2023年06月11日

2003「ローマの休日」DVD発売 パラマウント版チラシ

2003「ローマの休日」DVD発売 パラマウント版チラシ 今から20年前の2003年は「ローマの休日」の製作50周年記念デジタル・ニューマスターのリバイバル、及びそのDVDとVHSが発売された年でした。

 リバイバルも大好評で、最初に公開した東京でも朝から行列ができていて整理券を配られ、見たい回の間際に行っても見れない、というのが関西の新聞に載ってたくらいだったので、僕も全国で2番目の公開となるテアトル梅田さんに行く何日か前に大阪ではどうなのか問い合わせしました。

 するとテアトル梅田でも朝から整理券を取るためにテアトル梅田のあるビルを取り囲むように行列ができている、とのことでした。

 僕は当時オードリー・ヘプバーンのファンサイトを持っていたMさん、と一緒に見に行くことになっていたので、2回目か3回目かの回で待ち合わせだったのですが、整理券をもらうために朝からテアトル梅田さんに並びに行きました。

 かなり早くから並んだんですが、それでもトップではなかったんです。まあ一桁だったとは思うんですけどね。

 しかも新聞やテアトル梅田さんが言ってたのは嘘じゃなかったんですよね。整理券を求める行列が、僕が並んだ後も続々と増えて行くんです。
 気づくとテアトル梅田のあるビル(大阪茶屋町のLOFTのビル)の角を曲がってましたねー。

 さすがに僕より前に並んでた人はみんな1回目の上映を目当てに並んでいたようで、僕は見たい回のトップの整理券をもらいました。
 そのあと、時間までは梅田をブラブラして時間を潰しましたねー。

 しかも整理券をもらったら、その上映の何分か前から整理券順に並んで、席取りがありました。
 まだ当時は全席自由席の時代だったんですよねー。

 そのテアトル梅田も、去年の9月30日で閉館したそうです。

 他にはカトリーヌ・ドヌーヴの「ロシュフォールの恋人たち」もテアトル梅田で2009年ごろリバイバルを観ました。

 その時のパンフレットで、最初はオードリー・ヘプバーンとブリジット・バルドーに姉妹役がオファーされたということを知ってビックリしたんですけどもね。

 あ、そうそう、以前この2003年版の試写会のことを書いたことがありますが、80年代後半からのリバイバルはまだ字幕が画面の横に縦書きで出ていたのですが、この2003年の「ローマの休日」は画面下に横書きで出るようになっていたのが印象に残ってます。

 昔は段差がない劇場も多かったので、下に字幕が出たら読めないってこともあったと思うのですが、さすがに2000年代ともなると劇場も改善されてきて、しかも横書きメインになってきてるんですよね。

 さて、そんな全国での公開がまだ地方で続いている最中に早くもDVDが出る予告が出ました。
 2003年12月17日発売。

 この時のリバイバル及びDVD発売は、本家パラマウントからでしたから、いろんな特典も付けられたんですよね。
 「ローマの休日」に関してはDVDの発売は初。

 これ、まだ劇場公開してる最中なのに発売早いなー、これから公開する地方の劇場は大丈夫なんかいなと思ったのを思い出します。
 でもよく考えると、2004年になってしまうと著作権50年問題で他社から安物が出てしまうかも…と考えて、先手を打って売り急いだのかもしれません。

 当時既に昔の映画の500円のパブリック・ドメインDVDがいろんな会社から発売されていましたからねー。パラマウントも危機感を抱いていたのでしょう。

 実際翌2004年からはあっという間に各社から「ローマの休日」が発売され、パラマウントは法廷で争いましたからね。まあパラマウントが負けるんですけど。

 今回紹介するのはその権利元のパラマウントが出したDVD販促用チラシ。
 2つ折りのB5サイズで、コート紙。しかも4色刷りでお金かかってるなーと思います。2つ折りってのがこういうのではよっぽどチカラ入ってるものですからね。普通は1枚ものでしょうし。

