2021年11月18日

DVD「ハリウッドスター列伝 Vol.1 オードリー、バルドー、モンロー」

 はい、今回はこんな昔のDVDを引っ張り出してきました。
 というのも、次回紹介する「AUDREY」ブルーレイの前座として、その落差の激しさにちょうどいいんではないかと。

 日本ってだいぶ前から、番組での1挿話ですけど、オードリーのことを取り上げたドキュメンタリーって本当に多くて、特にオードリーが亡くなると「驚きももの木20世紀」「ドスペ!」「トホホ人物伝」「WOWOW ノンフィクションW」「松下奈緒 永遠のオードリー」「世界ふしぎ発見!」「アナザーストーリーズ」などなど、枚挙にいとまがないくらいオードリーに関する番組が作られてきました。

 しかもそれらのほとんどが再現VTRなどを織り込みながら、世界のどこに出しても恥ずかしくないほど高レベルな番組に仕上がっています。

 まあオードリーをスパイだと煽る番組みたいに、めっちゃ出来が悪いのもありましたけどね。当時のオードリーは子供ですよ??靴に受け渡しのメモを入れて運ぶのはスパイとは言いません!レジスタンスです!言葉を知らないんでしょうか。
 そんなひどい番組を見て、オードリーをスパイだとさらにネットに書く人もちょっと…と思いますけどね。

 でもそんな低俗な煽り系の番組を除いてはだいたいどれも出来がいいです。
 「知っとこ!」とか「朝だ!生です旅サラダ」といった番組のごく一部で紹介しているものでも出来がいいんです!

 対して、海外のオードリーを取り上げた番組っていうのが、「想い出のオードリー・ヘップバーン」を除いてはアレレ?っていうような番組ばかり。
 「おしゃれ泥棒」と一緒のパックで出た「マジック・オブ・オードリー」とかでも、全然印象に残らないものだったので、今回見直してみましたが、やっぱりヒドイ。

 せっかく欧米は日本が持ってないようなオードリーの生前の映像をいっぱい持っているのに、全然活かせていません。

 この日本と海外の番組の違いってなんだろう?とよく考えると、日本の番組は加藤タキさんや息子のショーンやルカなど、実際にオードリーと過ごした人の思い出話やインタビューを交えたり、実際の場所にロケしたり、さらには再現ドラマなどをわざわざ作って構成しています。実際の映画もちゃんと権利をとって編集しています。

 ところが、海外の番組は映像プラスナレーションってものばかりで、全然発見が無いんです。しかもそのナレーションがWikipediaを読めばだいたい同じようなことが書いてあるっていう程度。さらに映画の映像は権利金のかからない予告編がやたら多い。

 「マジック・オブ・オードリー」もほぼそんな感じで、映像プラスオードリーの生涯を喋るだけのどうでもいい内容。
 せっかく珍しいオードリーの映像も挟み込まれるのに、ただ流しているだけ。しかも「いつも2人で」のことをしゃべっているのに、「パリの恋人」や「ティファニーで朝食を」や「おしゃれ泥棒」の写真が入るという、オードリーのことを知らない・興味のない人がお仕事で作ってるんやなーというのが見えてしまっている編集。

 だいぶ前に海外のオードリーのドキュメンタリーを集めた「オードリー・ヘプバーン・フィルムス」ってDVDを紹介しましたが、あれはもっと酷かったです。日本で編集した人も最悪で、“関係者のインタビューを一切排除して”ってなってて、結局残ったのは番組は違えども経年劣化でボロボロになったオードリーの予告編集を延々何度も何度も見せられるだけという、腹が立って投げつけたくなるようなゴミでした。

 でもまあどれも同じように予告編ばかり使っているところをみると、元の状態に戻したとしても映像(権利金のいらない予告編のみ)プラスナレーションというようなあってもなくてもいいようなものだったんでしょう。

 唯一「想い出のオードリー・ヘップバーン」だけが海外作品としては異色で、ロバート・ウォルダーズや息子ショーン、共演者のグレゴリー・ペックやジョージ・ペパードなど、監督のビリー・ワイルダー、スタンリー・ドーネンというオードリーをよく知る人物達からのインタビューを交えてる丁寧で秀抜な出来で、何度も見る価値があるものでした。

 さて、この「ハリウッドスター列伝」はどうでしょう。
 まず、DVDなのにケースがCDのようですよね?

 これ、最近の若い方は知らないと思いますが、DVDが出てきた1990年代終わり頃って、今のようなケースのトールタイプっていうのと、このCDケースと同じサイズのジュエルタイプと呼ばれるケースが混在してたんですね。

 僕はCDと間違うので、トールタイプの方が初めから好きだったんですけど、オードリー関連のものでもこれとか「昼下りの情事」「オールウェイズ」「庭園紀行」の初期版はジュエルタイプで発売されてたんですよね。

 経緯は知りませんが、やがてトールタイプに統一されていくんですけどね。
 やっぱりCDプレーヤーにDVDを入れたりという誤操作を避けるためだったんじゃないですかね。当時はカーCDなんてのもありましたしね。

 「ハリウッドスター列伝」はライナーノートによると、1996年〜97年にアメリカで製作、世界数カ国で放送された「HOLLYWOOD HALL OF FAME」という30分のテレビ番組であったこと、日本では1998年12月に27本がBS?CS?の衛星放送の今は無きディレクTVというところで放送されたそうです。
 そのうちの15人が1999年6月にVHSとDVDで発売されたみたいですね。

 発売されなかった残りの12人って誰だったんでしょうねー。日本では人気のないベティ・デイヴィスとかだったんでしょうか。資料がないので気になります。

 さて、今回この記事のためにめっちゃ久々に(おそらく10年以上見てない)引っ張り出して見てみましたが、「オードリー・ヘプバーン・フィルムス」とどっこいどっこいだという昔からの印象通りでした。

 やっぱり案の定映像プラスオードリーの生涯についての誰でも知ってるようなことのナレーションが入るだけ。
 しかも昔のテレビ番組なので、サイズは4:3。ブラウン管時代のテレビなので、粗くて走査線見えまくり。

 紹介される映画の映像はどっから持ってきたん?って言いたくなるような色あせしまくっててほとんどモノクロになっているような映像や、もっとひどいのは映像消えかけの白っぽいとろけそうな映像。
 よくこれでお金取って見せるよなーってものでした。

 さらに開始早々の日本語ナレーションでびっくりしたのは、オードリーの生まれたのが3月4日って言ってること。ええっ!!??って思いました。
 翻訳が間違えたのかとあとで英語のオリジナルも聞いてみましたが、しっかりMarchって言ってました。

 1:15から始まったナレーションは、2:05には「ローマの休日」まで進んでいるという超ハイスピードのオードリーの人生。

 しかも「ローマの休日」がビリー・ワイルダーが監督したとか、とんでもないことを平気で喋ってて、これまたアメリカ制作のオリジナル通り。

 ここは日本のライナーノートでも突っ込まれてて “ご愛嬌”などと書いてますが、全然ご愛嬌じゃないです。

 そしてなぜか「パリの恋人」の“ボンジュール・パリ!”の歌はオードリーの写ってないところも含めて延々流しています。もちろんその間、ナレーションはお休み。え?一体いつまで続くの???と思いました。

 次の「昼下りの情事」は当時の海外のオードリーの伝記本そのままで喋っているのか、“熟年のゲーリー・クーパーとの共演は成功とは言えませんでした。”と喋っており、これは非常に不快。

 「ティファニーで朝食を」では “オードリーの子供基金に賛同したティファニーは広く一般に公開したのでした”とナレーターが喋っており、日本語的にも意味不明なのに加えて、映画のためにロケを許可したってことなのか、子供基金ってユニセフの晩年のことを喋ってるのか、オードリーの没後に作られたオードリー子供基金のことなのか、わけ分からなくて時系列もとんでもないものになっています。

 「暗くなるまで待って」が終わると、その後の人生はたった35秒で片付けられており、最後は「ティファニーで朝食を」のラストシーンを延々と流して終わりです。

 いや、そんなとってつけたように持ってきたって感動しないって!

 全体にやっぱり予告編が多用されており、努力の跡も見えない内容。

 まあやっぱり見る価値は1ミリも無いですねー。
 「想い出のオードリー・ヘプバーン」とは雲泥の差。てか、93年製作の「想い出のオードリー・ヘプバーン」より3〜4年も後に制作してて、この内容にこの画質??

