2020年06月14日

クレヴィス社発行写真集「オードリー・スタイル」

クレヴィス社発行写真集「オードリー・スタイル」 はい出ましたね、クレヴィス社の新しい写真集「オードリー・スタイル 飾らない生き方」。

 今までクレヴィス社のオードリーというと、写真展といい、写真集といい、伝記といい、どれも全く褒められた出来じゃなかったんですが、今回はクレヴィス社の最高傑作になった!と言えると思います。

 まず表紙はちょっとオードリーにしては雰囲気暗くて、またやっちまったか?と思うものでした。帯はパール色のグリーン・グレーで、これは傑作写真集「オードリーに魅せられて」を真似したのか?と思うもの。お金はかかるんですけどね。

 で中身ですが、最初の方のページは見知った写真が続くので、「あ〜、やっちまったな。せいぜい★3つだな」と思っていましたが、「ジジ」でちょっと「んん?」と思い、「ローマの休日」は相変わらずでダメダメでしたけど、「麗しのサブリナ」からまた盛り返して、見知ったような画像でも微妙にショットの違うのを持ってきていて、「おや?」と思わせると、「緑の館」辺りからはどんどん良くなっていきました。

クレヴィス社発行写真集「オードリー・スタイル」 特に、オードリーの写真集ではあんまり珍しい画像が載らず、いつも同じものばかりの「許されざる者」「シャレード」が珍しい画像を揃えているのを見ると、大量得点!

 それに前の写真集や展示会では「マイ・フェア・レディ」までしかなくて、本当にオードリーがちょっと好きなだけのズブの素人が仕事してる感があったのですが、今度は「マイ・フェア・レディ」を越えて「おしゃれ泥棒」以降も写真が続きます。

クレヴィス社発行写真集「オードリー・スタイル」 「いつも2人で」の珍しいカラースナップ写真だとか、僕のブログでも珍しいから載せていた無料のゲッティイメージズ のダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞でのマレーネ・ディートリッヒとの2ショットや、アンソニー・パーキンスとの飛行機でのスナップなど、オードリーファンの感覚として “正しい” 写真を選んでいるのも好感が持てました。

 そして晩年の写真も多くて、またそれが珍しいものが多いんです!これも嬉しい!
 ただ、p179のベトナムでの写真はオードリーの顔にめっちゃ違和感があったので、「the audrey hepburn treasures」や「timeless audrey」を見ると、やっぱり裏焼きでした。「the audrey hepburn treasures」は参考文献で使ってるみたいなので、そしたら気づかないとダメでしょう!

クレヴィス社発行写真集「オードリー・スタイル」 それと、今回は写真のキャプションもちゃんとしてるんです!展示会の写真や前の写真集のキャプションがどうでもいいようなこと(しかも間違い混じり)が書いてあったのとは雲泥の差。
 今回は著者がいないので、誰が書いたのかはわからないのですが、このキャプションはちゃんと調べてから書いてある!と思いました。

 さすがに2017年からクレヴィス社もずっとオードリー展とかやってて詳しくなったのか、コアなファンが見ても大丈夫な、しっかりしたことが書いてあります。巻末の方には参考文献として10冊のオードリー本が載っていますので、今回はかなり勉強されたんでしょうね。それ以外にも最近のwikipediaも参考にしてると思われることもありました。

クレヴィス社発行写真集「オードリー・スタイル」 ただ、ここまでやってくれた写真集なのに大きく残念な部分がひとつ。それはカラー写真の深みが全然無いこと。写真展でも使っているボブ・ウィロビーのものはともかく、ここまで印刷技術が進化した時代に、粒子も色も悪いものがけっこうあります。

 これはクレヴィス社というよりも、画像を借りた会社が悪かったんでしょうが、p7の「パリの恋人」カラーポートレートなんかは素人が塗ったみたいに汚い!
 同じ写真が「SCREEN」の2007年2月号の表紙になっているんですが、その綺麗な深みのある発色とは月とスッポン。こんな薄汚い画像なら、借りずに別の写真を載せて欲しかったです。

クレヴィス社発行写真集「オードリー・スタイル」 それと最近の写真集はどれもこれもマットコート。モノクロ写真ならいいですけど、カラー写真集を作るならやっぱりコート紙で行かないとダメでしょう!
 マットコートだと、どうしても発色も劣りますし、深みが出にくいです。

 この写真集も、もしツルツルのコート紙で刷っていたら、もっと綺麗なカラーになっていたと思われます。ここではなんかどれもこれものっぺり平面的なカラーになってます。

クレヴィス社発行写真集「オードリー・スタイル」 オリジナルポジを使えるならいいですけど、こういうレンタルデジタル画像はオリジナルとは程遠い画質ですからね。

 全体では1/3くらいが珍しい画像になっています。
 それと、カバーを外すと、別の写真が載っているのもお楽しみです。
 あと、題名はなんとかして欲しかった!「オードリー・スタイル」という本は今までに何冊も出ているので、買う人がとても混乱します。

オススメ度:★★★★(3.8くらい。四捨五入で★4。でもとにかくクレヴィス社がやっとまともな本を出版してくれました!)


