2023年07月24日

「パラマウント友の会」1953年会報No.3「ローマの休日から」

「パラマウント友の会」1953年会報No.3「ローマの休日から」 今回は僕が現在持っている中で、一番古い「パラマウント」の号を紹介。

 前回紹介したのがNo.5で1953年11月号でしたから、これは1953年9月号に当たるもの。
 この号にはどこにも発行年月が書かれた奥付がないのですが、中身に9月29日締め切りや10月5日までなどというのがあるので、やはり1953年9月15日発行だと思われます。

 ここでは「ローマの休日から」というページと、「Paramount News」というページでオードリーが登場。

 アメリカでもついこないだ公開されたばかり(1953年8月27日)なので、日本でオードリーを取り上げたものとしては、最も早いものの1つになると思われます。

 「ローマの休日から」のページでは見出しは4つ。
 「新星 オードリー・ヘプバーン!」「ワイラーの喜劇」「ギギの名演買われて」「アメリカの誇り」となっています。

 「新星 オードリー・ヘプバーン!」では1953年-54年シーズンにパラマウントが売ろうとしている新人が3人いる。ローズマリー・クルーニーとアンナ・マリア・アルバゲティ、そしてオードリー・ヘプバーンであるが、その中でも一番パラマウントが力を入れているのがオードリー・ヘプバーンであると書かれています。

「パラマウント友の会」1953年会報No.3「ローマの休日から」 ローズマリー・クルーニーとアンナ・マリア・アルバゲッティは俳優としてはパッとしませんでしたけど、オードリーは残りましたねー。
 まさか出てきて70年経っても、生きていなくても、いまだに語り継がれるとはこの当時は流石に思ってなかったことでしょう。

 「ワイラーの喜劇」ではワイラーとしては珍しい喜劇で、ヘプバーンの演技がすばらしいと云われている、1本も作品が出ないうちから騒がれているのもそのためで、1954年はヘプバーンの年とまで云っている、と書かれています。

 オードリーの演技を評価しない日本の映画評論家もいる中で(今回解説が付く淀川長治氏と、オードリーに関するトンデモ本を何冊も出した吉村英夫氏なんかもその類)、最初期にこうした評価があったことは当時のものだから知れることですね。

 「ギギの名演買われて」の「ギギ」とはもちろん「ジジ」のこと。ここではブロードウェイでの名演技が買われたこと、それ以前は舞台でダンサーやコーラス・ガールをしていたので、唄にも踊りにも素養があったこと、今回はワイラー監督によって演技の天分を引き出してもらった、まさに鬼に金棒だと書かれています。

 「アメリカの誇り」では容貌は清純派で、特に我が国のファンにはお気に召すだろうと書かれています。そしてその汚れない美しさのかげに理性と情熱がうかがわれ、その点を高く買われている、声が非常に美しく、演技が認められたのもセリフのうまさからであったという、と書かれています。

 さらに、オードリー・ヘプバーンがあらわれたことは、パラマウントだけのプラスではなく、アメリカ映画界全体のプラスであると云われるほどであるとも書かれており、パラマウント友の会の皆さんにも1954年の楽しみが一つ増えた、となっています。

「パラマウント友の会」1953年会報No.3「ローマの休日から」 見出しはどうあれ、結局全編オードリーのベタ褒めになっていますね。また実際に映画が来ても「なーんだ」とはならずに、さらに名声が上がったんですから、本当に凄いことですよね。

 「Paramount News」のページでは、ハンフリー・ボガートがオードリーの相手役で「麗しのサブリナ」に主演すること、ボガートにとってパラマウント映画は初となることが書かれています。

 これ、ボガートは最後に決まった主演俳優ですから、オードリーとウィリアム・ホールデンはもう先に決まっています。

 あと、「ローマの休日」がヴェネツィア国際映画祭(ここではヴェニス映画祭と表記)に出品されたことが載っています。
 そして「ローマの休日」は金獅子賞の候補になりました!

 さて、今年8月25日からリバイバルされる「ローマの休日」ですが、公式サイトの体裁が整ってきました。公式サイトはこちら

 劇場情報も発表されていますが、それを見ると今回の公開は丸の内ピカデリー、MOVIXなど、松竹系の劇場の公開になっています。
 他にはイオンシネマの系列ですね。

 うんうん、とうとう松竹系の劇場で「ローマの休日」が公開されるんだね!と感慨もひとしお。

 今までは東宝系、テアトル系と、松竹とは全く縁のなかった(午前十時の映画祭を除く)「ローマの休日」ですからね。
 やっと公開70周年にして正式なリバイバルが松竹系の劇場で上映されるのかと思うと、やったね!と思います。



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この記事へのコメント
お久しぶりです。ローズマリー・クルーニーの場合は(『ホワイト・クリスマス』は別として)歌手としての実績は豊富だったのですけどね。

アンナ・マリア・アルバゲティはブロードウェイで『リリー』の舞台化『カーニバル』(1961年)に主演したこともありました。(1963年の日本語上演では浜木綿子さんがリリー役)
Posted by take at 2023年07月26日 14:42
takeさん、こんにちは!

僕もそのお二人のことはよく知らなくて(ローズマリー・クルーニーは名前は知っていましたが)、ネットで調べると二人とも歌手としての実績の方が大きいのですよね。
というかそもそもパラマウントは歌手を女優に仕立てようとしていたということなんですよね。
まあお二人本人も、別に二足のわらじは必要ないと思っていたのかもしれません。
Posted by みつおみつお at 2023年07月26日 18:04
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