2023年03月18日
「BS fan」1993年5月号 “どの映画もキラキラと妖精のように輝いて見えた”
書くのを忘れていましたが、今月号の雑誌「SCREEN」での今年の人気投票のオードリーの順位は11位でした。
しかも“ゴールデン・グランプリ”という名称も使わなくなっています。“映画大賞”だそうです。
とりあえず人気投票ではかろうじてまだ洋画だけでしたが、表紙は目黒蓮さんで、内容もますます邦画の方に寄って行ってます。
もしかしたら来年くらいから人気投票も日本映画を認めていって、「SCREEN+(プラス)」のようにいつの間にか邦画雑誌になっていってるかもしれません。
今回で没後30年の追悼記事特集は終わります。
まだ資料自体はあるんですが、今年は没後30年でもあるけど、初来日40周年でもあり、「ローマの休日」アメリカ公開70周年・「シャレード」公開60年などが控えていますからね。
というわけで、今回は1993年5月号の「BS fan」。
「BS fan」は3月号、4月号に続いてこの5月号でも3か月連続でオードリーのページを作ってくれています。
ありがたいことですね。でもさすがに3か月連続だとちょっと困っているのか、オードリーのページはモノクロ1ページのみになっています。
文章は長谷川正さんというかたの “どの映画もキラキラと妖精のように輝いて見えたオードリー・ヘプバーン”。このかた、よく知らないですが、4月号でも寄稿があったので、映画評論家なのでしょうか?
画像は「昼下りの情事」のもの。
でも長谷川正さんの文章は、取り立ててここで紹介するようなことは何も無しです。
この号で紹介されている1993年4月の番組では、NHK衛星第二による「我が心のスター オードリー・ヘプバーン」としてオードリー作品7作品連続放映と、2つの特番があったのですが、長谷川正さんの文章はわりと作品のストーリーをなぞっているだけ。
この号の特記事項はここではなく、後で出てきます。
さて、毎日の番組表のところではページの左側に“Who's who”として、脇役で演じている人や、1993年当時には一般人にはちょっと縁遠くなっているかつての主演スターなどが紹介されているのですが、ここではピーター・オトゥール、アルバート・フィニー、モーリス・シュバリエ、レックス・ハリスンが紹介されています。
でも!ここもまだこの号の白眉ではありません。
この号の最も価値があるのはこの本の最後の方に載っているムービー・ガイドというページで、これは3月号でも紹介しましたが、作品ごとに切れば昔のビデオカセットの天面に貼ることもできるというところのページ。
3人の方が執筆を分担されているのですが、ここでのオードリー作品はみんな映画評論家の日野康一氏が書いてくださっています。
これが作品の紹介とはちょっと違って、その作品の裏事情みたいなことを書いてくださってるのが嬉しいんです!
日野康一氏というと、英国映画の輸入会社で働いていたため、日本では公開されなかったオードリーのイギリス時代の初期作品もブレイク前から見ていたという当時は稀有な人でした。
アメリカの進駐軍が接収していた横浜の劇場では頼み込んで「モンテカルロへ行こう」の英語版、「モンテカルロへ・ベイビー」まで見たという超貴重体験をお持ちです。
現在でも英語版の「モンテカルロ・ベイビー」は世界中のどこでも発売されておらず、見ることが叶わないオードリー作品なのですが、それを見ることが出来た!というのがすごいことです。
「モンテカルロ・ベイビー」を見た人はもう日本にはひとりも残っていないのではないでしょうか。
それ以外にも「いつも2人で」撮影中にはフランスでオードリー本人に会っていますし、当時は厳しくオードリーとのインタビューは制限されていた中で会えたっていうのはすごいことですよね。
そんな日野氏の文章が載っているムービー・ガイド、作品自体のことがあんまり書いてないのがあるので、ビデオを保管している一般の人にはどうかと思うんですが、今みるとこれが面白いし価値がある!
