2009年12月29日
北野圭介 著:大人のための「ローマの休日」講義
これ、だいぶ前に出てたんですよね。発行は2007年8月。
今まで長い間ほったらかしだったのは、なんとなく僕とは合わないんじゃないか、という“予感”がしてたんです。アマゾンで1円になってたので、やっと買って読んでみたら…案の定でした(笑)。
なんかね、まわりくどいんです。「ローマの休日」のことを語るのに、ぐるぐるぐるぐる外側ばかり攻めている感じで…。
読んでると “いったいいつになったら「ローマの休日」本質の話になるんや?” って思いました。
結局全部読んで印象に残ったのは、
■ニュース映画
■宮殿(窮屈さ)
■ジョーの部屋(出会い)
■ローマでの冒険
■ジョーの部屋(別れ)
■宮殿(覚悟と決意)
■記者会見
という「ローマの休日」がシンメトリックな構成になっている、という部分だけでした。
副題のように“オードリーはなぜべスパに乗るのか?”とかってのも全然わかりません(笑)。
ま、もともとこれは抽象的な言い回しだろうなってことはわかってましたけどね。
吉村英夫氏の本、“「ローマの休日」ワイラーとヘプバーン”がほとんどワイラー論であるにもかかわらず、かなり「ローマの休日」のこともオードリーのことも(内容はどうかとは思うけど)突いていた本であったんですが、この本は結局外堀を埋めて、本丸は遠くから眺めているだけで終わった、ってそんな感じでした。
オススメ度:なし。この本の存在もすぐに忘れそう…。
2009年12月28日
「オードリーのように…」パメラ・キーオ:著 近代映画社
原書はパメラ・キーオ(Pamela Keogh )の“What Would Audrey Do?”。この著者は、過去に「オードリー・スタイル」という本も書いてますね。それが好評だったんでしょうか?オードリーもの第二弾。
これはね、オードリーのように生きましょう!なんて言ってますけど、ようするに“オードリーにはこんなことがあった”っていうオードリーのエピソードを書いている本なんですよね。実質伝記本。
ま、今までの伝記では洩れたような細かいことも載っているんですけどね。
ただ、書いてあることはこの著者が自分で調べたのかどうかはかなり疑問。
というのも、過去の伝記で間違っていることはそのまんま。たとえば日本のCMに出たこととか。
ウィッグの「ヴァリエ」(←この表記は訳者の調査不足)のものが唯一だとか、撮影は2日間だけだとか…。
どれかの伝記本で間違ってるままだし。
日本の本とかを自分で調べあげたら、こんな間違いは直されるはずですけど。
それがないってことは、他の人の書いた(欧米の)伝記をそのまま二次使用してるだけってことの証明。
それにこの本が原因らしいとは思っていたのですが、ジョン・F・ケネディ(後の大統領)とオードリーが付き合っていたというのはどうなんでしょう…。週刊誌で書かれたような、ケネディの愛人だった、とかってことは書いてないんですけど、「麗しのサブリナ」の時期にウィリアム・ホールデンとメル・ファラーとジョン・F・ケネディと付き合ってたってのはどうかと…。
おそらくオードリーの中ではケネディはずっと良いお友達だったのではないかと思いますけどね。だからこそ1963年に大統領の誕生日にハッピバースデーの歌を歌えたんじゃないかと。
さらにさらに、愛人などというのはオードリーの性格上、絶対に有り得ないですよね。
ま、ただこの本でおっ!と思ったのは、海外ではなぜかオードリーと同列に論じられるジャクリーン・ケネディ・オナシスを、オードリーより一段下に置いているところでしょうか。僕もあんまりジャクリーンが素晴らしい!とかって思わない方なので。
というわけで全体的に見て、オードリーのことを調べる時にこの本は必需品か?と問われると、僕は必要無いんじゃない?と思いますけどね。
ま、読みやすいエピソード集ってことで。事実でないことも混じってますけど。
表紙は海外のものよりもいいですよね!淡いピンクがオードリーに合っています。
ちなみに本文にオードリーの画像はありません。イラストだけ。
オススメ度:★
2008年07月04日
SCREEN新書「オードリーに学ぶおしゃれ練習帳」清藤秀人著
あまりの内容の充実ぶりに、途中で読むのを止めれなくなって、一晩で読んでしまいました。(^^;;;
これは清藤秀人さん著の「オードリーに学ぶおしゃれ練習帳」という本です。近代映画社から、「SCREEN新書」創刊4冊の中の1冊として今年6月30日に刊行された、最も新しいオードリーに関する本。文章中心です。
清藤さんが前回「オードリー・ヘプバーン 98の真実」で大量に引用して大失敗した、嘘で汚れたダイアナ・メイチックの本は、今回は当然ですが外されています。
巻末に載っている、今回の参考図書は、チャールズ・ハイアム、バリー・パリス、アレグザンダー・ウォーカーの3種の伝記と、2000年のオードリー展で売られていた図録「オードリー・ヘプバーン:私のスタイル」。
中身は“さすが清藤さん!”というものに仕上がっているんですが、先に気になった部分を書いておくと、
・「いつも2人で」の6回の旅を4回と表記している。
清藤さんの文章を見ると、友人夫婦との旅と、マーク一人旅が勘定に入ってない。この本で「ティファニーで朝食を」に次いで二番目に好き!となっているのに?清藤さん、マジですか??
