2008年07月04日

SCREEN新書「オードリーに学ぶおしゃれ練習帳」清藤秀人著

 双葉十三郎さん風に言うと、“清藤秀人氏は「オードリー・ヘプバーン 98の真実」でミソをつけたが、この本で名誉を回復した。”というところでしょうか。
 あまりの内容の充実ぶりに、途中で読むのを止めれなくなって、一晩で読んでしまいました。(^^;;;

 これは清藤秀人さん著の「オードリーに学ぶおしゃれ練習帳」という本です。近代映画社から、「SCREEN新書」創刊4冊の中の1冊として今年6月30日に刊行された、最も新しいオードリーに関する本。文章中心です。

 清藤さんが前回「オードリー・ヘプバーン 98の真実」で大量に引用して大失敗した、嘘で汚れたダイアナ・メイチックの本は、今回は当然ですが外されています。
 巻末に載っている、今回の参考図書は、チャールズ・ハイアムバリー・パリスアレグザンダー・ウォーカーの3種の伝記と、2000年のオードリー展で売られていた図録「オードリー・ヘプバーン:私のスタイル」。

 中身は“さすが清藤さん!”というものに仕上がっているんですが、先に気になった部分を書いておくと、

・「いつも2人で」の6回の旅を4回と表記している。
 清藤さんの文章を見ると、友人夫婦との旅と、マーク一人旅が勘定に入ってない。この本で「ティファニーで朝食を」に次いで二番目に好き!となっているのに?清藤さん、マジですか??

・メイクの話で、「おしゃれ泥棒」は年齢相応(37才となってる。実際は36才)のマダムに踏みとどまらせた、という部分。
 今でこそ、「シャレード」や「おしゃれ泥棒」の頃は“マダム風”かもしれませんが、これは時代を考慮してないのでは?

 確かに「マイ・フェア・レディ」よりは老けた「おしゃれ泥棒」のオードリーですが、それでも当時の日本の20代の街行く女性に比べたら、まだまだ若々しく美しいオードリー!「おしゃれ泥棒」のニコルは20代の役だし、当時の女性誌などでも、“なぜオードリーはいつまでも若いのか!”みたいな特集が普通に組まれていたことでも、それはわかります。

 「おしゃれ泥棒」のポートレートではシワの見えるオードリーも、映画では撮影のチャールズ・ラングが上手で全然見せません。
 しかも、今のDVDでこそ綺麗なマスターから起こしなおしているものの、「おしゃれ泥棒」は以前はとても発色の悪い、のっぺりした油絵のようなプリントだったので、そんなアラは見えるはずもなく…。

・オードリーが71年に出演した日本のCM、エクスラン社のウィッグは「バリエ」ではなく、「ヴァリーエ」が正しいですよぉ~。
 これは固有の商品名だから、書き方がどうでもいいわけではないです。

 他にも、“?”なところがないことはないんですが…。(^^;;

 あと、これは僕は混乱しまくっているのですが、「麗しのサブリナ」の両肩にリボンの付いた黒のドレス(日比谷映画劇場版のパンフの表紙の服)はジヴァンシーなんですか?ここでは後に世界のジヴァンシー・ショップのウィンドウを飾るとなってて、ジヴァンシーのっぽいんですけど、イディス・ヘッドが7個のアカデミー賞と一緒に並べていたデザイン画にこのドレスのものがあったので、もうどっちのやら…。

 それにパリ帰りのサブリナが駅で立っているときのスーツがジヴァンシーという記述もよく見ますが、ここでの扱いはイディス・ヘッドということになるし…。
 誰かこの2着の正しいデザイナーを教えてください!(^^;;;

 肝心の中身の方ですが、今までオードリー本は数々あれど、70年代のヴァレンティノ・ガラヴァーニの洋服や、晩年によく着ていたラルフ・ローレンに関して書いてある本は初めて!この2人とオードリーの関わりではまだまだ知りたいことはありますが、今までほとんど空白に近かったこの2人との関係の初の本として大きな価値があります。