「緑の館」:「昼下りの情事」とともにオードリーが亡くなった時は、権利関係からテレビで放映されなかっった。絶版のビデオとともに権利復活。緑したたる森の水面に映ったオードリーの可憐さは衝撃的。妖精のような娘と若者のこの世のものとは思えぬ恋物語はオードリーなしに実現不可能な題材であろう。
「ロビンとマリアン」:中年の魅惑?いや、イメージを壊されたくない?46歳のオードリーはチャーミングなオバサマなのだ。
「昼下りの情事」:この作品もLDを除く契約が切れ、久しぶりの放送。92年末に権利が再設定されたため、オードリー死去の際、テレビに間に合わなかった。
「マイ・フェア・レディ」:これも長さの関係であろうか、地上波テレビに嫌われるミュージカルのためだろうか、亡くなったあともテレビに出なかった。
などが書いてあり、権利切れのこととか、一般人には知り得ないことがありがたいです。日野さん、グッジョブ!
でも一番興味深かったのが「いつも2人で」!
「いつも2人で」:この映画の撮影中、筆者がパリのサンモーリス撮影所を訪ねたとき、離婚発表直前のオードリーは「この映画には私の苦悩が織り込まれています」と語っていた。
えええええ!これは初耳!!(って1993年に読んでいたはずだけどね)
日野さんの他の文章ではこれまでこのことは書かれてなかった!
やはりオードリーは「いつも2人で」に自分を見ていたんですね。しかも“苦悩”と表現しているところから、小森のおばちゃまに「暗くなるまで待って」撮影中 “悩んだこともあった”とオードリーが言っていたのは、予想通りこの時期のことなんだろうなと思います。
やっぱり、やっぱりか!オードリーが、結婚とは一生添い遂げることだと思っていたのが、「いつも2人で」の頃にはもう崩壊しかかっていたんですね。
でもそれがわかると、よく67年8月までは別居もせずに一緒にいられたなと思いますけど、それでもオードリーは「いつも2人で」の内容のようにまたやり直せるかも…と頑張ったのかなーと思いますね。
よく女の人はなかなかそういう離婚とか別れとかを相手に見せないけれど、それを見せた時にはもうどうやっても手遅れといわれますよね。
「いつも2人で」のころはまだ修復できるかもと頑張って結婚生活を続けようとしてたオードリー(だから「いつも2人で」はやつれてる)も、「暗くなるまで待って」の時にはほぼ見限っていたんでしょうね(だから「暗くなるまで待って」は普通に戻ってる)。
なんかビデオカセットに貼っておくにはどうよって思う文章も、僕からしたら新しい発見のある文章でとても嬉しかったのでした。
さすが日野康一さん!
でもそんな往年の映画評論家の一翼を担う日野康一さんも、2010年10月8日に81才でお亡くなりになっていますね。
さて、このムービー・ガイドのページでは日野さんを始め、3人の評論家と「BS fan」編集部の4人でおすすめマークが載せられています。
注意書きで“映画の良し悪しではなく、4人がそれぞれの好みで選んだオススメ映画です。”と書いてあります。
3月号に載っていた「暗くなるまで待って」「ティファニーで朝食を」「ローマの休日」「麗しのサブリナ」は全部4者ともお勧めされていましたが、今回はどうでしょうか?