・メイクの話で、「おしゃれ泥棒」は年齢相応(37才となってる。実際は36才)のマダムに踏みとどまらせた、という部分。
今でこそ、「シャレード」や「おしゃれ泥棒」の頃は“マダム風”かもしれませんが、これは時代を考慮してないのでは?
確かに「マイ・フェア・レディ」よりは老けた「おしゃれ泥棒」のオードリーですが、それでも当時の日本の20代の街行く女性に比べたら、まだまだ若々しく美しいオードリー!「おしゃれ泥棒」のニコルは20代の役だし、当時の女性誌などでも、“なぜオードリーはいつまでも若いのか!”みたいな特集が普通に組まれていたことでも、それはわかります。
「おしゃれ泥棒」のポートレートではシワの見えるオードリーも、映画では撮影のチャールズ・ラングが上手で全然見せません。
しかも、今のDVDでこそ綺麗なマスターから起こしなおしているものの、「おしゃれ泥棒」は以前はとても発色の悪い、のっぺりした油絵のようなプリントだったので、そんなアラは見えるはずもなく…。
・オードリーが71年に出演した日本のCM、エクスラン社のウィッグは「バリエ」ではなく、「ヴァリーエ」が正しいですよぉ~。
これは固有の商品名だから、書き方がどうでもいいわけではないです。
他にも、“?”なところがないことはないんですが…。(^^;;
あと、これは僕は混乱しまくっているのですが、「麗しのサブリナ」の両肩にリボンの付いた黒のドレス(日比谷映画劇場版のパンフの表紙の服)はジヴァンシーなんですか?ここでは後に世界のジヴァンシー・ショップのウィンドウを飾るとなってて、ジヴァンシーのっぽいんですけど、イディス・ヘッドが7個のアカデミー賞と一緒に並べていたデザイン画にこのドレスのものがあったので、もうどっちのやら…。
誰かこの2着の正しいデザイナーを教えてください!(^^;;;
肝心の中身の方ですが、今までオードリー本は数々あれど、70年代のヴァレンティノ・ガラヴァーニの洋服や、晩年によく着ていたラルフ・ローレンに関して書いてある本は初めて!この2人とオードリーの関わりではまだまだ知りたいことはありますが、今までほとんど空白に近かったこの2人との関係の初の本として大きな価値があります。
他にも“「おしゃれ泥棒」以降のメイクに、よりエレガンスを感じる。”などと僕と全く同じ意見も書いてくれてるので、“ウンウン!そうだよね!”って嬉し涙ぐみ~。
「ティファニーで朝食を」「パリの恋人」「シャレード」「マイ・フェア・レディ」「いつも2人で」「暗くなるまで待って」に関しては1作品で一章が割かれています。
その「いつも2人で」のページでは、スタンリー・ドーネン監督がオードリーにとっていかに重要であったかが的確に述べられています。最大の功労者であったとも!さすが清藤さん!!
