2020年12月24日

「ローマの休日」キープ株式会社版DVD

 今月号の「SCREEN」で、2年ぶりにオードリー・ヘプバーンカレンダーが付録に付きましたね。
 でも…2年前の驚きのような凄い写真が1つもなくて、ごく普通のカレンダーに仕上がっていたので、僕は買いませんでした。うーん残念!
 2年前のは“「SCREEN」でないと作れないカレンダーだった”のに、今年のは“どこでも作れるカレンダー”だったという大きな違いですかね。

「ローマの休日」キープ株式会社版DVD 長らくお待たせしました。今日は「ローマの休日」のブルーレイ発売記念にキープ株式会社版のDVDを紹介します。

 なぜ正規版のパラマウント版のDVDを買っていたのにこのキープ版のDVDを買ったかと言うと、やっぱり理由がありまして。

 と言うのもですね、パラマウントからDVDになったものは全て2003年にデジタル・ニューマスター版になった以降のものなんですよね。

 デジタル・ニューマスター版って何が違うって、もちろん画質や音質が改善されたのは当然として(あんまり音質は良くなってないけど)、製作40周年の1993年に原案がイアン・マクレラン・ハンターからダルトン・トランボにアカデミー賞でも変更されたので、50周年の2003年のデジタル・ニューマスター版ではメイン・タイトルの部分にも変更が入って、ダルトン・トランボ名義にクレジットが作り変えられたんですよね。

 そういう事情を知ってるもので、2000年頃に急激にDVDが普及し始めて、2004年からは著作権が50年から70年に変更されるということで、雨後の筍のようにあちこちの会社が1953年までの往年の名画というものを廉価版(主に500円)で発売するようになったので、オリジナルの「ローマの休日」を手元に置いておきたいということで買ったのがこのキープ版の「ローマの休日」ということですね。

 なのでこのキープ版のタイトルバックはイアン・マクレラン・ハンターでクレジットされています。

 いやー、思い出すなー。これ、前に住んでいた最寄り駅のところにあった本屋さんに置いてたんですよね。もうその本屋さんも今は無くなって100均ショップになってます。

「ローマの休日」キープ株式会社版DVD そんでこういう廉価版のDVDって、会社によってめっちゃジャケットのデザインが違うくて、ダサいところは耐えられないくらいダサかったです。

 ジャケットに使えるのは本編の映像のみなので(写真は写真でまた別の著作権があるので)、それを単に何枚か並べるだけとかの会社はヒドかったですけど、やっぱり切り抜きとかそういうのを駆使して作ってるところは出来が良かったですね。

 その中でもキープのはまあ良かった方です。ファーストトレーディングとかトリコロールとかが出してるジャケットはもっと良かったですけどね。

 でも廉価版DVDってみんながみんなこのオリジナル版で収録されているかというとよくわからないんですよね。

 例えば、宝島社が出してた「別冊宝島 オードリー・シネマスタイル」ってのは「シャレード」と「ローマの休日」のDVD付きで1000円だったんですけど、「シャレード」はボロボロの画質で見るに堪えないようなシロモノでしたけど、「ローマの休日」はなんと!デジタル・ニューマスター版のダルトン・トランボ付きだったんですよね!

 えーっ!確かに「ローマの休日」のオリジナル版は2003年で著作権が切れたけど、デジタルニューマスター版は2003年から著作権が発生してるんじゃないの?こんなの売っていいの?って思いました。

 なのでキープ版DVDを買って目的を達した僕はそれ以上廉価版のDVDを買わなかったので知らないのですが、もしかしたら廉価版の中にもデジタル・ニューマスター版があったかもしれません。

 というわけで、このキープ版DVDはオリジナルの「ローマの休日」を見る、という価値に尽きます。画質もやっぱり正規版より悪いしね。


「ローマの休日」キープ株式会社版DVD
(→キープのオリジナル版)


 しかしデジタル・ニューマスター版を作るとき、このクレジットの部分のバックの映像、よく残ってましたね!さすがオリジナルを持つパラマウントですね!