「緑の館」2つ、「おしゃれ泥棒」1つ、「ロビンとマリアン」2つ、「許されざる者」1つ、「いつも2人で」2つ(日野氏のマークなし)、「昼下りの情事」4つ、「マイ・フェア・レディ」4つとなっています。
ムムムと思いますが、手元に残っている20日までの映画78本で、4つおすすめマークがついているのは5本だけ(2月に続いてまた放送のヴィヴィアン・リーの「哀愁」含む)なので、そのうちの2本がオードリー作品というのは良しとしないと、かもですね。
他にはビデオカセット側面に貼るカセット・ラベルでは7作品中「ロビンとマリアン」のがないのが僕的にはちょっとお怒り。
「許されざる者」が珍し画像なのが救い。
タイトルシールなるものは「ロビンとマリアン」含めて7作品みんなあるものの、 「TV cosmos」にはあった特番用のシールは無し。
といったところです。
しかも“ゴールデン・グランプリ”という名称も使わなくなっています。“映画大賞”だそうです。
とりあえず人気投票ではかろうじてまだ洋画だけでしたが、表紙は目黒蓮さんで、内容もますます邦画の方に寄って行ってます。
もしかしたら来年くらいから人気投票も日本映画を認めていって、「SCREEN+(プラス)」のようにいつの間にか邦画雑誌になっていってるかもしれません。
今回で没後30年の追悼記事特集は終わります。
まだ資料自体はあるんですが、今年は没後30年でもあるけど、初来日40周年でもあり、「ローマの休日」アメリカ公開70周年・「シャレード」公開60年などが控えていますからね。
というわけで、今回は1993年5月号の「BS fan」。
「BS fan」は3月号、4月号に続いてこの5月号でも3か月連続でオードリーのページを作ってくれています。
ありがたいことですね。でもさすがに3か月連続だとちょっと困っているのか、オードリーのページはモノクロ1ページのみになっています。
文章は長谷川正さんというかたの “どの映画もキラキラと妖精のように輝いて見えたオードリー・ヘプバーン”。このかた、よく知らないですが、4月号でも寄稿があったので、映画評論家なのでしょうか?
画像は「昼下りの情事」のもの。
でも長谷川正さんの文章は、取り立ててここで紹介するようなことは何も無しです。
この号で紹介されている1993年4月の番組では、NHK衛星第二による「我が心のスター オードリー・ヘプバーン」としてオードリー作品7作品連続放映と、2つの特番があったのですが、長谷川正さんの文章はわりと作品のストーリーをなぞっているだけ。
この号の特記事項はここではなく、後で出てきます。
さて、毎日の番組表のところではページの左側に“Who's who”として、脇役で演じている人や、1993年当時には一般人にはちょっと縁遠くなっているかつての主演スターなどが紹介されているのですが、ここではピーター・オトゥール、アルバート・フィニー、モーリス・シュバリエ、レックス・ハリスンが紹介されています。
でも!ここもまだこの号の白眉ではありません。
この号の最も価値があるのはこの本の最後の方に載っているムービー・ガイドというページで、これは3月号でも紹介しましたが、作品ごとに切れば昔のビデオカセットの天面に貼ることもできるというところのページ。
3人の方が執筆を分担されているのですが、ここでのオードリー作品はみんな映画評論家の日野康一氏が書いてくださっています。
これが作品の紹介とはちょっと違って、その作品の裏事情みたいなことを書いてくださってるのが嬉しいんです!
日野康一氏というと、英国映画の輸入会社で働いていたため、日本では公開されなかったオードリーのイギリス時代の初期作品もブレイク前から見ていたという当時は稀有な人でした。
アメリカの進駐軍が接収していた横浜の劇場では頼み込んで「モンテカルロへ行こう」の英語版、「モンテカルロへ・ベイビー」まで見たという超貴重体験をお持ちです。
現在でも英語版の「モンテカルロ・ベイビー」は世界中のどこでも発売されておらず、見ることが叶わないオードリー作品なのですが、それを見ることが出来た!というのがすごいことです。
「モンテカルロ・ベイビー」を見た人はもう日本にはひとりも残っていないのではないでしょうか。
それ以外にも「いつも2人で」撮影中にはフランスでオードリー本人に会っていますし、当時は厳しくオードリーとのインタビューは制限されていた中で会えたっていうのはすごいことですよね。
そんな日野氏の文章が載っているムービー・ガイド、作品自体のことがあんまり書いてないのがあるので、ビデオを保管している一般の人にはどうかと思うんですが、今みるとこれが面白いし価値がある!
