」「いつも2人で」も新録音が欲しいし、テレビサイズのため欠落部分がある「おしゃれ泥棒」「噂の二人」「華麗なる相続人」なども全部吹き替えてほしいです!
次は瀬川裕司さんによる“終戦までのオードリー”。ここでは9冊の伝記をチェックしてみて、“内容が凄まじく異なっていることに驚いた。”となってます。
確かに!本人が書いたわけでもないし、オードリーと同じ時代を歩んだ人が書いたわけでもないので、異なるのは仕方ないですよね。信頼性が極めて低いのも有るし。
そんな中で、オードリーに関する戦争のことも書き方が揺れています。“という説もある”というのが非常に多いんですよね。これが今のオードリーに関する書き方になってしまうかなーと思いますね。
書き方が揺れるのは次の“乙女と寝台”を書いた大久保清朗さんも同じ。吉村英夫氏が自分の妄想とダイアナ・メイチックのデタラメ本から勝手にオードリーを作り上げた時代とは違うんですね。
大久保さんの文章で“おおっ!”と思ったのは、引き合いに出されている山田宏一さんのオードリー評、“最高にパジャマが似合う女優”。
確かにオードリー映画にはパジャマやネグリジェが多い!いや、もしかしたら他の女優さんにも有るのかもだけど、オードリーはガウンを含めるとほとんどの作品で出てくる!
シャツをパジャマにしている「ティファニーで朝食を」とか「いつも2人で」とかは最高にカッコいいし、「パリで一緒に」のネグリジェはもうお姫様ですよね!
「パリの恋人」「シャレード」というスタンリー・ドーネン監督作品に対する「すでにある誰かの反復」という扱いは大久保さんに同意しかねるものの(僕はドーネン監督はオードリーでなくてもいい作品で、最もオードリーらしさを引き出した監督だと思っているので)、「いつも2人で」を過去のオードリーのイメージを更新した傑作だと褒めてもらってるので、読後感は悪くはないです。
次からは再録のエッセイが入ります。
中野翠さん、イッセー尾形さん。どちらも面白くて、つい“ふふっ”てなってしまう内容。そしてどちらも1992年のまだオードリーが存命の頃のもの。
次も再録だけど、これはよーく知っている双葉十三郎さんの「カタログ オードリー・ヘプバーン」からのもの。
双葉さんの文章は、ここでは共演者全員を書かないといけないので、さらっと流れてしまいますけど、「パリの恋人」や「許されざる者」などを気に入っている双葉さんが見えます。
そしてここで選ばれている「昼下りの情事」「尼僧物語」「いつも2人で」の画像は珍しいもの。「昼下りの情事」はオードリーがいない写真なので、まあ珍しいのは当然ですけど笑、なんか嬉しい。
「許されざる者」も知ってるけど、これ最近では採用率低いですよね。「ティファニーで朝食を」はこの足まで写ってるのはあったっけ?
その次は“ミュージカル映画のオードリー”ということで篠儀直子さんという方の文章。
この方はフレッド・アステアの自伝も翻訳されているようで、そのため前半の「マイ・フェア・レディ」よりも後半の「パリの恋人」の方が詳しく述べられています。
そしてここで思うのはこの方のスタンリー・ドーネン論。先に書いた大久保清朗さんの文章がとても「キネマ旬報」っぽい(作品からオードリーを捉える)と思うのに比して、篠儀さんの文章は往年の林冬子さん、南俊子さん、小藤田千恵子さんに連なるような“オードリー評論家”(オードリーに焦点を当てる)としての捉え方。
オードリーファンとしては篠儀さんの「パリの恋人」「シャレード」「いつも2人で」の掴み方の方がしっくりきます。そしてオードリーが歌ったのに歌えなかった「マイ・フェア・レディ」にも優しい視線を感じます。
この方の他のオードリー作品論も読んでみたい!そう思わせる内容でした。篠儀直子さん、覚えておきますね。
ちなみにここでは「パリの恋人」のダンスレッスンをするオードリーとアステアの珍しい写真が見れます(→)。
次は再録で2000年の鷺沢萌さんの文章。ここで面白かったのは、若い子たちが「ローマの休日」や「麗しのサブリナ」を見て感想を言うのを聞いて、「オマエら他に見てねえだろ!」って言うところww。
2000年の10年ほど前の話なので、おそらくオードリー大ブーム時の1990年頃の話なんでしょうけど、確かに80年代前半までの“どの時代のオードリーも好き。”というのからは軸足がずれてきてる頃の若い子たち。
なんとなく若い頃のオードリーだけがもてはやされて来はじめた頃ですね。
と言ってもその時代はまだどの作品もリバイバルされてたけど、今はもっと50年代のオードリー偏重になってますよね。さらに正確に言うと「ローマの休日」「麗しのサブリナ」「パリの恋人」だけのオードリー。あとは「ティファニーで朝食を」。
この鷺沢萌さんの第1位は文句なく「暗くなるまで待って」とのこと。第2位は「シャレード」ですと。いやー、シンパシー感じるなー。
そして池田昌子さん以外がオードリーの声を演じることを、“あたくし許さなくってよ”と池田昌子さんの「エースをねらえ!」のお蝶夫人の口調で言うところとか、僕も頭の中でお蝶夫人で再生されましたがな笑。
次は雑誌の表紙が並ぶのですがl、ここは本当はカラーで欲しかったところ。67年8月号の籐椅子の「いつも2人で」は本物が欲しいなあー。
その後には海外のフォッション雑誌で掲載されたオードリーの写真。これまたカラーで見たいところですけど、最初のグラマーとヴォーグの画像のオードリーがめっちゃ可愛い!!(←左の写真)
「マイ・フェア・レディ」でのバッシングが無ければ、もう少しオードリーは若々しかった時代が続いたろうに…と思います。
その次の「マイ・フェア・レディ」のエキストラの衣装を着るオードリーの左の写真も珍しい!
次は再び再掲もので女性誌「SPUR」がオードリーの死後に発行した「永遠のオードリー・ヘップバーン」から長沢節さんのバレンシアガのサロンで会ったオードリーの文章。
これは長沢節さんの文章より、本誌「SPUR」では物凄く優れた特集だったのに、追悼としてまとめるとなんでこうなるかな〜…と言うガッカリ度が物凄く高かった印象の本。珍しく美しかったカラーの写真は全部省かれて、モノクロの単調な出来になってしまってました。
それでも最近の国内外の本と比べると、ずっとずっと優れた日本ならではの写真集でしたね。
次の山崎まどかさんの文章はほぼ諸手を挙げて賛成!特に黒柳徹子さんの玉ねぎ頭が実は60年代後半のオードリー(と言うか、「暗くなるまで待って」のオードリー)を意識したのでは?と言うところ、僕もずっとそう思ってました!ついでにいうと小森のオバチャマもね。
でも「ローマの休日」ってアメリカの興行収入で10位内入りましたっけ?そして50年代には他には「戦争と平和」だけと。
確かオードリー作品で50年代にベスト10に入ったのは「戦争と平和」と「尼僧物語」だけのはず…。
昔は「スクリーン」がアメリカのそれぞれの年のベスト10を集めた写真集を出してましたけど、今はネットを見ても正確なベスト10を載せてるところが無いような…。
オードリー作品でアメリカのその年のベスト10に入れたのは、「戦争と平和」「尼僧物語」「シャレード」「マイ・フェア・レディ」だけだったと思います。
そしてアメリカでは“青春”を演じられる女優がいなかった…これはそうなんでしょうねー。だからこそコレットが青春を生きるジジでオードリーを欲しがった、と。
そして異端だったから色褪せなかった、と言うのは僕も前から書いていることで、それは「ティファニーで朝食を」のパーティーシーンが顕著ですよね。
他のモブ俳優さんが全て時代を感じる古めかしさなのに、オードリーだけが時代を超越しているという。
だからこそオードリーの代表作で、原作者になんと言われようともオードリーがホリーで正解だったということですよね。マリリン・モンローではこういう時代の超越はできなくて、おそらく1960年らしい作品になってしまっていたと思います。
これは「マイ・フェア・レディ」のアスコット、「麗しのサブリナ」のパーティーシーンでもはっきりしますよね。
そしてオードリーを称える言葉やオードリーの各国のポスターの後で、懐かしい!「虹のヲルゴオル」の橋本治さんの文章が再録されています。
久々に読んでみると、橋本治さん、「いつも2人で」を5回の旅と思ってるし、3回目の旅を見事に新婚旅行だと思ってる。まるで昔のWikipediaを見てるよう…。
でもそんなことがこの橋本治さんの言いたいことではなくって、旅の順番も回数も間違っていても、それでもオードリーの紐解き方が凄いんですよね!
この橋本治さんの文章はとても好きです!
その後には森下くるみさんや菅野優香さんの文章が続きます。
そして再度オードリーの写真が続き、最後には2019年4月時のオードリー作品のDVD&ブルーレイ商品紹介があるのですが、「ニューヨークの恋人たち」が未発売なのは悲しいですが、まあわかっていることなんですけど…「噂の二人」が廃盤ですと!?
確かに20世紀フォックス(現在ユナイト作品の権利を持っているのはここ)のサイトを見に行っても「噂の二人」がヒットしないっ!!
まだアマゾンには在庫があるようですが、いずれ無くなるのかな?それともまた廉価版が出てくるのか…。
でもユナイトはMGMに吸収され、そのMGMは元々コロムビア映画だったソニー・ピクチャーズに配給権が移り、今は20世紀フォックス傘下が配給していて、その20世紀フォックスはこないだディズニー映画に吸収されてしまったという…。今は20世紀フォックスで大規模なリストラがあるとか、こないだニュースになってましたね。
アメリカの大きな映画会社だったそれらの会社の実質的な実態が無くなっていくみたいなのはなんか悲しいですね。
ディズニーが20世紀フォックスを買収したというのは、僕的にはあんまり嬉しくないですね。4000人リストラというのもですけど、日本のディズニーランドでもキャストに対するブラックな感じが、なんか “夢を売っているけど、でも…”みたいな部分が見え隠れするので。
20世紀フォックスとディズニーはちょっと毛色も違う気がするので、ディズニー色に染められるのは不安です。
ディズニーだったら「いつも2人で」は作れなかったのでは?…そう思うんですよね。
後「モンテカルロへ行こう」がここでは廃盤になってますけど、アマゾンで見たら4Kレストア版でDVDとBlu-rayが出るみたいです。
「いつも2人で」なんて未だにレターボックス収録DVDしかないのに、なんて贅沢な!
それと、もう「緑の館」はオンデマンド版しか出ないんですかね…(ー△ー)
「若気のいたり」と「オランダの7つの教訓」はとっとと出して欲しいです。
編集後記は佐野亨さんが書いておられます。
全体を通して、やっぱりこれは先に書きましたけど、日本ならではの読本だということですね。
これは絶対に海外では出せないものです!空白期間なしにオードリーのファンだった日本だから書けた文章たち。
再録があったのは、だんだん日本でも昔からのオードリーと断絶している世代が多くなってきてるから、まだ断絶してない世代の文章の方が的確かつ輝いているからだったりする、ということも関係してるのかな?とも思ったり。
でも本当に久々にいいものを読ませていただいた!と感じました!僕的にはオススメ度が高いです!
オススメ度:★★★★(星1つ減点なのはポートレートの年度がむちゃくちゃだったからです。でも最近では星4つなんてめっちゃ久しぶりっ!!嬉しい!)
まあ貧乏でどうせ払えないので、さっさと削除しましたが、調べると最近はこういう詐欺メールとかがめっちゃ多いみたいですね。皆さんもお気をつけください。

