2024年12月05日
日本初公開60周年記念 映画の友「マイ・フェア・レディ」誌上プレビュー

1964年の公開直前の号に載ったのであろう「マイ・フェア・レディ」誌上プレビューの紹介。
この切り抜きも中学時代から持っているもの。もちろん本は潰してしまっていて、1964年だということはわかるのですが、何月号というのはわかりません。
以前記事にしたこの画像たちと同じ号なのかもしれません。
この誌上プレビューだけでも16pもあって、これだけでも大特集状態。他にもこの号で記事があったとすると凄いことになりますよね!
いかに当時「マイ・フェア・レディ」が映画界全体から推されていたか、観客からも期待されていたかがわかります。
なにせ公開前から前売券の売れ行きだけで、もう大ヒット間違いなしだったし、おそらくこの号が出る頃には関係者への試写も終わっていたのでしょうが、その段階で傑作だ!ということは知れ渡っていたでしょうし、各映画評論家もべた褒めだったことでしょう。
製作のワーナー・ブラザース日本支社や上映の東宝はもちろん、こういう映画雑誌や女性誌などでも、1964年の年末〜1965年お正月映画の最大の目玉として大ヒットの期待を一身に背負っていたことと思います。

この時の年末年始の他の劇場でのライバル作品は、同じ東宝の劇場の日比谷映劇が「トプカピ」、スカラ座が「青春カーニバル」、松竹のチェーン・マスター丸の内ピカデリーが「輪舞」。
ですから、正直どの作品も「マイ・フェア・レディ」の敵ではありません。
「マイ・フェア・レディ」は公開前から長期ロングランが決定していて、実際294日(42週)にもわたって有楽座で上映していたことからも、すごいヒットだったことが伺えますからね。
以前Julie poppinsさんに教えていただいたのですが、「マイ・フェア・レディ」の有楽座での第1週の動員数は24110人。新聞広告で「マイ・フェア・レディ」は平日は2回の上映、土日祝は3回の上映だったことがわかっていますから、第1週目は16回の上映だったことがわかります。

この24110人を16で割ると、1回の上映で約1507人が入ったことがわかります。
有楽座の座席数は1572席。ほぼ満席だったとこいうことですね。
もちろんこれは平日の昼間も平均で割っていますから、土曜の晩や日曜などはもっと多かったのだと思います。
ちなみに最も動員数が多かったのは5週目の25446人。もちろんこれはここが年末年始だったからですね。

元日は2回しか上映していないのと、土日がちょうど2日3日だったので、この週も16回の上映になっていただろうと思います。
ということで、この週は1回につき平均1590人も動員していたことがわかります。
でもこれだと有楽座の座席数を超えていますね。ということは、立見席のチケットでも設定していたんでしょうかね?
正月3が日なんかは、立ち見だけでもいっぱいいたのではないでしょうか。
ものすごい大混雑だったんでしょうねー。

9月20日で有楽座での上映を終えた後は、10月2日から同じく東宝封切館の1つである丸の内東宝に劇場を移して、さらに2週間上映されています。
なので1965年の有楽座は、1年の3/4は「マイ・フェア・レディ」を上映していたため、「マイ・フェア・レディ」を入れても6作品しか上映されていません。
65年の12月10日には「メリー・ポピンズ」が有楽座で封切られて、これも183日間のロングランでしたが、日本では圧倒的に「マイ・フェア・レディ」でした。

もちろん65年になってからは地方都市でも続々「マイ・フェア・レディ」は封切られていたので、日本全国で大ヒットになっていましたね。
というわけで、64年度(1964年1月〜1965年6月)の日本での配給収入は第2位で4億7601万円、65年度(1965年1月〜12月)でも第2位で6億5282万円とものすごい数字を叩き出しています。
集計期間のダブりがあるので、トータルでは7億8867万4000円(67年)になって、当時の洋画での歴代4位、ワーナー映画としては世界で1位だったし、日本でも73年まではワーナー映画の第1位でした。

この大ヒットを受けて、1969年の1回目のリバイバルでも、またしてもお正月映画に選ばれます。そのお話はまた近いうちに。
この誌上プレビューでは僕は見慣れてしまってますけど、やはり初公開時だっただけあって、今となっては珍しい画像がいっぱい!
「マイ・フェア・レディ」って、オードリーがべらぼうに綺麗な作品の1つだと思っているので、こないだのコスタコーヒー なんかでも使ってくれればいいのにね!ありふれた画像ばっかりなんて勿体無い!

僕だったらコスタコーヒー はオードリーの各時代の美しさと作品の代表作の4つの画像にするかな。「ローマの休日(or麗しのサブリナ)」「パリの恋人」「マイ・フェア・レディ」「おしゃれ泥棒」。
この誌上プレビューの最後のアスコット競馬場の衣装のポートレートもめちゃくちゃキレイですよね。

“オードリー・ヘップバーンの「マイ・フェア・レディ」が70ミリの大画面にお目みえする日がいよいよ近い。内容的に言っても粒の揃った歌曲、緻密で無駄のない構成などの点で、ブロードウェイミュージカルの古典となるにちがいない傑作だ。これでまたひときわ映画としての楽しさを持ったミュージカルに生まれ変わったわけだ。”
“花売り娘のボロまでも可愛く着こなすヘップバーンが、だんだん着飾って、美しくなって、晴れがましい場所へ出かけて行く。その変わり目のあざやかさ、あでやかさ。”
と書かれています。
プレビューの各ページでは、「マイ・フェア・レディ」の歌曲からの大見出しが付いていますね。有名どころでは「スペインの雨」が無いみたいですけど。あ、「運が向いてきたぞ」も無いですね。
60年前の12月5日は土曜日。有楽座も梅田スカラ座も千日前スバル座も、超満員だったことと思います。