 製作中、誰もトンデモな間違いを指摘する人もいないという、オードリーなんかどうでもいい人が集まって最も安易で安価に作ったのが丸わかりです。

 この辺は、オードリーをずっと大事にしてきた日本と、87年くらいにやっとオードリーが再評価されたアメリカとの大きな違いでしょうか。
 当時のアメリカの人、オードリーのこと知らなさすぎです。

 30分番組だったそうですけど、このシリーズのDVD(全5巻)は各3人分ずつしか収録されてません。90分にも満たない内容。

 各巻あと2人〜3人分は余裕で入れれそうなので、そしたら27人全員を収録してあげられたのにね。
 あるいは全員分は権利金が高いのなら、もっとまとめて3巻くらいで済みそうですけどね。

 発売から20年以上経っても未だにAmazonで定価で載っているのもすごいことです(実際にはVol.4以外は商品はもう無いみたいですけど)。

オススメ度:なし。マイナス50点。(お金をドブに捨てたい人向け)

  

2021年07月21日

「麗しのサブリナ」日本語吹替版VHSジャケット


 「パリの恋人」もかなり紹介してなかったのですが、見てみるとそれ以上に「麗しのサブリナ」を紹介してませんでした。
 2019年の他の作品と一緒くたの“オードリー映画祭”のパンフレット以前は、4年も前の2017年10月まで戻らないといけなかったので、今回は「麗しのサブリナ」にします。

 今回の「麗しのサブリナ」はVHSビデオの日本語吹替版のジャケット紹介。
 ちなみにテープ本体はもう観ないと判断して捨てています。残しているのはこれらだけ。

 VHSテープって、ハイティーンとかの人はそろそろ見たことないって人が多くなってくるんじゃないでしょうか。
 DVDの前にスタンダードだった録画&映像機器。

 テープ式なもんで、一旦進んでしまうと戻すときはテープをキュルキュル!って巻き戻さないといけないんです。
 DVDみたいなチャプターとかもないんで、ちょっと前が見たいってなっても、戻し過ぎてしまったりしてなかなか希望のとこにはたどり着けなかったり。

 映像を見ながら巻き戻す、ってことも出来るようになってましたが、それだとテープと読み取るヘッドが接触してるので、テープは伸びてだんだんと劣化して映像も音声も悪くなってくる、みたいな。

 それに水平解像度っていう画質の指標みたいなのが、VHSだと250本くらいなんですよね。しかもそれのインターレース方式。
 インターレースってのは、250本の映像の半分の125本ずつをものすごく速く交代で映して見た目で250本に見せているというもの。今から考えるとめちゃくちゃ画質悪い。

 当時のブラウン管テレビのアナログ放送では350本のインターレース方式でしたから、それより劣るということですね。

 それがDVDで500本のプログレッシブ(一斉に500本を映す方式)になって、フルハイビジョンやブルーレイでは1920本、4Kでは3840本にもなっていますので、若い方でもどれだけ画質が悪かったかお分かりかと思います。

 2000年にPS2が出て、一気にDVDが普及するので、こういう市販のビデオでもVHSで新作が出たのは2003年の「ローマの休日」デジタル・ニューマスター版が最後あたりだったかと…。

 それ以降は過去にも出ていた「パリで一緒に」とかが数量限定で復刻発売されるくらいでしたかね。
 この「麗しのサブリナ」VHSも書いてあるコピーライトを見ると1997年になってます。




 さて、当時「麗しのサブリナ」自体はもうLD(水平解像度400本のインターレース)で持っていたのですが、なぜこんな画質で劣るVHSなんかを買ったかというと、何と言っても池田昌子さんの吹替版で観れるから!

 VHSって、音声を複数収録することが出来なかったんですよね。なので字幕版は字幕版のみしか収録されていませんでした。
 それでこういう吹替版だけのものが発売されたんですよね。

 対してLD(レーザーディスク)は複数チャンネルを収録可能だったんですが、初期の頃の発売のものには付いていませんでした。
 しかもLDって録画はできないので、VHSよりも普及が進んでおらず、1度プレスしたらなかなか再プレスって無かったんですよね。
 しかも再プレスしても前の仕様のままなので、結局吹替は付かないまま。

 数が出ないので、LDでの吹替版は無いだろうと思って買ったのがこのVHSでした。

 でも吹替って70年代〜90年代の映画のテレビでの放送が全盛だったので、昔の作品の方がテレビで吹替版で馴染んでる人が多かったんですよねー。
 00年代とかはBS放送などでの字幕の方が普通になるみたいですけど。

 でも昔は市販のテープの発売を想定されずにテレビ用の吹替が作られていますから、契約上ビデオやLDで収録するのはなかなか至難の技みたいなんですよね。
 今でも吹替版が収録されないオードリー作品が多いのはそういう事情によるものが多いみたいなんです。あと現存しないとか(「昼下りの情事」の黒沢良さんのバージョン)、「暗くなるまで待って」みたいに別の音楽を使ってるとか、別の問題がある作品もありますけどね。

 今は映画の公開時でも吹替版が上映されたり、DVDやブルーレイに収録されるのを前提で吹替も録られていますし、契約もそうなっているのでしょうから入ってますけどね。

 この「麗しのサブリナ」に関してはテレビ版とは違うみたいなので、このVHS発売に合わせて新たに録音されたのでしょうか?

 でもやっぱりオードリーは池田昌子さん!
 ネットでいろんな吹替版の「ローマの休日」を聞きましたが、やっぱり池田昌子さんの品の良さと甘さが両立しているというのは別格!

 池田昌子さんの場合、叫ぶシーンでもやっぱり品が崩れたりしないのが流石です!そこで声がかすれたり品が無くなったりと地が出てしまうと、“これは声優さん”というのを強く意識してしまうのですが、池田昌子さんにはそういう破綻がないのですよね。そこが凄いし、だからこそ安心して見ていられます。
 
 表のジャケットのデザインは字幕版とは違う、日本の1965年リバイバル時のポスターを元にしたもの。

 1960年代後半〜70年代前半の日本のオードリーのポスターってビックリするくらいレベルが高かったですから、ビデオ時代にはよくビデオジャケットにも採用されてましたよね。
 他には「ローマの休日」「戦争と平和」「パリで一緒に」「おしゃれ泥棒」「暗くなるまで待って」でも日本版ポスターを使ってました。

 でも「麗しのサブリナ」って宣伝用のデザインでこれ!っていうものがないですよね。ここでのデザインもベストだとは思っていませんが、各国のポスターを見てもやっぱりこれ!っていうのは無い。

 むしろ「麗しのサブリナ」は写真1枚で完成しているものが多いですよね。このジャケットにも乗っているジャンパースカートで寝そべっているもの、やはり同じくこのビデオの解説に付いているサブリナ・パンツの一連の写真たち、など。

 なので字幕版のVHSなんかもジャケットは鎧戸の所に佇むオードリーだけの写真になってました。




 さて今のブルーレイやDVDって特別版みたいなのじゃ無いと解説の紙すら入ってなくて、ジャケットの裏にちょこちょこっと短文が書いてあるだけですけど、この時代ってVHSにも解説が別に中に入っているという時代。

 このビデオでも三つ折りの解説が入ってます。めっちゃ小さい字で作品解説、主演3人と監督のプロフィール、それとスタッフ・キャスト、アカデミー賞の受賞・ノミネートまでぎっしり載ってます。文章は映画評論家の日野康一氏。

 テニスコートが屋外と屋内に2面ずつあるのはパラマウントの社長の自宅…ではなく、別宅!!!なんだそうです!めっちゃリッチですよねー。
 こういう現実を知ると、映画スターも売れたらお金持ちになれるけど、やっぱりそれを吸い上げる経営者の方がさらに上を行くんだー!と貧乏人としては思いますよね。

 あと、この作品から名付けられた“サブリナ・パンツ”ですが、当時の短足の日本人には似合わなかったそうです。まあ丈の短いパンツって、ますます足が短く見えますもんね。僕もパンツ(ズボン)の裾を切るときはなるべく長めに切ってもらってます。

 今の若い方達はだいぶ西洋風になってきてるので、男女とも本当に足が長いですよね。街中でもたまにビックリします。
 今の人たちはサブリナ・パンツも楽々着こなせるでしょうね。

 あと、オードリーの作品リストの表組みで、「ローマの休日」から載っているのですが、「ニューヨークの恋人たち」だけ書かれていないのが可哀想…。
 2列組なので、スペースは後1つ空いてるのに…。

 それと、同じく作品リストで共演者も乗っているのですが、「華麗なる相続人」はオマー・シャリフになってます。
 まあベン・ギャザラよりは有名だから…でしょうか?