 でも実は両方を見比べると、微妙にバックのタイミングが違うんです。オリジナルのキープ版だとハンターのクレジットが出てるときにトラックが右から出てきて真ん中より少し左まで走っていくんですけど、デジタル・ニューマスター版だと右からトラックが出てくるくらいで文字がフェードアウトして切り替わるんですよね。すこーし使う部分が違うかったみたいです。

 さて、この2004年からは著作権が70年に延長になるということで、2003年問題としてパラマウントがこういう廉価版DVDの会社を相手取って裁判しましたよね。

 まあパラマウントの虎の子である「ローマの休日」をバンバン出されたらたまりませんよね。でも2003年12月31日の24:00分は2004年1月1日の0:00分だから1953年の作品も70年にしろ!ってのはさすがに無理があるかなーと思いますよね。「ローマの休日」も1953年12月31日アメリカ公開作品でもないですしね。

 もちろん裁判はパラマウントが負けたんですけど、500円DVDってのもそれからめっちゃ廃れましたよね。
 まあ著作権が延びてしまったので、1953年以降の作品は出すことができず同じ作品で各社パイの奪い合いなんで思ったより儲からなかったんでしょうね。

「ローマの休日」キープ株式会社版DVD
(→デジタル・ニューマスター版)


 ところがですねー、そういう2003年もはるか昔になりまして、気づけば2024年からは70年の著作権も切れ始めるんですよね。
 となるとオードリー作品では「麗しのサブリナ」がまず2024年に著作権が切れて、2026年には「戦争と平和」、2027年には「パリの恋人」「昼下りの情事」「マイヤーリング」…と続々と切れ始めるんですよね。

 うきゃー!そうしたら各社で稼ぎまくってるオードリー作品でどんどん廉価版ブルーレイとか出てくるんかな?いや、もうそういう発想が古くて、配信とか?

 でもそういうオードリー作品がすでに70年近く昔だってことも驚きですよね。しかも70年前にオードリーは既に20代ですしね。

 僕が中学生・高校生の頃のさらに70年前って映画の黎明期の作品じゃないですか。もちろんサイレント映画だし、あまりにも縁遠いものでしたよね。50年前でもまだサイレント。

 それを考えると流石に若い子がオードリー・ヘプバーンの映画をあまり見ないのも納得なんですが、それでも名前が知られてて、ほぼ全ての作品がビデオやDVDになってて、中にはオードリー映画を劇場や家で見てくれる若い人もいることを考えると、本当に凄いことですよね!
 改めてオードリーって偉大だ!って思います。

 本人は全然そうは思ってなかったし予想もしてなかったと思いますが、いまだに世界でいろんなオードリー作品がリバイバルされていることを考えると、ほんと空前絶後で唯一無二の誰も敵わない映画界トップの大スターだったんだなーと思います。



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この記事へのコメント
みつお様ご無沙汰しております。その後体調の方はいかがでしょうか。当方は一時退院の後の外来診療の際に全く別の疾病が見つかり、再入院の挙げ句やや不自由な身体で帰宅いたしました。以来、禁酒と減塩を厳格に守って面白くも可笑しくもない年の瀬を過ごしております。

「ローマの休日」の記事で、自分にとっての観賞記を纏める気になりました。以前にお話ししたように’71年に「おしゃれ泥棒」のリヴァイヴァルに接したのがオードリーファン事始めだったのですが、その後程なく「ローマ〜」「シャレード」「ティファニー〜」は名画座で観ました。中でも「ローマ〜」「おしゃれ〜」は新聞の番組表で見かけると(「ぴあ」等はまだ発刊されず)都内片っ端から出向いてそれぞれ二〜三年で十数回は接したかと。

その後’72年春のオンエアを挟んで’85年にLDプレイヤーを購入し、LDソフトが出たのは翌年だったか。確かVHDソフトが先行したと記憶していますが、さすがに躊躇いました。ちなみにクラシックではカール・ベーム「こうもり」やカール・リヒター「マタイ受難曲」など垂涎もののソフトも出ていたのですが。

LDソフトは画質音質とも満足でしたが、ローマ観光名所のチャプターが微笑ましい一方、収録時間がギリギリでエンドマークの後の余韻が皆無だったと記憶しています。

その後はデジタルリマスタリングDVDまで手を出しませんでした。「午前十時の映画祭」も出向くことなく今に至っている次第で。

また亡母のエピソードですが、若い頃の亡父に面差しが似ているそうでグレゴリー・ペックが特に贔屓だったのですね。それもあり介護中にも共に複数回観ましたが。あと母がもう意思疎通が出来なくなってから同世代の旧知の方が入院され(先般当方がいた病院)代わりに見舞ったら病室に「ローマ〜」の廉価版ソフトが。やはり想い出の作品だったのでしょう。その方もそれからさほど日を経ずして泉下の人に。

TVが故障したままで買い替える気力体力ともに無く、ただ無為に過ごす年末年始となりそうで。まあ世の動きをひたすら素面でじっと注視することもなく閉門蟄居しているのも一興かと。時節柄お身体にはお気を付け下さいませ。良いお年を…。
Posted by Edipo Re at 2020年12月29日 16:50
Edipo Reさん、こんばんは。

