2024年12月19日

大きな欠陥のあった「ロビンとマリアン」レーザーディスク

 さて、今回は「ロビンとマリアン」のレーザーディスク(LD)の紹介。

 1990年2月号のLD新譜紹介の記事にも載ってるんですけど、実はこの時オードリーのLDの新譜はなんと「ロビンとマリアン」「暗くなるまで待って」「パリで一緒に」「昼下りの情事」と4作品も同時に発売されることになってたんですよね(うち「暗くなるまで待って」と「ロビンとマリアン」は再発売)。

 発売元が違うので(販売元はパイオニアLDCで全部一緒だけど)、たまたま重なっただけかもしれませんが、もしかしたら「ローマの休日」が初DVD化される際に、売り上げを狙って「ローマの休日」に合わせてパラマウントも他社も「戦争と平和」「パリで一緒に」「おしゃれ泥棒」「いつも2人で」「昼下りの情事」を同日リリースしたような感じだったりして。

 で、当時はまだLDも1枚7800円が普通の時代だったので、「暗くなるまで待って」と「ロビンとマリアン」は」は既に持っていましたが、貧乏な僕は残り2枚同時には買えないわけですよ(「昼下りの情事」は2枚組でスペシャルプライス5700円)。

 で、優先順位をつけて毎月1枚で買っていくんですけど、優先は「パリで一緒に」。

 これは、「パリで一緒に」に思い入れがあるのと、LDって「いつも2人で」の初期版のように、一度プレスしたら再プレスしない、っていうのがあって、売り切れたらハイそれで終わり、になる可能性があったんですよね。

 「いつも2人で」は初期版を買っていたので助かりましたが、一旦在庫がなくなると10年以上廃盤状態になる、という恐ろしさを知っていたので、廃盤の可能性が高そうな「パリで一緒に」からにしたんですよね。

 今回紹介の「ロビンとマリアン」のLDは、以前に買っていました。ので、本来はここには関係ないのですが…。
 僕の持っているのは1985年12月25日に発売されたときのもの。なので紹介の時期的には合ってますよね。

 で、これまた大好きな「ロビンとマリアン」ですけど、このLDを見て、えーーーっ!てショックを受けてたんですよね。
 映画の内容ではなく、LDの仕様として。

 「ロビンとマリアン」もそれまで何回も劇場や名画座で観て、内容はすっかり頭に入ってましたが、なんでこんなことに!?と言いたくなるくらい欠陥品だったんです!

 当時のビデオやLDって、全然リマスターとかしてないわけなんですよね。
 あり物のフィルムをマスターにしてで使っていたのかなんなのか、全然オリジナルフィルムとかを使用してないんです。

 なので上記「いつも2人で」の初期版LDでも、LDは動いてるんですけど、元のフィルムに欠損がある状態でマスターとして使っているから、欠損部分を前後の静止画にして使用しているので、画面がフリーズ状態の場面が何箇所もあったんですよね。

 「ロビンとマリアン」はフリーズはしないんですけど、恐ろしいことになんとラストシーンに欠損があったようなんです!

 なので、「ロビンとマリアン」でも最も感動的な “この矢が落ちたところに2人を埋めてくれ”といってロビンが矢を放つシーンまではあるのですが、そのシーンのあと、飛んでいく矢の部分がまるっと無いんです!!!

 なので、ショーン・コネリーのロビンが矢を放つと、いきなり白い画面になるんです!

 でも、矢が飛んでいく音はあるんですよね。
 というわけで、音声と映像がズレています。

 最後まで見るとわかるんですが、音声はあるのに映像は矢の飛んでる部分だけ欠損してるから、音楽より数秒早く映像が終わってしまうんです。確か黒バックになった中で音楽だけもう少し続くという。

 でもラストの音楽の部分だけだし、まさか重要なシーンが無いとはわかりにくい。
 熱心に「ロビンとマリアン」を劇場で観てた人でないと、矢の部分が無い!ということに気づかなかったんかなーと思います。まさか欠損があるなんて思いもしませんもんね。

 ビデオではどうだったのかは知らないのですが、同じマスターだと思うので、おそらく最初に発売された「ロビンとマリアン」のビデオも欠陥品だったと思います。

 これ、2004年ごろ、オードリーのテレビ「うたかたの恋(現:マイヤーリング)」のDVDを出して欲しいと各社に電話した時に、権利元のソニーだかジェネオン(元のパイオニアLDC)だかに「ロビンとマリアン」の矢のシーンが無い!って伝えましたけど、電話で対応してくださった人は、全然ピンと来てないようでした。

 まあ権利元で働いている人と言っても、自社の作品を何でもかんでも見てるわけないでしょうし、まさかそんな重大な欠損があるなんて1人の個人から聞いても簡単には信じられませんよね?
 今ならSNSで発信したらどうにかなるかもしれませんが。

 その後「ロビンとマリアン」のDVDが出た時にはちょっとドキドキしてラストを観ましたが、矢のシーンも復活していました。

 さて、「ロビンとマリアン」というと僕のイメージは新録のような黄緑のイメージなのですが、ジャケットはイラストで、しかもオレンジと黒のイメージが強いですね。

 まあ「ロビンとマリアン」自体、“老い”をテーマにしていますので、こういうのもありなのかなとは思いますが、僕のイメージは全然違うぞ、と。
 裏面は映画の場面写真を使ってますので、やっぱり黄緑っぽくなってしまうんですけどね。

 よくネットの「ロビンとマリアン」を観た感想で、コネリーとロバート・ショーの戦闘がモタモタしてるとか、全体にもっさりしてるなどの書き込み(と低い評価)を見るんですけど、いやいや、だってこの作品 “老い”がテーマなんだし。

 映画の最初と最後にリンゴが出てくるんですけど、最後はそのリンゴが干からびて朽ちてる。
 こういう映画なんですよ、ってちゃんと見せてますよね。 

 007で若くて颯爽と機敏に戦っていたらしいショーン・コネリーとロバート・ショーが、ここでは老人がもたもた戦ってるのをわざと見せようとしてるんだし。それがリチャード・レスター監督の狙いなんだもの。

 でも中世の戦い方ってこんなのがリアルだったろうなと思うんです。
 日本の刃物は鋼を丁寧に作って、何度も使うのが前提の日本刀。でも外国の剣って1回使うと刃はこぼれるし元から切れ味も悪いしで、血が付いたらほぼ使い捨てみたいな物だったとか。

 それに当時は別にどうしても相手をその場で殺さなくてもいいんですよね。重傷さえ負わせれば。

 中世なんて麻酔も無いし、薬も手術も発達してない。傷口縫うのだって麻酔なし。
 なので、重傷にさえしとけば、痛みや出血であとは勝手に野垂れ死んでくれるという…。

 「ロビンとマリアン」でも、獅子王リチャードの首に矢が刺さり、無理やり(麻酔なしで)引き抜くんですけど、結局それが元で亡くなってしまいますよね。

 なので映画でも、代官との戦いには勝って生き延びたロビンですけど、マリアンが毒を飲ませるのも、もう傷が酷くて助からないとわかっているから。

 バイ菌だらけで、切れ味の悪い剣でグジャグジャっと切られたら、そりゃ中世ではもう助かりません。

 なので、マリアンはロビンを殺した、のではなく、もう助かる見込みのない愛するロビンについて行ったと考えるのが正しいと思います。

 この辺がそういう事情のわかる西洋や昔の日本の人たちと、事情がわからなくてロビンは助かってたのにマリアンが殺した、などと誤った解釈をしてしまう最近の若い人たちの低評価の違い、なんでしょう。

 さて、このLDには嬉しいことにオードリー評論家の1人南俊子さんと、声のオードリーである池田昌子さんによるライナーノートが封入されています。
 こういうのを読むのが楽しみなんですよねー。

 お二人ともマリアンの尼僧姿に、「尼僧物語」を思い出す、と書いておられますね。

 南俊子さんは、上記のリンゴが3つあったことで、ロビンとマリアンとリトル・ジョンなのか、でも曲者のリチャード・レスター監督だからロビンとリトル・ジョンとリチャード3世の男3人という説もある、と書いてます。

 でもラストシーンにいるのはロビンとマリアンとリトル・ジョンなので(その矢を放った窓にリンゴが置いてあるし)、僕はそうだと思うのですが、この映画の主演扱いはロビンとマリアンと代官のロバート・ショーですよね。

