2007年05月20日
「オードリー・ヘプバーン 映画に燃えた華麗な人生」ハイアム著
今日は「スクリーン」の近代映画社が発行したチャールズ・ハイアム著の「オードリー・ヘプバーン 映画に燃えた華麗な人生」です。
これは日本で最初に翻訳された本格的なオードリーの伝記で、僕も発売すぐに買って読みましたが、それまで日本で発売されて読んでいた「オードリー・ヘップバーン物語」や「小説オードリー・ヘプバーン」とはまるで違う濃い内容にびっくりしたものです!僕は何度も何度も読み返しました。
中身は1983年に執筆84年に出版された本だけに、まだユニセフの活動もなく、ロバート・ウォルダーズとの愛情も始まったばかり。もちろんオードリーはまだまだ元気です。
でも同年発売だったイアン・ウッドワードの方の伝記ではなく、こちらの方を出版した近代映画社、さすがです!
薄味のウッドワードの伝記に比べて、かなり突っ込んだ内容に仕上がってて読後の充実感はこちらが上。
この本の特徴は、他の伝記より出演映画に関してかなり多くのページが割かれていることです。作られていく過程や、その評価などは伝記と切り離しても読む価値はあるんじゃないかと思います。
中では、「いつも2人で」に関しての記述が秀抜です!
たとえば「尼僧物語」は原作者と会ったときに、プレス向けでは「オードリーは緊張してなにも話せなかった」となってるんですが、実際には尼僧の習慣や所作に関して相当深く話し合ったらしいです。
簡単にプレスで調べられる「話さなかった」ではなく、ワーナー保管の当時の資料を調べなければわからない「質問していた」と記述されていることからも、この本の姿勢がうかがえると思います。
日本とは作品の評価が大きく違う物があったりするんですが、それはそれで“へ~っ、海外ではこんな風に観てるのか”って思って読めばそれでいいかと。
ま、ある程度オードリーの作品を観てから読んだほうが、変な先入観無しに映画を楽しめるとは思います。で、この本で新しい見方を発見して再度観てみる、とかね。
さて、ショーン執筆の伝記以前は間違っているのが多いオードリーの本名は、ここでは残念ながらエッダ扱い。
ショーンの誕生日は明記されてないんですが、59年秋に懐妊、3月にはまだおなかにショーンがいることになってるので、合ってるように思えます。
ただ、「撮影予定は初夏なのでそれまでショーンにかまけていられた」という記述もあるので、7月はもう初夏じゃないよな~って何がなんだか…。(^^;
この本の出版以降、次のイアン・ウッドワードやダイアナ・メイチックの伝記が1993年に出るまで、オードリーのことを書くならこの本を読んでから書かなければいけない!という状態になり、オードリー評論にはこの本の影がかなり色濃く出ているという、日本で大きな影響を与えた本です。
息子のショーンとしては気に入らない部分も多々あるかとは思いますが、オードリーの事に関して真摯な態度で執筆されているこの本は、最高点はつけられないものの決して悪くないと思ってます。
伝記としての価値:★★★★(“女優オードリー”の伝記として。)
これは日本で最初に翻訳された本格的なオードリーの伝記で、僕も発売すぐに買って読みましたが、それまで日本で発売されて読んでいた「オードリー・ヘップバーン物語」や「小説オードリー・ヘプバーン」とはまるで違う濃い内容にびっくりしたものです!僕は何度も何度も読み返しました。
中身は1983年に執筆84年に出版された本だけに、まだユニセフの活動もなく、ロバート・ウォルダーズとの愛情も始まったばかり。もちろんオードリーはまだまだ元気です。
でも同年発売だったイアン・ウッドワードの方の伝記ではなく、こちらの方を出版した近代映画社、さすがです!
薄味のウッドワードの伝記に比べて、かなり突っ込んだ内容に仕上がってて読後の充実感はこちらが上。
この本の特徴は、他の伝記より出演映画に関してかなり多くのページが割かれていることです。作られていく過程や、その評価などは伝記と切り離しても読む価値はあるんじゃないかと思います。
中では、「いつも2人で」に関しての記述が秀抜です!
たとえば「尼僧物語」は原作者と会ったときに、プレス向けでは「オードリーは緊張してなにも話せなかった」となってるんですが、実際には尼僧の習慣や所作に関して相当深く話し合ったらしいです。
簡単にプレスで調べられる「話さなかった」ではなく、ワーナー保管の当時の資料を調べなければわからない「質問していた」と記述されていることからも、この本の姿勢がうかがえると思います。
日本とは作品の評価が大きく違う物があったりするんですが、それはそれで“へ~っ、海外ではこんな風に観てるのか”って思って読めばそれでいいかと。
ま、ある程度オードリーの作品を観てから読んだほうが、変な先入観無しに映画を楽しめるとは思います。で、この本で新しい見方を発見して再度観てみる、とかね。
さて、ショーン執筆の伝記以前は間違っているのが多いオードリーの本名は、ここでは残念ながらエッダ扱い。
ショーンの誕生日は明記されてないんですが、59年秋に懐妊、3月にはまだおなかにショーンがいることになってるので、合ってるように思えます。
ただ、「撮影予定は初夏なのでそれまでショーンにかまけていられた」という記述もあるので、7月はもう初夏じゃないよな~って何がなんだか…。(^^;
この本の出版以降、次のイアン・ウッドワードやダイアナ・メイチックの伝記が1993年に出るまで、オードリーのことを書くならこの本を読んでから書かなければいけない!という状態になり、オードリー評論にはこの本の影がかなり色濃く出ているという、日本で大きな影響を与えた本です。
息子のショーンとしては気に入らない部分も多々あるかとは思いますが、オードリーの事に関して真摯な態度で執筆されているこの本は、最高点はつけられないものの決して悪くないと思ってます。
伝記としての価値:★★★★(“女優オードリー”の伝記として。)
Posted by みつお at 00:00│Comments(4)
│伝記
この記事へのコメント
この発売は、画期的な大事件でしたよね。
僕も何度も読み返しました。
本当に忘れられない本です。沢山影響も受けましたしね。
彼女の性格に関する記述にも印象に残るもの多く、
特に“外柔内剛”という表現が忘れられません。
小さなことにくよくよしたり動揺するのに、
心揺さぶられるような大事件には冷静であるとか、
集中力の高さ、経済観念、運のつかみ方など等・・・
単にオードリィや映画界というものだけでなく、
自分たちの人間関係とか価値観に対応する読み物としても受取りましたね。
一部の誤表記を除いて、
わりと客観的で、下手にオードリィ礼賛に陥らず、
それでいてかけがえのない女優・人物であるという敬意も感じられる、
やはり決定版の一つではないでしょうか?