そして、順位は変わるものの、清藤さんのベスト3は、1位「ティファニーで朝食を」、2位僅差で「いつも2人で」、3位「パリの恋人」だそうです!う~ん、オードリーを見てる人の選び方だなーと感心することしきり。
そしてこの本は、パンドラの箱を開けています。今までなんとなく感じてても、僕は心に封印してた、“実はジヴァンシーよりもイディス・ヘッドの方がオードリーに重要な役目を果たしていた。”ということを暴いてるんです!
“まわりにサンローランのファンはいても、ジバンシーのファンはいない。”とも。
きゃー!言ってはいけないことを~~!!
それでもやっぱり僕はオードリーにはジヴァンシーの方が重要だった、と信じたいです。(^^;;;
画像は平凡なものが多いですが、中に珍しい画像も混じっています(右上のものなど)。また、2000年のオードリー展の「オードリー・ヘプバーン:私のスタイル」が手元にないと、ちょっとわかりにくいであろう洋服の説明があります。
とにかく、オードリーファンなら内容的には非常に満足できる出来になっています!
オススメ度:★★★★
2008年04月30日
「ぼくの採点表」…双葉十三郎氏の素晴らしいシネマガイド!
膨大な映画作品が日本公開年代別に収録されており、今回紹介するのは、オードリーに関係のある第1巻 1940・1950年代、第2巻 1960年代、第3巻 1970年代、第4巻1980年代、第5巻 1990年代の5冊。他には別巻の戦前編もあります。
1巻から4巻まではトパーズ・プレス社というところの発行ですが、5巻は発行元が変わって、キネマ旬報社。
「ぼくの採点表」は雑誌「スクリーン」に、2001年くらいまで続いていた連載です。内容は短い映画評で、各作品に双葉さんの採点なさった点数が付けられていました。
双葉さんの批評は、自分の趣味や好き嫌いに左右されることのない、非常に公平かつ正しいもので、僕なんかは誰よりも双葉さんを信頼していますよねー。
70~80年代、「ロードショー」はたくさんの人が自分の好みで評価していて、誰を信用していいのかわからない!という状況になっていました。それとは非常に対照的で、「スクリーン」の双葉さんの評価を見れば大丈夫!というものでした。
これらはそれを全部まとめた本なのですが、めっちゃ分厚いです。平均700ページ!第1巻なんかは975ページまでノンブル(ページ数の表記)があります。まるで昔の電話帳か、百科事典といったボリューム!
双葉さんにオードリー映画は何点付けられているのか…僕も小さい頃からとっても気になっていました。「スクリーン」にはリバイバルであっても、公開後何ヶ月かあとに、最後の方のページで点数が紹介されていましたので、ドキドキしながら古本の巻末でチェック入れてましたよ~。
これらの解説を読むと、双葉さんが近代映画社の「スクリーン」に「ぼくの採点表」をスタートしたのは1952年1月号、あるいは2月号だそうです。でも点数方式の原型は1951年2月号にすでに出てくるそう。
40年代の作品や、「ぼくの採点表」で取り上げられてない50~60年代初期のA級作品は別の雑誌に載った双葉さんの映画評から持ってきたものだそうです。
☆1つは20点、★1つが5点の目安、ということで映画の採点をしてらっしゃいます。
☆☆☆★★★…上出来の部類
☆☆☆★★、
☆☆☆★…見ておいていい作品
☆☆☆…まァ水準程度
☆☆★★★…水準以下だが多少の興味あり
☆☆★★以下…篤志家だけどうぞ
ということです。ちなみに、双葉さんは完全無欠というのは有り得ないと思ってらっしゃるので、☆5つという100点はありません。最高点でも☆☆☆☆★★の90点。最低は★★の10点です。
さて、気になるオードリー作品ですが、載っている双葉さんの採点を発表しましょう!