 池田昌子さんが「ロビンとマリアン」について語るのは珍しく、僕は嬉しいのですが、この映画の公開時に試写を見たときの感動を書いておられます。

 美しく歳を重ねたオードリーが生き生きと輝いてなんと素敵なマリアンだったことか。ずっと沈黙していたオードリーがこの作品ならとOKしたことがさすがであり、「尼僧物語」とは違った美しさ、それはオードリーが重ねてきた歳月の美しさなのだろう、と書いてあります。

 それとジャケットはなぜか紅葉風でしたけど、このライナーノートは黄緑っぽい紙に緑の文字。
 「ロビンとマリアン」をちゃんと分かってらっしゃる人がいたんですね。
  


2024年11月25日

「昼下りの情事」ビデオ発売 「スクリーン」1990年1月号

 今日は1989年の11月25日に発売された「昼下りの情事」ビデオのことが載った「スクリーン」1990年1月号(実際の発売は1989年11月21日)の紹介。

 「昼下りの情事」が1989年に、やっとやっとでリバイバルしたことを4月に書きましたが、今回の「スクリーン」はその初ビデオ化の記事が載っています。

 89年にリバイバルするまでは本当に長い長い道のりでした。
 1965年にリバイバルされた後、1972年で劇場で上映の権利が切れ、フィルムが無かったのか、その後自主上映でも全く見れないという状況に。

 テレビでも1975年の放映を最後にずっと未放映。
 70年代は一般家庭にビデオデッキなどという高級品はありませんでしたから、「昼下りの情事」を録画して持っている人もほぼ皆無。

 実際、オードリー生誕80周年(2009年)の時に吹替版「昼下りの情事」を入れてDVDを出そうとした20世紀フォックスでしたが、吹替音源を探して、このブログまで問い合わせがありましたし記事にもしたんですが、読者の方にもお持ちの方はおらず、他でも探していたようですが結局見つからずに新録音となりました

 やっと一般家庭にもビデオが普及し始めたのは80年代に入ってから。特に後半になるといろんな過去の映画のビデオが出始めたこと、88年ごろになると1本で1万円台半ば〜2万円越えしていた映画のビデオが、廉価版ビデオ(1本で3000円代後半)が出始めたことで一気に普及が進みました。

 この号でも当時発売中だった廉価版ビデオの全リストが載っているのですが、全部を見開きで載せられるくらい、まだまだ少なかったんですね。

 オードリー作品では「シャレード」「戦争と平和」「ティファニーで朝食を」「パリの恋人」「ローマの休日」しか出てなくて、全部CIC(パラマウントとユニバーサルの権利元)の作品で、ワーナーとかFOXとかコロンビアは全く出てませんね。

 さて、この号でのオードリーは大して無いんですけど、まずレーザーディスク(LD)の「昼下りの情事」発売予告の宣伝で登場してますね。
 強力な新譜8作品のBIG8ということで「昼下りの情事」も入ってますね。

 89年にリバイバルされたばかりの「昼下りの情事」ですが、もうビデオとLDが出ることになってますね。

 製作会社がアライド・アーティスツというもう無くなった小さな会社で、移動した権利元が不明だったのか、リバイバルもテレビ放映も封印されていた「昼下りの情事」でしたけど、ついに日本ヘラルドが上映の権利を取ったことで権利元がわかり、ビデオ化しやすくなったんでしょうね。

 でもこのビデオ化、当時ちょっと出先の駅の本屋かどっかで立ち読みした音楽雑誌だったか映像雑誌だったかの後ろの方に経緯が載っていたんですよね。

 やっとリバイバルされた「昼下りの情事」、当時はもう大ブームだったオードリーの代表作でもあり、映画館でも大ヒット!
 だからビデオ化の権利も各社で熾烈な争奪戦だったことが書かれていました。

 その時の雑誌、買おうかどうか悩んだんですけど、後ろの方のページにちょっと載ってるだけだし、うーんって考えて結局買わなかったんですよね。でも今から考えると買えばよかったと、すっごく後悔しています。

 確か結局ビデオ化の権利は日本ヘラルドが獲ったとか書かれてましたけど、僕からしたら “へ?”って感じ。

 だってリバイバルで劇場公開したのって日本ヘラルドじゃないですか。争ったも何も当たり前じゃないの?って思いました。
 でも今から考えると、上映の権利と、ビデオ化の権利って契約は別物だったんでしょうかね。

 結局ビデオとLDでは発売元が日本ヘラルド、販売元がパイオニアLDCということになりました。

 でもパイオニアって当時はLDを普及させるのに燃えてたんですよね。
 なのでLDプレーヤーだけじゃなく、大手の映画とかは全部パイオニアが販売元になってLDを出してたんですよね。

 パイオニア以外ではマニアックなZ級映画やホラー映画やアニメは他の会社がちょっとだけLDを出してましたけど、LDはほぼパイオニアがひとりで作って販売。

 そんな状態ですから、このLDの「昼下りの情事」の宣伝でも、発売はビデオよりも遅い12月16日ですけど、値段はビデオの14729円に対して、LDは5700円。
 パイオニアがどっちを売りたいかが、いやらしいくらい明白ですね。

 この宣伝で、レーザーディスクBIG8キャンペーンってのをやってるんですが、8作品のうち、お好きなもの1作品をハガキに書いて送れば、ディズニーランドとユニバーサルスタジオとロサンゼルスの旅6日間か、パイオニアのCD/LDコンバーチブルプレーヤーが当たるってのが太っ腹!

 だって、商品を買わなくても官製はがきに作品名を書くだけで当たるかもなんですよ!?
 さすがバブルの日本!電化製品は世界の最先端でしたし、お金も湯水のように使ってパワーがありますよね。

 本文では「スターの交代劇」という記事で、史上最大のヒロイン探しということでオードリーの次に好きなヴィヴィアン・リーの「風と共に去りぬ」のことが載っています。

 それとこの時って、イングリッド・バーグマンのスウェーデン時代の初期映画が8本公開されることも案内されています。

 この号ではお正月映画の紹介も載っているのですが、一方では「バック・トゥ・ザ・フューチャー2」「バットマン」「ゴーストバスターズ2」「恋人たちの予感」などが強力ラインナップとして載ってますが、また一方ではバーグマンという超レトロな戦前映画もあるという、新旧が混在しても商売として成り立っていますね。



  でも、お正月映画でたった1ページしか割いてもらってない「ニュー・シネマ・パラダイス」が後々の残り方では1番すごいんではないかというのも、今見ると不思議な感じです。

 さて次のオードリーは、テレビ放映される映画欄。
 ここれは12月以降にNHKの衛星第二(のちのBSプレミアム。当時はアナログ放送)でこれまた「昼下りの情事」がラインナップに入っていることで画像が載っています。

 次がビデオ発売の案内なんですが、「レインマン」や「赤毛のアン」などがカラーで大々的に紹介されてますけど、「昼下りの情事」も通常作品4個分のスペースで紹介してもらっています。

 「古き良きパリ、“魅惑のワルツ”、ジバンシィのドレス、スカーフ、どれひとつとっても夢のような優しさに溢れている。見終わって微笑が浮かぶようなラストがいい」と書かれています。

 オードリーの紹介では、スピルバーグ監督の新作で銀幕復帰!と書かれていることで、オードリーがまだ存命なこと、「オールウェイズ」がそういえば90年4月に公開だったなーと思い出しました。

 LDの新譜では「風と共に去りぬ」が新しいマスターから起こされて発売されることが載っています。
 実は「風と共に去りぬ」は89年の10月にリバイバルしたばっかりなんですよね。それでも当時は劇場もヒットするし、市販のビデオやLDも売れたんですよね。

 この号ではオードリー作品のLDは「昼下りの情事」が12月に発売、とだけ書いてあるだけなんですけど、実は次号の「スクリーン」では怒涛のオードリー作品が掲載されるんですよね。
 この件はまた来月に記事にします。

 他には「私の人生を決めたメモリアル・ムービー」という毎月リレーで書く人が変わる記事があるんですが、木村奈保子さんという方が「ローマの休日」を生涯のベスト1作品として書いています。

 全国の劇場の上映作品の案内では、名古屋のゴールド劇場ってところで「戦争と平和」が12月2日から始まることとか、京都のアサヒシネマでは「パリで一緒に」が24日まで上映中。福岡のKBCシネマ北天神では「パリで一緒に」「パリの恋人」「戦争と平和」がラインナップに入ってますし、鹿児島文化プラザ120では「昼下りの情事」が延々続映中のようです。
 いいな〜見に行きたいなー。