 他にも“「おしゃれ泥棒」以降のメイクに、よりエレガンスを感じる。”などと僕と全く同じ意見も書いてくれてるので、“ウンウン!そうだよね!”って嬉し涙ぐみ~。

 「ティファニーで朝食を」「パリの恋人」「シャレード」「マイ・フェア・レディ」「いつも2人で」「暗くなるまで待って」に関しては1作品で一章が割かれています。

 その「いつも2人で」のページでは、スタンリー・ドーネン監督がオードリーにとっていかに重要であったかが的確に述べられています。最大の功労者であったとも!さすが清藤さん!!
 そして、順位は変わるものの、清藤さんのベスト3は、1位「ティファニーで朝食を」、2位僅差で「いつも2人で」、3位「パリの恋人」だそうです!う~ん、オードリーを見てる人の選び方だなーと感心することしきり。

 そしてこの本は、パンドラの箱を開けています。今までなんとなく感じてても、僕は心に封印してた、“実はジヴァンシーよりもイディス・ヘッドの方がオードリーに重要な役目を果たしていた。”ということを暴いてるんです!
 “まわりにサンローランのファンはいても、ジバンシーのファンはいない。”とも。
 きゃー!言ってはいけないことを~~!!
 それでもやっぱり僕はオードリーにはジヴァンシーの方が重要だった、と信じたいです。(^^;;;

 画像は平凡なものが多いですが、中に珍しい画像も混じっています(右上のものなど)。また、2000年のオードリー展の「オードリー・ヘプバーン:私のスタイル」が手元にないと、ちょっとわかりにくいであろう洋服の説明があります。

 とにかく、オードリーファンなら内容的には非常に満足できる出来になっています!

オススメ度:★★★★




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この記事へのコメント
みつお さん
この本は大体何枚の写真がありますか?
Posted by meng at 2008年07月04日 20:03
だいたい60枚くらいです。
でも meng さんにとってはそんなに珍しい画像は
ないかもしれません。(^^;
しかも紙はザラザラしたものです。
これは文字が多い本です。
Posted by みつおみつお at 2008年07月05日 13:44
確かに面白かったです。
ファンの方が書かれた本ですね、好感が持てますね。
サブリナドレスの件、僕も混乱してます。
イーディス作だと思うんですがね。
読んでて嬉しかったのが、「暗くなるまで待って」の項です。
ファッションとしてあんまり注目されなさそうな作品なんですが、
僕はここに書かれてあるようなことに初見の頃から関心があったんで、
すごく共感しました。色使いとか生地のこととかね。
で、驚いたのが・・・・
あのあのスティーブン・キングが本作を恐怖映画ベストワンに選んでいたなんて!
「暗くなるまで待って」は、よく映画史上の恐怖映画の秀作として選ばれることもあったけど、
キング氏に推されるなんて、あらまぁ。
う~ん、そーゆー風に書かれると、なんだかホラーと一緒にされてるようで
なんか違うよな~って感じるんですけどね。
ヒッチコックのサイコならともかく・・・
でも光栄(?)なことです。
Posted by まる at 2008年10月19日 22:40
そうそう、そうですよねー!
清藤さんのは愛情がわかる文章ですよねー。
ファンだからこそ同類がわかる、って感じでしょうか。

“オードリー”じゃなく、「ローマの休日」ファンには
いろんな点で相容れない人も多々いるんですけどね。(^^;

「暗くなるまで待って」の衣装の点とかも、
今までなかなか取り上げてくれなかったトコなので、
ホント“カユイ所に手が届く”って気分ですかね。

こういう一見ファッションとは関係ない作品で
衣装のことを書いてくれたりすると、とっても勉強になります。

スティーブン・キングって、
確か自作の映画化にはほとんど満足してない人でしたよね?
でもそんな人にも「暗くなるまで待って」は唸ってもらえたってのが
ウレシイですよね!

「暗くなるまで待って」は伏線がいっぱい張ってあるので、
観なおしても、何度でも興味深く観れますです。(^^
Posted by みつおみつお at 2008年10月21日 23:32
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