 でも売り急いだのはパラマウントだけじゃないんですよね。この大ヒットした「ローマの休日」のDVD発売に便乗しようと、20世紀フォックスからは「いつも2人で」「おしゃれ泥棒」、ジェネオンからは「昼下りの情事」も同日に発売されました。

 20世紀フォックスの2作は世界初のDVD化だったんですけど、色々と問題が…。

2003「ローマの休日」DVD発売 パラマウント版チラシ


 大慌てで20世紀フォックスは発売したので、DVDだというのに素材はVHSのもの?みたいな感じ。
 「いつも2人で」なんかはレターボックス仕様。再生すると上下左右に黒い枠が入ってしまうので、テレビ側のズーム機能で大きくしないといけない。

 当然画質も荒れてて、3回目の旅のパスポートの日付とか読み取れない。
 これがわかったのはNHK BSで放映してくれたからです。NHKの方がちゃんとした素材から放映してる。

 「おしゃれ泥棒」も「いつも2人で」も全く特典なくって、その後ちゃんと発売されたアメリカのDVDではいろんな特典映像があったのに、日本では何度かデザインを変えて再発売されたのに結局仕様は変わらないまま…。

 一度伺ったことがあるんですけど、日本が仕様を変えて出したいと言ってもアメリカが許可してくれなかったそうです。
 全く売り急いだためにこんな弊害が20年経ってもまだ続いているとはねー。

 売り急いだと言えば、このパラマウントも「ローマの休日」と同時発売で「戦争と平和」と「パリで一緒に」を初DVD化。
 これも「戦争と平和」は特典がありましたけど、「パリで一緒に」にはありませんでしたね。がっかりです。

 しかも「パリで一緒に」は特にレーザーディスクやVHSでは目を瞠るような綺麗な発色だったのに、まるさんもおっしゃってましたがDVDでは色褪せた発色になってて、なんじゃこれはー!って感じでした。

 でもオードリーファンからすると、こんなに1度にいっぱいオードリー作品が同時発売されるのは、正直困ってしまいます。

 そんなたくさん同時に買えませんもんね。
 当時のDVDってまだ1枚4000円くらいしましたし。

 さて、脱線ばっかりでしたけど、この本家パラマウントのチラシを見ていきましょうか。

 まず表紙は2003年リバイバルのデザインを踏襲したもの。ただし、メインカラーの赤は、劇場公開のチラシがパール色の赤(金銀のように光っている赤)だったのに比べて、普通の赤になっています。

 DVDだけではなく、VHSも同時発売されているのですが、2003年でVHSというのはもう完全に末期ですね。これ以降は限定再発の作品以外は発売されなかったと思います。

 まだブルーレイも、ましてやストリーミングなどというものはなかった時代なので、DVD全盛の時代ですよね。

 中面は「ローマの休日」の受賞歴が左面に。
 そして左面の下部には “この秋、世界に先駆け日本で劇場公開された”と書かれてるんですけど、この謳い文句、劇場公開の際に書かれてましたけど、当時から僕は疑ってました。

 だって他の国では先駆けも何も劇場公開なんてしてないんちゃう?と思ってたので。
 50周年やからってリバイバルしたんは日本だけちゃうん?って思ってました。実際アメリカなんかでは劇場公開なんかせずにデジタル・ニューマスター版DVDはもっと前に発売されてましたからね。

 右面には主演2人と監督、ストーリーが載ってます。スタッフで原案がダルトン・トランボになっているのがデジタル・ニューマスター版。
 でも脚本はまだイアン・マクレラン・ハンターとジョン・ダイトンだけです。

 キャストには池田昌子さんらが載っていて、今回は吹替版も収録されるのがわかりますが、VHSはもちろん音声の切り替えができないので字幕版・吹替版がそれぞれ別で発売されます。