 近代映画社の出版物の案内でも、オードリーは大きく扱われて宣伝されてます。
 さすが大ブーム真っ只中ですよね。

 読者の投稿ページではオードリーのことを書いてくれた人の文章がトップ。

 この方の文章で、念願の「昼下りの情事」をリバイバルで見れた事、スピルバーグの新作で見られることの喜びがこっちにも伝わってきて嬉しくなります。当時の僕もそうだった!と自分を重ねてみたり。

 でも編集部の返事で、「オードリーは女性にとって永遠の憧れ」と書いてるんですけど、実際「午前十時の映画祭」や他のオードリー作品のリバイバルなどでも、意外と男性のお客さんが多いんですよね。

 なのでライトなファンは女性に多いですけど、以外とコアなファンは(自分も含めて)男性なんじゃないかと思ってるんですよね。

 同じページのクリエイト鷹さんの広告では「ティファニーで朝食を」のオードリーが使われています。

 最後に、プレゼントコーナーでは「初恋」の試写会が25組50人に当たること、さらに横のページではCICビクターのカレンダーのプレゼントもあるんですが、こちらはメインの表紙が「パリの恋人」のオードリー。

 「初恋」は劇場リバイバルは1993年ですし、今回は1990年のビデオ発売に向けての試写なんでしょうね。でも主演第1作なんて書いてますけど、「初恋」のオードリーはあくまでも準主役の程度(脇役)ですからね。HRSフナイさんも売るのに必死ですね。

 でもどちらもオードリーが大ブームだったからですよね。本当に当時は凄かったです!
  


2024年08月22日

「尼僧物語」レーザーディスク 日本公開65周年記念

 今日は「尼僧物語」が東京の日比谷映画劇場で1959年8月22日に初公開してからちょうど65周年に当たります。

 日比谷映画劇場(日比谷映劇)は当時の東宝の映画館のチェーンマスター館の1つですよね。
 座席数は、今では日本の映画館には1館もない1000席超えの1375席の巨大劇場でした。

 オードリー作品では「ローマの休日」「麗しのサブリナ」以来の上映になります。
 そしてこの「尼僧物語」が日比谷映劇での最後のオードリー作品となりました。

 65周年には公開当時の雑誌を紹介しようかとも思ったのですが、レーザーディスクの紹介にしました。

 ええっと、これは88年何月の発売だったのかな?アマゾンだと88年12月15日になってますが…。
 またはっきりわかったらこの欄に追加しときます。

 まあでもそれくらいの発売だと思います。
 このレーザーディスクには筈見有弘さんの4ページものライナーノートが付いてるんですが、その文章が1986年発売のチャールズ・ハイアムのオードリーの伝記に基づいているので。

 さてこのディスクのジャケット、いまいちですねー。
 オードリーの画像は映画からそのままキャプチャーしたかのような粗くて綺麗じゃない画像。しかもアラを見せないようにするためか、小さい。

 なんだかよくわからない模様のデザインもなんでしょうね。
 少なくともジャケ買いはしないデザイン。

 もちろん初公開時とは違って、使える宣伝画像というのは減ってるんでしょうけど、これは無いかなー。



 「尼僧物語」にも美しいカラーの宣伝画像はあるので、発売はパイオニアだとしても、たとえ珍しくなくても権利元のワーナーさんからちゃんとしたのを借りて欲しかったです。

 海外の「尼僧物語」のLDのジャケットって全然デザインが違うみたいです。
 でも日本盤って帯があるのがいいですよねー。

 さて「尼僧物語」は150分の映画。対してレーザーディスクは片面60分、両面で120分が最大で融通がききません。
 なので「尼僧物語」は2枚3面の収録になって、120分以内の1枚ものに比べるとちょっとお高め。

 でもその代わりに嬉しいのが2枚組になると見開きジャケットになるんですよね。
 そうすると収録される写真の点数が増えるという。

 見開きジャケットの中には9点の宣伝写真が掲載されています。
 宣伝写真だから、映画からキャプチャーしたものと違って、とても綺麗で高解像度。

 宣材の写真って、映画そのものと写してるアングルが違うので、映画の本番撮影中だとカメラのシャッター音が入ってしまうのでどうやって撮っているのかと中学時代などは思っていましたが、どうやらリハーサルの時に撮っているんじゃないかと勝手に思うようになりました。

 でもそれが裏付けられたのがこの見開きジャケットの中にある1枚の画像。

 1番左上の画像のシーンは映画にはありませんよね?これ、昔はなんのシーンだろうと不思議に思っていましたが、93年に発売されたフレッド・ジンネマン監督の自伝や、「尼僧物語」の原作を読んで判明。

 これって、突然大雨が降って、河の中州にいた3人の男たちがなすすべもなく水の中に飲み込まれていくのを岸辺で見守ることしかできない神父とオードリー演じるシスター・ルークと現地の人々のシーン、だったんですよね。

 神父はもう最後の祈りを捧げていますし、シスター・ルークは嘆くしかできない、というシーンなんですよね。

 これは原作にもあって、シスター・ルークはとっさに何か看護師として役に立つことはできないかと河へ急いだのですが、それがなかなか病院の外に出ることのできない、開放されない尼僧にとっては、なぜ他のシスターに譲らなかったのか、仕事を放り出して行ったために他の尼僧の負担が増えることになって謙譲の心に欠けているということになるんですよね。

 で、このシーンは前日にリハーサルをしていたのに、本番当日になると河の水位が2mも下がってしまって、仕込んでおいたリフトやセメントが丸見えになってしまって結局撮影されなかった、とジンネマン監督の自伝に書いてありました。

 ということで、この大雨の写真は前日のリハーサルで撮っていて、宣伝写真というものはリハーサル時に撮影されているんだ、とわかりました。

 裏ジャケットのカラー画像も映画そのままのキャプチャーですが、ここでは岡原教郎さんという方が解説を書いておられます。

 「ジンネマンは修道院での儀式の模様を遠近感のある縦の構図で丁寧に描く。修道院内部のセットも重厚な素晴らしいもので、撮影効果を十分に満足させている。」

 「ヘップバーンが苦悩し、次第にやつれていく演技は、これまでの作品とは違う『暗』の分野への挑戦であり、その意気込みが強く感じられる。」

 「名匠ジンネマンは抑制された演出で主人公の自己葛藤の緊張感を全編にみなぎらせている。ヘップバーンもまた、内面的苦しみを無表情の中に表現する難しい役作りをよくこなしている。撮影のフランツ・プラナーの色彩感覚は見事。ラストの長回しショットの余韻は映画ファンにはたまらない。」

 さらに上述しましたが、ここには4ページの筈見有弘さんのライナーノートなどがありまして、画像はジャケットの内側のものと同じなのが残念です。

 筈見さんの解説はチャールズ・ハイアムのオードリー伝記に基づいたものが多く、ハイアムの受け売り的な文章が多いために実はおおっ!と思う部分が少ないのが難点です。

 むしろ「この映画が封切られた時、僕はオードリー・ヘップバーンが演じていたから見に行ったのであって、そうでなければ敬遠していただろう」という個人の当時の正直な考えが面白く感じられました。

 また映画に対しては「起承転結をはっきりさせた構成により、綿密でオーソドックスな描き方をし、静かな場面を積み重ねていくが、次第にヒロインの心の奥の激しさを観客に感じさせて見事である。」と書いています。



 オードリーに対しては「アカデミー賞は逃したが、ニューヨーク批評家協会の演技賞を受けた。それに値するだけの演技である。」と書いてくださってます。

 3ページ目には「名せりふ集」があって、現地の男性の問いとシスター・ルークの返答が噛み合わない愉快なシーンのセリフもあれば、生徒は騙せても、自分と神は騙せませんというシスター・ルークが修道院を出る時の重い言葉もあります。

 最後のページには「ディテール小事典」というのがあって、俗界と隔てられる「扉」、オードリーがシスター・ルークのモデルとなったマリー=ルイーズ・アベに乗り降りの仕方も聞いた「路面電車」、精神病院での「格闘シーン」、本当の「ハンセン氏病の村」でロケしたことなどが書かれています。

 さて、ジャケットの裏側にもストーリーと解説、中にも4pものライナーノートを封入、と至れり尽くせりのこのレーザーディスクですけど、DVDの時代になってからは軽い解説だけ、配信にいたっては今やあらすじがちょこっと書いているだけ、というありさま。



