2016年03月13日
「ティファニーで朝食を」1969年リバイバル版プレスシート
4月に入るとすぐに全国で “午前十時の映画祭7”が始まります。
★「ティファニーで朝食を」
2016/04/02(土)~2016/04/15(金):GROUP A
2016/04/16(土)~2016/04/29(金):GROUP B
★「マイ・フェア・レディ」
2016/05/14(土)~2016/05/27(金):GROUP A
2016/05/28(土)~2016/06/10(金):GROUP B
グループ分けなど詳しくはこちらの記事で。
また、今回の映画祭ではオードリーに出演依頼がなされながらも断った「ロシュフォールの恋人たち」「愛と哀しみの果て」もリバイバルされます。
今回は“午前十時の映画祭7”での上映記念として「ティファニーで朝食を」の1969年リバイバル版のプレスシートを紹介。
これもずーっと紹介してこなかったですねー。特にこれに関して書きたいと思うことがなく、放置状態でした。
今回せっかく “午前十時の映画祭” でほぼトップバッターとして全国リバイバルされるので、それに合わせて書くことにしました。
サイズは29.4cm×55.4cmくらいの変形サイズ。目立つためでしょうか、60年代は各々こういう特殊なサイズのプレスシートが流行ってたみたいです。
表面に凹凸のある紙で、これってパンフレットでも60年代後半〜70年代はじめにかけて流行っていたもの。
さてプレスシートというのは、基本マスコミや劇場向けに公開前に宣伝を書いてもらうためのもので、一般には出回りません。
初公開時はもちろん、正式なリバイバルが来た場合に制作されていました。
その映画の特徴や撮影裏話のような解説、ストーリーや出演者の紹介が載っています。
最近ではネット配信がメインになってきましたので、新作ではなくリバイバルという、お金をかけなくてもお客がある程度見込めて、逆にお金をかけてもそれほど人が入らないであろう作品ではプレスシートというものが作られなくなりつつありますね。
でもネットなどしてるかどうかわからないような高齢の方に訴求したい場合、ネットでいくらマスコミに書いてもらっても、興行収入には繋がらなさそうですけどねー。昨年の「マイ・フェア・レディ」リバイバルなんかも宣伝方法がちょっと疑問でしたね。
このプレスは表が縦型なのに、裏面は横型レイアウト。
表は有名な画像ですけど、この当時はまだこの程度なのかな?という印刷の質。あまりカラーが綺麗ではありません。
「ティファニーで朝食を」って日本初公開は61年だったのですが、63年公開の「シャレード」に68年に先にリバイバルされてしまい、ちょっと遅れた印象があります。
というかリバイバルって63年に「ローマの休日」、64年「戦争と平和」、65年「麗しのサブリナ」「昼下りの情事」、66年「パリの恋人」と来て、1967年はリバイバルは1本もなし。
そして1968年に「シャレード」、69年に「ティファニーで朝食を」「マイ・フェア・レディ」と続いていって、見事に第二期作品群「尼僧物語」「緑の館」「許されざる者」のリバイバルは飛ばされてしまいましたね。
1960年代後半はマカロニ・ウエスタンが流行っていたので、1960年に大ヒットした西部劇の「許されざる者」くらいはリバイバルしてあげても良かったのに…と思いますが、あくまでもクリント・イーストウッドとジュリアーノ・ジェンマだけのブームだったのかもしれませんね。
そしてその後「尼僧物語」「緑の館」「許されざる者」はリバイバルに恵まれずに今日に至ります。(「緑の館」だけは地方のみで88年にリバイバルされましたけど)
…と、ちょっと脱線しましたが、「ティファニーで朝食を」のリバイバルが遅れたのは、やっぱり「シャレード」の方が圧倒的にヒットしたからでしょうね。
「ティファニーで朝食を」初公開時、映画評論家もオードリーファンも今までになかったその個性の輝きに目を見張ったようですが、それが上手く日本では大ヒットに結びつけられなくて水準ヒットに終わったようです。
でも作品は良いので、こうして69年にも大々的にB2ポスター2種類作って(こちらとこちら)お金をかけてリバイバルしたみたいですね。
でもこの作品も「いつも2人で」ほどではないにしろ見る人を選びますよね。中身の無いスカスカ作品と見るか、名作と見るか。
見る人の感性によって評価が大きく変わる作品です。
とても清純とは言えない主人公ホリーが、清純派の代表のオードリーによって演じられたことでアメリカの女性の価値観を大きく変えたことは「オードリー・ヘプバーンとティファニーで朝食を」という本でも書かれていました。
オードリーのホリーは原作のホリーのイメージとは違うと言われてますけど、でも原作者のトルーマン・カポーティが推したというマリリン・モンローのホリーだったらどうでしょう?