特集号っていうカテゴリー自体に書くのが本当に久しぶり!2009年の「別冊宝島 オードリー・シネマスタイル」以来10年ぶり!
それまで全然こういうのは出てこなかった、というわけですね。
最近のオードリーものとしては、文章がとんでもないのが付いている翻訳物の「永遠のオードリーファッション」とか、キャプションがいい加減なクレヴィス社の写真集だとか、あまりに酷すぎて未だにここで紹介していない同じくクレヴィス社のオードリーの伝記「オードリー・ヘプバーン 彼女の素顔がここに」とか、☆マークを全然多くはあげられないものばかりだったので、これは久しぶりに良いものに当たった!という感じです。

おや、これってオードリーが亡くなった時に出た読売新聞社の「一読三嘆!ヘプバーンへのレクイエム」を思い出す…と思ったら、判型も同じサイズでした。
これ、出る前に不安だったので河出書房新社さんにどのような内容なのか、資料はどこから引いてくるのかを尋ねたら、編集者でありライターの佐野亨さんからわざわざお返事をいただきまして、1冊献本していただけることになりました!ので、発売日は5月28日ですけど、実は25日には到着していました。

でも献本をしていただいても、もしかしたらこき下ろすかもしれませんよ?と却って恐縮だったのですが、“いいですいいです。書いていただいて。”と言っていただいたので、一冊いただくことになりました。
先に全部を読んで思ったことを書くと、日本が海外と違うのはオードリーをずっと愛してきたということ。

“海外では日本ほどオードリーの人気がない”と言われていたのもこの辺の話ですよね。
欧米でオードリーが復権したのは87年ごろのユニセフの活動が取り上げられてから。人格的に素晴らしい!ということで映画が後からついてきた。
でも日本はそうじゃありませんよね。「暗くなるまで待って」までももちろんのこと、オードリーが半引退状態だった70年代も「エクスラン・ヴァリーエ」があったし、世界中のどこよりもオードリーを大事にしていた。日本からのファンレターは途切れることなく届いてたことはルカも証言してますしね。

なのでオードリーの人気というのは日本では1954年以来ずっと地続きなんですよね。だからオードリーのことをどの時代でも持ってこれる。
欧米はそうじゃないからどうしても空白の部分があって、誰に聞いてもおそらくよくわからない。だから昔の雑誌などの資料に頼るか、87年以降のユニセフのことになるか。そして信頼性の低いものを含めた伝記に頼った借り物の言葉になってしまうんですよね。

玉も石も見分ける力がなさそうな人が著したオードリー関連の物が本当に多いです。写真集も裏焼きばかりだしね。
日本でも最近ではそういう海外の伝記に頼らないといけない部分もあって、“こうです!”って言いきれていないのはこの本でも感じるんですが、日本だけが本当のオードリーを見分けられる力を唯一持っているんだろうなーと思います。

(もっとも、日本でも最近のクレヴィス社の展示会やら本やらは海外並みに知らない人が作ったエセ臭がプンプンしますけどね)
まず写真は少ないです。でもチョイスはなかなか!「許されざる者」とかおんなじのばっかりしか最近は出てこない作品とかも珍しいのを使ってくださってるし(↓最後の写真)、ヴォーグやグラマーといった雑誌から載せているオードリーの写真は可愛くて珍しいものがあったりします!