 こういう解説って、LDにも初期の頃は入ってましたけど、やがて封入されなくなり、DVDにも付かなくなり、今は無いことの方が当たり前ですよね。

 昔「パリで一緒に」のLDが初めて発売されてめっちゃ嬉しくて初日に買ったんですけど、家に帰るまで我慢できなくて解説が読みたくて開けたんです。でも当時の廉価盤LD(3800円)ではない高い7800円だったのに、解説が封入されてなかった時にはめっちゃがっかりしました。当時は廉価盤でなければ解説が入ってるのが普通だったので、読むのも楽しみだったのにね。言ってくれたら僕が書くのに〜!とか思ってました。

 ちなみに、着色か本物かわからない方のために書いておきますが、このジャケットの画像は先ほども言ったように日本で1965年にリバイバルした時のポスター用の着色カラーです。この当時は日本の職人さんが手描きで着色していたんですよね。大きなポスターで見ても崩れないほどって、どれだけ大きく描いてたんでしょうね。すごい技術ですよね。

 本当のカラー写真を「Audrey: The 50s」の表紙で見ると、ドレスの刺繍は黒で、犬についているヒモも黒1色です。

 こういう、「わけあってVHS買いました」ってのは他にもあるんで、またおいおい紹介していきます。
  


2021年05月25日

「マイ・フェア・レディ」4K Ultra HD 発売!



 「マイ・フェア・レディ」の4K Ultra HD+ブルーレイが2021年7月21日に発売されることになりました。

 今までのブルーレイの4K版は4Kでリマスターしたものを2Kに落とし込んだものでしたが、今回のは4Kそのままの画質です。
 ただ、再生には4K Ultra HDブルーレイ再生機器が必要ですので、持っていないともちろんこれも見られません。

 特典は今までの4Kリマスター版ブルーレイと同じみたいですね。
 とくに今回追加されたもの(オードリー自身で歌う「踊り明かそう」、「今に見てろ」全曲、「あなたなしでも」と未発見の「スペインの雨」など)もないみたいです。
 
 画質の劣る通常盤ブルーレイとDVDにのみ付いていた94年時のリマスタースタッフによる副音声解説は無し。
 でもそれらには無かった池田昌子さん&中村正さんによる貴重な吹替は4Kリマスター版と同じように入って嬉しいんですが。せめて副音声も入れて欲しかった!

 1977年や86年リバイバル時の劇場全体が大笑いするような字幕ではなく、今の字幕は正直全然面白くないお堅い口調の字幕。一部は翻訳すら放棄してますしね。「マイ・フェア・レディ」の面白さが全く出ていない翻訳。

 なので池田昌子さん、中村正さんによる吹替の楽しさがめっちゃ貴重!
 今の翻訳で字幕で見るなら、「マイ・フェア・レディ」は吹替の方が断然面白く楽しいです!
  


2021年04月06日

ドキュメンタリー「AUDREY」 トレーラー紹介

 婦人画報の記事で見つけたのですが、「AUDREY MORE THAN AN ICON」というドキュメンタリーがイギリスにて2020年11月30日よりDVDとデジタルダウンロードを開始しているそうです。

 婦人画報の記事はこちら

 そこにこの「AUDREY」のトレーラーもあったのですが、これがまた珍しいオードリーの動画がいっぱい!!
 これ観たいなー、もうすぐオードリーの誕生日やのに日本語字幕でWOWOWとかどこかやってくれへんのかなー。日本のユニバーサルでDVD発売されたら買うのにー!とか思いますね。
 これだけ珍しい動画を揃えたら、それだけで高得点なのにね。

 公式トレーラー(予告編)はこちら↓



製作はユニバーサルですね。オードリーとは「シャレード」「オールウェイズ」で組んでます。

「ローマの休日」の衣装やインタビューはDVD特典でついてるからあんまり…ですけど、他のが珍しいですよね!
 1965年のダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞で「マイ・フェア・レディ」で受賞してるシーンとか、昔の「スクリーン」の切り抜きでは見た事あったけど、こうして動くオードリーが見れるなんて!感慨もひとしおです。(最初の方で「おしゃれ泥棒」の髪型でお辞儀してるのがそれ)

 もう一つトレーラーがありました。↓




 これまた違う動くオードリーが見られます。28秒のとこ、またたいてからこちらを見る「パリで一緒に」の頃のオードリーの美しいこと!!やっぱり「パリで一緒に」の頃のオードリーは別次元の美しさですね!
 改めて惚れ惚れしてしまいます。わー、ますます見たいよー!!

 英国のアマゾンでの販売はここ
 これまた2番目の夫、アンドレア・ドッティと写ってる写真がレア。

 上映(放送)時間は100分。みんなのレビューも良さげです。めっちゃ見たい!
 でも1つ目のトレーラーは音楽が悲しげですよね。

 日本のアマゾンで、DVDとブルーレイを見つけましたが、輸入盤のため、日本語字幕はありません。
 また、DVDはアメリカのNTSC方式なのと、リージョンがないみたいなので日本のDVDプレーヤーでも見れますが、ブルーレイは裏面がわからないので、アメリカ(および日本)のNTSC方式なのか、英国のPAL方式なのかがわかりません。万一PAL方式の映像だと日本のブルーレイプレーヤーでは見れませんので要注意です。


  


2020年12月24日

「ローマの休日」キープ株式会社版DVD

 今月号の「SCREEN」で、2年ぶりにオードリー・ヘプバーンカレンダーが付録に付きましたね。
 でも…2年前の驚きのような凄い写真が1つもなくて、ごく普通のカレンダーに仕上がっていたので、僕は買いませんでした。うーん残念!
 2年前のは“「SCREEN」でないと作れないカレンダーだった”のに、今年のは“どこでも作れるカレンダー”だったという大きな違いですかね。

 長らくお待たせしました。今日は「ローマの休日」のブルーレイ発売記念にキープ株式会社版のDVDを紹介します。

 なぜ正規版のパラマウント版のDVDを買っていたのにこのキープ版のDVDを買ったかと言うと、やっぱり理由がありまして。

 と言うのもですね、パラマウントからDVDになったものは全て2003年にデジタル・ニューマスター版になった以降のものなんですよね。

 デジタル・ニューマスター版って何が違うって、もちろん画質や音質が改善されたのは当然として(あんまり音質は良くなってないけど)、製作40周年の1993年に原案がイアン・マクレラン・ハンターからダルトン・トランボにアカデミー賞でも変更されたので、50周年の2003年のデジタル・ニューマスター版ではメイン・タイトルの部分にも変更が入って、ダルトン・トランボ名義にクレジットが作り変えられたんですよね。

 そういう事情を知ってるもので、2000年頃に急激にDVDが普及し始めて、2004年からは著作権が50年から70年に変更されるということで、雨後の筍のようにあちこちの会社が1953年までの往年の名画というものを廉価版(主に500円)で発売するようになったので、オリジナルの「ローマの休日」を手元に置いておきたいということで買ったのがこのキープ版の「ローマの休日」ということですね。

 なのでこのキープ版のタイトルバックはイアン・マクレラン・ハンターでクレジットされています。

 いやー、思い出すなー。これ、前に住んでいた最寄り駅のところにあった本屋さんに置いてたんですよね。もうその本屋さんも今は無くなって100均ショップになってます。

 そんでこういう廉価版のDVDって、会社によってめっちゃジャケットのデザインが違うくて、ダサいところは耐えられないくらいダサかったです。

 ジャケットに使えるのは本編の映像のみなので(写真は写真でまた別の著作権があるので)、それを単に何枚か並べるだけとかの会社はヒドかったですけど、やっぱり切り抜きとかそういうのを駆使して作ってるところは出来が良かったですね。

 その中でもキープのはまあ良かった方です。ファーストトレーディングとかトリコロールとかが出してるジャケットはもっと良かったですけどね。

 でも廉価版DVDってみんながみんなこのオリジナル版で収録されているかというとよくわからないんですよね。

 例えば、宝島社が出してた「別冊宝島 オードリー・シネマスタイル」ってのは「シャレード」と「ローマの休日」のDVD付きで1000円だったんですけど、「シャレード」はボロボロの画質で見るに堪えないようなシロモノでしたけど、「ローマの休日」はなんと!デジタル・ニューマスター版のダルトン・トランボ付きだったんですよね!