 日本は昔から映画パンフレットを作ってたし、テレビの映画劇場でも解説付き、っていうのが普通でしたが、今やそういう文化は無くなりかけていますよね。なんか勿体無いなーと思うのです。

 それと「尼僧物語」ですが、海外では大ヒットだったのですが、日本では日比谷映劇の封切りではヒットしましたが、その次に東宝洋画チェーンに流れた時が不名誉な最低新記録を作ってしまい、全体ではオードリー作品としてはワースト3位の、水準ヒットレベルの配給収入で終わってしまっています。

 それでも翌年の映画雑誌では、「キネマ旬報」第13位、「映画の友」で執筆者投票第13位(俳優部門は無し。ただし番付で横綱)、読者投票第7位、女優第1位。「スクリーン」では執筆者投票で第11位、女優1位。読者投票で第4位、女優第1位の成績を残しています。

 作品としては高く評価されたということですね。
 ただ、その後1度もリバイバルが無いのが残念!1966年に名画座で上映されたのを最後に権利が切れ、その後映画館では上映されていません。

 ぜひ一度「午前十時の映画祭」で上映してもらいたいものです。
  


2023年07月19日

「ローマの休日」デジタル・ニューマスター版 ロイヤルBOX

 さて、今日の紹介は2003年12月17日に発売された、「ローマの休日」製作50周年記念デジタル・ニューマスター版スペシャル・コレクターズ・エディション ロイヤルBOX(な、長い!)の紹介。

 この「ローマの休日」DVD発売の12月17日には、パラマウントからは「戦争と平和」「パリで一緒に」、20世紀フォックスからは「おしゃれ泥棒」「いつも2人で」、ジェネオンからは「昼下りの情事」が同日発売されたということは以前の記事で書きました。

 そんなに同時に発売されてもファンは困ってしまいますよね。当時はDVD全盛時代で、初めて販売する作品のDVDは1枚4000円くらいでまだまだ高かった時代。

 しかもLDなんかでは1度発売して在庫がなくなると再プレスをほとんどしなかったので、DVDはどうなるのか僕もまだよくわからなかったんですよね。
 だから無くなったら嫌なので、高いうちから買っていました。

 で、そんなに同時には買えないので、何ヶ月かに分けて買ってたんですが、もちろん僕の中での優先順位は「いつも2人で」がトップ、次いで「おしゃれ泥棒」「パリで一緒に」でしょうか。再プレスするかどうか怪しいなら、プレス数の少なそうな作品から買うのは鉄則ですからね。

 というわけで、「ローマの休日」は欲しかったけど、決して優先順位は高くなかったんですよね。値段も定価で9800円と高かったし。

 そして通常の2枚組でいいや、とぼんやり思ってたんですけど、なんかこのロイヤルBOX版がどこだったかで安いぞ!って教えてもらいまして、そうなると俄然欲しくなっちゃいまして、限定2万セットだけだし!って買っちゃったんですよね。あー、おバカ笑。

 案の定と言うか何というか、やはりDVD以外は買った時以外、全然その後開けもしなかったです。
 今回この記事のために20年ぶりに引っ張り出してみました。

 箱はだいたい記憶通りのもの。うんうん、こんな感じやった。

 で、このロイヤルBOXの内容は、
 ●ジュエリーBOX
 ●オリジナルポストカード・ブック
 ●オリジナル携帯ストラップ
 ●オリジナルフォトフレーム
 ●デジタル・ニューマスター版2枚組DVD
となっております。

 で、中のジュエリーボックスを取り出そうとしたら…なんか表面がベタベタしてる!
 これ、表面の素材はポリウレタンちゃう?

 ポリウレタンって一時期めっちゃ流行った素材ですよね。1999年にモーニング娘。の「LOVEマシーン 」でモフモフのコートが男女ともに流行りましたけど、当時はその素材に合皮のようなポリウレタンがよく使われてました。
 そしてその後何年かはポリウレタン素材の洋服とかがよく出てました。

 ポリウレタン、当時着ていた方はご存知でしょうが、劣化しやすく、劣化が始まるとポロポロと剥がれて来るんですよね。
 なのでクリーニング屋さんもポリウレタン素材のものは困ってましたし、もしクリーニングで剥がれても知りませんよ?ってな感じでした。

 僕もいくつか持ってましたが、本当に劣化するとヤバイ!って感じでした。だんだん表面がベタベタしてきて、床とかにボロボロこぼれるんですよね。最終段階ではちょっと触っただけでボロボロ。

 その後あまりに劣化が酷かったので、素材で使われることもあまりなかったのですが、またここ数年ポリウレタン素材の洋服が復活しています。
 まあ僕は劣化の凄まじさを知っているので、もう素材のタグを見てポリウレタンが入ってたら絶対買いませんけどね。

 今回このジュエリーボックスなるものを取り出してみて、このベタベタ感を思い出して、これってポリウレタンじゃないの??と思ったわけですよ。
 しかも20年全く開けてなかったのに周辺が黄ばんでる!うーん、もう使えん。

 ボックスの蓋の上側には押し加工で “Roman Holiday”と印字されています。

 開けてみて、蓋の裏にはいつものティアラ・オードリー。そして1番上の段には携帯ストラップが入っとる。
 ちょっとこれは後回しにして、次の段へ。

 ポストカードブックが乗ってて、その下にはフォトフレーム。そのフォトフレームも本来銀色なのに、黄ばんどる…。段とかフォトフレームの裏で使われている赤いビロードは何ともなってないのにね。

 さらにその下の引き出しには2枚組DVDが入ってました。普段はDVDは棚に入っているのですが、今回20年ぶりに引き出しに入れて写真を撮りました。

 まあ唯一今でもいいなと思えるのはポストカードブックのみ。
 と言ってもこれもポストカードとしては使えなくて、結局コレクションしちゃうんですけどね。

 さて、後回しにしてた携帯ストラップですが、携帯ストラップてのが2003年ぽいですね。まだまだガラケー全盛時代。ガラケーに写真機能が付き始めた頃でしょうかね。今となってはスマホにストラップってのも着けませんしね。

 写真が入ってるロケットペンダントタイプになってるので、今回引っ張り出して開けようとしましたが、口が固い固い。
 そんでもって開けようとしてたら飾りが脆くも取れました。使う前から壊してしまった!あちゃー!って使わないけど…。

 やっと開けたらいつものティアラ・オードリーでした。ふーんって感じ。

 まあ、買う前から使わへんよなーとわかってて買ったんですけど、本当に何にも使いませんでした。
 こういうオードリーの写真も無くて雰囲気だけみたいな(珍しくない写真はあったけど)ものはやっぱり買ったらダメですね。

 なんか発売から20年も経ってるのに、いまだにアマゾンでは新品が定価以下で売ってました。

オススメ度:なし。不用な品が多い。(多分今新品や新古品を買っても、ジュエリーボックスは劣化・変色してる。)


  


2023年06月11日

2003「ローマの休日」DVD発売 パラマウント版チラシ

 今から20年前の2003年は「ローマの休日」の製作50周年記念デジタル・ニューマスターのリバイバル、及びそのDVDとVHSが発売された年でした。

 リバイバルも大好評で、最初に公開した東京でも朝から行列ができていて整理券を配られ、見たい回の間際に行っても見れない、というのが関西の新聞に載ってたくらいだったので、僕も全国で2番目の公開となるテアトル梅田さんに行く何日か前に大阪ではどうなのか問い合わせしました。

 するとテアトル梅田でも朝から整理券を取るためにテアトル梅田のあるビルを取り囲むように行列ができている、とのことでした。

 僕は当時オードリー・ヘプバーンのファンサイトを持っていたMさん、と一緒に見に行くことになっていたので、2回目か3回目かの回で待ち合わせだったのですが、整理券をもらうために朝からテアトル梅田さんに並びに行きました。

 かなり早くから並んだんですが、それでもトップではなかったんです。まあ一桁だったとは思うんですけどね。

 しかも新聞やテアトル梅田さんが言ってたのは嘘じゃなかったんですよね。整理券を求める行列が、僕が並んだ後も続々と増えて行くんです。
 気づくとテアトル梅田のあるビル(大阪茶屋町のLOFTのビル)の角を曲がってましたねー。

 さすがに僕より前に並んでた人はみんな1回目の上映を目当てに並んでいたようで、僕は見たい回のトップの整理券をもらいました。
 そのあと、時間までは梅田をブラブラして時間を潰しましたねー。