まず表紙。髪型もコートも「麗しのサブリナ」のものですが、1957年になってます。メイクも全然違いますよね。
総扉(2つ目の写真左)、1955年になってますけど、これは「ローマの休日」撮影後の1952年〜53年のポートレート。
表3(裏表紙のめくった前のページ)の晩年のポートレートが1990年になってますけど(写真未掲載です。スミマセン)、そのちょっと前、p173で同じ衣装(3つ目の写真)、同じポーズ、同じ椅子に座っているものが1992年になってます。どっちか違いますよね。

本文でもかなりの間違いが…。まずアルバムのページの最初(5つ目の写真右)は明らかに「昼下りの情事」後(1957年)の髪型とメイクなのに1951年。
その横(5つ目の写真左)の歯の矯正をしていない若いオードリーが1953年。これは1950年か51年ですね。少なくとも「ローマの休日」よりは前です。

p11の明らかに「ローマの休日」以前のイギリス時代のオードリーの画像(8つ目の写真)が1955年。なのに同じ衣装を着ているp19では「モンテカルロへ行こう」の1952年になってます(9つ目の写真)。だいたいこれが「モンテカルロへ行こう」なのかという問題もありますが、まあその時期の撮影ではありますよね。
フィルモグラフィーに入っても「若気のいたり」として載ってる画像は「素晴らしき遺産」のシガレットガールだし、その下の「素晴らしき遺産」に載ってる方は「初恋」のオードリー(10個目の写真)。

このページは横の「ロビンとマリアン」用の宣伝写真が美しいですね!
これらのポートレートの画像に関しては、年の表記はない方が良かったかも…と思ってしまいます。
こういうのは言ってくださったらタダでもいいので校正するのにー!
まあこれらの画像はいろんな所からのレンタルなので、その元々の会社がこれらのいい加減な年度でレンタルしてるのかもしれませんけどね(なんせ権利元になってる海外の人がオードリーのことなんてよく知らないみたいですしね。というか、本当にそれらが権利者なのか、というおおもとのところも疑問。なんで「スクリーン」誌を持って写っている「スクリーン」用に撮った写真とかが海外の誰かが権利元でレンタルしてるわけ??ありえないでしょー!)。
でもこの本のウリはそれらの画像にあるのではなく、やっぱり文章の数々にありますよね。

軽く池田昌子さんの経歴から始まって、オードリーをアテる時の池田昌子さんの心情などが興味深いです。
何度もオードリーを吹き替えるにつれて、「私はとてもこんな風に演じられない!」と押しつぶされそうだったという池田昌子さんが意外でした。
オードリーの演技として、素直に自分の感情を出しているだけだと思うので、その演じているオードリーよりもどんどん池田昌子さんの方が年齢が上になっていったであろうのに、それでもプレッシャーだったのかー!みたいな。
それに、池田昌子さんのもう一つの代表作「銀河鉄道999」のメーテルもプロデューサーに「メーテルはオードリーですね」と言われたとか。
ナレーションなどでも「オードリーのようなしゃべり方で」とお願いされることもあるのだとか。でもそれはどうすればいいかわからない、とおっしゃってます。でも「マイヤーリング」の予告編だとか、10年ほど前?だったかな、オードリーを使った化粧品の映画館での宣伝でも池田昌子さんがナレーションでしたから、明らかにそれはオードリーを求められたでしょうねー、って思いました。
最後に特に印象深いオードリー作品は?という質問がありますが、ここでの池田昌子さんの答えが“やはり最初に吹き替えた「許されざる者」が映画自体もとても好きな作品でしたし、印象に残っています。”というのが嬉しい!
「許されざる者」なんて、おそらく1回しか吹き替えをしてないと思うんですけど、それでも挙げてくださるんですね。
それ以外には定番の「ローマの休日」、それと何度も涙で先を進められなかった逸話のある「噂の二人」を挙げてらっしゃいますが、“どれか好きな作品を1本選んで欲しいと言われても難しい”とおっしゃってます。
こういう質問でもったいないのは、僕が質問するなら(オードリー本人にも)、“どの作品が好きですか?”ではなく、“それぞれの作品の思い出を教えてください。”になるだろうなーと。
きっと各作品で思い出があるだろうし、その時の池田昌子さん(あるいはオードリー)の心情が聞けたら嬉しいなあ〜と思うのですよね。
オードリーもそうですけど、「ローマの休日」みたいに“ローマです!”ってきっぱり言い切るんっじゃなくって、“それぞれどの作品にもいいところが…”っていうのは最初のアン王女みたいに“言わされてる”という形じゃなく、自分の意思で言ってますよね。
だから“どの作品が?”ではなく、“各作品で”って質問にしたいんです。今では全然放送されない「いつも2人で」とかの思い出を聞いて見たいんですよね。
でも本当に池田昌子さんの「緑の館」「初恋」「マイヤーリング」「ニューヨークの恋人たち」「おしゃれ泥棒2」は急いで欲しい!
SEがなくて、別の音楽を使用してしまった「暗くなるまで待って」「いつも2人で」も新録音が欲しいし、テレビサイズのため欠落部分がある「おしゃれ泥棒」「噂の二人」「華麗なる相続人」なども全部吹き替えてほしいです!
次は瀬川裕司さんによる“終戦までのオードリー”。ここでは9冊の伝記をチェックしてみて、“内容が凄まじく異なっていることに驚いた。”となってます。
確かに!本人が書いたわけでもないし、オードリーと同じ時代を歩んだ人が書いたわけでもないので、異なるのは仕方ないですよね。信頼性が極めて低いのも有るし。
そんな中で、オードリーに関する戦争のことも書き方が揺れています。“という説もある”というのが非常に多いんですよね。これが今のオードリーに関する書き方になってしまうかなーと思いますね。
書き方が揺れるのは次の“乙女と寝台”を書いた大久保清朗さんも同じ。吉村英夫氏が自分の妄想とダイアナ・メイチックのデタラメ本から勝手にオードリーを作り上げた時代とは違うんですね。
大久保さんの文章で“おおっ!”と思ったのは、引き合いに出されている山田宏一さんのオードリー評、“最高にパジャマが似合う女優”。
確かにオードリー映画にはパジャマやネグリジェが多い!いや、もしかしたら他の女優さんにも有るのかもだけど、オードリーはガウンを含めるとほとんどの作品で出てくる!
シャツをパジャマにしている「ティファニーで朝食を」とか「いつも2人で」とかは最高にカッコいいし、「パリで一緒に」のネグリジェはもうお姫様ですよね!
「パリの恋人」「シャレード」というスタンリー・ドーネン監督作品に対する「すでにある誰かの反復」という扱いは大久保さんに同意しかねるものの(僕はドーネン監督はオードリーでなくてもいい作品で、最もオードリーらしさを引き出した監督だと思っているので)、「いつも2人で」を過去のオードリーのイメージを更新した傑作だと褒めてもらってるので、読後感は悪くはないです。
次からは再録のエッセイが入ります。
中野翠さん、イッセー尾形さん。どちらも面白くて、つい“ふふっ”てなってしまう内容。そしてどちらも1992年のまだオードリーが存命の頃のもの。
次も再録だけど、これはよーく知っている双葉十三郎さんの「カタログ オードリー・ヘプバーン」からのもの。
双葉さんの文章は、ここでは共演者全員を書かないといけないので、さらっと流れてしまいますけど、「パリの恋人」や「許されざる者」などを気に入っている双葉さんが見えます。
そしてここで選ばれている「昼下りの情事」「尼僧物語」「いつも2人で」の画像は珍しいもの。「昼下りの情事」はオードリーがいない写真なので、まあ珍しいのは当然ですけど笑、なんか嬉しい。
「許されざる者」も知ってるけど、これ最近では採用率低いですよね。「ティファニーで朝食を」はこの足まで写ってるのはあったっけ?
その次は“ミュージカル映画のオードリー”ということで篠儀直子さんという方の文章。
この方はフレッド・アステアの自伝も翻訳されているようで、そのため前半の「マイ・フェア・レディ」よりも後半の「パリの恋人」の方が詳しく述べられています。
そしてここで思うのはこの方のスタンリー・ドーネン論。先に書いた大久保清朗さんの文章がとても「キネマ旬報」っぽい(作品からオードリーを捉える)と思うのに比して、篠儀さんの文章は往年の林冬子さん、南俊子さん、小藤田千恵子さんに連なるような“オードリー評論家”(オードリーに焦点を当てる)としての捉え方。
オードリーファンとしては篠儀さんの「パリの恋人」「シャレード」「いつも2人で」の掴み方の方がしっくりきます。そしてオードリーが歌ったのに歌えなかった「マイ・フェア・レディ」にも優しい視線を感じます。