体調はあまり良くないのですが、月曜に病院に行くと血液検査的には大丈夫なようで、継続している薬をもらっただけでした。

それよりもEdipo Reさんの方が色々とあったようで、心配しております。
テレビもないそうで、いったいどのように年末年始を過ごされるのかが心配です。お寂しくないと良いのですけど…。

Edipo Reさんのお話を伺っていると、劇場でそんなに「おしゃれ泥棒」が見れたっていうのもすごいことですよね。
僕がファンになった70年代後半だと「シャレード」と「ティファニーで朝食を」を劇場で観れた、ということだけでもすごいことですが。

「シャレード」なんかだと、73年にリバイバルしてるんですから、80年くらいまでは権利もあったでしょうに、ファンになった頃には全然神戸の劇場では見かけませんでした。「戦争と平和」なら来たんですがねー。

LDプレーヤーのお話も懐かしいですね!
確かに「ローマの休日」「ティファニーで朝食を」はVHD先行で、僕が買う時には「いつも2人で」「マイ・フェア・レディ」のLDか、「ローマの休日」「ティファニーで朝食を」のVHDかを迫られました。
僕にとっては前者のLDの作品の方が圧倒的に魅力的だったので、LDにしましたが、本当に正解でした!特に「いつも2人で」は長い間再発売されませんでしたしね。

それと僕は声楽入りの曲が合わないので、Edipo Reさんに描いていただいたのがあまり魅力的に思えないのはすみません…。
なんせカルロス・クライバーでも声楽入りのは聞かなかったクチなので…。
でも声楽入りでもメンデルスゾーンの交響曲第2番「賛歌」は大丈夫だったり、とかわけわからんこともあるんですが。

LDの「ローマの休日」は確か池田昌子さんの文章の解説付きでしたよね!確か最後まで「ローマの休日」とか「ティファニーで朝食を」はアナログ音声のままじゃなかったでしたっけ?
「華麗なる相続人」なんかは後にデジタル音声の再発盤が出たので律儀に買い直してました。
でも、まるさんに教えていただいたんですが、「麗しのサブリナ」や「暗くなるまで待って」(最初の盤)は映画館では上下が切られてパナヴィジョンサイズになるところを、LDでは4:3サイズなので、本来見えないはずのところまで上下が見えてたとか!
左右を切らずに、フィルムそのままを出してたんですね!
うーん、「暗くなるまで待って」は買い直さないといけませんね。

でもそういえば確かに「ローマの休日」は119分なので、LDではギリギリ1枚で収まってましたよね。LDって時間に融通が効かなかったので、2時間を超えると有無を言わさず3面になってましたね。「おしゃれ泥棒」とか「昼下りの情事」とか。
面白いのは「許されざる者」で、本来2時間越えの作品なのに、最初にLDで出た時は1枚に収まってたんでびっくりしました。
後にワイド版で出た時は2枚組になってて、前回のはPAL方式の原盤から起こしたので、早くなっていました。内容は同じです。みたいな注意書きがありました。こういうのも追々記事にしたいですね。

Edipo Reさんのお父様はグレゴリー・ペック似だったのですね!
わかります!多分他人が見たら絶対そんな風に言われないだろうけど、なんか雰囲気とか性格なんかがなんとなく似てるという。
僕の父母はクラーク・ゲイブルとヴィヴィアン・リーに雰囲気だけ似てると密かに思ってました。もちろんあんな渋カッコいい&超絶美女では全然ないのですが笑。

今回もお母様と、それに旧知の方のお話がまたまた胸がキュッとなる感じです。
まだ30歳くらいの頃、飲み屋で知り合った人の家に1度だけ行った時に、その方の両親も亡くなっていて、そんな家でたった一人で暮らしているといのを伺った時は泣きそうでした。もし自分がそんな状態だったら寂しくて耐えられない!と思ってしまいました。Edipo Reさんにはご兄弟か誰かが来てくれて、そのような状態でないことを祈ります。

で、そのお宅で見つけたのがアステアのCDで、そこに「THAT FACE」という文字を見つけて、解説には何も買いてないんですが、それが「パリで一緒に」で使われたバージョンが収録されている!!!と発見した時でした(おそらく解説書いた人が「パリで一緒に」を知らないんでしょうね)。
我ながら転んでもタダでは起きないですね笑。

それではEdipo Reさん、良いお年を!です。
Posted by みつおみつお at 2020年12月30日 18:46
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