確かにマリリンは見た目はホリーだったかもしれません。ですが原作のホリーは飄々としてるんですけど、実際のマリリンはよく知られているようにちょっとしたことにビクついてしまうほどかなり神経過敏。
もしマリリンが演じていたらもっとずっと神経質な、か弱いホリーになってしまっていたのでは…と思います。
オードリーはというと、華奢に見えるのに実際はかなりしっかりした芯があって、そういう部分がこの作品でも現れています。それとオードリーが本来持つ妖精的な雰囲気。そういう面がこの映画版ホリーにピッタリなのではないでしょうか。
実際今見てもモブキャラの女性たちがすっかり古くなっているのに、オードリーだけがちっとも古びていません。それこそが真のホリーだったのではないかと…。
“もう一度原作通りに映画化を…” と村上春樹さんなども書いておられますが、これは撮影時の1960年や公開時の1961年だったからキラめいた役だと思います。
現代のメイクと衣装で原作通りの戦時中という過去の設定にするのも破綻しそうだし、現代では内面は違えど、ホリーのような行動をする女性は決して珍しくはないです。
1960年という時代と31才という大人になったオードリーと原作が運命的に出会って出来上がったのがこの唯一無二の映画版「ティファニーで朝食を」だと思ってます。
それに今どんな女優さんが「ティファニーで朝食を」のリメイクで主演してもオードリーと比較されて酷評されるのは目に見えてますよね。
衣装だってジバンシィに寄せたら “オードリーの真似”、離れたら離れたで “全然違う!” と言われて一巻の終わり。
おそらく10年もすればリメイク映画は古色蒼然となるに違いないでしょう。きっと誰もホリーを演じたがらないと思います。
このホリー=オードリーは欧米ではもの凄く高く評価されていて、「ローマの休日」一辺倒の日本とは違い、オードリー最大の当たり役は「ティファニーで朝食を」というのが定説です。
このプレスでも、解説で最初に書かれているのが “数多くの秀作を誇るオードリー・ヘプバーンの主演映画のなかでもこの作品は、彼女の個性が百パーセント活かされた最高の当たり役といえよう。” という文章で始まっています。
他には “出演者は長い人気を保ち続けるオードリー・ヘプバーン” という記述。1969年時点で1954年の「ローマの休日」日本初公開から15年ですけど、このように長い間トップの人気というのは過去にはなかったこと。
実際「スクリーン」や「映画の友」「ロードショー」などを見ればわかりますが、10年も経てばすっかり載っている俳優さん、特に女優さんは変わっています。
でもまさかそれが21世紀に入ってもまだ続くとはさすがにこの文章を書いた方も予想だにしてなかったことでしょうね。過去に戻ってそれを伝えたら、本当にビックリするでしょうねー。
オードリーの紹介欄では原作を引用しています。
“いかにもシックな感じがする程スッキリやせていたが、ほとんど朝飯に出る穀物みたいに健康的な雰囲気と、石鹸とレモンの清潔さと、頬のあたりに一段と深まったピンクの色彩とを持っていた”
…これってマリリンではなくオードリーの描写に近いですよね?
あとはこの当時は馴染みが無かったのであろう “ティファニー宝石店” の説明があるのが時代ですね。
それと、このプレスシートで面白いのが、オードリーの生年を1930年にしているところ。そして 2E を演じたパトリシア・ニールが1921年生まれとなっています。
これに従えば、オードリーとパトリシア・ニールとは9才差。わかりますわかります。オードリーって若く見えるから演じてる感じとピッタリやね。
でもオードリーって実際は1929年生まれだから8才差。うん大丈夫、一緒一緒。
ところが!パトリシア・ニールって本当は1926年生まれだったようなのです!!!(Wikipedia と IMDb によると)
ええええーっっ!そしたら「ティファニーで朝食を」撮影時はオードリーの3才上の34才???見えないっ!!!
パトリシア・ニールって大人の女性の役が多かったので、逆サバでもよんでいたのでしょうか。
この映画でのオードリーは20代のおそらく前半の役(原作では19才だけど)。当時の女性の見た目を考えるととても自然な設定です。
でも2Eは!
