2023年07月05日

「ローマの休日」リバイバル新情報

写真の提供はTCエンタテインメント様です。

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配給:TCエンタテインメント|提供:『ローマの休日4K』配給委員会
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「ローマの休日」リバイバル新情報 TCエンタテインメント様から、8月25日にリバイバル公開される「ローマの休日」の新情報が届きました。

 それと一緒に、使ってもいい画像も届きましたので、それも紹介。
 画像は例によって転載を防ぐためにこのブログのアドレスを入れています。(こないだも「暗くなるまで待って」を紹介するYouTubeで、まだアドレスを入れてない頃のうちのブログからの画像の転載がありました。)

 まず、情報としては「ローマの休日」上映の際に、“淀川長治氏による「日曜洋画劇場」解説付上映決定!”なんだそうです。
 映画の前だけでなく、映画上映後にも付くんでしょうかね?

 そしたら「ローマの休日」上映後に淀川長治さんの解説と“サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ”って聞いて終わるってわけですね。

「ローマの休日」リバイバル新情報 まあ斬新な上映方法だとは思いますよね。映画館なのに、まるでテレビの洋画劇場のような感覚。

 でも、若い人からしたら“これ誰?”状態ですよね。もう1998年に亡くなってるので、30歳以下の人にとってはとても縁遠い人になっていそうです。

 それと、コアなオードリーファンはわりと淀川長治さんのことを快くは思ってない。
 僕もそのうちの一人なんですよねー。

 淀川長治さん、どうも二枚舌というかその時その時で書く内容がガラッと変わってしまうということがあったのと、自分の空想の産物をまるでそれが本当のように書くという悪いクセがあったので、どうもオードリーの評論に関しては好きじゃありませんでした。

 そんなことは知らなかった頃は、淀川長治さんといえば当時1番有名な映画評論家でしたし、信じていたのですが、そういうのを知ってしまってからはねー…。

「ローマの休日」リバイバル新情報 例えば、「パリで一緒に」を映画パンフレットでは褒めていたのに、「オードリイ・ヘップバーン全集」ではボロボロにけなしているとか、まあ原稿代が発生する映画パンフレットでは良い事を書くけど、実際はこう思っているんだねーとかわかってしまうと子供心にも“なんだかなー”と思ってしまったのでした。

 それと「いつも2人で」、公開当時は雑誌でもすっごく映画を褒めて書いてて3度見る必要があるなどとも書いていたし、「映画の友」の友の会でも褒めていたそうなのに、80年代後半になってオードリーが再ブームになった時に出た雑誌「FLIX」90年8月号では“これもダメ”って書いていて、またまた怒りが込み上げました。

 「いつも2人で」は67年の初公開の後、91年までリバイバルは無かったので、90年に出た「FLIX」の時までは淀川長治さん、「いつも2人で」は見てないはずなんですよね。

 67年から90年の23年の間に、いつの間に淀川長治さんの中での「いつも2人で」の記憶が変質してしまったのでしょうね。

「ローマの休日」リバイバル新情報 23年の間にねじ曲げられた記憶でそのまま“ダメ”って書くのはちょっと映画評論家としてはどうなの?と思ってしまいますがね。
 90年というと淀川長治さんも晩年に差し掛かっていますから、一般的な“老害”と呼ばれることになってしまってたのかもしれませんが、僕にはいただけません。

 それと同じ「FLIX」90年8月号の文章は酷かった!淀川長治さんの想像がさも本当にオードリーがそう思ったかのように書かれていて、これで決定的に嫌いになりました。

 まー酷かったですよ。オードリーが焦っただの泣き付いただの、淀川長治さんの妄想が炸裂しています。

 それまでにも二枚舌的な部分が子供にも透けて見えていたのでいい感じはしなかったのですが、これはアウト!

 それ以降、オードリーの評論家としては淀川長治さんは僕の中では蚊帳の外の人扱いになって、吉村英夫氏と一緒の “オードリーに関して書かれてる事を一切信用できない評論家” というジャンルに分類されるようになりました。

 他にはIMDbとか昔のWikipedia日本語版に出典もなく書かれていた、“オードリーは55番が好き、楽屋もその番号のを希望していた”というのをテレビで喋った有村昆氏なども同じ分類。

 だいたい “楽屋”ってなんなの?大ホールでコンサートじゃないんですよ。オードリーとかの映画俳優の映画スタジオでの楽屋みたいなのはトレーラーと言って、トラックの後ろの銀のコンテナみたいなのを使用するのに、55番もへったくれもないでしょうよ。

「ローマの休日」リバイバル新情報 それに主演俳優が使うトレーラーは一番豪華で特別なものだったでしょうし、55番って…。
 もし万が一楽屋を使うにしても一番大きな部屋が充てられたでしょうから、“55番”などというのはあり得ませんね。