「麗しのサブリナ」…☆☆☆☆
「戦争と平和」…☆☆☆★★
「パリの恋人」…☆☆☆☆
「昼下りの情事」…☆☆☆☆
「尼僧物語」…☆☆☆★★★
「緑の館」…☆☆
(以上 第1巻 40・50年代)
「許されざる者」…☆☆☆★★
「ティファニーで朝食を」…☆☆☆★★★
「噂の二人」…☆☆☆★★★
「パリで一緒に」…☆☆☆★
「シャレード」…☆☆☆☆
「おしゃれ泥棒」…☆☆☆★★★
「いつも2人で」…☆☆☆☆
「暗くなるまで待って」…☆☆☆☆
(以上 第2巻 60年代)
「ロビンとマリアン」…☆☆☆★★★
(以上 第3巻 70年代)
「華麗なる相続人」…☆☆☆★
(以上 第4巻 80年代)
「オールウェイズ」…☆☆☆
(以上 第5巻 90年代)
「初恋」…☆☆☆
となっていました。
あと、「戦争と平和」の点数なんですが、1973年リバイバル時の「スクリーン」本誌では☆☆☆★★★ということになっていました。
「スクリーン」誌上で載った作品の採点は変えてない、ということなのですが、「世紀の女王」という作品で、本文と解説の点数が違ってたりもするので、「戦争と平和」は☆☆☆★★なのか☆☆☆★★★なのか、どっちなんでしょうねー。
さて、こうしてみると、オードリー作品がどれだけ名作・傑作の含有率が高いかよくわかりますよね!
「ローマの休日」の85点を筆頭に、80点7本、75点5本などです。
散々な言い方をされることの多い「パリで一緒に」や「華麗なる相続人」ですら☆☆☆★なので、オードリー作品では上位ではなくても、実はそんなにヒドくないのがわかりますよねっ。
「パリで一緒に」の批評では、“オードリーはいいムードで魅力があるが、クワインの演出がパッとせず”って、どこに原因があるのかも書いてくださってます(やっぱり監督のクワインかよっ!)。
むしろ作品的には「オールウェイズ」の方が双葉さんの批評では下位に置かれていますねー。オードリーの遺作なので、あんまりヒドイことは書かれることのない「オールウェイズ」ですけど、本当は…(モゴモゴ)、みたいな。(^^;;
「緑の館」はあまりの点の低さに目を疑いました!でも、第4巻の双葉さん本人の前書きで、80年代になって映画の質が全体に落ちてきたので、昔だったら低い点だったはずの物でも今はもっと高い点が付いている…とのことだったので、「緑の館」も今ならもう少し点が良くなるかも…なんて思ってます。(^^;A
また、点数的には“見ておいていい作品の上”の「許されざる者」ですが、双葉さんは個人的にはお好きだったようで、1960年度のベスト10の第10位に入れてくださってます。
残念だったのは、日本では劇場未公開で、ビデオだけの発売の作品も数多く評価されている1980年代で「ニューヨークの恋人たち」が入ってなかったこと!双葉さんならどう評価してくださったか…とても興味があったのでぜひぜひ読みたかったですねー。
オードリーの伝記本に載っている作品の評価なんかより、はるかに適確で、これさえ押さえれば大丈夫!って自信をもってオススメできる双葉十三郎さんの批評。
現在の映画雑誌では、ここまで信頼できる評論家の文章が皆無なのが残念!最近の「スクリーン」を読んでも、“双葉さんの採点があったらなー”って思うこともしばしば。
読み物としても面白く、映画ガイドブックとしても完璧な「ぼくの採点表」。
数は少ないものの、2000年代の「ぼくの採点表」もまとめられることを願っています。
オススメ度:★★★★★(←ちなみにこれは僕の満点。25点とちゃいますよーっ!映画好きの方に。)
さあ!もうすぐオードリーの誕生日ですね!その日用の記事の腹案はあるのですが…あまりに大変なので、実を結ぶかどうかまだ不明、といったトコロです。(^^;;;
2008年04月17日
「虹のヲルゴオル」橋本治 著のユニークで素晴らしい女優論!
僕のは91年に発行された講談社文庫のものですが、88年に単行本が発売されています。で、その元はファッション雑誌「ef」(今はデジタル雑誌に変身)に掲載された物だそうです。
これは橋本治さんの女優論で、雑誌の時は12人だったそうですが、単行本の時にブリジット・バルドーが追加され、文庫本の時にシャーリー・マクレーンが追加されたそうです。なので、読むにはこの文庫版が一番おトクかも?
