2025年04月05日

1965年アカデミー賞授賞式 「マイ・フェア・レディ」

 今日からちょうど60年前の1965年4月5日は、1965年(1964年度)のアカデミー賞授賞式が行われた日です。

 以前から、今日はこの1965年アカデミー授賞式の様子を載せた雑誌の切り抜きを紹介しようと思っていたのですが、ここのところ雑誌の紹介ばかりだったので、趣向を変えて当時の授賞式の動画をYouTubeからお借りして紹介することにしました。

 まずは授賞式開始前〜開始の様子。
 当時の放送はカラーだったでしょうが、モノクロしか残ってないのが残念ですね。翌年の1966年からはカラーが残っているようなのですが…。

 と言っても、当時はビデオにしろキネスコープ(キネコ)にしろものすごい高価で、録画された上から上書きされる使い回しが多かったそうですから、モノクロでも残っているだけいいんだろうなーと思います。

 日本でもNHKとか、お金のかかった大河ドラマでも80年以前は残ってないそうですからね。

 まずは会場前から。リチャード・チェンバレン、「奥さまは魔女」でサマンサのお母さんエンドラ役で有名なアグネス・ムーアヘッド(助演女優賞候補)、アン・マーグレット、デボラ・カー、ジェーン・フォンダなんかが写っていますね。

 開始の音楽は「マイ・フェア・レディ」の“踊り明かそう”“君住む街で”“彼女のことで頭がいっぱい”のアレンジ(他の候補曲と混ぜてる?)で始まります。

 こんなに「マイ・フェア・レディ」の音楽ばっかりでいいの?って思ってしまいます。こんなの編曲省で候補になっている「マイ・フェア・レディ」が獲ったも同然やん、みたいな。まあ本当に獲りましたけどね。

 4:37にオードリー登場。自分が写っていることに気づいてちょっと照れるオードリーが可愛い!横には監督のジョージ・キューカーが座っています。

 すぐその後にジュリー・アンドリュースとレックス・ハリスンが移りますが、しばらく後にまたオードリーが写ります。
 12:32のジュリー・アンドリュースが映るシーンに次いで、2番目に再生回数が最も多い部分になってます。

 その後授賞式が開始されますが、この映像で終わりの方でプレゼンターとしてスティーブ・マックイーンも出てきます。これが3番目に再生の多い部分です。




 続いては、衣裳デザイン賞と撮影賞と編曲省。どれも「マイ・フェア・レディ」が獲っています。
 3つとも映像の最後の方に拍手をするオードリーが出てきます。








 次は主演男優賞。もちろんレックス・ハリスンが獲っていますね。
 そしてプレゼンターはオードリー。

 本来、オードリーは主演女優賞にノミネートされていませんし、前年度の主演女優賞を獲得したわけでもないので、ここに出演する義理はないのですが、友人のグレゴリー・ペックに請われて、脳卒中のために歩くことも喋ることもできず臥せっている前年度の主演女優賞のパトリシア・ニール(「ティファニーで朝食を」の2Eとしてオードリーと共演済み)の代役として舞台に上がりました。

 でもここまでに、マーニ・ニクソンの旦那だった映画音楽家のアーネスト・ゴールドによって、吹替の事をバラされており、オードリーに対しては酷いバッシングが起こっていました。いまだったら炎上してるところですね。

 ジュリー・アンドリュースを使わなかったのはワーナー映画の総帥ジャック・ワーナーだし、オードリーは、ジュリーが役を自分のものとしていると一旦は断ったくらい。
 オードリーは一生懸命発声練習をして、全曲吹き込んでいたのに、それを使わなかったのはジョージ・キューカーたち。

 それでもジュリー本人がスクリーン・テストを蹴ったことや、オードリーはほとんど吹き替えられることを知らなかったにもかかわらず、オードリーへのものすごいバッシングが起こったんですよね。

 今まで何も悪いこともせず、人を傷つけることもしなかったオードリー。ただ、ちょっとハリウッドとは距離をおいて、平穏に暮らしたいからスイスに住んでいただけなんですが、それを品行方正過ぎてお高くとまっている、とここぞとばかりに叩くマスコミなどがいたんですよね。