 さらにオードリーが数字にこだわるなんて聞いたことないですからね。
 もちろんそんなことはオードリーの伝記には一切書かれていません。

 と、ちょっと大脱線しましたけど、そんな感じで淀川長治さんの解説が付きます!ってもそんなに嬉しくはないです、僕は。

 むしろ見てみたいのはゴールデン洋画劇場での高島忠夫さんの解説ですかね。
 二枚舌でモヤモヤする淀川長治さんの解説ではなく、心からそう思って喋っている高島忠夫さんの解説の方が僕はずっとずっと好きです。

 それに「ローマの休日」を最初にテレビで放映したのはフジテレビのゴールデン洋画劇場ですしね。
 高島忠夫さんは「いつも2人で」のこともゴールデン洋画劇場のパンフレットで褒めてくださってました。

 さて、同時にいただいた「ローマの休日」のデジタルデータ。
 画像自体は珍しいものは1点もありません。それが残念なんですが、まあ仕方ないっちゃあ仕方ない。
 もうリバイバルではそんな珍しい画像は使ってもらえませんからね。無難なものばかりになってしまう。

「ローマの休日」リバイバル新情報 でもこれを見て思ったのは、昔ならこれってキャビネ写真が配られたんだろうなーってこと。

 90年代までの映画館をご存知なら、映画館には上映中や近日上映の作品のキャビネ写真を劇場の表とかに飾ってあったのもご存知でしょう。ガラスケースで覆われて壁やケースに入ってたんですよね。

 ついこないだお知り合いになった方から伺いましたが、80年代までの作品はキャビネ写真にタイトルが入ってたとのこと。
 80年代後半からの日本ヘラルドのリバイバルではタイトルを入れなかったそう。

 以前に明智常楽さんからいただいた「ローマの休日」のキャビネ写真も記事にしています。こちら

「ローマの休日」リバイバル新情報 昔ってこういうキャビネ写真を、新聞や雑誌などのたくさんのマスコミや全国の上映してくれる映画館などに発送していたんでしょうね。
 郵送料など大変な宣伝費がかかっていたことだろうと思います。

 他にもポスターやプレスシートも発送しないといけないしね。
 まあ映画パンフレットは必要な部数が映画館によって違うので、上映する映画館がお金を出して発送してもらっていたのかもしれませんが。

 なんかそういう昔の映画の宣材のやりとりとかはどうなっていたのかとか、詳しい方がいたら教えていただきたいくらいです。

 今回、この宣材がデジタル化されていたので、そういう昔にも想いを馳せてしまったのでした。



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この記事へのコメント
みつお様、「ローマの休日」の淀川長治氏解説付き4K上映のニュースには当方も苦笑しました。おっしゃるように淀川氏の二枚舌にはかねてより首を捻っておりましたから。また大昔「噂の二人」をワイラーの旧作「この三人」と比較し、特にマール・オベロンに比べオードリーが〇タなどと言われていたのを記憶していましたので。

結局淀川氏も執筆活動とTVカメラの前では二つの顔を使い分けておられたのでしょう。まあTVでのレギュラー映画解説のパイオニアが淀川氏であったのは紛れもない事実ですし、それもまたある意味やむを得なかったのではとも思いますが。ただ、以前おすぎ氏の当方が直接目と耳にした言動に関してお伝えしましたが、二枚舌と良く言えば歯に衣着せぬ言動はあの方々のある意味特徴なのではないかと。こんなことを述べると途端に「差別だ!」などと言われかねない昨今の状況もヤレヤレではありますが…。
Posted by Edipo Re at 2023年07月05日 19:13
Edipo Reさん、こんばんは!

そうですよねー、この淀川長治さんの解説付き上映ってのを考えついた人って、オードリーに関しては全然詳しくない人ですよね。
本当のオードリーファンなら、淀川長治さんを使おうという発想にはならないと思います。

「噂の二人」への酷評も酷かったですよねー。他の映画評論家さんが「噂の二人」を褒めているのに、淀川長治さんだけ大酷評でしたもんね。
「この三人」、見たことはないのですが、確かにマール・オベロンと比べるとオードリーの演技力は劣っているのかなーとは思います。
でもヴィヴィアン・リーの「無敵艦隊」とか「茶碗の中の嵐」とかを見ると、戦前の映画って戦後の映画とは演技の質が違うように思うんです。
なんかどうしても戦前の映画は作り物っぽい演技だったように思うんですよね。日本映画でも50年代の物と、今の映画では演技のやり方が全然違う。どうも昔のはわざとらしいと感じてしまうんです。昔のニュース映像でも、80年代の女子たちの口調が既に今とは全然違いますしね。なので僕が「この三人」を見ても、そんなに感心するかどうかはかなり疑問なんです。やはりその人その人の生きてきた時代ってのもあるかなぁと。