 しかも整理券をもらったら、その上映の何分か前から整理券順に並んで、席取りがありました。
 まだ当時は全席自由席の時代だったんですよねー。

 そのテアトル梅田も、去年の9月30日で閉館したそうです。

 他にはカトリーヌ・ドヌーヴの「ロシュフォールの恋人たち」もテアトル梅田で2009年ごろリバイバルを観ました。

 その時のパンフレットで、最初はオードリー・ヘプバーンとブリジット・バルドーに姉妹役がオファーされたということを知ってビックリしたんですけどもね。

 あ、そうそう、以前この2003年版の試写会のことを書いたことがありますが、80年代後半からのリバイバルはまだ字幕が画面の横に縦書きで出ていたのですが、この2003年の「ローマの休日」は画面下に横書きで出るようになっていたのが印象に残ってます。

 昔は段差がない劇場も多かったので、下に字幕が出たら読めないってこともあったと思うのですが、さすがに2000年代ともなると劇場も改善されてきて、しかも横書きメインになってきてるんですよね。

 さて、そんな全国での公開がまだ地方で続いている最中に早くもDVDが出る予告が出ました。
 2003年12月17日発売。

 この時のリバイバル及びDVD発売は、本家パラマウントからでしたから、いろんな特典も付けられたんですよね。
 「ローマの休日」に関してはDVDの発売は初。

 これ、まだ劇場公開してる最中なのに発売早いなー、これから公開する地方の劇場は大丈夫なんかいなと思ったのを思い出します。
 でもよく考えると、2004年になってしまうと著作権50年問題で他社から安物が出てしまうかも…と考えて、先手を打って売り急いだのかもしれません。

 当時既に昔の映画の500円のパブリック・ドメインDVDがいろんな会社から発売されていましたからねー。パラマウントも危機感を抱いていたのでしょう。

 実際翌2004年からはあっという間に各社から「ローマの休日」が発売され、パラマウントは法廷で争いましたからね。まあパラマウントが負けるんですけど。

 今回紹介するのはその権利元のパラマウントが出したDVD販促用チラシ。
 2つ折りのB5サイズで、コート紙。しかも4色刷りでお金かかってるなーと思います。2つ折りってのがこういうのではよっぽどチカラ入ってるものですからね。普通は1枚ものでしょうし。

 でも売り急いだのはパラマウントだけじゃないんですよね。この大ヒットした「ローマの休日」のDVD発売に便乗しようと、20世紀フォックスからは「いつも2人で」「おしゃれ泥棒」、ジェネオンからは「昼下りの情事」も同日に発売されました。

 20世紀フォックスの2作は世界初のDVD化だったんですけど、色々と問題が…。



 大慌てで20世紀フォックスは発売したので、DVDだというのに素材はVHSのもの?みたいな感じ。
 「いつも2人で」なんかはレターボックス仕様。再生すると上下左右に黒い枠が入ってしまうので、テレビ側のズーム機能で大きくしないといけない。

 当然画質も荒れてて、3回目の旅のパスポートの日付とか読み取れない。
 これがわかったのはNHK BSで放映してくれたからです。NHKの方がちゃんとした素材から放映してる。

 「おしゃれ泥棒」も「いつも2人で」も全く特典なくって、その後ちゃんと発売されたアメリカのDVDではいろんな特典映像があったのに、日本では何度かデザインを変えて再発売されたのに結局仕様は変わらないまま…。

 一度伺ったことがあるんですけど、日本が仕様を変えて出したいと言ってもアメリカが許可してくれなかったそうです。
 全く売り急いだためにこんな弊害が20年経ってもまだ続いているとはねー。

 売り急いだと言えば、このパラマウントも「ローマの休日」と同時発売で「戦争と平和」と「パリで一緒に」を初DVD化。
 これも「戦争と平和」は特典がありましたけど、「パリで一緒に」にはありませんでしたね。がっかりです。

 しかも「パリで一緒に」は特にレーザーディスクやVHSでは目を瞠るような綺麗な発色だったのに、まるさんもおっしゃってましたがDVDでは色褪せた発色になってて、なんじゃこれはー!って感じでした。

 でもオードリーファンからすると、こんなに1度にいっぱいオードリー作品が同時発売されるのは、正直困ってしまいます。

 そんなたくさん同時に買えませんもんね。
 当時のDVDってまだ1枚4000円くらいしましたし。

 さて、脱線ばっかりでしたけど、この本家パラマウントのチラシを見ていきましょうか。

 まず表紙は2003年リバイバルのデザインを踏襲したもの。ただし、メインカラーの赤は、劇場公開のチラシがパール色の赤(金銀のように光っている赤)だったのに比べて、普通の赤になっています。

 DVDだけではなく、VHSも同時発売されているのですが、2003年でVHSというのはもう完全に末期ですね。これ以降は限定再発の作品以外は発売されなかったと思います。

 まだブルーレイも、ましてやストリーミングなどというものはなかった時代なので、DVD全盛の時代ですよね。

 中面は「ローマの休日」の受賞歴が左面に。
 そして左面の下部には “この秋、世界に先駆け日本で劇場公開された”と書かれてるんですけど、この謳い文句、劇場公開の際に書かれてましたけど、当時から僕は疑ってました。

 だって他の国では先駆けも何も劇場公開なんてしてないんちゃう?と思ってたので。
 50周年やからってリバイバルしたんは日本だけちゃうん?って思ってました。実際アメリカなんかでは劇場公開なんかせずにデジタル・ニューマスター版DVDはもっと前に発売されてましたからね。

 右面には主演2人と監督、ストーリーが載ってます。スタッフで原案がダルトン・トランボになっているのがデジタル・ニューマスター版。
 でも脚本はまだイアン・マクレラン・ハンターとジョン・ダイトンだけです。

 キャストには池田昌子さんらが載っていて、今回は吹替版も収録されるのがわかりますが、VHSはもちろん音声の切り替えができないので字幕版・吹替版がそれぞれ別で発売されます。

 右面下部には初DVD化の「戦争と平和」「パリで一緒に」の案内。




 裏面上部では今回の特典が色々載ってます。日本版だけの特典も色々あって、ディスクは2枚組。Disc1の本編には池田昌子さんのローマの名所めぐりつき。
 Disc2では池田昌子さんの吹替の思い出、1997年(日本ヘラルド配給)と2003年リバイバルの日本版の予告編が日本独自で付いてます。

 こういう、日本オリジナルで頑張った!って言うのは2020年に出た最新の4Kデジタル・リマスター版ブルーレイにはなかったですよね。せめて2003年版と同じ特典をつけてもいいと思うのですが、それも無し。
 じゃあこの2003年のDVD盤も、まだお役御免にはならないですよね。

 世代交代が進んで行って、権利元の日本のパラマウントでも「ローマの休日」に対する思い入れみたいなものが無くなってきてるんでしょうかね?
 今回も劇場公開の配給は現在のパラマウント映画の配給元の東和ピクチャーズではなく、TCエンタテインメントですからね。

 さて2003年のDVDですけど、3形態で発売されるのが裏面中段でわかります。

 まずは基本の2枚組。
 それとポストカードやらフォトフレームなどが付いたロイヤルBOX仕様のもの。2万セット限定。
 3つめはパラマウントのオードリー6作品DVDをまとめたDVD-BOXとなっています。

 もちろんここまでに「ティファニーで朝食を」「麗しのサブリナ」「パリの恋人」のDVDを既に買っていた僕には箱以外の特典のないDVD-BOXは不要でしたので、通常盤を買うか、ロイヤルBOXを買うかの選択しかないわけですけど、ここで誤ってロイヤルBOXを買ってしまったんですよね!