ちなみにここでは「パリの恋人」のダンスレッスンをするオードリーとアステアの珍しい写真が見れます(→)。
次は再録で2000年の鷺沢萌さんの文章。ここで面白かったのは、若い子たちが「ローマの休日」や「麗しのサブリナ」を見て感想を言うのを聞いて、「オマエら他に見てねえだろ!」って言うところww。
2000年の10年ほど前の話なので、おそらくオードリー大ブーム時の1990年頃の話なんでしょうけど、確かに80年代前半までの“どの時代のオードリーも好き。”というのからは軸足がずれてきてる頃の若い子たち。
なんとなく若い頃のオードリーだけがもてはやされて来はじめた頃ですね。
と言ってもその時代はまだどの作品もリバイバルされてたけど、今はもっと50年代のオードリー偏重になってますよね。さらに正確に言うと「ローマの休日」「麗しのサブリナ」「パリの恋人」だけのオードリー。あとは「ティファニーで朝食を」。
この鷺沢萌さんの第1位は文句なく「暗くなるまで待って」とのこと。第2位は「シャレード」ですと。いやー、シンパシー感じるなー。
そして池田昌子さん以外がオードリーの声を演じることを、“あたくし許さなくってよ”と池田昌子さんの「エースをねらえ!」のお蝶夫人の口調で言うところとか、僕も頭の中でお蝶夫人で再生されましたがな笑。
次は雑誌の表紙が並ぶのですがl、ここは本当はカラーで欲しかったところ。67年8月号の籐椅子の「いつも2人で」は本物が欲しいなあー。

「マイ・フェア・レディ」でのバッシングが無ければ、もう少しオードリーは若々しかった時代が続いたろうに…と思います。
その次の「マイ・フェア・レディ」のエキストラの衣装を着るオードリーの左の写真も珍しい!
次は再び再掲もので女性誌「SPUR」がオードリーの死後に発行した「永遠のオードリー・ヘップバーン」から長沢節さんのバレンシアガのサロンで会ったオードリーの文章。
これは長沢節さんの文章より、本誌「SPUR」では物凄く優れた特集だったのに、追悼としてまとめるとなんでこうなるかな〜…と言うガッカリ度が物凄く高かった印象の本。珍しく美しかったカラーの写真は全部省かれて、モノクロの単調な出来になってしまってました。
それでも最近の国内外の本と比べると、ずっとずっと優れた日本ならではの写真集でしたね。
次の山崎まどかさんの文章はほぼ諸手を挙げて賛成!特に黒柳徹子さんの玉ねぎ頭が実は60年代後半のオードリー(と言うか、「暗くなるまで待って」のオードリー)を意識したのでは?と言うところ、僕もずっとそう思ってました!ついでにいうと小森のオバチャマもね。
でも「ローマの休日」ってアメリカの興行収入で10位内入りましたっけ?そして50年代には他には「戦争と平和」だけと。
確かオードリー作品で50年代にベスト10に入ったのは「戦争と平和」と「尼僧物語」だけのはず…。
昔は「スクリーン」がアメリカのそれぞれの年のベスト10を集めた写真集を出してましたけど、今はネットを見ても正確なベスト10を載せてるところが無いような…。
オードリー作品でアメリカのその年のベスト10に入れたのは、「戦争と平和」「尼僧物語」「シャレード」「マイ・フェア・レディ」だけだったと思います。
そしてアメリカでは“青春”を演じられる女優がいなかった…これはそうなんでしょうねー。だからこそコレットが青春を生きるジジでオードリーを欲しがった、と。
そして異端だったから色褪せなかった、と言うのは僕も前から書いていることで、それは「ティファニーで朝食を」のパーティーシーンが顕著ですよね。
他のモブ俳優さんが全て時代を感じる古めかしさなのに、オードリーだけが時代を超越しているという。
だからこそオードリーの代表作で、原作者になんと言われようともオードリーがホリーで正解だったということですよね。マリリン・モンローではこういう時代の超越はできなくて、おそらく1960年らしい作品になってしまっていたと思います。
これは「マイ・フェア・レディ」のアスコット、「麗しのサブリナ」のパーティーシーンでもはっきりしますよね。
そしてオードリーを称える言葉やオードリーの各国のポスターの後で、懐かしい!「虹のヲルゴオル」の橋本治さんの文章が再録されています。
久々に読んでみると、橋本治さん、「いつも2人で」を5回の旅と思ってるし、3回目の旅を見事に新婚旅行だと思ってる。まるで昔のWikipediaを見てるよう…。
でもそんなことがこの橋本治さんの言いたいことではなくって、旅の順番も回数も間違っていても、それでもオードリーの紐解き方が凄いんですよね!
この橋本治さんの文章はとても好きです!