それとあれもダメこれもダメ!っていうのを振りかざす、今の風潮は僕もいただけないです。
Posted by みつおみつお at 2023年07月05日 21:10
みつお様、オードリーからも映画からも外れますが、しばしお付き合い下さいませ。

今月休刊=事実上の廃刊となったクラシック専門誌「レコード芸術」ですが、半世紀近く前の’74年に評論家に関する当方の投稿がきっかけで、ちょっとした「コップの中の嵐」が巻き起こってしまったことが。

その当時、既に読者投稿欄にて評論家の在り方についてかまびすしかったのですが、同じ頃に同誌でストラヴィンスキーやシェーンベルクについて連載を持っていた英文学者で詩人かつK大教授であったK.Y.氏なる人物に当方が噛みついたことがきっかけで起きた事態なのでした。

実のところK氏は音楽面ではアマチュア未満であり基本的な知識もまるで不足している方だったのでその点を当方は率直に指摘したのですが、驚いたことに翌月号には当方に賛同する意見が幾つも。更には時を同じくしてやはり氏が寄稿していたこれも今は無いジャズ専門誌「スイングジャーナル」でも飛び火したようにK氏批判の火の手が上がったらしいのでした。

まあ騒ぎは数ヶ月で終息し、氏は幾つかの連載を失ったようでしたが有名私大教授でおわしましたからさしたる影響も受けなかったと思われます。ただしその数年後に渋谷のレコード店で偶然ご本人と遭遇(お顔は存じていました)した際はバツの悪い思いもしましたが。ちなみに氏は比較的早く他界されたかと。

淀川長治氏に戻りますが、あの当時本格的に文筆とTV解説の二足の草鞋を履いていたのは氏の他に荻昌弘、水野晴郎の両氏だったかと。ただ荻氏はTVでもかなり皮肉なコメントをされることも珍しくなく、水野氏はいずれにおいても「イヤー映画って本当に良いものですね~!」でまとめてしまい、あからさまな二枚舌はやはり淀川氏ならではだったのかと。まあ今日では「サヨナラ、サヨナラ…」の温顔のイメージのみが残り、「黒淀川」の実像が忘れ去られつつあるのはこれもまたやむを得ない時の流れなのでしょうか。温顔の裏側に隠された本当のお人柄だったかも知れぬむしろその面こそ評論家淀川長治の実像だったのではと考えるのですが…。
Posted by Edipo Re at 2023年07月06日 19:07
ええっ!!とまずレコ芸の実質廃刊に驚いております!
レコード時代からCD時代まで、チャイコフスキー、ドヴォルザークはじめ、クラシックのことを調べる時はレコ芸をよく見ていました。
広告の出し方でそのレコード会社のチカラがわかったりして、僕にとっては音友もありましたが、やはりレコ芸でした。なんか見やすかったんですよね。レコ芸の大賞で、ドミトリエフ指揮のチャイコの組曲全集を考慮してくださってた方がいらした時は嬉しかったです!今でもチャイコの組曲第三の最高の演奏はドミトリエフのだと思っています。
「スイングジャーナル」も懐かしい名前ですよね。ジャズには縁がないので読むことはありませんでしたが…。
こうして紙もの媒体は次々と失われて行ってるのですね。まさかレコ芸が無くなる時が来るとは!

でも偉そうなのに内容が伴ってないって批評家は本当に不快になりますよね。僕にとっては吉村英夫氏がその最たるものでした。全然オードリーのことを知らないのに、ファン面して「ローマの休日」以外をこき下ろして文章を書く氏の姿勢が本当に最悪でしたね。よくこれで映画評論家を名乗れるし、オードリーのくだらなくて誤った著作を次々出せるものだな、と。そんな氏に文章を書かせるキネマ旬報まで評価が下がってしまいました。

でも映画評論家の神のように崇められていると思っていた淀川長治さんが、実はやはり僕のように感じていた人も多くいたと知ったのは、このブログをやっていたおかげですね。「黒淀川」…そうですか。そういう言われ方もしてたのですね。納得です。
しかも僕の知らなかったやはり問題ありの映画評論家津村秀夫氏の話まで教えていただいたり。
荻昌弘氏はわりと皮肉コメもあったのですか?それなら雑誌でもいつもオードリー作品を褒めてくれたのはますますありがたいことですね。
Posted by みつおみつお at 2023年07月06日 21:45
増田貴光さんだけが、ノーギャラで会えました。
Posted by 明智常楽 at 2023年07月07日 22:50
増田貴光さん、その後のお写真って全く見当たりませんね。
最期は穏やかな人生だったのでしょうかね。
Posted by みつおみつお at 2023年07月08日 17:15
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