 右面下部には初DVD化の「戦争と平和」「パリで一緒に」の案内。


2003「ローマの休日」DVD発売 パラマウント版チラシ


 裏面上部では今回の特典が色々載ってます。日本版だけの特典も色々あって、ディスクは2枚組。Disc1の本編には池田昌子さんのローマの名所めぐりつき。
 Disc2では池田昌子さんの吹替の思い出、1997年(日本ヘラルド配給)と2003年リバイバルの日本版の予告編が日本独自で付いてます。

 こういう、日本オリジナルで頑張った!って言うのは2020年に出た最新の4Kデジタル・リマスター版ブルーレイにはなかったですよね。せめて2003年版と同じ特典をつけてもいいと思うのですが、それも無し。
 じゃあこの2003年のDVD盤も、まだお役御免にはならないですよね。

 世代交代が進んで行って、権利元の日本のパラマウントでも「ローマの休日」に対する思い入れみたいなものが無くなってきてるんでしょうかね?
 今回も劇場公開の配給は現在のパラマウント映画の配給元の東和ピクチャーズではなく、TCエンタテインメントですからね。

 さて2003年のDVDですけど、3形態で発売されるのが裏面中段でわかります。

 まずは基本の2枚組。
 それとポストカードやらフォトフレームなどが付いたロイヤルBOX仕様のもの。2万セット限定。
 3つめはパラマウントのオードリー6作品DVDをまとめたDVD-BOXとなっています。

 もちろんここまでに「ティファニーで朝食を」「麗しのサブリナ」「パリの恋人」のDVDを既に買っていた僕には箱以外の特典のないDVD-BOXは不要でしたので、通常盤を買うか、ロイヤルBOXを買うかの選択しかないわけですけど、ここで誤ってロイヤルBOXを買ってしまったんですよね!

 これはその後本当に失敗したー!と思ってるんですが、これも近々紹介しますね。

 この「ローマの休日」のDVD発売は売れると思ったのか、いろんなところがチカラ入れて売ろうとしてました。
 ドミノ・ピザともコラボしてたりしたんですよねー。

 またそういうのも紹介したいと思います。



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この記事へのコメント
みつお様、「ローマの休日」関連でふと思い出したことがありましたので。もしかしたら以前お伝えしたかもですがご存知でしたらご容赦を。古い記憶はともかく近時の記憶はどうも曖昧になっておりますので。

もう半世紀昔の’76年5月より、日テレ系でオンエアされた「五丁目に咲いた恋は、絶対に結ばれないと人々は噂した」なる長いタイトルの連ドラがありました。当時気鋭だった故・市川森一氏の脚本で栗原小巻、石坂浩二両氏の主演だったのですが、第一回を観て愕然としました。何と華道名門の次期女性家元と、身分を隠してその周囲を嗅ぎ回るスキャンダル専門週刊誌の記者が偶然出逢って恋に落ちてしまうという設定の上、ご丁寧にも記者の相棒のカメラマン(柴俊夫)まで顔を揃えてる有様で。

あまりのことに呆れ果て、第二回以降(確か全五回だったと)は見向きもしなかったのですが、タイトルからしても大体展開は想像がつくようなもので、再放送もソフト化もないままなのが当時の評価の証でしょうか。

小学校低学年で観た東宝「三大怪獣 地球最大の決戦」も夏木陽介の記者と若林映子の王女の設定が「ローマ〜」へのオマージュだったとは後年知ったのですが、それはあくまでも設定の一部分でありオリジナルを貶めるようなものでは決してなかったので。それに引き換えこのドラマの志の低さには当時ハイティーンの当方としても憤懣やる方ない思いでした。民放キー局がゴールデン枠で堂々とやらかすことかと。

主演のお二方はともかく脚本家も恐らく大半のスタッフも故人でしょうけど、実に堂々たる黒歴史なのではないかと。もっとも近年のドラマなんぞは黒歴史にさえなり得ない代物ばかりなのでしょうが…。
Posted by Edipo Re at 2023年06月22日 07:52
Edipo Reさん、いえいえ、初めて伺いますよ。