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Posted by みつお at 18:00│Comments(2)日本の写真集
この記事へのコメント
おひさしぶりです。
その後、お体の具合はいかがですか?
世間はマスクだらけで、日本人ってすごいなぁと驚いています。
しかしこの時期のマスク蒸し暑くてたまらん。

この写真集、スルーしようかと迷いましたが結局買いました。
で意外なほどに良かったです。
今まで知らなかった画像、WEBでは見かけるが印刷では初めて見る画像、そういうのは嬉しいし結構多いですね。
構成や記事内容などかなり改善されていますね。
特に「許されざる者」や「シャレード」の(たぶん)初出画像は収穫でした。
152頁の冷蔵庫スージーや第7章(179頁は除く)なんかも今回の収穫ですね。
で”やっぱりウィロビーまたもや小出し”も今回ありましたねー
またもや「噂の二人」で139頁、嬉しいけどなんで今までなかったの?
あ、それに「緑の館」81-82頁もですよね。84-85もかな?
カラーに関しては、確かに7頁はひどいけど、
57頁の有名画像や149頁もあり得ない汚さですよね。これ載せる?
あと67頁「昼下りの情事」ピクニックや8頁の有名画像なんかは、
綺麗なカラーを知っているので、なんで白黒?と興ざめします。
37頁のサブリナも変なトリミングされてるし・・・
それに133頁のムーンリバーや30頁124頁あたりの平凡画像で
印刷もぼやけてるようなのを掲載するなら、
いっそ潔く削ってくれたほうが有難いです。
それなら前回のクレヴィス写真集の数少ない収穫だった
「噂の二人」葬儀で花を手向けるカレンを再掲載してほしかった。
あ、その写真集は文庫版にもなっているようですね。
しかしポイントとして必要な画像だし、何頁で構成するとかの設定などの事情もあるのでしょうね。

全体として凸凹が多いのは残念で、シャープな画像もあればボヤ~んとしたものも多く、惜しい出来栄えではあります。
何年か前のドイツかどこかの写真集で全体だと三ツ星程度だけど、
最大風速的にすごかったのありましたよね。
今回はそのプチ版って感じかな~
でも努力は買いますし、出してくれて感謝です。
そう、ますます本が売れなくなってきているなかで今でもこういう企画があるのって、
オードリィの磁力凄し、です。

ALWAYS AUDREYの日本版は・・・見送ります。
あの大きさを2冊持つのはちょっとしんどいかな。
Posted by まる at 2020年06月17日 22:54
まるさん、お久しぶりです!

体調はあまり…ですが、なんとかやっています。
再入院は8月ごろになりそうです。

マスク、確かに蒸れますよね。僕もマスクの中で汗かいてます。
でもやっぱりスーパーなどでマスクしてない人に限って2人以上で来ててべらべら喋ってたりするので、マスクしてない人はやっぱりそういう配慮の無い人を見分ける指針にしています。
となると自分の外せないことになるので、暑いです。
早く夏マスクが欲しいですね。

さてさて、久々のまるさんのコメント、大事に大事に噛み締めて読ませていただきました。
まるさんの指摘したページも一緒に開いて見てたので、写真集も2度楽しめますね。

そうなんです。クレヴィスの今までが今までだっただけに、僕も全く期待してなかったんですが、今回は良かったですよね。
「許されざる者」「シャレード」の初出写真は嬉しいですよね!「シャレード」は伝記でオードリーとグラントの両方にベタ焼きを渡して、気に入らないものはパンチ穴を開ける、というのを読んだので、あんまり珍しいものがないのかと思っていました。なので代表作の割に写真が少ないので、今回のは嬉しかったですね。
「シャレード」はこのブログ用に画像も準備していましたが、今回の記事には入りませんでした。

冷蔵庫スージーも良かったですよね!スナップっぽくて、オードリーがこのシチュエーションで微笑んでいるのが珍しかったです。しかも可愛い!
ボブ・ウィロビーの写真は見た途端にまるさんの “小出し…”っていうのがすぐに頭をよぎりました。ていうか、もうボブ・ウィロビー=小出しが僕の脳内でセットになってます笑。
まさに「緑の館」81-82、84-85なんかそういう感じですよね。
実はp82−83のも写真を準備してましたが、やっぱりp83が有ったので、外しました。「暗くなるまで待って」冷蔵庫も右ページがよく見るものだったので、同じ理由ですね。
p83のが載ってしまったのは、巻末の参考文献でボブ・ウィロビーの写真集が1冊しか入ってなかったので、ほかのボブ・ウィロビーの写真集で既に収録済みってのを知らなかったのかなーと思ってます。

p57の「パリの恋人」も人相が変わってしまってますよね。
カラー写真のモノクロ化のものは、おそらくクレヴィス社の担当者が「デラックスカラーシネアルバム」だとかの他の写真集を知らないからそういうのが載ってしまうんでしょうね。その辺はまだまだ勉強の余地がありそうです。
p37の変なトリミングとかも含めて、レンタルする画像屋さんのものがオリジナルから遠いから発色が悪かったり、モノクロになったりしてるんでしょうね。
過去の「スクリーン」からの依頼で、オードリーが「スクリーン」を手に持ってる写真とか、本来「スクリーン」に権利がありそうなものを、レンタルで出してるとか、本当の権利者にお金払ってる?って思うものもあるので、ぼやけてたり汚い画像とかモノクロ化画像はレンタル屋がかなり怪しいです。

そんななんやらかんやらで確かに凸凹で、星3つやと少ないし、星4つやと盛りすぎな気がするし…でかなり悩みましたけど、クレヴィス社の努力を買って4つにしました。
それと確かに最大瞬間風速の強い写真集、ありましたね!
最近は海外ですらオードリーの写真集が出なくなってきてるご時世ですので、こうして出してくれるのは嬉しいですよね。

それとALWAYS AUDREYの日本版は僕も見送ってます。
でも二刷で裏焼きが解消されるみたいなので、そうしたらその時に買うかもしれません。
今回のこのクレヴィス社の「オードリー・スタイル」も二刷でp179の裏焼きが解消されるそうですよ。
Posted by みつおみつお at 2020年06月18日 21:46
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