2022年04月21日

「噂の二人」公開60周年記念その2「映画の友」1962年5月号

いよいよ「いつも2人で」…「午前十時の映画祭12」にて4Kで上映。あと8日!今月、4/29(金)〜5/12(木)TOHOシネマズなど全国で上映!詳細はこちら

「オードリー・ヘプバーン」…5/6(金)からTOHOシネマズなど全国で上映!公式サイトはこちら

「噂の二人」公開60周年記念その2「映画の友」1962年5月号 さて、本日4月21日は「噂の二人」が東京の松竹セントラル劇場で日本初公開されてからちょうど60年になります!
 それで今回は「噂の二人」の新着映画紹介の載った“映画の友”1962年5月号を紹介。

 まず4月21日って、「ローマの休日」の日本初公開日でもありますよね。オードリーにはゆかりのある日ですねー。

 それと、初公開の松竹セントラル劇場って、丸の内ピカデリーと並んで松竹配給の映画館としてはチェーン・マスターだった映画館ですよね。

 松竹セントラルって、松竹の公式サイトを見ると1956年に竣工されたんですね。そして松竹本社に入っていた、と。規模は1000席以上。さすがチェーン・マスター館ですよね。

 松竹のサイトで見ると、竣工当時は80年代みたいにごちゃごちゃ宣伝や看板が出ておらず、本当にスッキリして綺麗!そしたら同じ松竹セントラルで公開された「戦争と平和」も竣工当時のこの真っさらでピカピカな劇場で上映されたということになりますね。

 松竹セントラル劇場は、その後1957年に「昼下りの情事」、そしてこの「噂の二人」の初公開時、それと1966年の「パリの恋人」リバイバルでオードリー作品はお世話になっています。
 後年は完全に丸の内ピカデリーにチェーン・マスターの座は譲ってたので、「シャレード」「いつも2人で」「暗くなるまで待って」「マイ・フェア・レディ(1969年リバイバル)」「華麗なる相続人」の松竹系公開作品は丸の内ピカデリーで公開されましたけれども。

 さて、前置きが長くなってしまいましたが、この“映画の友”は5月号!
 当時の5月号というと、“映画の友”でも“スクリーン”でも人気投票の結果発表の号ですよね。当時、1年で最も売れていた号なのではないでしょうか。

 だからこの号は色々とオードリーに関しては見所の多い号になっています。

「噂の二人」公開60周年記念その2「映画の友」1962年5月号 まずはいきなり表紙からしてオードリー。画像は「噂の二人」の宣伝写真。

 まるさんもおっしゃってましたが、オードリーが女優時代に最も気に入っていた髪型ですね。
 「噂の二人」から始まって、「パリで一緒に」、「シャレード」の宣伝写真、そして「マイ・フェア・レディ」の時期と、「おしゃれ泥棒」で髪の毛をバッサリ切るまでは足掛け4年基本はこの髪型でした。

 でも、「パリで一緒に」と髪型も似てるのに、「噂の二人」はどうにも地味なのはなんででしょうね。前髪の長さなのか、髪の毛の盛りの量なのか、それともメイクなのか…。

 「噂の二人」と「パリで一緒に」の見分け方って、やっぱり地味なのか華やかなのか、ですよね。

 さて、本編で最初にオードリーが出てくるのは、カラーページで始まる「あなたが選んだベスト・ワン」という人気投票で選ばれたスターのページ。
 この年は順位順にスターが並んでいますし、当時のカラーページは貴重なので、カラーで載っているのは3位までのスターのみです。

「噂の二人」公開60周年記念その2「映画の友」1962年5月号 男優1位のアラン・ドロンの裏で、女優1位のオードリーの登場。
 でもこれはオードリーだけのポートレートではなく、「噂の二人」の宣伝写真。ジェームス・ガーナーとシャーリー・マクレーンが一緒に載っています。