そして再度オードリーの写真が続き、最後には2019年4月時のオードリー作品のDVD&ブルーレイ商品紹介があるのですが、「ニューヨークの恋人たち」が未発売なのは悲しいですが、まあわかっていることなんですけど…「噂の二人」が廃盤ですと!?
確かに20世紀フォックス(現在ユナイト作品の権利を持っているのはここ)のサイトを見に行っても「噂の二人」がヒットしないっ!!
まだアマゾンには在庫があるようですが、いずれ無くなるのかな?それともまた廉価版が出てくるのか…。
でもユナイトはMGMに吸収され、そのMGMは元々コロムビア映画だったソニー・ピクチャーズに配給権が移り、今は20世紀フォックス傘下が配給していて、その20世紀フォックスはこないだディズニー映画に吸収されてしまったという…。今は20世紀フォックスで大規模なリストラがあるとか、こないだニュースになってましたね。
アメリカの大きな映画会社だったそれらの会社の実質的な実態が無くなっていくみたいなのはなんか悲しいですね。
ディズニーが20世紀フォックスを買収したというのは、僕的にはあんまり嬉しくないですね。4000人リストラというのもですけど、日本のディズニーランドでもキャストに対するブラックな感じが、なんか “夢を売っているけど、でも…”みたいな部分が見え隠れするので。
20世紀フォックスとディズニーはちょっと毛色も違う気がするので、ディズニー色に染められるのは不安です。
ディズニーだったら「いつも2人で」は作れなかったのでは?…そう思うんですよね。
後「モンテカルロへ行こう」がここでは廃盤になってますけど、アマゾンで見たら4Kレストア版でDVDとBlu-rayが出るみたいです。
「いつも2人で」なんて未だにレターボックス収録DVDしかないのに、なんて贅沢な!
それと、もう「緑の館」はオンデマンド版しか出ないんですかね…(ー△ー)
「若気のいたり」と「オランダの7つの教訓」はとっとと出して欲しいです。
編集後記は佐野亨さんが書いておられます。
全体を通して、やっぱりこれは先に書きましたけど、日本ならではの読本だということですね。
これは絶対に海外では出せないものです!空白期間なしにオードリーのファンだった日本だから書けた文章たち。
再録があったのは、だんだん日本でも昔からのオードリーと断絶している世代が多くなってきてるから、まだ断絶してない世代の文章の方が的確かつ輝いているからだったりする、ということも関係してるのかな?とも思ったり。
でも本当に久々にいいものを読ませていただいた!と感じました!僕的にはオススメ度が高いです!
オススメ度:★★★★(星1つ減点なのはポートレートの年度がむちゃくちゃだったからです。でも最近では星4つなんてめっちゃ久しぶりっ!!嬉しい!)
2009年09月10日
別冊宝島「オードリー・シネマスタイル」
前回の“「マイ・フェア・レディ」はどこへ!?”の記事に関してですが、お越しいただいたtakeさんのおかげで、「マイ・フェア・レディ」の権利はなんとパラマウントに移っていることがわかりました!
アメリカでは10月にパラマウントからDVDが出るらしいですよ!日本でもおいおい出るんでしょうねー。
でも「マイ・フェア・レディ」と「ローマの休日」が同じ会社から出るなんて、不思議な感じだ~!
それと、最近での傑作写真集「Charmed by Audrey : Life on the set of Sabrina」の日本版が出るそうです!日本版の題名は「オードリーに魅せられて ~サブリナの日々~」。発売は10月5日。発売元はAC BOOKS というところ。本についている応募券で5人にジバンシィのオードリーの為の香水、“ランテルディ”が当たるそうです。
そういえば、ボトルデザインは変わりましたが、ランテルディがまた発売になっていますね!オードリーの香りに包まれたい方はどうでしょうか。
さらにさらに、9月2日に発売になったばかりの「ラベンダー・ヒル・モブ」DVDですが、またまた売れ行き好調のようで、ネットでは早くも品切れ続出です!欲しい方はお早めに!
はい、8月27日に宝島社から発売された「別冊宝島 オードリー・シネマスタイル」の紹介です!
ええっと、これは8月29日くらいにオードリーの別のものをアマゾンで調べてたら、偶然見つけたんですけどね。
“おおっ!!!なんじゃこれ!!”ってビックリ!
付録のDVDが3枚組みってのもスゴイですよね!「ローマの休日」と「シャレード」はどうでもいいんですけど(どうせパブリック・ドメインの最低画質のだろうし)、「華麗なる妖精 オードリー・ヘプバーン」って未公開ドキュメンタリーが興味あるじゃないですか!
値段も雑誌“スクリーン”とかのことを考えても、全てオードリー特集で1000円とは安いですよね!
で、手に入れました。
本文の紙質は良くないものの、写真の選び方とかは結構良くって、なかなかいいんじゃないですか?って好印象。
表紙は黒っぽい画像に赤と黄色の文字がごちゃごちゃ。顔以外の部分は全部文字で埋まってます。正直、オードリーのイメージとは違う、下品な感じですけどね。
「アルバム・オードリー・ヘップバーン」の光野桃さんのインタビューや、DVDで収録の「ローマの休日」や「シャレード」の4ページにわたる解説なんかもあって、文章もいい感じ。
「スタイリッシュ&エレガント オードリーのシネマファッション」のページが全てイラストなのは、これをオードリーの画像でやると、おそらく権利金が莫大になるのだろうと…。
でもここが写真だったら、もっとすごかったんでしょうけどね~。事情はわかるけど、ちょっと残念。
で、期待のドキュメンタリーDVDを見る前に、パブリック・ドメインの2作の画質がどんなものか確認。
「シャレード」はヒドイですね~~!!色も褪せてるし、画面もボケボケ。見難い上に、レターボックス収録なので、さらに画質が低い!その上、タイトルバックも音は途切れるわ、フィルムに傷が入りまくりだわで、これは絶対にユニバーサルから出ている正規版を買う&見るべきですね!こんなにヒドイとは!!
最近のフルハイビジョンテレビでは到底耐えられないレベルの画質です。
「ローマの休日」はうって変わって綺麗な画質。なんで?って思って見ていると、タイトルバックにはなんと!ダルトン・トランボの名前がクレジットされているではないですか!
ということはこれは2002年に作られ、日本でも2003年に劇場公開されたデジタル・リマスター版が元になってますね!
う~ん、こんなの使っていいんでしょうか?(^^;A
さて、大本命の「華麗なる妖精 オードリー・ヘプバーン」ですが…見てみました!ガッカリ!!
この作りは駄作DVD「オードリー・ヘプバーン・フィルムス」とほとんど同じですね。
関係者のインタビューとかは一切なしで、おそらく権利金を払わなくていいのであろう予告編に、どれかの伝記から持ってきたのであろう解説をちょろちょろと付けた物。
1994年製作だから、まだオードリーの本名をエッダ扱いにしたりするのはまあ許すとしても、ほんの少し見たことない画像が挟まれるだけで、ほとんど何の価値もないお手軽ドキュメンタリー。今度「昼下りの情事」の80周年記念DVDに付いてくる「想い出のオードリー・ヘプバーン」の足元にも及ばない!
これよりも、過去の日本の「驚き桃の木20世紀」や「知ってるつもり?!」や「トホホ人物伝」などの番組で紹介されたオードリーのドキュメンタリーの方がよっぽど上出来!
というわけで、DVD3枚の価値は0に等しく、ほとんど本文だけが取り得なんですが、それでもこういうオードリー特集号を出してくれた宝島社さんには大感謝!です。
オススメ度:★★★(宝島社さんに感謝の意味を込めて、星1つおまけ)