「緑の館」:「昼下りの情事」とともにオードリーが亡くなった時は、権利関係からテレビで放映されなかっった。絶版のビデオとともに権利復活。緑したたる森の水面に映ったオードリーの可憐さは衝撃的。妖精のような娘と若者のこの世のものとは思えぬ恋物語はオードリーなしに実現不可能な題材であろう。
「ロビンとマリアン」:中年の魅惑?いや、イメージを壊されたくない?46歳のオードリーはチャーミングなオバサマなのだ。
「昼下りの情事」:この作品もLDを除く契約が切れ、久しぶりの放送。92年末に権利が再設定されたため、オードリー死去の際、テレビに間に合わなかった。
「マイ・フェア・レディ」:これも長さの関係であろうか、地上波テレビに嫌われるミュージカルのためだろうか、亡くなったあともテレビに出なかった。
などが書いてあり、権利切れのこととか、一般人には知り得ないことがありがたいです。日野さん、グッジョブ!
でも一番興味深かったのが「いつも2人で」!
「いつも2人で」:この映画の撮影中、筆者がパリのサンモーリス撮影所を訪ねたとき、離婚発表直前のオードリーは「この映画には私の苦悩が織り込まれています」と語っていた。
えええええ!これは初耳!!(って1993年に読んでいたはずだけどね)
日野さんの他の文章ではこれまでこのことは書かれてなかった!
やはりオードリーは「いつも2人で」に自分を見ていたんですね。しかも“苦悩”と表現しているところから、小森のおばちゃまに「暗くなるまで待って」撮影中 “悩んだこともあった”とオードリーが言っていたのは、予想通りこの時期のことなんだろうなと思います。
やっぱり、やっぱりか!オードリーが、結婚とは一生添い遂げることだと思っていたのが、「いつも2人で」の頃にはもう崩壊しかかっていたんですね。
でもそれがわかると、よく67年8月までは別居もせずに一緒にいられたなと思いますけど、それでもオードリーは「いつも2人で」の内容のようにまたやり直せるかも…と頑張ったのかなーと思いますね。
よく女の人はなかなかそういう離婚とか別れとかを相手に見せないけれど、それを見せた時にはもうどうやっても手遅れといわれますよね。
「いつも2人で」のころはまだ修復できるかもと頑張って結婚生活を続けようとしてたオードリー(だから「いつも2人で」はやつれてる)も、「暗くなるまで待って」の時にはほぼ見限っていたんでしょうね(だから「暗くなるまで待って」は普通に戻ってる)。
なんかビデオカセットに貼っておくにはどうよって思う文章も、僕からしたら新しい発見のある文章でとても嬉しかったのでした。
さすが日野康一さん!
でもそんな往年の映画評論家の一翼を担う日野康一さんも、2010年10月8日に81才でお亡くなりになっていますね。
さて、このムービー・ガイドのページでは日野さんを始め、3人の評論家と「BS fan」編集部の4人でおすすめマークが載せられています。
注意書きで“映画の良し悪しではなく、4人がそれぞれの好みで選んだオススメ映画です。”と書いてあります。
3月号に載っていた「暗くなるまで待って」「ティファニーで朝食を」「ローマの休日」「麗しのサブリナ」は全部4者ともお勧めされていましたが、今回はどうでしょうか?
「緑の館」2つ、「おしゃれ泥棒」1つ、「ロビンとマリアン」2つ、「許されざる者」1つ、「いつも2人で」2つ(日野氏のマークなし)、「昼下りの情事」4つ、「マイ・フェア・レディ」4つとなっています。
ムムムと思いますが、手元に残っている20日までの映画78本で、4つおすすめマークがついているのは5本だけ(2月に続いてまた放送のヴィヴィアン・リーの「哀愁」含む)なので、そのうちの2本がオードリー作品というのは良しとしないと、かもですね。
他にはビデオカセット側面に貼るカセット・ラベルでは7作品中「ロビンとマリアン」のがないのが僕的にはちょっとお怒り。
「許されざる者」が珍し画像なのが救い。
タイトルシールなるものは「ロビンとマリアン」含めて7作品みんなあるものの、 「TV cosmos」にはあった特番用のシールは無し。
といったところです。
Posted by みつお at 21:00│Comments(0)
│その他日本の雑誌