 この年のジェームス・ガーナーは男優部門には名前がなく、テレビスターの第12位、シャーリー・マクレーンは前年の9位から落ちて14位となっています。

 読者投票の結果を見ての対談のテレビスターのコーナーで出ていた話では、テレビで人気が出てから映画に使うというケースがこの頃多い、ということでジェームス・ガーナーが挙げられています。
 のちにオードリーと共演するエフレム・ジンバリスト・Jrもテレビスター部門の10位に入っています。

 さて、この写真ですけど、「噂の二人」では貴重なカラー写真。本当の衣装の色がわかりますよね。
 映画では白に見えるオードリーのブラウスも、実際は薄い黄色だったんだ、ジャンパースカートは紺色なんだ、というのがはっきりします。

「噂の二人」公開60周年記念その2「映画の友」1962年5月号 オードリーのブラウス、白が写真の色で黄色に見えているのではないことが、ジェームス・ガーナーのワイシャツの白があることでしっかり区別できますね。
 こういうのがわかるのがカラー写真のいいところ。

 そういえば、デザイナーの長沢節さんが「噂の二人」のドロシー・ジーキンズと知り合いで、オードリーは何を着せてもエレガントに見えてしまうから、かえって難しいわけ。と言われた、と書いてましたね。

 次はオードリーじゃなくてヴィヴィアン・リー。「ローマの哀愁」のカラー写真でウォーレン・ベイティと載っていますね。
 1961年には「哀愁」と「風と共に去りぬ」のヴィヴィアンの2大代表作がリバイバルされて、人気投票でも26位に返り咲いており、同じく「草原の輝き」(作品第6位)があって人気投票で15位に入った新進のウォーレン・ベイティ(マクレーンの実弟)と共に期待の作品だったんでしょうね。

「噂の二人」公開60周年記念その2「映画の友」1962年5月号 ヴィヴィアン・リー、相変わらずお美しい!のですが、この時まだ47才か48才。
 のわりにはお年のように見えるのは、このメインの写真でも持っている手離せないタバコと慢性の睡眠不足、それと双極性障害から来ているのでしょうね。
 ヴィヴィアン・リー自身、「私は生まれてからあまり寝ていないのです」と言ったほどで、毎日2〜4時間ほどしか寝ていなかったとか。

 次はグリーンのグラビアページで「オードリーの早春日記」という見開き2ページ。
 スイスでのメル・ファーラーとの散歩の写真、ローマでのフェイマスと歩く写真、食料品店での買い物、チャリティー試写会でのメルとの写真、パリの豪華客船の晩餐会での様子、と「噂の二人」の撮影後、ヨーロッパ各地でのんびりしているオードリーが載っています。

 ここのキャプションで書かれているのが、“これで「ティファニーで朝食を」で二度目のオスカーでも取れば、まず最高の休日といったところですが。”と書かれています。
 そう、この号の発売は3月21日でしょうから、1961年度(1962年発表)のアカデミー賞の発表(4月9日)が迫っていたんですよね。

「噂の二人」公開60周年記念その2「映画の友」1962年5月号 この年、オードリーは主演女優賞にノミネートされていました。
 僕らはもうこの年にオードリーはアカデミー賞は取れないことを知っていますけど、当時のオードリーファンはもしかしたら取れるかも!ってドキドキしていたのかもしれませんね。

 次のオードリーは同じ緑のグラビアページの“フォト・トピック”というページ。
 オードリーとメル、どちらが相手に惚れてるのかわからんね、とか書かれています。この当時は息子ショーンも生まれたばかりで夫婦仲も最高に良かった頃だったんでしょうね。

 ちなみにこの写真でオードリーが着ているのは「ティファニーで朝食を」で着ていたショッキング・ピンクのジバンシィ。
 これは「ティファニーで朝食を」の契約でもらったものなのか、それともオードリーが出演後に買い取ったのかはわかりませんが、これって「噂の二人」の試写会だったかにも着て行ってましたよね。オードリーお気に入りの1着。