アメリカでは10月にパラマウントからDVDが出るらしいですよ!日本でもおいおい出るんでしょうねー。
でも「マイ・フェア・レディ」と「ローマの休日」が同じ会社から出るなんて、不思議な感じだ~!
それと、最近での傑作写真集「Charmed by Audrey : Life on the set of Sabrina」の日本版が出るそうです!日本版の題名は「オードリーに魅せられて ~サブリナの日々~」。発売は10月5日。発売元はAC BOOKS というところ。本についている応募券で5人にジバンシィのオードリーの為の香水、“ランテルディ”が当たるそうです。
そういえば、ボトルデザインは変わりましたが、ランテルディがまた発売になっていますね!オードリーの香りに包まれたい方はどうでしょうか。
さらにさらに、9月2日に発売になったばかりの「ラベンダー・ヒル・モブ」DVDですが、またまた売れ行き好調のようで、ネットでは早くも品切れ続出です!欲しい方はお早めに!
ええっと、これは8月29日くらいにオードリーの別のものをアマゾンで調べてたら、偶然見つけたんですけどね。
“おおっ!!!なんじゃこれ!!”ってビックリ!
付録のDVDが3枚組みってのもスゴイですよね!「ローマの休日」と「シャレード」はどうでもいいんですけど(どうせパブリック・ドメインの最低画質のだろうし)、「華麗なる妖精 オードリー・ヘプバーン」って未公開ドキュメンタリーが興味あるじゃないですか!
値段も雑誌“スクリーン”とかのことを考えても、全てオードリー特集で1000円とは安いですよね!
本文の紙質は良くないものの、写真の選び方とかは結構良くって、なかなかいいんじゃないですか?って好印象。
表紙は黒っぽい画像に赤と黄色の文字がごちゃごちゃ。顔以外の部分は全部文字で埋まってます。正直、オードリーのイメージとは違う、下品な感じですけどね。
「アルバム・オードリー・ヘップバーン」の光野桃さんのインタビューや、DVDで収録の「ローマの休日」や「シャレード」の4ページにわたる解説なんかもあって、文章もいい感じ。
でもここが写真だったら、もっとすごかったんでしょうけどね~。事情はわかるけど、ちょっと残念。
で、期待のドキュメンタリーDVDを見る前に、パブリック・ドメインの2作の画質がどんなものか確認。
「シャレード」はヒドイですね~~!!色も褪せてるし、画面もボケボケ。見難い上に、レターボックス収録なので、さらに画質が低い!その上、タイトルバックも音は途切れるわ、フィルムに傷が入りまくりだわで、これは絶対にユニバーサルから出ている正規版を買う&見るべきですね!こんなにヒドイとは!!
最近のフルハイビジョンテレビでは到底耐えられないレベルの画質です。
ということはこれは2002年に作られ、日本でも2003年に劇場公開されたデジタル・リマスター版が元になってますね!
う~ん、こんなの使っていいんでしょうか?(^^;A
さて、大本命の「華麗なる妖精 オードリー・ヘプバーン」ですが…見てみました!ガッカリ!!
この作りは駄作DVD「オードリー・ヘプバーン・フィルムス」とほとんど同じですね。
関係者のインタビューとかは一切なしで、おそらく権利金を払わなくていいのであろう予告編に、どれかの伝記から持ってきたのであろう解説をちょろちょろと付けた物。
これよりも、過去の日本の「驚き桃の木20世紀」や「知ってるつもり?!」や「トホホ人物伝」などの番組で紹介されたオードリーのドキュメンタリーの方がよっぽど上出来!
というわけで、DVD3枚の価値は0に等しく、ほとんど本文だけが取り得なんですが、それでもこういうオードリー特集号を出してくれた宝島社さんには大感謝!です。
オススメ度:★★★(宝島社さんに感謝の意味を込めて、星1つおまけ)


タグ :★★★写真集
2009年01月31日
スクリーン+プラス vol.18 オードリー×ドヌーヴ特集
今号はオードリー・ヘプバーン×カトリーヌ・ドヌーヴの特集!
本屋さんに何かオードリーの本、ないかな~(どうせないやろけど…)って思って行ったらあったのがこれ!
おお~~っ!って思って中身も見ずに買いました!
このスクリーン+プラスは過去にグレース・ケリーの特集もありましたし、いつかきっとオードリーも!と思ってましたが、とうとう出ました、オードリー!!
今年生誕80周年のオードリーと、「シェルブールの雨傘」および「ロシュフォールの恋人たち」が今年リバイバルされるカトリーヌ・ドヌーヴが特集です。
この二人って、昔の古本を見ると70年代前半には「スクリーン」や「ロードショー」で人気投票のトップ争いをしてたんですよねー。なんか懐かしいですねー。
特に1971年にはカツラ(ウィッグ)でのCM直接対決!オードリーは「エクスラン・ヴァリーエ」、ドヌーヴは「フォンテーヌ」に登場。なんか、当時はこの2大スターのCM出演にお茶の間(←この言い方が昭和だな~)がビックリしたそうです。
そういえば、晩年のオードリーって、ひっつめの髪型が多かったじゃないですか~、あれ、あんまし好きじゃなかったんですよねー。なんでオードリーはカトリーヌ・ドヌーブみたいなふわっとした髪型にしてくれないんだろう…って思ってましたよね。
あ、脱線しまくりですが、肝心の中身ですが…うーん、どうでしょうねー。(^^;;;
津村秀夫さんや双葉十三郎さんの昔の文章が読めたり、清藤秀人さんの文章が読めるのはとてもいいんですが、メインで文章を書いている山下憲子さん(誰、これ?)って方のがちょっと…。
いまどき、オードリーの本名がエッダですか???ダイアナ・メイチックの嘘伝記なんか引用しますか???アンソニー・パーキンスがオードリーより3才年上ですか???
「オードリー・ヘプバーン 98の真実」「オードリーを愛した名監督たち」に続いて3冊目ですよ!うーん、オードリーに関しての第一人者である「SCREEN」さんが、これではダメダメでしょ~う!!
あと、カラーページなのに、オードリーの画像は全部モノクロ処理されてます(がっかり)。
オードリーとファッションのページで載っている、「緑の館」のオードリーの画像は、不自然なくらいにナイス・バディに強調する加工が施されて…(苦笑)。
画像も全体的によく見るのが大半。
苔寺(西芳寺)やパナソニックの真々庵で撮った、本当の最後の来日って、全然知られてないんですけど、いったいいつだったんでしょうかねー。90年じゃないかと思ってるんですが…。
というわけで、期待したわりに、“???”な出来具合なのが残念!
ちなみに、付録で付いているクリアファイルの絵柄はスクリーンならでは!
←こんなの普通クリアファイルにしないでしょう(笑)。
でもこのセンスが好き