……うーん。
設定は40代半ばくらいでしょうか。とても3才差に見えない2人なのでした。
★「ティファニーで朝食を」
2016/04/02(土)~2016/04/15(金):GROUP A
2016/04/16(土)~2016/04/29(金):GROUP B
★「マイ・フェア・レディ」
2016/05/14(土)~2016/05/27(金):GROUP A
2016/05/28(土)~2016/06/10(金):GROUP B
グループ分けなど詳しくはこちらの記事で。
また、今回の映画祭ではオードリーに出演依頼がなされながらも断った「ロシュフォールの恋人たち」「愛と哀しみの果て」もリバイバルされます。
今回は“午前十時の映画祭7”での上映記念として「ティファニーで朝食を」の1969年リバイバル版のプレスシートを紹介。
これもずーっと紹介してこなかったですねー。特にこれに関して書きたいと思うことがなく、放置状態でした。
今回せっかく “午前十時の映画祭” でほぼトップバッターとして全国リバイバルされるので、それに合わせて書くことにしました。
サイズは29.4cm×55.4cmくらいの変形サイズ。目立つためでしょうか、60年代は各々こういう特殊なサイズのプレスシートが流行ってたみたいです。
表面に凹凸のある紙で、これってパンフレットでも60年代後半〜70年代はじめにかけて流行っていたもの。
さてプレスシートというのは、基本マスコミや劇場向けに公開前に宣伝を書いてもらうためのもので、一般には出回りません。
初公開時はもちろん、正式なリバイバルが来た場合に制作されていました。
その映画の特徴や撮影裏話のような解説、ストーリーや出演者の紹介が載っています。
最近ではネット配信がメインになってきましたので、新作ではなくリバイバルという、お金をかけなくてもお客がある程度見込めて、逆にお金をかけてもそれほど人が入らないであろう作品ではプレスシートというものが作られなくなりつつありますね。
でもネットなどしてるかどうかわからないような高齢の方に訴求したい場合、ネットでいくらマスコミに書いてもらっても、興行収入には繋がらなさそうですけどねー。昨年の「マイ・フェア・レディ」リバイバルなんかも宣伝方法がちょっと疑問でしたね。
このプレスは表が縦型なのに、裏面は横型レイアウト。
表は有名な画像ですけど、この当時はまだこの程度なのかな?という印刷の質。あまりカラーが綺麗ではありません。
「ティファニーで朝食を」って日本初公開は61年だったのですが、63年公開の「シャレード」に68年に先にリバイバルされてしまい、ちょっと遅れた印象があります。
というかリバイバルって63年に「ローマの休日」、64年「戦争と平和」、65年「麗しのサブリナ」「昼下りの情事」、66年「パリの恋人」と来て、1967年はリバイバルは1本もなし。
そして1968年に「シャレード」、69年に「ティファニーで朝食を」「マイ・フェア・レディ」と続いていって、見事に第二期作品群「尼僧物語」「緑の館」「許されざる者」のリバイバルは飛ばされてしまいましたね。
1960年代後半はマカロニ・ウエスタンが流行っていたので、1960年に大ヒットした西部劇の「許されざる者」くらいはリバイバルしてあげても良かったのに…と思いますが、あくまでもクリント・イーストウッドとジュリアーノ・ジェンマだけのブームだったのかもしれませんね。
そしてその後「尼僧物語」「緑の館」「許されざる者」はリバイバルに恵まれずに今日に至ります。(「緑の館」だけは地方のみで88年にリバイバルされましたけど)
…と、ちょっと脱線しましたが、「ティファニーで朝食を」のリバイバルが遅れたのは、やっぱり「シャレード」の方が圧倒的にヒットしたからでしょうね。
「ティファニーで朝食を」初公開時、映画評論家もオードリーファンも今までになかったその個性の輝きに目を見張ったようですが、それが上手く日本では大ヒットに結びつけられなくて水準ヒットに終わったようです。
でも作品は良いので、こうして69年にも大々的にB2ポスター2種類作って(こちらとこちら)お金をかけてリバイバルしたみたいですね。
でもこの作品も「いつも2人で」ほどではないにしろ見る人を選びますよね。中身の無いスカスカ作品と見るか、名作と見るか。
見る人の感性によって評価が大きく変わる作品です。
とても清純とは言えない主人公ホリーが、清純派の代表のオードリーによって演じられたことでアメリカの女性の価値観を大きく変えたことは「オードリー・ヘプバーンとティファニーで朝食を」という本でも書かれていました。
オードリーのホリーは原作のホリーのイメージとは違うと言われてますけど、でも原作者のトルーマン・カポーティが推したというマリリン・モンローのホリーだったらどうでしょう?