 「ティファニーで朝食を」では2着のリトル・ブラック・ドレスも着てますけど、やっぱり本当のオードリーはピンクとかの方がお好き、というわけですね。「パリで一緒に」にも似たようなジバンシィがありますし、「いつも2人で」でもやはりショッキング・ピンクのドレスがありました。

「噂の二人」公開60周年記念その2「映画の友」1962年5月号 ちなみにこの衣装は「松下奈緒 永遠のオードリー」でもハーグ市立博物館に現存しているのが映ってましたよね。服と同色だったはずの飾りは退色してましたけど。

 次は本文ページの人気投票の総括。まずは作品の部で、1位は今年リメイクが公開された「ウエスト・サイド物語」。
 これは当時社会現象にまでなってましたから、1位は当然ですよね。

 でもこの作品も最初はマリア役にオードリーがオファーを受けてたんですよね。当時のオードリーは妊娠中で断りましたけど。
 断って勿体無い作品シリーズの1本ですよね。そういえば、オードリーは「ウエスト・サイド物語」のプレミアには参加してましたね。もしこちらに出演していたら、同じマーニ・ニクソンの吹替でもバッシングされなかったんでしょうね。

 そして「ティファニーで朝食を」は第8位に入っています!7位の「鞄を持った女」が生活の匂いのあるロマンチシズムで、都会的な味の「ティファニーで朝食を」が続いて、と書かれています。9位にはリバイバルの「風と共に去りぬ」、24位にはリバイバルの「哀愁」が入っています。
 邦画の1位は黒澤明の「用心棒」です。これも過去の午前十時の映画祭で上映されましたよね。

「噂の二人」公開60周年記念その2「映画の友」1962年5月号 さて次は女優の部。1位がもちろんオードリー・ヘプバーンで、1578票。2位のナタリー・ウッドが870票で、男優1位のアラン・ドロンが863票ですから、オードリーはほぼダブルスコア!
 オードリーの人気がピークだった1960年代前半は本当に勢いがすごいですよね。

 品田雄吉さんと南俊子さんの対談では「トップはオードリイ・ヘップバーン、依然確固として揺るぎない地位をしめてますね。」「連続4年はえらい。」「去年は『ティファニーで朝食を』1本だけでしょう?」「1年1本でもオードリイは絶大な人気があるのね。」「彼女はやっぱり夢の人なんだな。」と書かれています。

 男優ではオードリーと共演した人はヘンリー・フォンダが6位、アンソニー・パーキンスが7位、バート・ランカスターが10位、グレゴリー・ペックが21位、ウィリアム・ホールデンが23位、トニー・カーティスが26位、ケイリー・グラントが27位、「ティファニーで朝食を」が出たばかりのジョージ・ペパードが28位でした。
 映画の友ではリバイバル作品は順位に入れるのに、死んだスターはランキング対象外にするので、ゲーリー・クーパーも25位相当で票数を稼いでいます。

「噂の二人」公開60周年記念その2「映画の友」1962年5月号 こういうのを見ると、やはりオードリーの共演者はおじさん前提で選んだのではなく、当時人気があったスターの男優さんが選ばれているのがわかりますよね。
 オードリーとの年の差が…と言う若者がいますが、今で言うとブラッド・ピットやジョニー・デップ、レオナルド・ディカプリオとかと共演してる感覚ですよね。

 監督の部では「ティファニーで朝食を」のブレイク・エドワーズが30位にかろうじて。他のオードリー作品の監督はウィリアム・ワイラーが3位、ビリー・ワイルダーが7位、ジョン・ヒューストンが13位、フレッド・ジンネマンが20位です。

 それと、この年はリバイバルブームの波に乗って、リバイバルしてほしい作品の投票結果も載っています。
 そこでは1位に「ローマの休日」が選ばれているのですが、他のオードリー作品ではなんと20位に「戦争と平和」が選ばれています!

 と、この意味がわかりますでしょうか?
 そう、「麗しのサブリナ」ではなく、「戦争と平和」の方が人気があった、ということなんですよね!