 えーっ!確かに「ローマの休日」のオリジナル版は2003年で著作権が切れたけど、デジタルニューマスター版は2003年から著作権が発生してるんじゃないの?こんなの売っていいの?って思いました。

 なのでキープ版DVDを買って目的を達した僕はそれ以上廉価版のDVDを買わなかったので知らないのですが、もしかしたら廉価版の中にもデジタル・ニューマスター版があったかもしれません。

 というわけで、このキープ版DVDはオリジナルの「ローマの休日」を見る、という価値に尽きます。画質もやっぱり正規版より悪いしね。


(→キープのオリジナル版)


 しかしデジタル・ニューマスター版を作るとき、このクレジットの部分のバックの映像、よく残ってましたね!さすがオリジナルを持つパラマウントですね!

 でも実は両方を見比べると、微妙にバックのタイミングが違うんです。オリジナルのキープ版だとハンターのクレジットが出てるときにトラックが右から出てきて真ん中より少し左まで走っていくんですけど、デジタル・ニューマスター版だと右からトラックが出てくるくらいで文字がフェードアウトして切り替わるんですよね。すこーし使う部分が違うかったみたいです。

 さて、この2004年からは著作権が70年に延長になるということで、2003年問題としてパラマウントがこういう廉価版DVDの会社を相手取って裁判しましたよね。

 まあパラマウントの虎の子である「ローマの休日」をバンバン出されたらたまりませんよね。でも2003年12月31日の24:00分は2004年1月1日の0:00分だから1953年の作品も70年にしろ!ってのはさすがに無理があるかなーと思いますよね。「ローマの休日」も1953年12月31日アメリカ公開作品でもないですしね。

 もちろん裁判はパラマウントが負けたんですけど、500円DVDってのもそれからめっちゃ廃れましたよね。
 まあ著作権が延びてしまったので、1953年以降の作品は出すことができず同じ作品で各社パイの奪い合いなんで思ったより儲からなかったんでしょうね。

(→デジタル・ニューマスター版)


 ところがですねー、そういう2003年もはるか昔になりまして、気づけば2024年からは70年の著作権も切れ始めるんですよね。
 となるとオードリー作品では「麗しのサブリナ」がまず2024年に著作権が切れて、2026年には「戦争と平和」、2027年には「パリの恋人」「昼下りの情事」「マイヤーリング」…と続々と切れ始めるんですよね。

 うきゃー!そうしたら各社で稼ぎまくってるオードリー作品でどんどん廉価版ブルーレイとか出てくるんかな?いや、もうそういう発想が古くて、配信とか?

 でもそういうオードリー作品がすでに70年近く昔だってことも驚きですよね。しかも70年前にオードリーは既に20代ですしね。

 僕が中学生・高校生の頃のさらに70年前って映画の黎明期の作品じゃないですか。もちろんサイレント映画だし、あまりにも縁遠いものでしたよね。50年前でもまだサイレント。

 それを考えると流石に若い子がオードリー・ヘプバーンの映画をあまり見ないのも納得なんですが、それでも名前が知られてて、ほぼ全ての作品がビデオやDVDになってて、中にはオードリー映画を劇場や家で見てくれる若い人もいることを考えると、本当に凄いことですよね!
 改めてオードリーって偉大だ!って思います。

 本人は全然そうは思ってなかったし予想もしてなかったと思いますが、いまだに世界でいろんなオードリー作品がリバイバルされていることを考えると、ほんと空前絶後で唯一無二の誰も敵わない映画界トップの大スターだったんだなーと思います。
  


2020年10月10日

「ローマの休日」ブルーレイが発売されます

 パラマウント・ピクチャーズから「ローマの休日」ブルーレイ発売の案内が出ています。こちら
 発売日は12月2日。多分「ローマの休日」とは縁もゆかりもない日にちです。
 まあブルーレイ発売だけだと多分紹介しなかったんですが、なんか初回限定生産でアウターケースがあるとかなんとか…。

 あー、DVDの最初の発売の時もなんか化粧ボックスとかつけて売ってたの思い出すなー。まんまと乗せられて買ってしまいましたけどね。ボックスなんて全然使いませんがな。今は押入れの奥深く…。

 今回のアウターケースも別にオードリーが載ってるわけでもなんでも無い白いものみたいですし、どうせ数年したら1500円だので売られるとわかってるんですけどねー…

 うっ、やっぱり楽天のをポチッとしてしまいました…。
 まあブックレットも初回のみだと信じます。パラマウントの公式サイトでは初回特典のとこ、何にも書いてないんですよねー。
 ディスクも1枚なので、特典映像も今後ずっと付いてくるでしょうし。

 今後もアウターケース以外は同じ物が売られるのかなー。
 もし違いがアウターケースのみだったら、白い箱に2500円ほど払うことになってしまいますが…。

 日本語吹替も、今までと同じ池田昌子さんのバージョンが1つ付くだけで、別バージョンの池田昌子さんの吹替が収録とかも無いみたいです。がっかりー。

 超オススメとかでは無いんで、皆さん自己判断でお買い求めくださいねー。

 ちなみにアマゾン限定品と楽天ブックス限定品というのもあって、アマゾンはオリジナルポストカードが5枚ついており、楽天ブックスはトートバッグ付き。どちらも1200円ほど高くで売られています。これまたなんだかなー…。






  


2019年12月20日

87年オードリー来日 シノーポリ/マーラー「巨人」LD

 今回は1987年12月20日に行われた、両国国技館でのシノーポリ /ワールド・フィルハーモニック・オーケストラ(ワールド・フィルハーモニー管弦楽団)のコンサートの映像が収録されているLD(レーザーディスク)の紹介。

 ちょうど32年前の今日演奏された、ということになりますね。
 そしてこれがオードリー・ヘプバーンが2度目に来日したときの映像になります。

 LDとはなんぞや?という2019年現在で30代以下の人には、旧盤の「いつも2人で」LDの方で詳しく書いていますので、そちらで読んでみてください。
 まあ30cmサイズの大きなDVDみたいな感じです。

 「スクリーン」1988年3月号(1月発売)によると、オードリーは1987年12月18日に日本に到着したと書かれていますね。そこでは清藤秀人さんがインタビューしている様子も写っています。

 でも清藤さん、今年のスター・チャンネルでオードリー作品の解説していたときには1988年って喋ってますよね。えーっ、なんでオードリーにインタビューしていながら年を間違えるかなーっ。

 清藤さん、ダイアナ・メイチックのトンデモ本を基に「オードリー・ヘプバーンと98の真実」を書き上げたり、「いつも2人で」をテレビで堂々と5回の旅と言ったり、たまにやっちゃいますよね。うーん。

 さてこのジャケットですが、帯にしっかり《87年12月20日両国国技館ライブ》と書いてます。
 裏にはチャプターが載っていて、2.MESSAGE ( AUDREY HEPBURN) となっているのと、指揮者のジュゼッペ・シノーポリ とオードリー・ヘプバーンが一緒に写っている写真が載っています。もちろん、ここでしか見たことない画像!

 でもこれって発売当時、全く知らなかったなー。オードリーが出てるよーって宣伝してなかったのかな?
 発売はNECアベニュー株式会社。アマゾンに別ジャケットの物が出てますね。

 でもアマゾンのは税金のことは書いてなくて7800円で、僕の持っているのは税込5000円になっていますので、僕の方のは再発売ものなんでしょうね。

 でも、となるとアマゾンの発売日の1990年10月3日発売ってのは1989年4月1日の消費税導入後だし、この再発売ものの日付かな?
 DVDと違って、ジャケットにも盤にも年度のことが何も書いてないのでよくわかりません。

 中には2つ折りのライナーノート入り。そこでもSIDE1に2.メッセージ(オードリー・ヘプバーン)って書いてます。

 でもこれ映像を見ても、このライナーノートにも、オードリーのメッセージの字幕も翻訳も無いんですよ!英語のできない僕なんかにはめっちゃ不親切!
 日本の会社が日本で発売するものなんだから、オードリーのメッセージの翻訳くらい付けて欲しいなー。

オススメ度:★★★★(これもレアもののオードリー映像なんですが、いまどきLDを再生できる機材を持っている人が少ないのと、オードリーの出番が少なすぎるのが難点)

と、愚痴も終わりましたので、ここからは中に出てくるオードリーをプレビュー。



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2019年02月19日

アルバート・フィニー追悼「いつも2人で」LD ワイド版

 先日、ネットでアルバート・フィニーが今年の2月7日に亡くなった、というニュースが流れました。
 えっ!とうとう「いつも2人で」アルバート・フィニーまで!?とショックでした。