オススメ度:★★(今年のオードリー大賞には絶対に絡んでこない出来)
追記:オードリーの最後の来日はやはり90年でした。90年の5月16日か17日(16日の可能性が高い)に真々庵に行った記録が残っています。詳しくはこちらで。
2007年12月13日
My Fair Lady オードリー・ヘプバーン特集号 95
オードリー・ヘプバーン追悼2周年でもあるし、「マイ・フェア・レディ」の映画制作30周年記念でビクターエンタテインメント株式会社から出ることになっていた「マイ・フェア・レディ コレクターズ・ボックス」という豪華特典付きの「マイ・フェア・レディ」のビデオ発売とのタイアップという側面もあったようです。
この「マイ・フェア・レディ コレクターズ・ボックス」っていうのは今2枚組のDVDで出ているスペシャル・エディションに、さらにセシル・ビートンのコスチューム・スケッチとオリジナルの70mmフィルムの一部、それと「マイ・フェア・レディ日記」の原著が付いてる、というものでした。
このビデオ、僕も買いましたが、チラシで見ると70mmフィルムはレックス・ハリスン一人のシーンだったりしたので、何が入っているか開けてみるまでわからず、もしオードリーじゃなかったらどうしよう!ってドキドキもんでした。僕のは無事オードリーのシーンでしたけどね。(^^
「マイ・フェア・レディ」がデジタルで修復されたことによって、1995年はこのビデオボックスとサントラ新盤の発売を皮切りに、レーザーディスクのボックスも後に出ましたし、「マイ・フェア・レディ」の映画も再び映画館で上映されました(ただしこの上映は86年リバイバルフィルムの使いまわしで、画質はきちゃないままでしたけど)。
「マイ・フェア・レディ」って、製作50周年の2014年にはまたリバイバルしてくれるでしょうかね?
あと6年とちょっと。お楽しみに!
さて大きく脱線しましたが、この本は中身の約1/3が「マイ・フェア・レディ」に関することになってます。あとはボブ・ウィロビー氏の写真であったり、映画の宣伝写真だったり。あんまり目新しい画像はないですねー。
「マイ・フェア・レディ」のスタッフやキャストの話の部分は、「マイ・フェア・レディ」のメイキング、「More Lovery Than Ever」でみんなが喋ってる部分をそのまま載せているだけで、今見ると“な~んだ!”って思いますが、発売当初はそのビデオよりも発売が早かったので、フレディ役のジェレミー・ブレットも実は吹き替えだった!ってわかって“ほ~~っ!”って思ったものです。
文章ではオードリーの人生と、映画「マイ・フェア・レディ」と2つの文章を書いてくださってる稲田隆紀さんという方の文章がとてもオードリーに好意的に書いてくださっているので、ファンは読んでてとても嬉しいです!
同じFLIXが追悼で出した 「オードリー・ヘプバーン 永遠のプリンセス・魅力のすべて」では人選を誤ったような馬場啓一氏の文章で僕はムカムカしましたが、こちらは正解!稲田氏の文章は気持ちよく読めます。
珍しい画像も「マイ・フェア・レディ」を除いて少ないのですが、唐突にオードリーの特集号第2弾を出してくれたのが嬉しいじゃないですかっ!というわけで、得点が実力よりも増えました。
オススメ度:★★★(本当は★★くらいなんですけどね。サービス込みです。)
タグ :★★★写真集
2007年11月07日
シネマ・アベニューvol.1 SCREEN 03年9月号増刊