「噂の二人」公開60周年記念その2「映画の友」1962年5月号 「戦争と平和」、今ではオードリー作品ではマイナー扱いになっていますけど、公開当時から映画評論家だけではなく、一般の映画ファンにも「麗しのサブリナ」よりも人気が高かったということですね。

 確かに80年代まではオードリー作品の中では「戦争と平和」はれっきとしたオードリーの代表作だったんですよね。
 70年代後半とかをご存じの僕の年代の方なら、代表作の扱いとしては「戦争と平和」>「麗しのサブリナ」が当然でした。

 「麗しのサブリナ」はむしろ「昼下りの情事」の影に隠れた存在だったんですよねー。
 だから若いオードリーばかりがもてはやされるような風潮になってから「麗しのサブリナ」は出てきた、というのが実感です。

 ここに「パリの恋人」や「昼下りの情事」が入ってないのは、57年に公開されたばかりで、まだ名画座とかを回っていたからじゃないかなーと思います。
 ましてや「緑の館」「尼僧物語」「許されざる者」は本当についこないだ公開の新しすぎる映画なので入ってないと思います。

 1か月に何回映画を見ますか?という集計では2回が1番多く、ついで3回、4回、1回、5回と続きますから、58年をピークに映画人口は半減していましたけど、まだまだ皆さん映画を見てるんだねーって感じです。

「噂の二人」公開60周年記念その2「映画の友」1962年5月号 次は紫のようなえんじ色のようなグラビアのページで、いよいよ「噂の二人」の紹介ページ。

 この号では「尼僧ヨアンナ」が4月から発足するA.T.Gの第1回作品ということで単発的にグリーンのグラビアページで最初に紹介されていましたが、見開き2ページのみ。
 「噂の二人」は本格的な新作映画紹介のページで載っていて、しかも3ページですから、こちらが今号のメインなのでしょう。

 まずはオードリーとシャーリー・マクレーンの2人の有名な画像。オードリーの横顔の美しさが際立ちますね。
 それとどうやらシャーリーは普段の明るい作品と雰囲気が違うようなのですが、僕の中ではこのシャーリーでイメージされてますね。

 その後に「回転」「ハスラー」と紹介されて本文ページに入り、「噂の二人」の6ページもある対談。脚本家の水木洋子さんと、映画評論家の荻昌弘さん、山本恭子さんの3人です。
 もちろんこれらの方はもう試写会で「噂の二人」をご覧になってます。
 最後の2ページ分はシャーリー・マクレーンのイラストのみなので、今回載せていません。

 山本さんも荻さんも子供の悪さと老人の悪さが出ているということを語っています。アメリカの偏見や誤解がどうやって生じるか、と書かれています。

「噂の二人」公開60周年記念その2「映画の友」1962年5月号 今は日本よりアメリカの方がおおらかになった同性愛の問題ですが、この当時は日本よりもはるかにアメリカの方が厳しいことが語られており、同性愛について当時の日本の事情が語られています。

 次に水木さんと荻さんがが子供が憎々しいくらいうまいと語っており、山本さんもよくああいった子供を探し出したもんですねと同意しています。
 荻さんは子供は嘘つきなもので、それにおばあさんの無責任な発言が加わり、さらにもう一人のおばあさんの傲慢さと頑固さが加わってのっぴきならないものになって行く、1つの偏見と誤解が生まれると、それにいろいろなものが積み重ねられていく、そのプロセスが非常にうまい、衆愚精神と付和雷同が怖いと言ってます。

 山本さんはどうやらアメリカでの試写を見たそうで、撮影されたものの、カットされてしまった裁判のシーンがあったことが語られていました。
 と言ってもその段階でも既に2、3カットフラッシュバックで裁判に負けたことが出てただけだったそうで、だいぶ早い段階でカットされる方向になってたのがわかりました。出演した役者さん、ガッカリしただろうなーと思います。
 シンコー・ミュージックから出ていた「スクリーンの妖精」では完全にカットされた裁判長の役者さんの名前まで載ってましたね。