 それでアカデミー主演女優賞のノミネートからも落ちてしまったオードリーですが、当時、オードリーに対してあまりに不当!と、ノミネートされてなくてもオードリーに投票しよう!とアカデミー会員からの反発の運動も起きたくらい。

 あまりにその運動のうねりが大きかったので、当時のアカデミーの会長が、ノミネートされていない人に投票しても無効、とわざわざ声明を出したくらいでした。

 ここでも、授賞式に出席しなかったら嫉妬や妬みで参加しなかった負け犬だとまたマスコミに叩かれるとわかって、グレゴリー・ペックもあまりに可哀想だと思いながらも友人のオードリーに頼んだんでしょうし、オードリーも無理して出席したんだと思います。

 オードリーにとっては本当に針のむしろにいるような思いで出席していたんだと思います。他の賞で「マイ・フェア・レディ」が受賞している時でも、オードリーの顔は緊張していて強張っています。

 この主演男優賞のプレゼンターもオードリーは無理して笑顔で登場しますが、ブーイングされるんではないか、頭真っ白で緊張で本当に倒れそうだったんじゃないかと。

 でもバッシングの反動で、ここでのオードリーはひときわ大きな長い拍手で迎えられます。伝記でも、“ノミネートもしなかったjことへのお詫びの気持ちが入っていた”と書かれていました。

 でもここで、オードリーは緊張のあまり、息子ショーンの言う “人生で最も悪いこと”をしてしまいます。
 なんと前年度の主演女優賞のパトリシア・ニールの代役であることをいうのを忘れてしまったんですよね。

 オードリーがパトリシア・ニールの代わりであるということを言い忘れたので、テレビで見ていたパトリシア・ニールは怒りで言葉にならない叫びをあげ、動く方の手でテーブルをバンバン叩いたそうです。

 夫のロアルド・ダールは後ですぐにオードリーが謝罪の電話を入れても「失せやがれ!」と言って許さなかったとか。

 でもパトリシア・ニール本人は、のちに当時酷いバッシングを受けていたオードリーの緊張しまくりの心情を慮って、「もうそんなことは忘れていました。彼女が私を今でも友人だと思ってくれてればいいと思います。私が彼女の友人であるように」と言っています。

 オードリーの代わりに、司会のボブ・ホープが重病で来れなかったパトリシア・ニールのことについて語り、オードリーはのちにパトリシア・ニールにお詫びの陶器のバラを送ったそうです。

 それでも、最優秀主演男優賞が共演のレックス・ハリスンだとわかって喜ぶオードリーは、本当に嬉しそうです。
 たいていは嫌なヤツのレックス・ハリスンも、ここでは“深い愛を、2人のフェアレディに”と述べるなど、紳士ぶりを発揮。

 


 監督賞と作品賞はまとめられていますね。オードリーは写っていません。



 最後に、別カメラでの主演男優賞と主演女優賞の映像を。



 未だに「マイ・フェア・レディ」はジュリーが良かったとかっていう論調を見かけますが、ナンセンスですね。

 何度も書いてますが、「マイ・フェア・レディ」にジュリーが出ていたら、ジュリーの「メリー・ポピンズ」は無かったでしょうし、「サウンド・オブ・ミュージック」には最初にオファーを受けていたオードリーが出ていたかもしれません。

 「マイ・フェア・レディ」はあるけど、「メリー・ポピンズ」と「サウンド・オブ・ミュージック」の無いジュリーでいいのでしょうか?

 ジュリーだけのファンは、「マイ・フェア・レディ」も「メリー・ポピンズ」も「サウンド・オブ・ミュージック」も、さらにいうとオードリーが演じるはずだった「卑怯者の勲章」も「ハワイ」も総取り出来ると思っているのがスゴイ発想だなーと思います。
 ジュリーも大変ですよね。

 でもオードリーとジュリーは個人的には仲が良く、別荘ではお互いの家をよく行き来してたようですし、ジュリーはオードリーに本も送っています。
 2人とも性格の良いフェア・レディですもんね。気が合わないわけがないです。

 ちなみに、載せませんでしたが、この年のアカデミー賞にはアラン・ドロンも視覚効果賞のプレゼンターとして出演しています。