その後このシネマ・アベニューって聞きませんけど、無くなったんでしょうかね?
出たタイミングは「ローマの休日」製作50周年記念デジタル・ニューマスター版公開に合わせて。
全部が全部「ローマの休日」とオードリーに占められてるのではなく、半分ちょい。
「SCREEN」誌が作りそうな初心者向け編集で、コアなファンにはかなり物足りない物。
双葉十三郎氏の文章、長沢節さんのファッションに関しての文章、「オードリーから学ぶべきこと、思うこと」の文章は1963年の「オードリー・ヘプバーン特別号」からの改訂版。
オードリーのインタビューは1993年発売の「ハリウッドの妖精 オードリー・ヘプバーン写真集」から持って来たもの。と、お手軽寄せ集めの水増し状態。
珍しい画像は3点くらいだし、この本の取り柄は里中満智子さんと早見優さんの文章。
特に里中さんの「緑の館」の画像に魅せられてしまったお話は、とても面白かったです。そっかー、漫画家の方からしてもあのオードリーは生きている妖精そのものだったのかーっ!って。
「緑の館」のオードリーを絵にしてみたらしいのですが、里中さんがお書きになる絵よりも、オードリーのほうがずっとファンタジックだったらしいのです!
やはり「ローマの休日」が衝撃になるのではなく、どの作品であろうが最初に見たオードリーそのものが衝撃なのだというのがわかるエピソードでした。
オススメ度:★(あえては勧めません。)
タグ :★写真集
2007年07月26日
一読三嘆!ヘプバーンへのレクイエム 読売新聞社
他社が、お手軽写真集を次々と作るのを横目に、なんと文章中心の特集号を作ってしまいました。
そういう姿勢の特集号なので、画像で珍しいのはあんまりありません。紙はわら半紙系です。
でもいろんな人がこのために寄稿してて、読むにはとても充実!三留まゆみさんの文章なんか結構僕は好きだな~。
川崎直也さんという方の文章では「暗くなるまで待って」のスージーの家や「ティファニーで朝食を」のホリーの家の場所がわかります。
ニューヨークへ行くことがあったら、ティファニーだけじゃなく、そういうところにも行かないとね!
他にも柴口育子さんの“オードリーが中年キラーになった理由”という楽しい文章もありますし、オードリーの吹き替えでお馴染みの池田昌子さんの文章などなど、いろんな人の文章があり読むのが大変楽しめる特集号です。
惜しむらくは、作品解説で一部省かれている作品があること。これは残念!
オススメ度:★★★
タグ :★★★写真集
2007年07月21日
オードリー・ヘプバーン 永遠のプリンセス・魅力のすべて
オードリーの没後に出た写真集の1つで、画像はキャプションがなく、1ページに1枚、というお手軽レイアウト系。
最初にちょっとカラーページがあるだけで、あとは白黒。その白黒ページにはカラーを白黒にしてて、バランスの悪い画像もちらほら。
中には馬場啓一氏という人と、海野弘さんという人の長文が二つ。それと著名人の“私のベスト1”みたいなので短文を載せてくださってるのがあります。
なかでは馬場啓一氏の文章がひどい!
50年代のオードリーを持ち上げて、“彼女は謂わばこの時代の遺産で食っていたのである。”…!
なんという無知な偏ったヒドイ言い草!めちゃめちゃ怒りましたよ!ホント。
これが追悼号に載るとは、なんなんでしょうねー。
ご存知のように、オードリーの全盛期は「ティファニーで朝食を」~「マイ・フェア・レディ」の60年代にあり、馬場氏の言い方を借りるなら、「ロビンとマリアン」が始まる前までのオードリーは“60年代の遺産で食っていたのである”ということをご存じないみたいで。
50年代のオードリーが大きく取り上げられるようになったのは、80年代後半からのことなんですけどねー。
この文章を書いた時期はまだまだ50年代がもてはやされるようになったごく初期段階。
そういう時代の流れの上でのオードリーはあまりご存じないようです。
だから、なぜこの方がオードリーの評論を書くことになったのか…。あまりオードリーに関しての文章には向いてらっしゃらないようです。
もうひとりの海野さんの文章の方が、ずっとファンには受け入れられるものになっています。
それと、最後の方の“私のベスト1”のページですが、「ローマの休日」や「ティファニーで朝食を」が並ぶ中、南俊子さんの選んだ「ロビンとマリアン」がそのコメントと共にひときわ輝いてます!
“オードリーの輝いた16作品から1本を選ぶのは難しい。だから私はあえて「ロビンとマリアン」を選ぼう。”
うんうん、ってうなずいてしまいます。「ローマの休日」や「ティファニーで朝食を」、あるいは「マイ・フェア・レディ」などを選ぶのは簡単。
でも南俊子さんはオードリーファンだから、落としたくない16本の中には「緑の館」や「パリで一緒に」も入ってる。
どれも落としたくない。それならば…って選んだのが、オードリーが映画に戻ってきた、そして最後の代表作、「ロビンとマリアン」!
さすがシネアルバムも監修した映画評論家の南さんです!「ロビンとマリアン」を選ぶことによって、「ローマの休日」~「ロビンとマリアン」の17本すべての作品を差をつけずに対等の位置に置いた!
これにはまいりました!と言うしかないですね。う~ん、南俊子さん、凄いっ!
馬場氏の不快な文章さえ我慢すれば、この最後の“私のベスト1”、及びたまに珍しい画像もあるので、印象はそんなに悪くないです。
オススメ度:★★★
タグ :★★★写真集
2007年07月19日
People Extra オードリー特集号
表紙周りを除いて80ページあるんですが、ドイツの「FRAU Legenden Audrey Hepburn」と比べると広告ページがやたら多い!
めんどくさいけど数えてみたら29ページも広告だった!多すぎ~!!
画像は晩年のものに珍しいものが多いです。おかげで2004年の“timeless audrey”展での衣装のいくつかは、オードリーが着てるのを知ってて助かりました!
とはいえ、ありきたりな画像も多く、全体の出来はまあまあ。
表紙が50年代ではなく、「シャレード」のオードリーなのが嬉しい!
オススメ度:★★★
タグ :★★★写真集
2007年07月18日
映画物語「戦争と平和」 映画ストーリー臨時増刊
当然世紀の大作「戦争と平和」公開に合わせて発行された物でしょう。
内容は解説などはなく、豊富な画像の隙間に延々「戦争と平和」のストーリーが続きます。
ストーリー以外は人物相関図2ページとトルストイの略歴が裏表紙裏にあるだけ。
それと、ページ数の始まるところは、表紙を入れてどう見ても8ページ目なんですが、いきなり10ページ!ちょいとサバよんでます。
ということで実際の総ページ72ページで、すべてが「戦争と平和」の画像なんですから、そりゃもう今となっては珍しい画像も多いです。
ちなみによっぽど売れたんでしょうね。奥付3月(発売は2月)の再版が発行されています。(→右の画像)
中身は初版と全く同じなんですが、表紙・裏表紙の画像がすっかり変わってしまってます。
しかし、この再版の表紙の画像、なんとかならなかったんでしょうかね。あんまり麗しくないオードリーです。目の下に隈作ってます。
最初4pはカラーページなんですが、当時はやっぱり印刷技術が低いために、本当のカラーかモノクロに色づけした物かが全然わかりません(笑)。
オススメ度:★★
ちなみに、お世話になっている北海道のシネビームさんに在庫が何冊かあるようです。
http://cineb.net/
に行っていただいて、商品検索で“戦争と平和”と入れると出てきます。
(リンクはシネビームさんの許可をいただきました!)
追記:この本に関しては、りえさんのブログ、「ジェレミー・ブレット(Jeremy Brett)とグラナダ・ホームズを語る」の中の、“冊子「映画物語 戦争と平和」”もぜひご覧下さい!
「戦争と平和」でナターシャの兄ニコライを、「マイ・フェア・レディ」でフレディを演じ、晩年はシャローック。ホームズ役で有名になったジェレミー・ブレットに対しての、愛情溢れる文章で綴られるりえさんのブログです。この特集号の紹介では、中身の写真も何点か載せてくださってます。
2007年07月10日
日本初!?「オードリー・ヘップバーン」映画ストーリー臨時増刊
発行年月日からみても、おそらく日本で一番最初に発行されたオードリーの特集号ではないでしょうか。
内容的には「麗しのサブリナ」を強力にプッシュしてますので、「麗しのサブリナ」公開前だと思われます。
印刷技術は当時のことだから期待はしてないものの「ローマの休日」と「麗しのサブリナ」しかない時期だし、さぞや今では見れない画像が豊富で…と思いきや、わりとありきたりです。(^^;
後半に「オンディーヌ」や「麗しのサブリナ」スナップで珍しいのがある程度。
面白いのは、本文に当時の日本の監督や俳優のオードリー賛歌の寄稿があること。
これが当時の文章の書き方で、今となってはめっちゃ面白い!
森繁久彌さんや三国連太郎さんが若い若い!
吉村公三郎監督の文章では婦人将校になったオードリーというストーリー仕立て。
安西郷子さんの文章は“わたくしつて全然あきらめがいゝ方なのですのよ。”ってオードリーに宛てた手紙風。1950年代のいかにもつつましい女性の文章って感じ。
1993年の「初恋」公開時パンフレットに寄稿してくださっている久我美子さんのもあります。
他にもいくつかあるのですが、岡田茉莉子さんが最後にいじくそ悪そうな画像とともに載ってるんですが、文章もこれはすごい!
“ヘップバーンという女優については何の感激もありませんでした。”、
当時流行のヘップバーン・カットについては、
“私は反対致します。”、
さらには
“「月蒼くして」のマギー・マクナマラの方が好きな髪型です。”
これってオードリーの特集号に捧げる文章なんでしょうかね(笑)?
「ローマの休日」信者が聞いたら、卒倒しそうな内容です。
いや、それはそれで面白くって僕は好きなんですが。(^^;;;
オススメ度:★★
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