 これでオードリーの相手役の男優としてまだ存命なのは「暗くなるまで待って」のアラン・アーキン、「ロビンとマリアン」のショーン・コネリー、「おしゃれ泥棒2」のロバート・ワグナー、そしてムリクリ「オールウェイズ」のリチャード・ドレイファスを入れても4人のみとなりました。
 これは「暗くなるまで待って」の主要3男優を入れても、です。なんだか…とても寂しいことですね。

 アルバート・フィニーと言えば、僕にとっては何と言っても「いつも2人で」の人!
 それ以外に「オリエント急行殺人事件(74年版)」「エリン・ブロコビッチ」をDVDで観ていますが、常に “「いつも2人で」のアルバート・フィニーの変形版”として見ていました。

 ネットニュースでは書かれていませんでしたが、フィニーはまず「土曜の夜と日曜の朝」があって、続いて「トム・ジョーンズの華麗な冒険」で英国での確固たる地位を築いた人、というイメージがずっとありました。

 60年代後半にアメリカン・ニューシネマの波がやってきますが(そして夢のある映画が廃れる)、英国でもそのちょっと前にイギリス・ニュー・ウェイヴという運動が起こっていて、アルバート・フィニーはその代表的な役者だったようです。
 60年代前半の映画雑誌ではそういう扱いでよく載っていましたね。なのでその印象が強いです。

 「いつも2人で」はそういう意味ではオードリーとアルバート・フィニーが歩み寄った映画、という感じがします。
 オードリーには先鋭的で、フィニーにはロマンティック、みたいな。

 最初はこの2人は合うのか?という感じだったと思いますが、当時メル・ファーラーとの離婚に向かって進み始めていた傷心のやつれたオードリーにとって、アルバート・フォニーはいつも陽気でオードリーをリフレッシュさせてくれる存在だったようです。なので実際にはとても馬が合ったみたいですよね。

 映画でもそれは感じられます。スタンリー・ドーネン監督はオードリーの良さを最も巧く引き出す、と当時のエライ映画評論家達からもオードリーの熱心なファンからも言われていて、「パリの恋人」「シャレード」に引き続き「いつも2人で」でも他の作品では決して見せない大口を開けて笑うとかのシーンがあるのですが、それは相手役がアルバート・フィニーだったからというのも大いにあると思われます。きっとリラックスして撮れたんでしょうね。

 そういえばこのアルバート・フォニーの役は最初はマイケル・ケインにオファーされたらしいですが断られたそうです。
 後にマイケル・ケイン自身が、断って最も後悔している映画、と語っていました。

 でもマイケル・ケインじゃちょっとお顔がコワイかなぁ、映画が重くなりすぎるんじゃないかなぁ…と思うので、ひょうきんで軽そうなアルバート・フィニーで大正解!だったと思います。

 さてそんな「いつも2人で」ですが、今回紹介するのはLD(レーザーディスク)のワイド版です。

 LDとはなんぞや?という2019年現在で30代以下の人には、旧盤の「いつも2人で」LDの方で詳しく書いていますので、そちらで読んでみてください。
 まあ30cmサイズの大きなDVDみたいな感じです。

 「いつも2人で」のLDはレーザーディスク最初期の82年に発売されて、もちろんオードリー作品のLD化としては1番最初!だったのですが、当時のLDは1度プレスしたら再プレスされないのが普通だったので、廃盤になるとその後長〜い間入手困難な作品になってました。

 今だったらネットで超高額で取引されただろうなーと思うのですが、85年から始まるオードリーの大ブーム時でも、オードリーが死んだ時にも再発売もされず、全盛期の作品では「いつも2人で」だけがカタログ落ちしていました。

 当時はビクター陣営のVHDという規格争いのものがありましたが、そちらは「ローマの休日」や「ティファニーで朝食を」といった作品をラインナップしていたのに対して、LDは「いつも2人で」の次は83年に「マイ・フェア・レディ」でした。

 まあ僕は「いつも2人で」目当てでLDを買いましたが、その後LDが覇権争いに勝利しましたので、良かったー!と思いましたね。

 そしてとうとう発売された2度目の「いつも2人で」がこちらです!発売はオードリーの死後3年も経った1996年!カタログでは12年くらいは落ちていたことになりますね。

 旧盤が4:3で左右がカットされて収録されていたのに対して、新盤はテレビの大型化に合わせて本来のシネマスコープサイズで収録されています。
 と言っても、LDに記録できるのは4:3の規格だけなので、4:3の画面の中にレター・ボックスという上下に黒帯が入る物をテレビ側で引き伸ばして見る、というもの。当然情報量は減ることになるので、画質は粗くなるのでしょうね。

 ただ旧盤はマスターフィルムが欠損していたのだろうなーと思うのですが、欠損部分で画面が一瞬止まる、という部分が何カ所かあったのですが、こちらでは解消。全編がスムースに流れます。

 そしてもっと大きな違いは、このニューマスターは色が綺麗なこと!

 旧盤では、もっと晴れてたらいいのに…“いつも曇りで”やなーとか思ってたのですが、このワイド版LDを見てびっくり!本当は“いつも晴れ間で”でした!

 言われてみれば空は確かに青空なんですが、どうにもオードリーの顔とかが曇りっぽいグレイッシュな映像だったのが、こちらのワイド版では本当にスカッと晴れてる!
 旧盤を何度も何度も見直していた僕の目には、物凄いキレイ!

 最近こちらにいらしてくださってるwinpoleさんや以前からいらしてくださっているまるさんともちょうどここのところリマスターに関してお話ししていましたが、「いつも2人で」の発色ではこの2度目のLDが綺麗!

 なのでDVDが発売された時、また “いつも曇りで” の画質に戻っていたのでガックリきました。
 90年代のリマスターは発色が綺麗に仕上がっていたのに、最近の濃い・暗い・渋いリマスターはなんなんでしょうね。

 さて、それ以外にも4:3からシネスコサイズになったことで今まで大幅にカットされていた左右がハッキリ見える!

 なぜか旧盤ではオードリーとフィニーが左右に分かれているときは必ずフィニー側に寄っていてオードリーがカットされていました。
 それがこのワイド盤でやっとオードリーの可愛い表情が見れる!

 1991年に「いつも2人で」が24年ぶりにリバイバルされた時に、劇場で初めて左右のカットされていないものを見たのですが、本当にオードリーが可愛い!

 どうしてもクルマが登れない急坂で、ジョアンナがバックで登って成功するシーンで、オードリーが舌を口の中で回しているお茶目なシーンとか、妊娠を報告するシーンとか、劇場で初めて知って食い入るよう、忘れないように見つめていましたが、それがやっと自分の手元でいつでも見れるようになりました!

 他にも、湖のほとりの緑の中をを歩くシーンでも釣りをするおじさんが写ってたり、本当に木漏れ日が綺麗だったり、左右全部が見れると新発見が色々ありました!

 さてジャケットは旧盤とはガラリと変わってアメリカ版ポスターに寄せたもの。
 うーん、これが「いつも2人で」のベストなメインイメージではないとは思いますが、フィニーも同列で載せるならこんな感じかな。
 日本版のポスターは例によってオードリー1人が目立つようになってましたが。

 そして日本らしい帯が上部についています。題字は公開当時の日本語のロゴを使用。これこれ!これですがな!やっぱりロゴは公開時のオリジナルを使わなきゃ雰囲気が出ません。

 コピーは

 “A・ヘプバーン&S・ドーネン監督、「シャレード」の名コンビが贈る、60年代ロード・ムービーの傑作!”
 “ヘプバーンの89着にも及ぶ衣裳、次々に登場する車、H・マンシーニの音楽も楽しい!”