さて、橋本治さん、ご存知ですかね?最近は文庫本はどれも絶版状態で、手に入りにくくなったんですけど、「桃尻娘」などの独特の空気感をもった作品で、80年代~90年代に人気があったんですけどね。
僕も「桃尻娘」のシリーズは大好きです!そのちょっとHな題名から連想される内容とは全然違って、高校~大学生の青春ストーリーなんですけどね。
これ、シリーズの第六巻であり、最終巻でもある「雨の温州蜜柑姫」なんて、同じ主人公の短編集なんですが、時系列が逆に配置されてるんですよ!
そう、結婚して子供もいる主人公から、どんどん若くなっていって、最後は第五巻につながるような終わり方…。
シリーズ物って、最後が悲しくてヤじゃないですか。せっかく慣れ親しんだ登場人物たちとこれでもうお別れだなんて!
ところが橋本治さんは、これを逆に配置することによって、この最後のお別れの痛みを軽減してくださってるんですよね。
この技法、なんか、あるオードリーの作品に似てません?
とにかく、既に「桃尻娘」シリーズでファンだった僕は、本屋で見かけたオードリーの表紙と「橋本治」の名前に惹かれて買ったんですけどね。買ってよかった!と思わせる1冊でした。
さて、本文では橋本治さんが、鋭くも楽しく自由な女優論を展開されており、中で解説を書いてらっしゃる小藤田千栄子さんもおっしゃってるように、“目からウロコ”的な事柄がいっぱいあります!
僕も楽しく、そしてビックリさせてもらいながら、かなりこの本には影響受けたクチです。
トップはオードリーなんですけど、ここで取り上げているのは表紙の「パリの恋人」でも、「ローマの休日」でもなく、なんと「いつも2人で」!そう、時系列をバラバラにすることによって、どんどん暗くなる、っていう作品にはしなかった「いつも2人で」!
あっ!ですよね。「雨の温州蜜柑姫」も時系列の逆転が起こってましたけど、さすが橋本治さん!目の付け所が違います!
橋本治さんは「いつも2人で」を5回の旅(実際は6回)だとか、2回目と3回目の旅の順番を間違ったりしてますけど、それは些細な瑕疵。一見オードリー作品では異質な「いつも2人で」を取り上げながら、スターオードリーの全てを語りつくしてしまってます。
オードリーは“初めての舞踏会が似合う少女”なんだそうです。言われてみれば…ですよね。「いつも2人で」以前の作品にはそこまでのお話しかなかったのに、「いつも2人で」でとうとうその後のお話を演じた、ということが書かれています。
オードリー以外の女優さんのお話にもオードリーは度々登場します。
たとえば、マリリン・モンローの中では、“女って別に肉体だけじゃない”ってことを男に分からせる為に、“肉体だけじゃない、だから肉体のない”オードリー・ヘプバーンと“肉体だけじゃない、そして十分に肉体のある”マリリン・モンローの両方が必要だってことがかいてあるんですよね。なるほどー!みたいな。
他にもヨーロッパのジャンヌ・モローの「エヴァの匂い」が、アメリカでやったらオードリーの「ティファニーで朝食を」になる、とかね。
オードリーと関係なくても、エリザベス・テイラーは「我を崇めよ」って顔だとか、カトリーヌ・ドヌーブがドスドス歩く「終電車」とか笑ってしまうのも多かったです。
それにヴィヴィアン・リーの部分では、なんでヴィヴィアン・リーが精神を病んでしまわなければならなかったかのかなり鋭い指摘がなされてて、なるほど!って思っちゃいました。
繊細な演技のヴィヴィアンは、舞台ではなく映画に合っていたってとこ。でも愛するローレンス・オリビエは自分は舞台俳優だ!って思ってて、ヴィヴィアンもそれについていく。負けるもんか!って思っても、舞台俳優としてはオリビエよりも格が落ちてしまう。
そうですよねー。全体で見られるオーバー気味の演技をする舞台と、クローズアップの多用のある自然な演技が求められる映画では、明らかにヴィヴィアン・リーは映画向きですよね。
でも私は私の道を行くわ!って言ったらオリビエと離れなければならない。オリビエを死ぬほど愛しているヴィヴィアンにはそんなことは出来ない。でも舞台でも負けるもんか!だったら、精神を病むしかないですよね。
もうもう、僕なんかはこれを読んで以降、絶対ヴィヴィアンはそうだったんだ!って確信してますよね。伝記なんかでもなぜヴィヴィアンが躁鬱病になったのかは考察されてないんですけどね。
それと、最後に解説を書いてくださった小藤田千栄子さんに関しても書いてらっしゃるんですけど、小藤田さんが“年をとらない”ってのは、僕も感じてるんですよね。さすがに20代とは思わないですけど、いつまでも40代くらいなのかなーって。
とにかく、オードリーファンに限らず、映画ファンならぜひぜひ一読をオススメします!スゴイ本ですよ、これは!