僕も何度も読み返しました。
本当に忘れられない本です。沢山影響も受けましたしね。
彼女の性格に関する記述にも印象に残るもの多く、
特に“外柔内剛”という表現が忘れられません。
小さなことにくよくよしたり動揺するのに、
心揺さぶられるような大事件には冷静であるとか、
集中力の高さ、経済観念、運のつかみ方など等・・・
単にオードリィや映画界というものだけでなく、
自分たちの人間関係とか価値観に対応する読み物としても受取りましたね。
一部の誤表記を除いて、
わりと客観的で、下手にオードリィ礼賛に陥らず、
それでいてかけがえのない女優・人物であるという敬意も感じられる、
やはり決定版の一つではないでしょうか?
Posted by まる at 2007年05月20日 00:13
まるさんもそう思ってらっしゃったんですかーっ!よかったです!
最後まで★3つで行くか、★4つにするかで悩んだんですが、
やっぱりこれは★4つにして正解だったんだな、って
まるさんのコメントを読んでホッとしました。(^-^
本当にこの本は画期的でしたよね。
これを読むまで知らないことが多かったですし、
素のオードリーに少し近づけた気がして、
嬉しくなったものでした。
他の伝記よりも、内容はかなり濃い気が今でもしています。
最後まで★3つで行くか、★4つにするかで悩んだんですが、
やっぱりこれは★4つにして正解だったんだな、って
まるさんのコメントを読んでホッとしました。(^-^
本当にこの本は画期的でしたよね。
これを読むまで知らないことが多かったですし、
素のオードリーに少し近づけた気がして、
嬉しくなったものでした。
他の伝記よりも、内容はかなり濃い気が今でもしています。
Posted by みつお at 2007年05月20日 18:22
以前、洋書でハリウッドスターの経歴つき写真集で、
オードリィの本名がエッダ・ファン・ヒームストラになっていたことを書いて、
このハイアム伝記とどちらが間違いの源なんですかねぇと話題になりましたが・・・
(覚えてますか? ちょっとどこでコメントしたのかわかんなくなりました。
5月頃に過去ログ掘り起こした覚えがあります(^_^;)
で、その洋書を発見しましたので報告します。
OCTOPUS BOOK
EDITOR:ROBYN KARNEY 1984
となっていまして、
ハイアム氏の伝記と同じ時期なんですね。
やはりどちらが先なのかわかりません。
でも時を同じくして世にでたわけだから、
この頃のリサーチに誤った情報が出回ったんでしょう。
いまだにエッダ表記があるのには困ったもんです。
オードリィの本名がエッダ・ファン・ヒームストラになっていたことを書いて、
このハイアム伝記とどちらが間違いの源なんですかねぇと話題になりましたが・・・
(覚えてますか? ちょっとどこでコメントしたのかわかんなくなりました。
5月頃に過去ログ掘り起こした覚えがあります(^_^;)
で、その洋書を発見しましたので報告します。
OCTOPUS BOOK
EDITOR:ROBYN KARNEY 1984
となっていまして、
ハイアム氏の伝記と同じ時期なんですね。
やはりどちらが先なのかわかりません。
でも時を同じくして世にでたわけだから、
この頃のリサーチに誤った情報が出回ったんでしょう。
いまだにエッダ表記があるのには困ったもんです。
Posted by まる at 2007年06月25日 00:06
エッダの話は、いったいどこからだったんでしょうねー。
でもハイヤム氏の伝記は、83年には書かれ終わっていましたから、
やっぱりハイヤム氏のかもしれません。
イアン・ウッドワードの初版も84年出版でしたから、
どっちが先か!というところですね。
少なくともショーンの誕生月はウッドワードの方ですね。
ただ、ウッドワードのは最初はおそらく1と7の誤植だったのではないかと
思うのですけれども。
自分で調べずにこれらの伝記を丸写しにした
メイチックの伝記のようなものではそのままになって
世界に広まっていった、と。
オードリーはこういうのを読まない人なので、
間違いがそのままだったんでしょうね。
でもハイヤム氏の伝記は、83年には書かれ終わっていましたから、
やっぱりハイヤム氏のかもしれません。
イアン・ウッドワードの初版も84年出版でしたから、
どっちが先か!というところですね。
少なくともショーンの誕生月はウッドワードの方ですね。
ただ、ウッドワードのは最初はおそらく1と7の誤植だったのではないかと
思うのですけれども。
自分で調べずにこれらの伝記を丸写しにした
メイチックの伝記のようなものではそのままになって
世界に広まっていった、と。
オードリーはこういうのを読まない人なので、
間違いがそのままだったんでしょうね。
Posted by みつお at 2007年06月26日 11:38