 です。まあ実際には映画ではオードリー、89着も着てませんけどね。公開当時の宣伝文句にもあったので数えましたとも!89なんて全然!29か、せいぜい39着くらいです。
 そしてマンシーニの音楽は哀感漂うものなので、楽しいと言うよりも美しいという方が適切かと。
 
 残念なことに旧盤と違って、解説の紙などは封入されていません。ジャケットの裏面にまとめて書かれています。
 これって、最初の頃は封入の解説がついてるのが当たり前だったのですが、だんだんジャケットの裏面に書かれることが多くなってきてましたね。
 今でもDVDやブルーレイで封入の解説ってほとんど無くって、ジャケットの裏面にちょろちょろっと書いてるだけのがほとんど、ってのと同じ。寂しいですね。

 その裏面に車の解説を兼ねてシーンの登場順にあらすじが書かれてるんですけど、これが誰が書いたのか時代分けが間違ってる!
 クルマの雑誌だった「NAVI(2010年に廃刊)」の副編集長って人が協力ってことで名前が載ってますけど、まあクルマのことだけで、あらすじは関わってないと思うんですよね。映画の専門ではないですし。

 で、ここに載ってる時代分けの間違いがコレ↓。

(誤)
1…2人が出会って成り行きで行動を共にしている頃。車なし
2(間違い)…新婚で経済が逼迫している頃。MG TDミジェット
3(間違い)…新婚後2年が経過。3人家族と苦難の旅。フォード・カントリー・スクワイア
4(間違い)…ジョアンナが妊娠2ヶ月。MG TDミジェット
5(間違い)…マークが成功し、子供ができた頃。トライアンフ・ヘラルド
6…現代。マークは売れっ子建築家で多忙。夫婦の危機。メルセデスベンツ230SL

になっちゃってます。

 あちゃー、2と4を分けちゃったのねー。それは同じ時代ですよー!
 それと5が一括りにされてる!そこはオードリーが出産後あんまり経ってなくて同行してないのと、子供がそこそこ大きくなって一緒に移動してるのと分けなきゃダメでしょーっ!

 正確には以下の通りとなります。

(正)
1…2人が出会って成り行きで行動を共にしている頃。車なし。1954年
2…新婚後2年が経過。まだジョアンナは子供がいない。マンチェスター親子と苦難の旅。フォード・カントリー・スクワイア。1956年or57年。
3…さらに数年。何かの記念日で。経済は逼迫。ジョアンナが妊娠報告。パトロンモーリスと知り合う。MG TDミジェット。1959年(ビザにスタンプを押すシーンで判明。下にその証拠画像を掲載)。
4…ジョアンナは生まれたばかりの赤ちゃんの面倒を見ていて留守番。マークが浮気。トライアンフ・ヘラルド。1960年or61年。
5…娘が2〜4才に成長したので親子3人で。ジョアンナが浮気。夫婦の危機。車は同じトライアンフ・ヘラルド(だってまだ車は買って数年しか経ってませんもんね)。1963年or1964年。
6…現代。マークは売れっ子建築家で多忙。再度夫婦の危機。メルセデスベンツ230SL。1966年。

です。映画の最後に全部のシーンが時系列順に並んで出てきますよ!

 「いつも2人で」の大問題は、見ている人が時系列を理解できない人がめっちゃ多い!ということでしょうか。
 ウィキペディアでは「新婚旅行」と書いてあるのも見る人を大きく混乱させる原因となっていますね(初めての2人だけの旅とか、結婚記念日的な事を言っているのを誤解していますね)。相変わらずwikipediaは間違い多いです。

 またそういうのを映画専門のサイトですらウィキ丸写しみたいになってるので、デマがどんどん拡散されていくようです。

 字幕に関しては、この「いつも2人で」のはじめのセリフ、

 ジョアンナ:彼らは幸せを演じてない(幸せそうじゃないわね)
 マーク:結婚したんだからな

というこの映画全体のキーになるのを、このLDの 森みさ さんは

 ジョアンナ:幸せかしら
 マーク:新婚だぞ

って字幕になってて、こりゃ意味反対ですよね。
 DVDでは太田直子さんに翻訳が代わってて、

 ジョアンナ:暗いわね
 マーク:新婚なら幸せさ

になってますが、これまたおんなじように意味が逆。

 ちなみに、NHK BSでの放送時は

 ジョアンナ:浮かない顔
 マーク:結婚したからさ

になってて、これが一番この映画の本質を捉えていると思います。

 さて、映像はこのようにブラッシュアップされて美しく蘇った「いつも2人で」LDですが、96年ではあまりにも発売が遅すぎた〜…!
 2000年にはプレイステーション2が出て瞬く間にDVDが普及してしまい、LDは急速に淘汰されて行くんですよねー。
 僕もせっかくのLDでしたが、あまり見ないうちにDVDに買い換えになりました。
  


2018年07月23日

音楽トラック付き「おしゃれ泥棒」TWILIGHT TIME版ブルーレイ

 ずっと今年日本公開50周年の「暗くなるまで待って」の物を何か…と思ってましたが、何を紹介するか全然決まらなくて、そのうちにこのBlu-rayが届きましたので、こちらを紹介します。

 これはTWILIGHT TIMEというアメリカの会社が出している「おしゃれ泥棒」のブルーレイです。限定3000枚だけの発売。

 権利元の20世紀フォックスが販売しているわけではないのですが、きちんと権利も取っているようで、裏面には20世紀FOXのロゴもあります。

 アメリカと日本はブルーレイは同じリージョンAのNTSC方式なので、日本のブルーレイ再生機器の全てで再生が可能です。
 ただし、日本語の字幕と吹替はありません。

 昨年同じところが出している「いつも2人で」のブルーレイも紹介しましたが、その時と同じ理由で買いました。

 この会社の凄いところは、権利元でもないのに豪華な特典を入れてくること。

 「いつも2人で」でもスタンリー・ドーネン監督のオーディオ・コメンタリーとかがありましたが、これも「おしゃれ泥棒」でデイヴィス・リーランドを演じたイーライ・ウォラックとワイラー監督の娘のキャサリン・ワイラーによるオーディオ・コメンタリーが付いています。

 さらに「オードリー・ヘプバーン:The Fairest lady」というドキュメンタリー番組と予告編まで収録。

 で、僕が買おうと思っていたのは「いつも2人で」と同じで、やっぱりミュージック・トラックが付いていたこと!

 アメリカから発送となると送料も馬鹿にならないので、「いつも2人で」より後に出たため同時に買えなかったのですが、今回セールでだいぶ安くなってた(1700円くらい)ので、思い切って取り寄せました。

 「おしゃれ泥棒」のサントラというと、2008年に INTRADA社が2枚組みのCDを出してました。
 でもあれは1枚目はかつてレコードでサントラとして出ていたジョン・ウィリアムズ自身が録音し直したもののリマスター、2枚目に本当のサントラが入っていましたが、14曲27分と明らかに映画のボリュームに比して少なすぎでした。

 で、この「おしゃれ泥棒」にも絶対CDには入ってなかった曲が大量にあるはず!と思ってましたが…やっぱりありました!CD未収録の曲が!しかもいっぱい!

 さて、この「おしゃれ泥棒」の作曲者はジョン・ウィリアムズについて先にちょっと書いておきますね。
 ジョン・ウィリアムズはおそらく今一般的に知られている映画音楽を作っている作曲家としてはトップなのではないでしょうか。

 この映画は最初に当時最も売れっ子だったヘンリー・マンシーニに依頼されましたが、あちこちから依頼が殺到していて多忙すぎたため、当時売り出し中の弟子だったジョン・ウィリアムズを代わりに紹介したそうです。

 ジョン・ウィリアムズという名前は俳優さんにも居ました(「麗しのサブリナ」でオードリーのお父さん役)ので、ここではジョニー・ウィリアムズとしてクレジットされています。

 65年にテレビドラマの「宇宙家族ロビンソン」で作曲家デビュー。
 その後この66年「おしゃれ泥棒」を経て、69年の「チップス先生さようなら」「華麗なる週末」くらいからプチブレイクが始まります。

 71年「屋根の上のバイオリン弾き」、72年「ポセイドン・アドベンチャー」、74年「タワーリング・インフェルノ」、75年「大地震」と大作&パニック映画の第一人者となっていきます。

 その流れで依頼されたのでしょうが、75年「ジョーズ」で大ブレイク!ここから1984年の超有名なロサンゼルスオリンピックのテーマ曲あたりまで約10年がジョン・ウィリアムズの傑作の森でしょうか。

 77年ジョージ・ルーカスの「スター・ウォーズ」とスティーブン・スピルバーグの「未知との遭遇」と最大の話題になった2大SF映画を両方とも作曲。

 78年「スーパーマン」、80年「スター・ウォーズ/帝国の逆襲」、81年「レイダース/失われたアーク」、82年「E.T.」、83年「スター・ウォーズ/ジェダイの復讐」、84年「インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説」と、この辺りは一般の人でも知っている名曲がずらりと並びます。

 その後も93年の「ジュラシック・パーク」、同年「シンドラーのリスト」、2001年「ハリー・ポッターと賢者の石」などの傑作を次々と世に放っています。89年にオードリーの映画の遺作「オールウェイズ」も作曲しています。
 最近では2012年の「リンカーン」、昨年2017年の「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」などがあります。