「噂の二人」公開60周年記念その2「映画の友」1962年5月号 ワイラーの演出では、荻さんは極力主人公たちの主観でカメラを動かしながら、ちゃんと客観的になっているところがうまいと言ってます。
 最後にオードリーが庭を歩いて門の所へ出てくる所、下手な監督なら撮らない、そして気がついて駆け戻ってくるところもオードリーの表情の変化を順々に積み重ねていく手法のことを述べています。

 山本さんも、門の話で同意しながら、メアリーとおばあさんの自動車の中でのショットの積み重ねでどんどん話を際どい方向に持っていくワイラー演出に関して話しています。

 そして山本さんがシャーリー・マクレーンの告白シーンで演技者だと思った、オードリーが押され気味だったと言っているのですが、そこで荻さんが告白を受ける方がアップ一つで耐えたということで、むしろオードリーに感心したと述べています。水木さんはこれは二人の対照的な芝居で、優劣つけがたいと語っています。

 僕もこのシーンのオードリー、いいと思っています!昔はちょっと淡白すぎるかなーと思っていましたが、大げさにやるよりもこの方が今の時代にも合っていると思います。

「噂の二人」公開60周年記念その2「映画の友」1962年5月号 オードリーの演技は「マーサが何を言っているか理解が追いつかないで驚いている」という演技じゃなくて、「マーサが何を言っているか理解した上でマーサを思いやっている」という演技になっていますよね。カレンはマーサの同性愛自体を責めても否定してもいないんですよね。

 もしここで同性愛自体を否定するようなワードを言ったりしていたら、今の時代には残れなかったと思うんですよね。映画製作当時はそう言った方が映倫は通りやすかったかもしれないんですが、ワイラー監督はそうしなかったですね。

 結局メアリーのお祖母さんや町の人たちはお葬式に“同性愛は無かった”ということで謝罪の意味を込めて来てますけど(同性愛だったら許していない)、最後に誰にも一瞥もくれず歩いていくカレンはマーサの全てを理解した上で愛していることが現れていますよね。

 ラストシーンですが、山本さんが初めに見た試写のではジョーが待ち受けているシーンは無かったそうです!それも意外。

 最後にはこのごろの映画は70ミリやシネマスコープで大まかになってきた、そんな中でこんな風に細やかにやられるとグッとくる、こんな完成度はテレビでは望めないと語っています。非常に高い評価を受けているわけですね。

「噂の二人」公開60周年記念その2「映画の友」1962年5月号 次のオードリーは“ハリウッド通信”のコーナー。トップにホールデンとヘプバーンが共演、ということで載っています。もちろんこれは「パリで一緒に」のこと。

 ところが原題を写し間違えたのか、もともと間違えていたのかはわかりませんが、“Paris When I Sizzle” (最後のsも無いですね)となっていて、「パリよ私が燃える時」って紹介されてます。

 次に“リヴァイヴァルと映画音楽”というページでは「噂の二人」が再製作であることが語られていますが、それはまあどうでも良くて、「麗しのサブリナ」のダンス・パーティのシーンでリチャード・ロジャースがローレンツ・ハートと初めて映画の作曲をした「今晩は愛して頂戴ナ」で使われた“ミミ”という音楽があると書いているのですが、どんな曲かがわかりません。

 「麗しのサブリナ」のサントラでも“ミミ”という曲は書いて無いので、“メドレー”って中にあるのか、あるいは「バナナ」や「バラ色の人生」のようにカットされてしまったのか…。

「噂の二人」公開60周年記念その2「映画の友」1962年5月号 “今月のヒット・パレード”というコーナーでは「S盤アワー」という番組で“ムーン・リバー”が7位、「魅惑のリズム」という番組では“ムーン・リバー”が2位に入っています。

 その横のサービス部のページでは「噂の二人」のオードリーのポートレートが発売されています。

 “スポットライト”というページでは「ローマの休日」の冒頭にも出てくるパラマウント・ニュースが3月末で姿を消すことになったことが語られています。
 すでに本国アメリカでは1957年1月で終了していたそうですが、日本だけで続いていたそう。