確かにマリリンは見た目はホリーだったかもしれません。ですが原作のホリーは飄々としてるんですけど、実際のマリリンはよく知られているようにちょっとしたことにビクついてしまうほどかなり神経過敏。
もしマリリンが演じていたらもっとずっと神経質な、か弱いホリーになってしまっていたのでは…と思います。
オードリーはというと、華奢に見えるのに実際はかなりしっかりした芯があって、そういう部分がこの作品でも現れています。それとオードリーが本来持つ妖精的な雰囲気。そういう面がこの映画版ホリーにピッタリなのではないでしょうか。
実際今見てもモブキャラの女性たちがすっかり古くなっているのに、オードリーだけがちっとも古びていません。それこそが真のホリーだったのではないかと…。
“もう一度原作通りに映画化を…” と村上春樹さんなども書いておられますが、これは撮影時の1960年や公開時の1961年だったからキラめいた役だと思います。
現代のメイクと衣装で原作通りの戦時中という過去の設定にするのも破綻しそうだし、現代では内面は違えど、ホリーのような行動をする女性は決して珍しくはないです。
1960年という時代と31才という大人になったオードリーと原作が運命的に出会って出来上がったのがこの唯一無二の映画版「ティファニーで朝食を」だと思ってます。
それに今どんな女優さんが「ティファニーで朝食を」のリメイクで主演してもオードリーと比較されて酷評されるのは目に見えてますよね。
衣装だってジバンシィに寄せたら “オードリーの真似”、離れたら離れたで “全然違う!” と言われて一巻の終わり。
おそらく10年もすればリメイク映画は古色蒼然となるに違いないでしょう。きっと誰もホリーを演じたがらないと思います。
このホリー=オードリーは欧米ではもの凄く高く評価されていて、「ローマの休日」一辺倒の日本とは違い、オードリー最大の当たり役は「ティファニーで朝食を」というのが定説です。
このプレスでも、解説で最初に書かれているのが “数多くの秀作を誇るオードリー・ヘプバーンの主演映画のなかでもこの作品は、彼女の個性が百パーセント活かされた最高の当たり役といえよう。” という文章で始まっています。
他には “出演者は長い人気を保ち続けるオードリー・ヘプバーン” という記述。1969年時点で1954年の「ローマの休日」日本初公開から15年ですけど、このように長い間トップの人気というのは過去にはなかったこと。
実際「スクリーン」や「映画の友」「ロードショー」などを見ればわかりますが、10年も経てばすっかり載っている俳優さん、特に女優さんは変わっています。
でもまさかそれが21世紀に入ってもまだ続くとはさすがにこの文章を書いた方も予想だにしてなかったことでしょうね。過去に戻ってそれを伝えたら、本当にビックリするでしょうねー。
オードリーの紹介欄では原作を引用しています。
“いかにもシックな感じがする程スッキリやせていたが、ほとんど朝飯に出る穀物みたいに健康的な雰囲気と、石鹸とレモンの清潔さと、頬のあたりに一段と深まったピンクの色彩とを持っていた”
…これってマリリンではなくオードリーの描写に近いですよね?
あとはこの当時は馴染みが無かったのであろう “ティファニー宝石店” の説明があるのが時代ですね。
それと、このプレスシートで面白いのが、オードリーの生年を1930年にしているところ。そして 2E を演じたパトリシア・ニールが1921年生まれとなっています。
これに従えば、オードリーとパトリシア・ニールとは9才差。わかりますわかります。オードリーって若く見えるから演じてる感じとピッタリやね。
でもオードリーって実際は1929年生まれだから8才差。うん大丈夫、一緒一緒。
ところが!パトリシア・ニールって本当は1926年生まれだったようなのです!!!(Wikipedia と IMDb によると)
ええええーっっ!そしたら「ティファニーで朝食を」撮影時はオードリーの3才上の34才???見えないっ!!!
パトリシア・ニールって大人の女性の役が多かったので、逆サバでもよんでいたのでしょうか。
この映画でのオードリーは20代のおそらく前半の役(原作では19才だけど)。当時の女性の見た目を考えるととても自然な設定です。
でも2Eは!
……うーん。
設定は40代半ばくらいでしょうか。とても3才差に見えない2人なのでした。
Posted by みつお at 21:00│Comments(0)
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