 さて、このブルーレイでは37曲、約1時間8分の音楽が聞けます。2枚組CDの2枚目(フィルム・バージョン)の倍以上の音楽が有ることになりますね。

 CDでは落ちていたのにここで聴ける音楽トラックでは、

 ・ニコルがアウトビアンキを運転 (Nicole Drives The Autobianchi)
 ・ニコルがジャガーEを運転 (Nicole Drives The Jaguar E)
 ・少しだけよ/サイモンが調べる(Not Much/Simon Examine Van Gogh)
 ・He Suspects Something/At Maxims (Film Version)
 ・サイン (The Sign)
 ・ニコルの考え/リッツでのニコル (Nicole's idea/Nicole At The Ritz Bar : Film Version)
 ・下見する (Preliminary)
 ・公園で (At The Park)
 ・試し投げ (The Test throw)
 ・泣き落としはダメだ (Don't You Dare Cry)
 ・婚約指輪 (The Engagement ring)
 ・夜の博物館 (Night At The Museum)
 ・見回り (The Patrol)
 ・決行前 (Before the decision)
 ・ブーメラン (The Boomerang)
 ・それが答え? (That's Why?)
 ・葬送曲 (Funerary Music)
 ・リッツにて (At The Ritz Bar)
 ・サイモンの職業 (Simon's Profession)
 ・くっつき (Togetherness : origtinal version)
 ・婚約指輪を返す (Return The Engagement ring)

があります。なお日本題名、および英題はブルーレイには無いので、こちらで便宜上付けています。

 英語が変!とか、もっとピッタリな曲名が思い浮かぶ方はぜひ教えてくださいねー!
 どんどん変更したいと思います。

 ちなみに“ブーメラン”は本当は“警報”にしたかったんですが、音楽には警報が入ってないので…。
 “少しだけ”はパパに、泥棒に何かされたのか?と言う問いに、少しだけよ、と言うニコルのセリフから。
 ここも本当は“青い目の背の高いスリムな泥棒”にしたかったんですが、英語が長すぎるので…。

 さらにINTRADAのCDでは “He Suspects Something/Nicole at the Ritz Bar”となっていて、オードリーがデイヴィス・リーランドに食事に誘われて準備中の不安なニコルの心情の音楽 “He Suspects Something” から、場面も映画とは全然違う(音楽も映画では不採用の聞いたことがない曲) “Nicole at the Ritz Bar”になっていましたが、このブルーレイでは “He Suspects Something/At Maxims (Film Version)” と映画の進行通りとなっています。

 また、“At Maxims”のフィルム・バージョン今回初収録。
 “Nicole at the Ritz Bar”の方はきっちりパパがサインをした後で入っています。さらにその前には連続でニコルが泥棒の依頼を決意する音楽がくっついています。これまたフィルム・バージョンは初収録。
 逆に映画では使用されなかったオリジナルの“Nicole at the Ritz Bar” は今回収録無しです。

 CDでの “The Cellini Venus and Museum Fanfare” は音楽が連続していますが、実際にはヴィーナスが家から運び出された後と、ヴィーナスを博物館に運び込む際に無音部分があって曲としては別れています。
 CDではフィルム・バージョンも繋いでしまっていますが、このブルーレイでは “The Cellini Venus” “March To The Museum” “Museum Fanfare” と3曲に分離されています。
 “March To The Museum”などは演奏前にジョン・ウィリアムのテンポ取りの声が入りますから、明らかに別曲扱いですよね。

 他には “Normal Human Reactions” ではカウントダウン時の前半と本当に落ちたコインで人間の反応を利用する後半の間にもセリフや無音が長時間入るので、これも“カウントダウン(The Countdown)”と “Normal Human Reactions” として2曲扱いになります。

 物置の鍵を閉められてしまった後に、磁石でカギを引き寄せるシーンの “Locked In” は映画では不使用でしたが(紐でカギを鍵穴に通す “The Key” は映画でも使用)、ニコルがアウトビアンキを運転する音楽と、見回りの音楽にも映画で使用されていない最初の部分がそれぞれあります。
 ここではそんなのが聴けて、おお!っとめっちゃ嬉しくなります。

 最後の方でサイモンとデイヴィス・リーランドが自家用機にヴィーナスを運ぶシーンの音楽の “くっつき (Togetherness)” ですが、これは映画では使用されなかった曲が準備されていたことがわかります。
 映画では “March To The Museum” の一部が再利用されていましたもんね。

 全く新しい曲が聴けるのは嬉しいですが、これは完成版の方がいいです。
 同じチェリーニのヴィーナスの輸送シーンですもんね。

 意外だったのは婚約指輪のキラーン☆って音と、ブーメランの音もジョン・ウィリアムズのものだったこと。

 今なら効果音の担当者がササっと作るのでしょうが、この当時はまだMIDIもシンセサイザーもPCもなかったので、アナログの音楽が付けられていたのでしょうね。
 でも最後の方のリッツでオードリーが指輪が無い時にビックリする時の音が今回入ってないんですよね〜。なんでだろ。

 他にも警報の音とパトカーの音が入ってないので、この警報音の大好きな僕はちょっと寂しい…。
 これはジョン・ウィリアムズでは無いのか…。

 「いつも2人で」では耳障りだった音楽の上に被せられていた効果音ですが、ここではほとんど入っていません。
 運良く1次音源が有ったのでしょうか?効果音があるのは “At Maxims” でのワインを注ぐ音くらいでした。

 あとは20世紀フォックスのファンファーレが無いのが残念!
 これは後で自分で追加しようと思います。

 映画本編の画質は最近のリマスターで大流行りの(そしてありがたく無い)濃いめ・明度は暗め・彩度は渋めの色付け。
 絶対これオリジナルの色じゃないでしょ!
 だいたいピーター・オトゥールの瞳のアップ、ブルーじゃなくてほぼグレーになってしまってるよ!濃いすぎ、暗すぎ!

 僕がリマスターの責任者だったら、こんなのやり直させるよ、まったく!
 とにかく濃いめのリマスターなので、ソフトフォーカスにわざとしてるオードリーのアップなどは紗が沈んでしまって、ただのピンボケに見えるし…。

 全般に昔の映画に施されるこの暗いリマスターってなんとかならないんでしょうかね。明るいシーンがどの作品も不足気味。
 リマスター担当者がパソコンで見てるのと、映画館で観客が見るのとでは全然違うんだよー!絶対!
 昔のテクニカラー(この作品はデラックスカラーだけど)の明度と彩度が高いという良さが死んでしまってます。

 音声は2.0 DTS-HDでリマスターされています。

 このブルーレイ自体の仕様は、ジャケットは1枚目の写真みたいな感じ。
 これも悪くはないけど、「おしゃれ泥棒」のイメージは鉄兜オードリーには敵わないよねー。
 バックは加工された光になってます。

 これって元はモノクロ写真。そして後ろにタクシーがいたはず…。
 着色技術が上がってきてるのか、オードリーの髪の色とかはだいぶ自然な感じになってきてますね。オトゥールは不自然だけど。
 この調子で行くと、僕もやがて着色カラーと本物が見分けられなくなりそう…。

 でも欧米の人の考える白人の理想の肌色ってこんななのかなー…。封入のライナーノートでもそうなんだけど、なんか妙に肌の色が黄色〜茶色っぽい。
 絶対フォトショでデジタル加工してるはずなんですけど、オードリーの肌とか、黄色人種の人が日焼けしたみたいな肌になってるし。
 だいたい欧米で発売された白人ってこんな風な肌の色にされてしまってる。実際はもっと白いはずでしょうにねー。

 それにオードリーが着てるこのジバンシィのコート、本当はオードリーが良く着てたショッキングピンクに近いローズ色なんですけど、この画像はどう見ても紫ですよね。唇の色も生気が無い。
 着色はちゃんと映画を見て、もっと本物に忠実に!と思います。

 封入のライナーノートは8P。中身は珍しい画像で構成されてていい感じ!そして映画に因んで縁部分は油絵のキャンバス風の加工がされています。

 ケースを開けた時に見える部分には靴を脱いだ二人の宣伝写真とディスクはジャケットの2人を離した加工のもの。
 ディスクの後ろの部分は英語のロゴです。ジャケットと同じ、女性の手が n の文字をつまんでるやつ。

