2024年10月07日

「戦争と平和」1964年リバイバル 60周年記念 ブロマイドと共に

「戦争と平和」1964年リバイバル 60周年記念 ブロマイドと共に 今日は「戦争と平和」が1964年に1回目のリバイバルをしてから、ちょうど60年になります。
 それを記念して、以前明智常楽さんに頂いた「戦争と平和」のブロマイドを紹介。

 これ、以前別の記事用にとスキャンは済んでたんですが、結局使用するのを忘れてしまって、今回使うことにしたんですけど、色修正して黄ばみを取っていたものを、今回の記事のためになるべく現物通りの色で再度スキャンし直しました。

 というのも、僕のもうひとつのブログ “おしゃれ泥棒、オードリー・ヘップバーン!”のこちらの記事で書きましたけど、オードリーが実際に生きている時代のブロマイドや写真というものは、これだけ黄ばんでくるというのを見せておきたかったので。

 明智常楽さんがオードリーファンになった時代を考えると、手に入れたのは1970年代のはずですが、それでもこれだけ黄ばんでしまうんです。

 なので、いろんなところで売っている真っ黒のままのプリントに “自称オードリーの直筆サイン”がされているものが、いかに詐欺であるかを認識していただけたら、と思います。

 だいたい、写真が黄ばまない・薄くならない100年プリントというものは1984年に日本で発売されたものですし、それ以前の写真というものはどんなに頑張っても経年劣化してしまうんです。

 昔のおじいさん、おばあさんの写真が今見ても白黒ハッキリして、黄ばんでないなんてありますか?
 カラーだと退色してない、なんてことありますか?

 それに、オードリーのブロマイド写真にオードリーがサインするってどういう状況?
 それはオードリーが来るとわかって準備していないと出来ないことですよね。

 オードリーがそういうサイン会みたいなのを開いたのは、“オードリー・ヘプバーンの庭園紀行”の本を発売した1991年のこと。
 しかもそれはその本にサインしたんですよね。

 昔は今みたいなネットの情報がなかった時代ですから、オードリーが空港に来る!などというのがそんなに知れ渡るはずもなく、写真を準備してサインをもらう、というのはほぼ出来ないというのがわかると思います。

 運良く偶然街中でオードリーを見かけた人が、オードリーにサインをもらおうとすると、何に書いてもらおうとするかと言うと、普通の紙やノートになるんですよね。

 昔の雑誌に載っているオードリーが街中でサインしているスナップ写真でも、オードリーはノートやメモ帳にサインしていることが多いんですよね。

 その紙やノートすらほとんど出回らないのに、ブロマイドにサインしたものが大量に出回っているって、常識で考えて有り得ないと思いませんか?

 ましてや、オードリーとグレゴリー・ペックなどの共演者の両方のサインがあるなんて、どれだけレアな状況だと思いますか?
 そんな貴重なものが、一般人に手に入るとでも?それを数百円〜数万円で手に入れられるとでも?

 芸能人にファンレターを送ったら、返事とサイン入りブロマイドが入ってた、っていうのはありますが、もちろんファンレターをくれた全員に返事などくれるわけもなく。

 オードリーから個人に返事が来た、サインも入ってた!っていうのは、過去の「映画の友」でも「スクリーン」でも僕は見たことがありません。

 「映画の友」や「スクリーン」という雑誌の会社に対してはサイン入り写真を送ってたことが何度かあったようですが(今それらの貴重なサインがどこにあるのかが不明。誰か内部のものがパチった?)、読者には全く。

「戦争と平和」1964年リバイバル 60周年記念 ブロマイドと共に まあオードリーのことですから、高圧的に書いてあげない!というのではなく、誰かひとりに書くと不公平になってしまうから、というのもあるでしょうし、もちろん家庭での夫や子供との時間を大事にしたいから、というのもあったのでしょうね。

 本物のサインは、例えばオードリーの共演者や監督の家にならあるかもしれません。
 でもそういうものはメルカリやヤフオクなどではなく、クリスティーズなどの高級オークションなどに掛けられて出て来るものです。

 出どころもわからず、安価に大量に売られている(最近は高価になってきて、さらにたちが悪いです)偽物サインを、本物だと思って買わないようにしてください。

 さて、大きく話が逸れてますけど、今日は「戦争と平和」1964年リバイバルから60年でしたね。

 このリバイバルは、1964年10月7日から10月30日まで東急系の劇場である渋谷東急・新宿東急・上野東急という劇場で封切られた後、全国を巡りました。

 銀座に劇場を持たない東急系での公開だったからか、この「戦争と平和」64年リバイバルはかなり地味。
 いくつかの資料では64年リバイバルを忘れられてたりしますしね。