オススメ度:★★★★★
さて、2006年12月26日から毎日欠かさず記事をアップしてきた「オードリー・ヘプバーンといつも2人で」ですが、僕自身の環境も変わり、毎日アップすることが困難になってきました。
ここで僕の誕生日である今日を境に、今後は不定期アップにスタイルを変えようと思っています。
なので、今日は僕の大好きな橋本治さんの「虹のヲルゴオル」の記事にさせていただきました。
まだ紹介してないパンフも多々ありますし、チラシやポスターも…。やめるつもりはないので、記事を書くのが苦痛でないよう、ゆっくり、のんびりやっていきたいと。
毎日来てくださっている方には本当に申し訳ないです。m(_ _;)m
記事はここまでで485ありますので、どうかまだ読んでない記事、あるいは忘れてしまった最初の方の記事などをしばらく読んでいただけると嬉しいです。
とか言いつつ、明日アップするかもしれないですけど。(^^;
せめて週に1回は記事を書くつもりですので、今後も「オードリー・ヘプバーンといつも2人で」をよろしくお願いいたします。
2008年03月28日
私の一本の映画1 キネマ旬報社・編
著名人50人に、想い出に残る一本の映画、ということで選んでもらい、その映画について語ってもらう、という内容です。
中では阿久悠さんが「ローマの休日」を、村上春樹さんが「いつも2人で」を挙げておられます。
阿久悠さんは「ローマの休日」を観た時に、オードリーという“奇跡の妖精”の存在に対して“アッ!”と声を出したそうです。
“光がそのまま凝結し、人間の体温まで冷却したという感じで、オードリー・ヘップバーンは現れた。”と書いておられます。
これはわかるわかる!って感じですよね。「ローマの休日」に限らず、オードリー映画を最初に見た人に起こる共通のことですもんね。僕なんかは「いつも2人で」でそれが起こりました。
きっとみなさんも、最初に見たオードリー映画でそれが起きたことでしょう。
でも阿久悠さんは別にオードリーファンにもならなかった、と書いておられます。
僕にしても、これは阿久悠さんの文章ではなく、村上春樹さんの「いつも2人で」の文章にぐっと惹かれたんですよね。
やっぱり僕としては「いつも2人で」に関する文章なんて、それだけでも嬉しいじゃないですか!その上、村上春樹さんは、神戸でこの映画を観たと書いておられるんです!