 その宣伝写真の後ろのちょっと緑みのある黄色が「おしゃれ泥棒」らしいカラーですね。
 「おしゃれ泥棒」のイメージカラーは絶対に赤みに寄らない、緑み寄りの黄色だと思っています。

 裏ジャケットはイラストなので、ここでは割愛。
 イラストじゃなくて、着色カラーかもしれないけど、ヘタクソすぎるのでどう転んでも割愛。日本の50年代の着色以下。

 ちなみに、映画の中でサイモンが “ジバンシィが休める” と言っているニコルの掃除婦のコスチュームですが、実はこれもジバンシィデザインなんだそう!
 ジバンシィ、全然休むヒマありませんね。
 素材がめっちゃいいものらしいです。…となると、やはり「パリで一緒に」の飛行服もジバンシィデザインですね。贅沢〜。

 ついでに言うと“脱・ジバンシィ” と言われた次作「いつも2人で」にもジバンシィのものが何点か登場しているそうです。
 3回目の旅のMGを押すシーンで着ているトレンチコートの下のタートルネックのセーター、6回目の旅の黄色のビニールスーツで海岸に行く際の同じく白のタートルネックのセーター、3回目の旅のプールサイドで水着を着ている時の黄色のスイミングキャップ(特注品!)、3回目の旅のパーティー後のシーンでのピンクドレスの際に手に持っているクラッチバッグがジバンシィのものだそうです。

 とにかく、今まで聴けなかった曲が聴けて、大満足のブルーレイでした!

オススメ度;★★★★(これに日本語字幕と池田昌子さんの日本語吹替が入って、色がもっと良かったら完璧!)
  


2017年05月04日

音楽トラック付き「いつも2人で」TWILIGHT TIME版ブルーレイ

 本日は88回目のオードリーの誕生日になります!

 そして今日は公開50周年に当たる「いつも2人で」TWILIGHT TIME版ブルーレイの紹介。

 ジャケットが色褪せたようなのが残念ですね〜。
 でもこれは中を開けた方が綺麗!「いつも2人で」は黄色のイメージではないけど…。

 このブルーレイはもちろんアメリカのもので、日本語字幕や吹替などはありません。
 ただ、ブルーレイは日本とアメリカは同じリージョンAであり、さらに日本のテレビの規格はアメリカと同じNTSC方式なので、このブルーレイは日本の再生機で問題なく見れます。

 このブルーレイは権利元の20世紀フォックスから出ている訳ではありませんが、きちんと20世紀フォックスから権利を取って販売しているので、某国の劣悪で権利侵害の海賊盤ではありません。

 また、現在日本で正式に販売されているDVDのように、レターボックス仕様(4:3の昔のテレビ規格の中に2.35:1のパナビジョンサイズの画面を入れているので、情報量がもの凄く少ない)で特典全くなしという2003年当時のものを今でもそのまま売っている、という粗悪なものではありません。

 これは20世紀フォックスからの発売ではないにも関わらず、監督スタンリー・ドーネンのオーディオ・コメンタリー、映画の歴史家のオーディオ・コメンタリー、オリジナル予告編などが収録されています。

 そしてわざわざ買ってみよう!と思ったのは、やはり音声で選べるようになっている音楽トラック!

 先月発売されて、こないだ紹介したばかりの「いつも2人で」の本当のサントラが、題名を見る限り収録されてない曲がありそうだったので、サントラを買う際に、同時注文しておきました。

 それにこちらにお越し頂いているhiroさんのコメントで、マンシーニのカウントなどが入っているということだったので、それも興味ありました。

 さて、届いて思ったのは、どうもこれはこないだの本当のサントラと元の音源が同じらしいこと。
 サントラとしてはふさわしくないマンシーニのカウントや奏者の咳払いなどがカットされています。

 そしてサントラでカットされた12曲がなぜカットされていたのかがわかります。
 それらのCDで収録されなかったものは効果音が載っているからです。

 たとえば食器をガチャガチャいわせる音、車のドアを開けたり閉めたりするときの音、主演2人以外の周りの人の音、リンゴを落とす音、工事中の重機の音など。

 そしてさらにこのことからわかるのは、サントラに入っていた物もこちらのブルーレイに収録されているものも、どちらもマンシーニが録音したままの1次音源ではない、ということ。

 効果音が載っているという事は、既に音響技師によって加工された後のものであるということなので、2次音源になります。

 以前に出ている「ティファニーで朝食を」「シャレード」「暗くなるまで待って」が1次音源からCDが起こされたのとは違って、この「いつも2人で」の音が悪いのはそういうことだったんですね。

 さてこの音楽でわかるのは、映画の最初の方に出てくる中古MGでの3度目の旅ですが、オードリーがMGの後ろを押すシーンでマンシーニは音楽を付けていたこと。曲は“Happy Barefoot Boy(愉快なはだしの少年)” です。

 これは実際には音楽が少しカットされて、MGが走り出してからの部分が使われています。
 この曲はCDでも、このブルーレイでもカット無しの収録になっています。

 またサントラCDの4曲目にあった “Hitting The Road” という曲は、映画ではシーンごと丸々カットされていました。なのでこのブルーレイでは収録されていません。

 この部分、映画では1度目の旅でフェリー上で2人が初めて出会ってジョアンナがマークのパスポートを見つけるシーンと、中古のMGで2人が3度目の旅を始めるシーンとの間のはずなので、映画をみればわかるとおり、そこには何もありません。

 というわけで何の表記もありませんが “Hitting The Road” という曲はCDのみで聴けるボーナストラック、ということになります。

 また、最初の “Two For The Road - Main Title” ですが、これもCDでは映画でカットされた部分も含めて収録されていましたが、ブルーレイでは映画に合わせて10秒カットが入ります。

 逆にこのブルーレイでしか聴けない曲は、

・レストラン(2度目の旅でマンチェスター親子と食べるシーン)
・車のラジオの音楽(2度目の旅でマンチェスターの娘が車のキーを抜くシーン)
・MGが燃えて泊まるはめになった“Domaine St.Just”のBGM(3度目及び6度目の現在の旅)
・シャンティイ城(2度目のマンチェスター親子と共に)
・海辺への到着(6度目の現在で2人が海沿いの駐車場に止めて降りてくるシーン)
・プールサイド(3度目の旅でモーリスの別荘での音楽)
・1度目の旅で2人が踊っているパーティーミュージック
・海の音楽(1度目の旅で2人が海で一緒に泳ぐシーン)
・“The Donk”(5度目の旅でジョアンナが浮気をする寸前のビーチで)
・“Something Loose”(6度目の現在でのパーティーミュージック1)
・“Congarocka”(同じく6度目のパーティーミュージック)
・“Stopping To Think” と “Finale” の間で、全部の旅が時系列順に出てくるシーンの音楽

の12曲となります。
 なので、本当のサントラCDとこのブルーレイとで両方持っておいた方がより完全に近くなります。

 あと、CDでもブルーレイでも収録されていませんでしたが、これはあった方がいいかな?と個人的に思うのは

・20世紀FOXの最初のファンファーレ
・ジョアンナの女学生仲間で歌うコーラス
・オードリー本人が口ずさむおうちへ帰らなかったハチの歌

でしょうか。

 さて画質ですが、もちろん今日本で発売されているDVDよりは遥かにいいです。発色も綺麗。
 ただし最近流行りの黒潰れぎみなのが残念!どれもこれも黒が濃すぎてディテールがわからなくなってるのはなんででしょうね。

 僕が考えるに、こういうリマスターはPC上で行なわれているので、輝度の高いPCで調節してしまうと、それより暗い普通のテレビや映画館では暗すぎてしまう、ということなのかもしれません。

 なので晴れのシーンでも曇り空っぽい感じがしますし、もう1枚黒い薄皮をめくりたい!という気持ちになる部分があります。

 3度目の旅で、中古のMGを押すはめになるシーンのオードリーの顔のアップでは、20代前半の役にもかかわらず目の下のシワもハッキリ見えますが、逆にラストシーンでマークとキスをするシーンではオードリーの頬の肌の張りが凄い!と思います。
 まだまだオードリーも若かったんですねー(撮影した1966年当時オードリー36〜37才)。

 でも音楽の特典は凄いありがたいので、同じ会社が出したばかりの「おしゃれ泥棒」も買おうかと考えています。そちらも音楽トラック入り。

 この「いつも2人で」は限定3000枚だけのプレスとなっています。1000枚であっという間に無くなったサントラCDよりは保っていますが、無くなれば入手は困難になるかと思います。