 東宝や松竹での公開だとパンフレットも豪華になるんですが、東急系の公開だったので、外部のパンフレット業者の日本映画社とかに丸投げで作成してて、あんまり64年リバイバルの「戦争と平和」パンフレットは出来が良くないです。

 さて、以前の記事の「映画の友」1962年5月号(1962年3月発売)で書いたように、リバイバルブームが起こっていた60年代前半でのリバイバル希望で、第20位という高順位だった「戦争と平和」。やっと1964年にリバイバルと相成ったわけですね。 
 
 20位というのはオードリー作品では「ローマの休日」に次ぐ2番目、「麗しのサブリナ」(圏外)よりも上位だったわけですよね。
 それだけ当時はオードリー版の「戦争と平和」が高く評価されていたということ。

 当時のオードリーファンは、「戦争と平和」がリバイバルされて、本当に嬉しかったでしょうね!
 それに今と違って、映画ファンの中には文芸映画(有名な原作本のある映画)というジャンルが好きっていう人たちもいたようなので、そういう人にも支持されていたのでしょう。

 まだソ連版も公開されてないし、パラマウント日本支社は絶妙なタイミングでリバイバルしたことになりますね。
 1966年の7月にはソ連版「戦争と平和」日本公開の運びとなります。

 そういえば、ソ連版のナターシャの初登場シーンは、米国版のオードリー初登場シーンをなぞったと言われてますね。
 本当かどうかは、僕はソ連版には興味がなく、見てないので知りませんが…。

 そしてオードリーの「戦争と平和」は、1956年、64年、73年、87年、89年と5回も日本で全国公開され、公開数ではソ連版を圧倒しています。最近リバイバルがないのが残念ですが。

 僕はオードリーの「戦争と平和」を見るときは、内容がお堅いので、かなり「よいしょ!」と構えないと見れないのですけど、昔の人は軽く観れたのかなぁ〜、凄いな〜と思ったり。
 僕はやっぱりロマンティック・コメディのオードリーがいいと思っています。

1964年リバイバル「戦争と平和」関連過去記事
立看ポスター
プレスシート
バンフレットA・B
パンフレットC
バンフレットD
バンフレットE(大阪映実版)
バンフレットF・G(外映版)


タグ :戦争と平和

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Posted by みつお at 12:00│Comments(6)戦争と平和
この記事へのコメント
 みつお様、プロマイドの話で思い出したことが。故・志ん朝が「火焔太鼓」のまくらで、古道具屋のあるじから
 「ちょうど良かった、小野道風から乃木将軍に宛てたってのが入ったんですよ」 
 「冗談じゃあない、時代が違うだろ、あるわけないじゃないか」
 「いえそのあるはずのないのがあるのが面白いんで…」
 てなわけで買っちまったってお粗末ですが、最近の皆さんも似た心境なのでは。

 ’62年「戦争と平和」でまた少し疑問が浮かびました。当時両親が出かけ、気分が悪くなった母が途中の帰宅したことは以前お話しましたが、その後もソ連版公開で凄く長かったと言っておりましたのでてっきりそちらかと。

 ところが当方がオードリーファンになってから改めて確かめると「ヘプバーンのよ」と自信たっぷり。それでも今回リバイバルに銀座が外れているのを知り、また疑問が深まりました。両親が他の地域にまで映画を観に行ったとは考えにくいので…まあ遠いむかしのものがたりですが。

 秋来ぬと逆に体調が急変調で、この一週間で二度救急車を呼ぶ羽目に。ところが二度とも特に問題なしで帰され、ひたすら横臥しております。来週の外来診察まで果たしてもつかどうか…いや失礼しました。
Posted by Edipo Re at 2024年10月08日 19:24
Edipo Re さん、こんばんは。

体調がお悪いようですが、とても心配しております。
元気の塊だった僕も、歳とともにあちこちにガタが来ており、年を取るとはこういうことかと実感しております。
どうか栄養を摂ってご自愛ください。