初版時だか新装再版時だかの神戸新聞で、この本の書評が出て、やはり神戸新聞会館大劇場で「いつも2人で」を観たという村上春樹さんのことが書かれていました。
でも、「いつも2人で」は松竹系の配給でしたし、東宝系の神戸新聞会館大劇場で公開されたとは考えにくく、これは村上春樹さんの記憶違いだろうと思うんですけどね。(^^;;
おそらく神戸で松竹系としては最大級の劇場だった、神戸国際会館内の国際松竹でご覧になったんだろうと思われます。
村上春樹さんは、高校時代に当時のガールフレンドと一緒に「いつも2人で」を観たそうです。
その彼女が観終わったあとに「もう一度観たいな。」と言ったそうで、村上春樹さんもこの映画を気に入ってたので、もう一度観たそうです。そしてもう一度観ても面白かったと。
そして、村上春樹さんの周りにはこの映画のファンが多くて、みんなで「いつも2人で」について語るとのこと。当時、「いつも2人で」どころか、オードリーについて語れる人は周りにいなかったので、そんな状況がすごく羨ましく&想像だけでも嬉しくて、妙に印象に残ったものでした。
これは1982年に「私の一本の映画」として初版が出たのですが、当時は立ち読みで済ましていました。でも村上春樹さんの「いつも2人で」のことはもの凄く印象に残っていて、1996年に遅れて第2巻が出ることになり、新装再版が第1巻ということで発行された時にやはり買っておこうと思い、買ったんですよね。
(でもまさか初版から14年も間があいていたとは!この間に、オードリー冬の時代からリバイバルの嵐による再ブーム、そしてオードリーの死まで劇的な変化を遂げてました。)
他にもいろんな方の思い出話が載っていて、それぞれに楽しく、なかなかな一冊になっていると思います。たまに読み返してしまうんですよねー。(^-^
オススメ度:★★
2008年03月02日
「オードリー・ヘップバーンのおしゃれレッスン」大橋 歩 著
僕の持っているのは2005年に集英社文庫から出た文庫版ですが、これは1993年に単行本で出てたんですよね。
もちろん1993年の時もこの本の存在は知っていたのですが、中身を見てオードリーの画像がないので(イラストレーターの本なので当たり前なんですが…)、当時は買わなかったんですが、文庫になって買いやすくなったので、この機会にと思い購入しました。
で、読んで思ったのは、“よくまあここまでファッションを観てくださったなあ~!”ってこと。女性ならではの視点で、オードリーの衣装を解説してくださってます。
僕も読んでてそこまで頭が回ってないので、“ほうほう!へえへえ!”って思いながら読んでました。
「昼下りの情事」や「麗しのサブリナ」はモノクロ映画なので、考えて色を付けてくださってます。現存するカラー画像で見ると本当の色は違う物もあるんですが、大橋さんの付けた色目もまた素敵。
「パリで一緒に」の最初に出てくるうぐいす色のスーツが、この文庫では黄色になってるのが気になりました。でもきっと大橋さん、印刷で出しにく~い、微妙にグリーンの入った色(この文字色の、もっと黄色味が強い色)を付けてらしたんじゃないかなーと。(^^;;
おそらく大橋さんはグリーンで描いたのに、印刷工程で色が変わってしまったんだと思ってます。
文章であれっ!?と思ったのは“プライベートな写真を見ると、特別におしゃれでセンスがよい人には思えない。”というくだり。
いや、別にそれを批判、とかいうことは全然なく、このようなことを「オードリー ファッション物語」という写真集を出した原 由美子さんも書いていたこと。
ただし、原 由美子さんは過去にそう思っていただけで、「オードリー ファッション物語」では逆にオードリーを知るにつれてそれは誤りで、やはりセンスがいい人だとわかった、と書いておられます。
とりあえずオードリーって、プライベートではそういう印象を与えてしまうのかなー、と。原 由美子さんは前言撤回してますけど、大橋 歩さんの意見は93年のまま。
こういう対照的な意見があるのが面白いな~と思ったんですよね。
実際のオードリーはどうだったんでしょうねー。みなさんはどう思います?
オススメ度:★(オードリーの画像はないので、そこを納得して買ってください。)
2008年01月26日
「オードリーの魅力を探る」 レイチェル・モーズリー著
内容はイギリスの女性から見たオードリー・ヘプバーン論の研究、というもの。原著はマンチェスター大学出版社から発行というだけあってもっと学術的だったようですが、日本版では一般的に読みやすいように著者によるスタイルの変更が行われているそうです。
今でもオードリーの人気の高いイギリスの女性を、“オードリーとリアルタイムで人生を過ごした人”“80年代後半からのオードリーブーム再燃後にオードリーファンになった人”に分けて話を聞いて分析しています。
帯で謳っているように“オードリー映画の見方が変わる!ファン必携の一冊”とまでは正直全然思いませんが、特にオードリーと一緒に人生を過ごした人の話はなかなか面白かったです。
中でも“今の女優にエレガントな役ができるでしょうか?オードリーがやったように「マイ・フェア・レディ」や「シャレード」や「ティファニーで朝食を」を演じられると思いませんね。”というのと、“オードリーには気品がありました。彼女の写真で、顔を隠し、服装や立ち姿だけを見ても「オードリー・ヘップバーンだ」ってわかりますよね。”っていうのはなるほど!そうそう、そうだよね!って思いました。
確かに「マイ・フェア・レディ」や「ティファニーで朝食を」はオードリーじゃない候補もいましたが、オードリーだからこそ“エレガント”という要素が付け加えられたんでしょうし、一見オードリーじゃなくてもいいような「シャレード」はオードリーだからあれだけ素敵で軽快な大傑作・代表作に仕上がったんですよね!