「五丁目に咲いた恋は、絶対に結ばれないと人々は噂した」、完全に「ローマの休日」の設定パクってますね!
で、一応調べてみましたが、役がジョー側でなく、アン王女側の役が多そうなのですが、アン王女がいなくなった後の国の様子みたいな視点も描いたものなのかなーと想像を膨らませています。単にお付きの人の役なら「ローマの休日」の単なる焼き直しなのかなとガッカリですが。

でも70年代後半でもまだパクリが許されてたんですね。
「ローマの休日」だとさすがに誰でも元ネタはわかるでしょうから、やはり再放送もソフト化も無いというのが推して知るべしでしょうかね。
でも栗原小巻さんと石坂浩二さんの豪華主演なら、90年くらいまではソフト化の需要もありそうですけどねー。

「三大怪獣 地球最大の決戦」も知らないのですが、日本人が王女っていう設定からして無理があるような…。
まあでも設定の一部ということなので、それだと納得できそうですね。2年ほど前だったか、「クレヨンしんちゃん」にも「ローマの休日」ベースのお話が放送されて、いまも使われるんだなーとそれは面白く見させてもらいました。
Posted by みつおみつお at 2023年06月22日 14:20
みつお様、もう一つ思い出しました。同じ日テレ系での「五丁目〜」より一年少し先立つ’75年春オンエアで、再放送もソフト化もあった「傷だらけの天使〜くちなしの花に別れのバラードを」なる回もまた華道家元の跡目争いにまつわるエピソードだったのですが、こちらは若き家元(篠ヒロコ=当時)をお家乗っ取りを企む理事長の息子との結婚式会場から誘拐するというマイク・ニコルズ「卒業」さながらの発端で、かつ事故で身体が不自由という黒澤明「悪い奴ほどよく眠る」のごとき設定の無節操さでありました。

まあ、その後の展開は家元と主人公・修(萩原健一)との恋模様などを織り混ぜる予想通りの展開で、ただし周囲の様々な思惑は一層錯綜していたように記憶していますが、ラストは回復した家元が自分の足で歩き記者会見に臨むという大団円だったかと。「五丁目〜」もいずれ似たような結末だったのでしょう。

それにしても他に似たようなケースが恐らくあったのかもですが、好意的に受け止めるならいかに「ローマの休日」が公開後二十年以上経ってもわが国で広く愛され続けていたかを今更ながらに痛感させられる幾つかの例ではあります。勿論「ウエスト・サイド物語」の「ロミオとジュリエット」、「東京物語」の「明日は来らず」のように真っ当な本歌取りから堂々たる秀作を産み出した例もあるのですから目くじら立てるには及ばないのかもですが…。
Posted by Edipo Re at 2023年06月25日 05:13
そうですね、僕も「クレヨンしんちゃん」を見てて、こんな子供も見る作品でも使われているんだー!とほっこりしました。
やがて大人になって「ローマの休日」を見たら、こちらが元ネタだったんだー!と思ってもらえると嬉しいですよね。

でも「傷だらけの天使〜くちなしの花に別れのバラードを」もすごい展開ですね。最後、足が治ってしまうというのがあまりにもご都合主義的でイヤですけれども。

でも完全にリメイクと謳って製作してしまうと、どうしてもオードリー版よりも劣っていますよね。「麗しのサブリナ」しかり「シャレード」しかり。
「マイ・フェア・レディ」をリメイクする話も2014年ごろにあって、どうなることかと思っていました。リメイク版の脚本家が“オードリーなんて演技も歌も下手くそだ!”的なことを言っていてすっごい不快だったので、リメイクは大失敗すればいいのに!と思っていましたが、結局製作されないまま立ち消えになってしまって、あーよかった!と思いました。
「ティファニーで朝食を」は新訳の村上春樹氏があとがきで原作の通りにリメイクすればいいのにと書いてましたが、それもきっと失敗するやろなーと思ってました。
Posted by みつおみつお at 2023年06月25日 12:59
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