 これはその後本当に失敗したー!と思ってるんですが、これも近々紹介しますね。

 この「ローマの休日」のDVD発売は売れると思ったのか、いろんなところがチカラ入れて売ろうとしてました。
 ドミノ・ピザともコラボしてたりしたんですよねー。

 またそういうのも紹介したいと思います。
  


2022年11月13日

「マイヤーリング」本編サンプルDVD


 さて今日は写真を簡単に済ませたいと思います。オードリー、写ってません。

 そういえば、「マイヤーリング」も製作からは65周年だったな〜と思ってたので、今回やっちゃいます。
 なんか「マイヤーリング」というと、僕は2014年のイメージが付いてしまっているので。

 こちらに昔から来ていただいている方はご存知でしょうが、「マイヤーリング」配給元の「ブロードメディア・スタジオ株式会社」さんの依頼で、僕は2013年9月に「マイヤーリング」のプレスシートとパンフレットの文章を書くことになりました。
 詳しいお話はこちらで。

 さて、その時のブロードメディア・スタジオさんとのお約束で、文章の権利は全て僕のもの、そして執筆料は要らない代わりに、全ての宣材(ポスター、プレスシートなど)をいただく、ということでした。

 そのまだ公開前に送っていただいた物の一つがこの「マイヤーリング」本編映像のDVD。

 内容は市販されているものと特に変わりません。もう既にリマスターも済んでいるもよう。

 ただ、池田昌子さんの副音声などはまだ録音されてもいないので付いておらず、本当に本編のみ。
 それに、ずっと画面右上には“SAMPLE”の文字が入ります。

 レーベル面には “「マイヤーリング」本篇サンプル 75分 BMS 〈禁持出〉”と書いてますね。

 でもこれ、いただいても見ようという気にはならなかったですね。
 新作のオードリー作品を劇場で見たのは、僕も「オールウェイズ」の1990年以来。

 確かにね、それまでに米国版のDVDは買って持ってたし、視聴もしましたけど、日本語字幕が付いて見るのはこの劇場公開が初めて!
 そんな最初で最後の生涯で1回きりの初めてはやっぱり劇場で他のみんなと一緒に味わいたいじゃないですか!

 それでDVDは公開前にもらったものの、そのまま棚にしまいこまれました。
 公開後に見る、というのも公開後は何度も劇場に足を運びましたし、公開途中で劇場のみでブロードメディア・スタジオさんから先行DVDが発売されましたんで、サンプルを見る、というのは結局1度もありませんでした。

 このDVDと一緒に、担当者の方のお礼が書かれた名刺が同封されてました。
 担当者の方のお名前、その後写真集をお出しになったので出してもいいのかな?とも思いましたが、もしかして何か事情があるといけないので、全て写真加工しました。

 一度も通しては見ませんでしたけど、これは僕にとっては大事な宝物の1つですね。

 ところで、配給してくださったブロードメディア・スタジオさん、以前はブロードメディア株式会社の子会社でしたが、あったはずの公式サイトが見当たらないので親会社のブロードメディア株式会社のサイトの沿革を見ると、2020年4月に親会社に吸収合併されていました。

 ↓下のオードリーの写真は、いつもの通りゲッティ・イメージズ さんの無料の画像をお借りしました。
 「マイヤーリング」そのものの写真は無料じゃないので、同じ1957年の画像から。

 この写真のクレジットを信じれば、この画像は1957年6月16日のものらしいです。「マイヤーリング」はもう演じた後ですね。
 前年に撮った「昼下りの情事」の髪型をちょっと崩したような髪になってますね。
 「マイヤーリング」のリハーサルでもこんな髪型をしてました。


  


2022年09月24日

「おしゃれ泥棒2」VHSビデオ


 今回は、製作35周年の「おしゃれ泥棒2」のビデオジャケットの紹介。

 実は「おしゃれ泥棒2」のこのビデオの販促B2ポスターを紹介しようかと思って写真の準備まで済ませていたんですが、書くことが思いつかなくて、結局こちらになりました。
 販促ポスターは、また5年後の製作40周年にでも紹介しましょっかね笑。

 ビデオジャケットではピンクを多用して、ピンクのイメージにしようとしてますけど、この作品を見る限りでは印象に残るのはやたらと上がる土ボコリですかねー。なので文字はオレンジにしてみました。

 VHSって、もう今20才以下の人は知らないんじゃないのかなーと思います。
 DVDが出る前の、一般家庭が録画できる媒体だったんですよね。

 テープ式だったから、巻き戻しとか早送りとかがめっちゃめんどくさいんですよね、時間かかるし、ぴったりのとこで止められないし。チャプターなんてないですからね。

 それにレーザーみたいな非接触型じゃなくて、ヘッドってとことテープが接触するので、経年劣化だけじゃなく見れば見るほどテープもデッキ(再生機)も劣化して行くという。

 それでテープが伸びたりして、デッキに巻き込んだりしてテープがダメになった人も多いんじゃないかなーと。
 解像度も今と比べ物にならないくらい低くて、画質は粗かったです。

 でも家庭には80年くらい〜2000年過ぎまでテレビの録画機として世界の王座に君臨してたし、それを作ったのが日本ビクターだったというのが当時の日本の凄さを感じますよね。

 今は日本のお家芸だった電化製品の会社もシャープや東芝のテレビや三洋のように中国に売られたり、パイオニアやNECのようにどこに行ったん??って言いたくなる会社もあるし、完全に電気製品の覇権は日本は失ってしまってますよね。

 電気製品に限らず、日本の会社はどんどん規模が縮小されたり無くなったりしてるので、それじゃ将来も何か新しいことが出てくるってこともないでしょうから、2度とバブルみたいなのは来ないんだろうなと思いますね。

 会社がないと働けないわけで、いまの若者って本当に可哀想だと思います。そりゃ若い夫婦でも子供作りたくないですよね。将来不安ですもんね。
 こんな状態だと円安になってしまうのは当然ですよね。

 昔の日本の会社のトップって、終身雇用で自社で働く人を大切にしてたし、常に新しいものに挑戦してましたけど、今の日本って派遣ばっか雇うし、正社員にしても子会社だったらその部門がいらなくなったら会社ごと潰してしまうので正社員でも意味ないし、トップは自分さえ良ければいいと保身に走ってる人がほとんどじゃないの?それじゃ日本は伸びないよねーって思います。

 おっと、また脱線しましたけど、この「おしゃれ泥棒2」VHSですけど、発売されたのがはっきりわからないんですけど、1988年だったんじゃないかと。
 というのも、会社のそばにあったレンタルビデオ屋で88年だったか89年だったかに見つけたからなんですよね。

 発売日自体は12月21日ってことがわかっているので、またポスターとか紹介する際にはきっちり調べておきますね。

 で、そのレンタルビデオ屋で見つけたときはおおっ!と思いましたよね。
 それまで、「泥棒たちの愛」っていうテレビの新作があるということは「スクリーン」などの情報で知ってたんですけど、日本では放映されなかったので。

 それでそのレンタルビデオ屋で見つけたときは、発売直後だったと思うのですが、3本〜5本くらいは店に並んでたんですよね。

 当時はオードリーの再ブームの真っ最中じゃないですか。なのでこの作品も日の目を見たんでしょうね。

 でも題名のセンスの無さには呆れかえりました。
 原題や「スクリーン」の情報から全く独立した作品だってことはわかってたんで、なんでこんなセンスのカケラもない題名付けるかなー!と東北新社の誰だか知らない担当者を恨みましたね。

 だいたい「2」とか「新」って付く作品って、まず疑ってかからないとだいたいが元の作品にあやかって売ろうという魂胆見え見えのしょーもない凡作以下の2流以下の作品で、しかも元の作品とは何の関係もないってことが多いというパターンが僕の身に染み付いていたので、こんな安っぽい売り方して!って怒りしか覚えませんでしたね。

 2000年を超えてネット時代になるとあちこちに「おしゃれ泥棒2」を続編だと書いている人がいて、誤解してる人、やっぱりいてるやん!と安易な題名の付け方に本当に嫌気が差しました。今でもまだいるみたいです。
 まあそんな風に書く人は「おしゃれ泥棒」も「おしゃれ泥棒2」も見てないんだろうなーとそれもイヤーな感じでしたけどね。

 で、僕は当時レンタルはしましたけど、ずっと買わないでいたんですよね。まあ売価が14800円と高い!というのもありましたけど、当時はVHSビデオよりもLDの方が画質も良かったし劣化しないので、ずっとじっと発売を待ってたんです。

 そうして延々待ちましたけど、結局発売されなかったので、DVDが普及してきてLDが急速に廃れて行くのを見てから中古を買いました。

 当時は主なオードリーのファン・サイトが2つあったので、その管理人さんとかにも相談しながら買いましたねー。
 一応、僕のものにはレンタル品のシールとかは無いです。

 で、プレイステーション2でDVDの時代がやってきましたけど、今度はDVDが待てど暮らせど出ない!
 やっと「復刻シネマライブラリー」ってDVD-Rで発売ってのは「緑の館」と合わせて出ましたけど、DVD-R?えーって思ってたのと、その割には高かったので買うのをためらっっていたら「緑の館」共々廃盤になりました…。