 そういえば昔の映画館って、そういうニュース映画だけを上映している映画館もあったんですよね。
 さすがにテレビが普及してくるとニュースをお金を払って映画館に見に行こうと思う人も少なくなりますよね。
 テレビに比べると情報も遅いでしょうしね。

 次のオードリーはアカデミー賞の候補になっているページ。この年はもちろん「ティファニーで朝食を」でノミネートされてましたね。
 それとこの本を最初に買った人が予想をチェックしているのですが、劇音楽映画賞と主題歌賞で見事「ティファニーで朝食を」「ムーン・リバー」にチェックを入れてくれています。

 次に新刊紹介に「子供の時間」が載っています。白水社で定価が450円。

「噂の二人」公開60周年記念その2「映画の友」1962年5月号 まだスターになっていない俳優や名脇役を紹介する“Who's Who”のページではジェームス・ガーナーが紹介されています。
 身長180cm、オードリーの相手役としては高い方ではありませんが、当時の日本人やアメリカ人と比べても高かったと思われます。

 さて主演は今大人気のオードリー・ヘプバーンとシャーリー・マクレーン、それにテレビで人気のジェームス・ガーナー、監督は定評のあるウィリアム・ワイラーで批評も素晴らしかった「噂の二人」。ヒットしないわけがないと松竹は思っていたのでしょう。

 ところがフタを開けると当時のオードリー・ファンには求めるロマンティック・コメディのオードリーでは無かったことで、大コケ。あまりの不入りにびっくりしたのか、5月1日に再度松竹セントラルは新聞広告を打っています。
 けれども結局「緑の館」を下回る配給収入に終わりました。オードリー全盛期の作品の中では最低記録となっています。

 大ヒット間違いなし!だと踏んで印刷した松竹セントラル劇場の劇場館名入り映画パンフレットが大量に余ってしまい、館名のところに紙を貼ったり、再度表紙の上から黒く刷り直して別の劇場で売ったりしたのは過去記事に書いた通りです。



同じカテゴリー(ティファニーで朝食を)の記事
 「ティファニーで朝食を」86年リバイバル 梅田東映ホールチラシ (2024-04-23 18:00)
 “午前十時の映画祭14” 今年は「ティファニーで朝食を」 (2024-02-24 10:00)
 1978年「水野晴郎のおしゃべりによる 映画名場面音楽集」ポスター (2023-11-09 20:00)
 「ティファニーで朝食を」公開60周年記念その2 「映画ストーリー」1961年12月号 (2021-11-04 12:00)
 「ティファニーで朝食を」公開60周年記念その1 「映画の友」1961年1月号 (2021-10-24 22:00)
 1986年「ティファニーで朝食を」リバイバル時大阪チラシ (2021-04-11 21:00)

この記事へのコメント
『麗しのサブリナ』で用いられた『今晩は愛して頂戴ナ』の楽曲は「Isn’t It Romantic?」「Lover」2曲のみだったようですが…(「Lover」はダンス場面で登場します)
Posted by take at 2022年04月21日 16:50
「今晩は愛して頂戴ナ」の「ミミ」、調べて聞いてきました!
たしかに「麗しのサブリナ」では使われてないですよね。
takeさんに書いていただいた「Isn’t It Romantic?」「Lover」のどちらかと間違えたのでしょうか。
「Isn’t It Romantic?」はよく知ってたのですが、「Lover」もわからなかったので調べたらジョン・ウィリアムズが指揮してる演奏がありました。あーっ、これも「麗しのサブリナ」で聞いたことある!って思いましたが、日本でなら演奏するにはあまりにも知られて無いですよね。外国ではこういった曲も聴けるのかーとちょっと羨望の眼差しでした。
takeさん、教えていただいてありがとうございます!
Posted by みつおみつお at 2022年04月21日 18:48
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。