さて、お母様の「戦争と平和」の件、64年ではなく62年ですか?
そうするとそれはもしかしたら初公開時のフィルムが名画座に回ってきてた時のことかもしれませんよ。
名画座でも例えば銀座文化劇場などの銀座の映画館がありましたし、フィルムの権利が切れるのが公開後7年というのを考えると、62年ごろは56年初公開の「戦争と平和」のそろそろ権利が切れる頃で、最後の上映をしてたとしても不思議ではありませんし。

もし64年より後でも、フィルムが2番館3番館と回っていると思いますので、やはり65年ごろには銀座文化に流れていたのかもしれません。
まだオードリー映画の日本での公開の全容は掴めていないので、2番館3番館などの公開までは調べられていない状況なので、ハッキリわからなくてすみません。

他に考えられることとしては、お母様はアメリカ版、ソ連版と両方ご覧になっておられるのなら、長い間のうちに思い出がごっちゃになっていたのかもしれません。
でも僕としてはお母様の言ってることが本当だとして考えたいですね。

サインはですねー、たぶん買っている人は本当にオードリーのだと思ってるんじゃないかと思うんですよね。
まあ僕は絶対に買いませんけど、サインとは関係なく、珍しい画像にニセモノサインだったら、画像のために欲しくなるかもしれません笑。
Posted by みつおみつお at 2024年10月08日 22:46
お久しぶりです。
オードリー主演の「戦争と平和」は、いまさらトルストイのあの重厚な歴史大作
を読破する気力も体力もない私のようなグータラな人間にとっては、本当に有難い作品で、何度も鑑賞しています。娯楽大作として本当によく出来た映画だと何度観ても感心します。
ソ連版は、たしか70年台に日曜洋画劇場で、なんと3週にわたって放映されたんですよね。国家予算を湯水のように使って作られた作品なわけですから、ゴージャスではありましたが・・・ナターシャ役のリュドミラ・サベ-リエワはそこそこ魅力的な女優でしたが、他の出演者たちは、地元では名優として高い評価を受けていた人たちなのかもしれませんが、私はあまり魅力を感じませんでしたね。かなり退屈しました。
この手の文芸大作は、原作を1行も読んでないような人たちが見ても楽しめる作り方をしてナンボという気がします。世の中、そうゆう人間の方が圧倒的多数なのですから。
Posted by ヴェロニカ・ハメル at 2024年10月18日 05:55
ヴェロニカ・ハメルさん、こんばんは!
お越しいただいてめっちゃ嬉しいです!!

おっしゃるとおり、僕も今更「戦争と平和」は読む気力がありません。
他のオードリー作品の原作は手に入る限り読んでみたのですが、どうにもこうにも超大作の「戦争と平和」だけ食指が動きませんでした。
映画は原作の文芸の香りは無くとも、娯楽作品としてはとても良くまとまってますよね。
初公開時にも、原作を読んだ批評家にはあの超大作をよくぞここまでまとめ上げた!と高く評価されていたようですし。

ソ連版は一部の人たちには好評のようですが、やはり俳優さんの魅力には欠けますよね。そして長ったらしい。
原作に手が出ないのと同じ理由がソ連版にあります。
僕も本当の「戦争と平和」を知りたい、というわけではなく、オードリーを見たいだけですので、一生ソ連版は見ることが無いだろうなーと思います。何年か前にイギリス版ドラマの「戦争と平和」をNHKでやってましたけど、やはりオードリーがいない作品には興味がなく…。

ただ、オードリーの「戦争と平和」は昔だからか、最初の窓からみんなが兵隊さんを見てるシーンの家の外壁が今見るとものすごくセットくさいのが気になります。絶対に下に兵隊さん通ってへんやろ!って思ってしまいます笑。
それでもヴェロニカ・ハメルさんのおっしゃるように、原作を読んだことのない人が見て楽しめる、という点で、オードリー版「戦争と平和」は立派に役目を果たしてますよね。
Posted by みつおみつお at 2024年10月18日 16:23
1973年
姉と見に行きました。大スクリーン堪能しました。
テレビでは迫力ありませんが繰り返し見ています。
Posted by 明智常楽 at 2024年11月04日 18:53
明智常楽さん、こんにちは!
お身体は大丈夫ですか?
そしてこれらのオードリーの写真をありがとうございます!

73年のリバイバルは僕にとっても良かったです。
73年には見れていませんが、そのフィルムが名画座に流れたおかげで、僕も後年劇場で見ることができました!
Posted by みつおみつお at 2024年11月06日 06:46
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