 内容は初め見たときはあまりのハチャメチャさに「こっ、これはアカン、オードリー!!」って思いました。

 見た当時はオードリー主演の作品ではワースト1にしていました。今は「ニューヨークの恋人たち」の方が僕のワースト1ですけどね。

 まあ何度見ても決してベスト10には入って来ないと思いますけどね。その辺が最初に見たときに自分の見る力がなかっただけで、作品が悪いわけではなかった「パリの恋人」とは違うところ。

 ってなわけで、BSで放映した際には録画できなくて、いまだにこのビデオは大事にとってあります。

 ジャケットの裏には

「今なお人気上昇中のオードリー。ジバンシーのドレスに身をつつみ、おちゃめな仕種は昔ながらの可愛らしさ。相手役に『探偵ハート&ハート』おなじみのロバート・ワグナーを配し、愉快に、リズミカルに展開するロマンティックなミステリー。ファン必見の秀作!」

と書いてます(原文ママ)。
 まあ秀作では無いことは確か。

 「今なお人気上昇中」ってのが嘘じゃないところが当時の再ブームのオードリーの勢いを感じますよね。
  


2022年01月17日

「昼下りの情事」ブルーレイが発売されます

 「昼下りの情事」のブルーレイ(とDVD)が3月25日に発売されるようです。↓
 1月17日現在ではまだジャケットデザインは決まっていないようですね。


[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

昼下りの情事 【BLU-RAY DISC】
価格:4135円(税込、送料別) (2022/1/17時点)



 発売元が代わっているようですね。今までは20世紀フォックスだったのに、今回はIVCってなってます。でも日本語吹替もついてるようなんですが、今までと同じみたいなので、一切合切IVCに権利を売却でもしたのでしょうか…。

 でも今までも販売元は何度も代わってますよね。元々はアライド・アーティスツってところが製作したんですけど、倒産したので、その後の「昼下りの情事」は転々としています。

 65年のリバイバルはユナイト、89年のリバイバルは日本ヘラルド、VHS・LDはパイオニアLDC、DVDはソニー→ジェネオン→20世紀フォックスと本当に流転の旅。

 今回のIVCは、ヴィヴィアン・リーの「美女ありき」などを販売してますが、あんまり好きではありません。

 確かに格安DVDでは映画の最初にあるロンドン・フィルムのマーク(20世紀フォックスの有名なファンファーレみたいなもの)などは出せないみたいなんですが、しっかり権利をとってるIVCではそのロゴも堂々と出しています。

 でもなぜかIVCの映像はめっちゃ暗いんですよね。細かいディテールが全然見えない!暗すぎて!
 むしろ500円の格安DVDの方が細かいところまではっきり見える!

 一時期4000円以上してましたからねー「美女ありき」。それが1/8以下の値段のDVDに負けるってダメダメでしょー!
 それなら50年の著作権も切れてるし、格安DVDでいいですってなっちゃう。
 なのでIVCにはいい思い出がありません。

 今回も「美女ありき」と同じモノクロ映画の「昼下りの情事」なので、大丈夫かなーと思ってしまいます。

 でもアマゾンの商品説明で、オードリーの役名を“マリアンヌ”って書いてるのが気になります。
 いや、それは“アリアーヌ”でしょう!100歩譲っても“アリアンヌ”。“マリアンヌ”は絶対にありえませんて!頭文字“A”ですよ?“マ”ってことはありえないですがな!もしや新しく字幕翻訳して、“マリアンヌ”にしてしまったとか!?
 IVC、ますます不安だー…。

 まあ今どきブルーレイで見ようと思う感覚がもう古いのかもしれませんが、“書き下ろし解説を収録したリーフレットを封入! ”ってのが気になりますね。
 こういうのはネット配信では見れないですもんね。


1月19日追記:IVCに問い合わせたところ、今までと全く同じものだそうです。翻訳の変更などもないそうです。
 それと、アマゾンでの“マリアンヌ”のことをいうと、“担当者が間違えたのでしょう。直しておきます。”とのことで、今日見ると“マリアンヌ”から“アリアンヌ”に直ってましたが…。ジャケットでは“アリアーヌ”になるんでしょうから、またまた中途半端な訂正ですね。
 さらにライナーノートはどなたが執筆されたのか伺うと、映画評論家の遠山さんだそうです。僕はよく知らないですが、遠山純生さんという方でしょうか。
  


2021年12月05日

「ローマの休日」4Kデジタル・リマスター版ブルーレイ



 はい、今日は「ローマの休日」のデジタル・リマスター版 ブルーレイ・コレクターズ・エディションを紹介します。

 これ、去年の12月2日に出てたんですね!1年経っての紹介になってしまいました。
 でも今回はこのブルーレイの出来が悪い、とかではなく、僕が買ってから1年放置していたということですね汗。

 でもこれ、見てみてビックリ!
 またまた本編最初のクレジットの部分が変わっています!

(←今回の4Kデジタル・リマスター版の脚本・原案のクレジット画面)

 2003年のデジタル・ニューマスター版の時は原案がイアン・マクレラン・ハンターからダルトン・トランボに変更されていましたが、今回は脚本の部分でもダルトン・トランボが追加されて脚本はトランボとハンターとジョン・ダイトンの3人になっています!

 さらに、その脚本と原案のクレジットが載る部分のバックのフィルムに出てくるトラックのタイミングが2003年のニューマスター版はオリジナルとは少し違う部分が使われている、と以前書いてましたが、なんと!今回はオリジナルと同じタイミングでトラックが登場します!おおおおっ!!

 なんでしょうね?これは前回のニューマスターでタイミングが違うと散々言われたんでしょうか?それともトラックのタイミングが違うのが自社で気になって正確な部分のフィルムを倉庫から持ってきたのでしょうか?

 まあどっちにしてもだんだんモニターも大画面になってきていますから、タイミングが違うのはかなりハッキリとバレますよね。
 今回はオリジナルになるべく忠実に、とリマスターされたんでしょうね。

(←2003年デジタル・ニューマスター版)

 それと、今回の映像特典はDVDの時とはガラッと入れ替えられています。同じなのはアメリカの予告編とフォトギャラリーだけ。
 2003年版のDVDの特典で付いていた日本版の予告編や池田昌子さんのローマの名所めぐりや吹替の思い出などの日本版オリジナルの特典は一切無く、アメリカ版にあったはずの「ローマの休日」の思い出や修復とか、イーディス・ヘッドのことなどが省かれてしまってます。

 なので特典が全く違うので、DVDも手放せなくなってしまっています。

 今回の特典は最初の“レナード・マルティンが語る「ローマン・ホリデー」”とかはそんなでもなかったですけど、“オードリー・ヘプバーン:パラマウント時代”とかショーンとロバート・ウォルダーズの語る”オードリーの思い出”とかは見応えありました。

 でもパラマウント映画は6本と紹介されていて、「華麗なる相続人」が入ってなかったのは、製作がパラマウントではないからでしょうか。
 「パリで一緒に」の紹介は短いのですけど、きちんと“オードリーもこの映画を楽しんでくれていたようです。”と言われていて、嬉しくなりました。

(←オリジナル版)

 “オードリーの思い出”の方ではロバート・ウォルダーズがインタビューに答えているのが不思議な感覚でした。
 ウォルダーズは2018年に亡くなっていますから、それまでに撮っていた物を編集したのでしょうね。
 他の特典映像でインタビューを受けている人と同じバックの模様でしたから、その人達と同時期に撮られたんでしょうね。

 それと、“ゲートの内側:衣装”という映像もあったので、「ローマの休日」の衣装も紹介されるかも!?と期待しましたが、全くありませんでしたね。
 「ローマの休日」の特典なんだから、「ローマの休日」の衣装を見せて欲しかったです。「私のスタイル」展の図録を見ると、パラマウントが「ローマの休日」でのオードリーの衣装を保管しているはずなのですが…。

 それとやはり時代なのでしょうか。“ダルトン・トランボ:A級リストからブラックリストへ”という映像も収録されています。
 まあ僕はこういう政治的な思想のことにはオードリーと同じく距離をおいていますので、何も述べません。



 日本版だけの特典として、アウターケースとトレバー・ウィルズマーという人が書いた文章のある全12p(うち文章は7p)のブックレットが付いてます。

 トレバー・ウィルズマーという人が何者なのかは全く書いてないので知りませんし、パラマウント公式見解でもないと思いますが、その文章が「ローマの休日」の今まで知らなかった裏話が載っていて面白かったです。

