2019年02月08日

「スクリーン」1958年11月号 オードリーが表紙

「スクリーン」1958年11月号 オードリーが表紙 今年は「尼僧物語」「緑の館」が公開60周年に当たります。

 他にも「華麗なる相続人」は制作40周年、「オールウェイズ」制作30周年、「パリで一緒に」「マイ・フェア・レディ」は公開55周年だし、「麗しのサブリナ」も公開65周年になります。
 もっと言えば「ローマの休日」は日本公開65周年だし、「許されざる者」は撮影60年。

 まあその気になればオードリーの生誕90周年だけでなく、あれこれ付けれるというわけですね。

 さて今回はそんな60周年の「緑の館」と「尼僧物語」の両方が載っている1958年11月号の「スクリーン」を紹介。

 これはオードリーが表紙ですね。「SCREEN」が編集したオードリーの写真集でも、よく表紙が載っていますね。
 で、この号はじゃあ中身はどんな感じ?と思われる方もいらっしゃるだろうと思うので、全部お見せしますね!

 …なんて、この号を紹介するのはとても簡単。だってオードリー関連のところ、たった3箇所しかないですから。
 表紙だけ見たら、中身もきっと「尼僧物語」のことがいっぱい載っててさぞや!と期待しますが、これが以前書いていたような、表紙がオードリーだったら中身には少ない、の典型的な例。

 まずは表紙。どう見ても「尼僧物語」ですよね。それと撮影を開始したばかりの「緑の館」が1/4ページ、そして最後のページに「スクリーン」が売っているスターの写真(2枚で100円)で小さくて粗い「尼僧物語」の画像があるだけ。以上です!他には記事も何もありません!

 でも1958年11月号ということは9月21日発売ですよね。オードリー的には6月で「尼僧物語」の撮影は終わって、7月から「緑の館」の撮影が始まったばかり。

 でも昔の映画って、撮影中からバンバン宣伝を兼ねて写真や記事を出してたんだなーって。
 今の映画は洋画でも邦画でも撮影中は極秘裏に進んで行って、公開前にやっと宣伝を始める、って感じですよね。

 今の人っていつ撮影されたかって知らない人が多いですよね。だから1959年公開の「緑の館」だったらオードリー30才とかって平気で書いてる。
 でも「緑の館」なんて公開が1959年5月16日(大阪。東京は20日から)ですから、もしオードリーが30才だったら、撮影期間10日くらいですか?ってなっちゃう。ましてやアメリカでは3月公開ですから、30才で撮影なんて不可能ですやん。

 こうして雑誌や記事で撮影時からあらかじめ宣伝写真が出回ったりするので、だいたい撮影は公開の1年くらい前、ってのは当時の映画ファンや関係者は無意識にわかってたんだろうなーと思います。
 でも今の人は(それなりの年齢の人も含めて)まるで映画が昨日撮影したみたいなイメージを持ってるんでしょうかね?

 例えばこの表紙の「尼僧物語」はオードリーの作品の中でも最も制作に時間のかかった作品でもあるのですが、撮影が1958年1月〜6月。
 その後で編集したり音楽を付けたり、試写会をしたりとポストプロダクションの仕事が山のようにあるのですが、結局アメリカ公開で1959年7月。
 撮影から1年7ヶ月もかかってますね。さらにもちろん出演してくれる俳優へのオファーや契約、撮影前のロケ地選び、衣装やセットの制作、協力してくれる教会などを見つけるプレプロダクションの仕事も大量にあったでしょうし、おそらく制作決定から公開までには2年以上かかっていると思われます。

 後年、オードリー自身も「ロビンとマリアン」宣伝の時のインタビューで “最も好きな自分の主演作品は?”と訊かれて、“好き、というのとは違うんですけど” と前置きを置いた後で、“最も印象に残っているのは「尼僧物語」でしょうね。作るのに最も時間のかかった作品だったし” と述べていました。

「スクリーン」1958年11月号 オードリーが表紙 逆に「緑の館」はオードリー作品では最も短い期間で制作されたのでは?と思うのですが、それでも撮影が1958年の7月〜11月、やはり公開までには1年ほど掛かっています。「尼僧物語」と同時進行でメル・ファーラーなどはベネズエラに行っていたようなので、制作はやはり1年以上かかっていますよね。

 なので、「尼僧物語」のオードリーは28〜29才、「緑の館」のオードリーは29才、ということになります。

 こうして撮影時から宣伝活動を開始していたのと違って、一体いつから秘密裡に映画って作られるようになったんでしょうかね?
 なんとなく70年代のスピルバーグ監督作品からのようなイメージがありますが…。
 僕的には撮影時から宣伝したほうが、公開時だけ慌てて宣伝するより効率がいいような気がしますけど…。

 「緑の館」の撮影スナップにはキャプションが付いていましたが、“南米ジャングルの中の野生の乙女”と書かれてますけど、うーん、ちょっと「緑の館」のイメージと違いますよね。

 ネットとか見ると、「緑の館」を見ないで、その評価やあらすじだけで “オードリーをジャングルの野生の少女なんて、見る前からミスキャストがわかる”、なんて書いてる人がいますが、全然違いますよね。
 
 「緑の館」をジャングルの野生の少女、なんてイメージしてしまったらそりゃオードリーじゃないですよね。
 でも「緑の館」は英国人の原作者がイメージした、幻想的な森に住む動物とも話せる妖精のような少女、ですからね。
 ジャングルの野生の少女と幻想の森の妖精のような少女では全然受けるイメージが違いますよね笑。

 だからリーマはオードリーでないと演じられなかったこれまた当たり役の一つですよね。問題は役じゃなく、監督であり夫でもあったメル・ファーラーの腕前だったということ。

「スクリーン」1958年11月号 オードリーが表紙 役だけ見たら妖精のような少女にオードリーってこれ以上無いほどピッタリなので、写真だけで見るとその醸し出すイメージに漫画家の里中満智子さんが思わず自分でも描いてみたほど。でもその自分の絵よりも現実のオードリーの方がずっと幻想的だった、と書いておられました。

 妖精リーマを具現化出来たことは凄いことで、他にも衣装デザインのワダ・エミさんや歌手の手嶌葵さんなど、アーティスティックな方にオードリーのベストとして推されています。
 僕も作品はともかく、思い入れはかなり強い作品です。「緑の館」の写真なんかはめっちゃ嬉しくなりますね。



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