それに「ティファニーで朝食を」などで顔の見えない画像って何点かありますけど、やっぱりオードリー!ってわかりますもんね。
一時期(5年前くらい)、アメリカのIMDBのサイトのオードリーの欄でポール・ニューマン主演の「パリが恋するとき」(A New Kind of Love)にオードリーがカメオ出演している、というデマが書かれていたことがありました。
一応“未確認”ということでしたが、特別出演でモデル役で出ている、と。
実際に「パリが恋するとき」の輸入ビデオをお借りして観てみましたが、もう全くのデマだってわかりました。遠目に見えるモデルさんの役の人は歩く姿・プロポーション・オーラ、ぜんっぜんオードリーと違う!やっぱオードリーならすぐわかります。
他のシーンでも後姿がオードリーに似ている人がカフェのシーンで出ていましたが、それも違うと判明。
きっとオードリーをよく知らない人が“これオードリーじゃないか?”ってだけでオードリーの出演作品に追加したんでしょうね。
その後、アメリカでもこの映画を観た人が“オードリーなんて出てないやんけ!” ってことで削除されたんでしょう、今はもう載ってませんから。
IMDBとかでも間違いは起こるので、書いてあることをなんでもかんでも信用しない方がいいですね。やっぱり自分で確認しないと!(^-^
オススメ度:★
2007年12月02日
エレガントな女性になる方法 オードリー・ヘップバーンの秘密
これは主にオードリーやオードリーに関わった人たちの言葉を集めた物。その中でオードリーのエレガンスの素を探り、エレガントな女性になりましょう!という意図の本。
原書は2004年に発行されており、いろんな本や記事、テレビでのインタビューなどから言葉が選ばれています。
でもその時には息子ショーンの伝記も、バリー・パリスの伝記も発売後。なので、イアン・ウッドワードやチャールズ・ハイアムの伝記からは採用されても、嘘だらけとバレたダイアナ・メイチックの物はきれいさっぱり省かれています。当然ですよね。
決して写真集扱いではないのですが、画像点数も多く、しかもこれだけにしか収録されてない画像も多いので、意外と充実度は高いです。
本来カラーやねんけど…っていう画像も多いので、それがカラーだったら言うことなし!なんですけどねー。
原書では本文はツルツルの紙なんですけど、日本版はザラザラの紙に変更。そのためかどうか、画質が日本版ではボロボロになっているものもあります。(p117の画像とか)
オススメ度:★★★
2007年11月24日
「ローマの休日 My Fair Audrey」小藤田千栄子編
編者は小藤田千栄子さんで、他に渡辺祥子さん、清藤秀人さん、林冬子さん、山田洋次監督などの「ローマの休日」への文章がまとめられています。
同じ「ローマの休日」という書名でも、書く人が代わるとこんなに印象って変わるの??っていうくらい、吉村英夫氏のヒドイ文章とは違います。
吉村英夫氏のはオードリーは見てないし、理論だけでの評価だし、なんでもかんでも「ローマの休日」にひっつけようとするわ、オードリーはおもいっきり低俗化するわで、むしろ嫌悪感を催すような文章に仕上がっています。
でもこちらはやはり編者の小藤田千栄子さんはじめ、皆さんがまず“愛情”というエッセンスで「ローマの休日」を語るので、納得できるし、ステキな文章に仕上がっています。
一部、小藤田千栄子さんの文章は嘘のメイチックの伝記を引用しますが、これはバリー・パリスの伝記が発売される前なので、仕方ないことですし、ささいな瑕疵で済んでいます。
とにかく、本当に「ローマの休日」に関して読んでみたいのなら、吉村英夫氏の本ではなく、こちらをオススメします。
オススメ度:★★★