 まず予算はイタリアにあるパラマウントの封鎖資金100万ドルで作らなければならないこと。
 えー!ウィリアム・ワイラーになる前に監督する予定だったフランク・キャプラには150万ドルって言ってて、それでも少なかったそうなのに、100万ドルですか!それは絞り過ぎですね。ウィリアム・ワイラーみたいな一流監督なのに!
(まあ最終的にはいくらかかったのかは知りませんが)

 なのでここではカラー撮影を断念せざるをえず、さらにスターが2人は使えない、という縛りができたことが書かれています。それでどうしてもアン王女は無名の女優を使うということになったみたいですね。

 他の候補として、各国の推薦で最初はシュザンヌ・クルーティエとコレット・リベールという2人が有力で、そこへロンドンからオードリーが推されてきたことが書かれています。
 どっちも全く知らない女優さんです。

 テストは前半は男優と1シーン、女優と1シーンだったと書かれていて、ワイラーはカメラを回しっぱなしにしたまま話しかけるように言った、となってるんですが、この辺が信用度が低くなる所でしょうか。

 日本では初公開時から、ベッドで寝ているシーンを撮って、カット!が掛かってからのオードリーの笑顔を見て決めたと伝わっており、実際初公開時からずっとその時の写真もいろんな本や雑誌で載せられてきたのですが、本国アメリカではその辺の資料が残ってないんでしょうかね。

 この辺はオードリー人気に断絶のあったアメリカの事情が窺い知れますね。
 きっと当時のベッドでのスクリーンテストのフィルムは残ってないのでしょうね。

 最終選考はオードリーvsシュザンヌ・クルーティエだったそうです。

 脚本はベン・ヘクト、ロバート・ワイラー、レスター・コーニッグという人たちが撮影前に完成することができず、クレジットされているジョン・ダイトンが撮影の合間にローマで書いたそうです。使用可能なロケ地のあまりの多さに、脚本は絶えず書き直しを迫られたため、ジョン・ダイトンは貴重な存在だったそうです。

 それと最終脚本はイアン・マクレラン・ハンターが手掛けたと書かれており、そのためパラマウントも今回の4Kリマスターでは3人の名前を載せたんでしょうね。

 あと、撮影のフランツ・プラナーが撮影半ばに病気でアンリ・アルカンに交代になったこと、群衆整理が不可能なのでワイラーが普段ほどテイクを撮れなかったこと、アメリカを離れ全員が撮影を楽しんでいたこと、大使館の舞踏会のため、43人もの貴族の女性がエキストラとして出演したこと、その貴族の女性たちは報酬の2400ドルを慈善事業に寄付したこと、アメリカでは期待したほどヒットしなかったけれども海外では驚くべき大ヒットだったことが書かれています。

 こうして開ける前は、しばらく待っていればケースなしで安くなるやろに、何にも写真が無いスリープケースにお金払うのイヤやなーとか思っていたのですが、まあこうしてブックレットを読めたのが僕的にはとても良かったです。

 本編の画質は、こうした昔の映画の高画質化にはつきものですが、どうしても粒子感が強くなっていますね。
 なのでスペイン広場のシーンでは雲一つなく晴れているのに、曇り感が強いです。
 元々モノクロなので、色が変!ってことはないんですけどねー。

オススメ度:★★(やがてケース無しのが1000円代で買えるようになるでしょうから、ケースとブックレットに価値を見出せるコレクター向き)



  


2021年11月25日

「AUDREY MORE THAN AN ICON」ブルーレイ

 さて前回は「ハリウッド列伝」という内容も映像もヒドいDVDを紹介しましたが、今日は「AUDREY MORE THAN AN ICON」という海外で最新のオードリー・ドキュメンタリーのBlu-rayを紹介。

 以前、このようなドキュメンタリーがあることはトレーラーと共に紹介していましたが、手に入れて見てみると、出来の良さにビックリ!!
 英語がわからなくても、これは「想い出のオードリー・ヘップバーン」の後を継ぐドキュメンタリーだと思います。

 まあ日本語訳が付くと、もしかしたらとんでもないことを喋っている可能性は少しはあるでしょうが、この丁寧な作り方から見ても、息子のショーンが出演していることからしてもそのようなことはないと思います。

 映像も許可を取らなくていいような予告編で進んでいくというやっすい作りではなく、きちんと権利金を払って本編から使われています。
 というか、この「AUDREY MORE THAN AN ICON」のウリはそんなところではありません。

 ここで価値があるのは、本当に本当に貴重な、日本では手に入れられない過去のニュース映像や、おそらくショーンから貸し出してもらったであろう貴重なプライベート映像!

 54年のメル・ファーラーとの結婚式の動く映像や、50年代半ばのカラーのプライベート映像など、見たことない!という貴重な映像がボロボロ出てきます!
 しかもそれが丁寧にどれもリマスターされているようなんです!

 「マイ・フェア・レディ」を1994年にデジタル・リマスターした時は莫大な金額がかかっていましたが、今はめっちゃ安くなったのでしょうね。その恩恵をめっちゃ受けていますね。

 今までだと古い粗い映像でしか見ることが出来なかったニュースの映像も、今の高精細・大画面のテレビでも充分耐えられるくらいになっているのはスゴイです!

 そして息子ショーンや孫のエマ・ファーラー、「愛と哀しみの果て」の主演をオードリーに熱烈オファーしていたアンナ・カタルディ、「ニューヨークの恋人たち」の監督ピーター・ボグダノヴィッチなどがオードリーとの思い出を語っていて、これまた見応えがあるものになっています。

 再現VTRと言えるほどのものでもありませんが、子供のバレリーナ、若い女性のバレリーナ、年配の女性のバレリーナと3人を使って、雰囲気も出しています。最後には3人で踊るシーンもありますね。

 そして日本だと多分オードリーの出生地やロケ地とかにロケして紹介するのでしょうが、そういうのはありません(ラ・ペジブルだけあったけど)。
 そこが残念だなーとは思います。

 その代わりと言ってはなんですが、オードリー自身が喋る映像や音声が入るのですから、ここはさすが欧米!だと思ってしまいますね。持ってるオードリーの映像や画像や音声のストックが日本では考えられないくらいあります。

 もし日本でこれに対抗する映像を持ってくるなら、「エクスラン・ヴァリーエ」と「銀座リザ」、そして3回の来日時の動くオードリーの映像が必要になってきますよね。
 それでも女優として全盛期だった50年代60年代の映像を持っているというのは日本では到底真似できません。

 ただ、オードリーのことを喋っているのが、既にオードリーと一緒の世代の人がもういないのが「想い出のオードリー・ヘップバーン」よりインタビュー部分では少し劣るでしょうか。

 もちろんこれは「想い出のオードリー・ヘップバーン」から30年近く後に作られているので、もうどうしようもないことです。
 「想い出のオードリー・ヘップバーン」ではまだ存命の共演者や監督が喋っていましたもんね。

 ここではオードリーの人生と一部重なっている人でも、ショーンやアンナ・カタルディやピーター・ボグダノヴィッチといった女優全盛期は知らない人ばかりになっています。

 他にはオードリーの親友の一人であったコニー・ウォルドの息子(既に白髪)やオードリーの家で働いてたお手伝いさんの息子など、世代的には完全に交代しているのですよね。

 他にはオードリーとは全く重なっていない人たちがオードリーのファッションや映画について話したりしていますので、それらの人の発言は日本語訳が出ないと正しくは評価できませんね。
 そうそう、孫のエマもオードリーとは全く被っていませんよね。

 この喋っている人たちの世代が違うのが残念なところでしょうか。
 それとショーンの顔を立てたのか、次男のルカのインタビューがないのがこの兄弟の関係を考えた時に影を落としています。

 まあそういう年月の経過でどうしようもない部分を補うのが超レアなオードリーの映像である、ということですよね。

 日本のWOWOWとかが翻訳して放映してくれたらいいのになーと思ってしまいます。
 そしたら絶対加入するのになー!というほどの内容。

 海外のドキュメンタリーでは最も出来の良いものの1つです!日本語訳がつけばいいのにな〜。

 あと、全然内容には関係ないんですけど、ブルーレイの円盤本体に印刷されているオードリーの髪の毛が加工で消されていて、タラちゃんというかこけしというかのまるで剃ったみたいな変な髪型になっているのはいただけませんね〜。

オススメ度:★★★★(オードリーの貴重な映像が満載!喋っている内容は今回はポイントに入れていませんので、日本語訳がついたら改めて評価します。)